著者
中嶋 秀人
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.265-267, 2020 (Released:2021-02-05)
参考文献数
15

Encephalitis is associated with high morbidity and mortality, and the neurologic manifestations of this condition include fever, headache, altered mental status, convulsions, and psychiatric symptoms. Early diagnosis of encephalitis is crucial to ensure that the right treatment is given on time. Herpes simplex virus was the most common infectious cause among acute encephalitis, followed by varicella zoster virus. Thus, more than a quarter of patients were potentially treatable with aciclovir. Recent repots have showed the increasing recognition of autoimmune encephalitis, and anti–NMDAR encephalitis was the most common autoimmune condition. In this article, the author describes the characteristic clinical findings, magnetic resonance imaging and spinal fluid analysis of herpes simplex encephalitis, varicella zoster encephalitis, and anti–NMDA receptor encephalitis. Early identification of these patients may allow timely initiation of aciclovir and/or immunomodulatory therapy, and help improve clinical outcomes.
著者
福田 有希子 廣岡 裕吏 小野 剛 小林 享夫 夏秋 啓子
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.130-138, 2008-09-16
被引用文献数
1

2005年5月,東京都小笠原村父島で施設栽培されていたカカオの果実に,初め茶褐色〜暗褐色の不整病斑を生じ,のちに拡大して腐敗症状を呈する病害が観察された。その罹病部からはLasiodiplodia属菌が高率に分離され,分離菌を用いた接種試験により原病徴が再現され接種菌が再分離された。分離菌は,暗褐色から黒色の分生子殻内に,隔壁の無い側糸と,後に完熟すると2胞,暗褐色で縦縞模様をもつ分生子を形成することから,Lasiodiplodia theobromae (Pat.) Griffon & Maubl.と同定した。さらにrDNA内のITS領域を用いた分子系統解析の結果からも同定を裏付ける結果を得た。小笠原で商業的に栽培されているパッションフルーツ,パパイア,バナナ,マンゴーを用いた宿主範囲の検討では,パパイア,バナナ,マンゴーにおいて病原性が確認された。これまでカカオにおける本病害は日本において報告がないため,Lasiodiplodia果実腐敗病(英名 : Lasiodiplodia pod rot)と命名したい。
著者
藤井 穂高
出版者
日本比較教育学会
雑誌
比較教育学研究 (ISSN:09166785)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.27, pp.159-177, 2001

In this article I will try to clarify the logic of the Amendment of the Compulsory Education Act of 1998. In this year an Act to reinforce the control of compulsory education was adopted unanimously in the Parliament. By this act, control of compulsory education in a family setting was reinforced. In France freedom of education has been respected since the formation of the national education system. Why should compulsory education be reinforced in a country which emphasizes freedom of education? This is the fundamental problem to clarify in this article.
著者
橋本 裕之
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
no.80, pp.363-380, 1999-03

本稿は後世の人々が古墳をいかなるものとして解釈してきたのかという関心に立脚しながら,装飾古墳にまつわる各種の伝承をとりあげることによって,装飾古墳における民俗的想像力の性質に接近するものである。そもそも古墳は築造年代をすぎても,その存在理由を更新しながら生き続けるものであると考えられる。古墳は多くのばあい,今日でも地域社会における多種多様な信仰の対象として存在しているのである。といっても,こうした位相に対する関心は考古学の領域にとって,あくまでも周辺的かつ副次的なものであった。だが,後世の人々が付与した意味,つまり土着の解釈学を無知蒙昧な妄信にすぎないとして,その存在理由を否定してしまうことはできない。それは古墳にまつわる民俗的想像力の性質に接近する手がかりを隠しており,古墳の民俗学とでもいうべき未発の課題にかかわっている。とりわけ特異な図文や彩色を持つ装飾古墳は,その存在が古くから知られているばあい,民俗的想像力を触発するきわめて有力かつ魅力的な媒体であったらしい。本稿はそのような過程の実際をしのばせる事例として,虎塚古墳・船玉古墳・王塚古墳・重定古墳・珍敷塚古墳・石人山古墳・長岩横穴墓群(108号横穴墓)・チブサン古墳などにまつわる各種の伝承をとりあげ,民俗的想像力における装飾古墳の場所を定位する。こうした事例は考古学における主要な関心に比較して,あまりにも末梢的なものとして映るかもしれないが,現代社会における装飾古墳の場所を再考して,装飾古墳の築造年代以降をも射程に収めた文化財保護の理念と実践を構想するための恰好の手がかりを提供している。地域社会における装飾古墳の受容史を前提した装飾古墳の民俗学は,そのような試みを実現するためにも必要不可欠であると思われるのである。How did people perceive and interpret the earlier Kofun Period burial mounds? In order to get an idea of how folk imagination worked concerning decorated tombs, I discuss several oral traditions related to the decorated tombs. Since the burial mounds are visible above the ground unlike most other archaeological sites, which are buried underground, they have managed to maintain and renew their raison d'etre over the centuries. Indeed, several Kofun Period burial mounds are still objects of local worship. In particular, decorated tombs with unusual signs and pictorial representations sometimes in color seem to have served as a means for people to stimulate and develop their imagination.In this paper, I discuss various oral traditions related to the Torazuka, Funatama, Ōtsuka, Shigesada, Mezurashizuka, Sekijinyama, Nagaiwa No. 108, and Chibusan tombs. I focus on the kind of places these tombs have occupied in people's imagination and mind.This kind of study has been considered marginal in Japanese archaeology, but it is in fact highly relevant to archaeological heritage management. It gives us a clue to understanding how and why archaeological sites such as decorated tombs have been protected. It also helps us put these archaeological sites into the context of contemporary society.
著者
森田 明理 新谷 洋一 長谷川 正規 加藤 正也 西尾 栄一 細川 裕子 辻 卓夫
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.111, no.8, pp.1229-1236, 2001-07-20 (Released:2014-12-27)

Narrow-band UVBは,311 nmにピークを持つきわめて狭い波長(311±2 nm)の紫外線光源であり,尋常性乾癬,アトピー性皮膚炎などにヨーロッパでは一般的に用いられている.乾癬でbroad-band UVB療法より優れ,PUVA療法とはほぼ同等とされる.今回,明らかにステロイド外用,ビタミンD外用で皮疹のコントロールのできない難治な尋常性乾癬23名(平均PASI 28.6)を対象としてnarrow-band UVB療法を行った.Narrow-bandUVB療法には,TL 01ランプ10本装着したM-DMR-LH型を使用した.照射率の測定はIL 1700を用いた.照射方法は,ヨーロッパで一般的に用いられているstandard regimenを用い,入院では週に5回,外来では週に3回の照射を行った.治療終了時の皮疹評価は,寛解15例,改善4例,やや軽快1例であり,寛解導入率65.2%,改善以上は82.6%であった.また,3例では,増量に伴うケブネル現象がみられたため,増量が難しく,不変もしくは悪化し中止とした.それ以外,水疱などの高度の急性副作用を起こすことなく照射が可能であった.
著者
土居 志織
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
教養論叢 (ISSN:04516087)
巻号頁・発行日
no.142, pp.247-253, 2021

【はじめに】【衝撃!!小瀬村先生との出会い】【イギリス代表vs小瀬村先生!?】【レイちゃん】【ある日のメール】【終わりに】小屋逸樹先生・小瀬村誠治先生・ロバート・ギブソン先生退職記念特集号エッセイ
著者
佐和九郎 著
出版者
アルス
巻号頁・発行日
vol.第1巻 (露光の秘訣), 1953
著者
秦 利之 秦 幸吉 村尾 文規 北尾 学
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.678-684, 1986

胎児心エコー図、胎児心電図、超音波パルスドップラー法を用い、先天性心疾患及び胎児不整脈の出生前診断を行い、その周産期管理及び予後について検討した。昭和55年4月より昭和60年3月までに、出生前診断が可能であつた症例は、上室性期外収縮(Premature atrial contraction;PAC)5例、PAC及びblockedPAC2例、PAC及び心室性期外収縮(Premature ventricular Contraction ; PVC)1例、PAC、blocked PAC及びPV01例洞性徐脈1例、完全房室ブ弓ツク1例、PAC及びPVCを伴つた心房中隔欠損1例、PAC及びPVCを伴つた胎児水腎症1例、大腸拡張症を伴つた複雑心奇形1例、食道閉鎖・鎖肛を伴つた単心房・単心室1例、単一膀帯動脈及びehcephaloceleを伴つた複雑心奇形1例、糖尿病妊婦に於けるAsymmetrical septalhypertrophy 1例であつた。15例の胎児不整脈のうち9例が生後1ヵ月以内に自然消失した。生後1ヵ月以上持続した胎児不整脈は、洞性徐脈、完全房室ブロック、PAC及びPVCを伴つた心房中隔欠損の3例であつた。完全房室ブロックの1例は、生後48日目にpacemakerを植え込み、順調に発育している。胎児不整脈の3例に於いてCoenzyme Q10による胎内治療を試み、抗不整脈作用を認めた。19例中、複雑心奇形を伴つた3例が生後死亡した。以上のように、胎児心奇形及び不整脈の出生前診断に、胎児心エコー図、胎児心電図、超音波パルスドップラー法を用いることによりその診断能力が向上し∫周産期管理を容易に行い得ることが示された。
著者
田城 翼 浦辺 幸夫 鈴木 雄太 酒井 章吾 小宮 諒 笹代 純平 前田 慶明
出版者
公益社団法人 広島県理学療法士会
雑誌
理学療法の臨床と研究 (ISSN:1880070X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.83-87, 2020-03-31 (Released:2020-08-21)

目的:足関節捻挫を受傷した選手は、医療機関で受療せずに競技復帰する場合が多く、「たかが捻挫」と足関節捻挫を軽視している可能性がある。本研究では選手が足関節捻挫受傷後の治療の重要性をどのように捉えているかを調査した。 方法:大学男子サッカー選手235名を対象として、インターネットによるアンケート調査を実施した。 結果:90名(38%)の有効回答のうち、70名(78%)が足関節捻挫を経験していた。受傷後、医療機関を受診した者は37名(53%)で、そのうち28名(76%)は継続的に通院し、治療を受けていた。医療機関を受診しなかった、または通院を中止した理由は、「治療しなくても治ると思ったから」という回答がそれぞれ最多であった。 結論:治療しなくても治ると思っていた選手は、足関節捻挫受傷後の治療の重要性を認識できていない可能性がある。このような選手に対して、足関節捻挫の治療の啓蒙が不可欠である。
著者
高橋 正樹 岸野 洋久
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.47-60, 2001-03-31 (Released:2016-09-30)
参考文献数
13

人生の各段階で私たちはさまざまな出来事(ライフイベント)に遭遇する。困難な状況下における人の意識や行動(対処)の様式は、イベントの有無や置かれた環境のみならず、幼児期から現在にいたる個人の人生経験にも大きく影響される。そして、この対処が続く人生の行動様式を形作って行く。こうした人生の長期にわたる履歴をはかる手法として、詳細な口述記録に基づくライフヒストリー研究や人生のある側面を投射した記録を繋ぎ合わせて行くライフコース研究がある。本稿では、集団解析を通じて、記憶化された人生の出来事の持続時間と他の出来事による置き換わりの過程を定量化することを試みる。目黒区住民を対象とした質問紙調査から、結婚や親の死、子の誕生などが強い出来事として記憶化される、という全体の傾向を明らかにした。ライフコースに添った思い出の置き換わりが見られるが、女性に比べ男性の方が置き換わりの程度が大きいこと、置き換わりは職業上の出来事の記憶化によって促進されること、通常の人生軌道では予期されていないような出来事は長期にわたり記憶化される傾向があることなどが明らかになった。また、集団の探索的解析により「戦争体験」といった同時代経験の重みを量的に位置づけることができた。人生の実証分析というテーマの中に、質的アプローチと量的アプローチの統合への可能性を読み取ることが期待される。

1 0 0 0 OA 氷表面の滑り

著者
対馬 勝年
出版者
The Surface Science Society of Japan
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.10, no.11, pp.941-943, 1989-12-20 (Released:2009-08-07)
参考文献数
13

氷の滑りの関与する身辺の問題と,各種の氷の摩擦説を紹介し,最後に氷の摩擦に関する最新の話題について述べた。
著者
山元 亮典 橋本 周司 三輪 貴信 ギエルモ エンリケズ フェイイー ヤップ
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.255-256, 2016-03-10

リズムタップダンスでは,一定のリズムでもってステップを踏むことが,よいパフォーマンスの条件とされている.したがって,ダンサーがリズムタップダンスの技術を修得する際には,ステップのリズムを定量的に計測し,演奏の特徴を評価することが役立つと考えられる.そこで,本論文では,9軸モーションセンサと圧力センサを内蔵し,ステップのタイミングと種類を同時に計測することが可能なリズム計測タップシューズを提案し,実際にこのシューズを用いてユーザ実験を実施することで,提案手法の有効性を評価する.また,提案手法によって計測されたリズムにダンサーの演奏の特徴がどのように現れるかを考察した結果について述べる.