著者
石崎 廣 五十嵐 弘道 荒井 頼子 蒲地 政文 石川 洋一 齊藤 誠一
出版者
Faculty of Fisheries Sciences, Hokkaido University
雑誌
Memoirs of the Faculty of Fisheries Sciences, Hokkaido University (ISSN:24353361)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.1-31, 2021-12

When a histogram-based method for front detection was applied to the sea surface temperature (SST) and chlorophyll-a (CHL) data by ‘Himawari’ and ‘Shikisai’ (GCOM-C) satellite, the obtained frontal patterns were scale-selective, corresponding to the window scales (W). On this basis, the optimum initial smoothing condition as the data preprocessing was searched for, that maximizes the frontal edge point detection rate to the given W. As the smoothing filter, the median filter (MF) and the Gaussian filter (GF) were used solely or co-used. As the result, it was found that the frontal edge point detection rate was maximized when the original data were smoothed until the scale of about a half of W, that is, when the disturbances with the scales less than about a half of W were removed, for the low-latitude SST data of ‘Himawari’ with the co-use of MF and GF. Namely, the optimum smoothing scale (D) that maximizes the frontal edge point detection rate is roughly proportional to W. The mean values (Rm) of the ratio of D to W (R=D/W), averaged over the practical range of W for various data and regions, fall in a range 0.3 < Rm < 0.5.
著者
小泉 敦 西村 豊 神山 かおる
出版者
Japanese Society for Mastication Science and Health Promotion
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.60-68, 2008

本研究は, 広い物性範囲から選んだおやつやおつまみとして食べられる食品の咀嚼特性を, 筋電図を用いて比較することを目的として行った.食品として, 皮付さきいか, ビーフジャーキー, チーズ鱈 (R), チーズかまぼこ, ピーナッツ, せんべい, ビスケット, グミ, えびせん, ポテトスナック (じゃがりこ (R)) を用いた.9名の成人被験者にランダムに提示したこれらの試料1.5gを自由に咀嚼させ, 左右の咬筋および側頭筋の筋電位を測定した.嚥下までの筋電図記録から, 咀嚼回数, 咀嚼時間, 総筋活動時間, 総筋活動量すなわち積分筋電位を得た.また各咀嚼動作ごとに, 筋電位振幅, 筋活動時間, 咀嚼周期, 筋活動量を得た.各食品の咀嚼中に起こるテクスチャーの変化を時系列で抽出するため, 一噛みあたりの筋活動は, 咀嚼全体の平均とともに, 咀嚼初期, 中期, 後期における値も計算した.<BR>咀嚼特性は咀嚼時間と一噛みあたりの筋活動量によってよく特徴づけられた.さきいかとビーフジャーキーは, 他の食品よりも一噛みあたりの筋活動量が大きく, 咀嚼時間もきわめて長かった.この2食品は, 総筋活動量が他の2倍並かそれ以上であった.チーズかまぼこは, 咀嚼進行に伴う一噛みあたりの筋活動量の低下が小さかったものの, いずれの咀嚼段階でも最小の筋活動量を示した.皮付さきいかは, 咀嚼中の一噛みあたりの筋活動量変化が10食品中で最も大きかった.皮付さきいかとビーフジャーキーは, 単位重量あたりばかりではなく, エネルギー量あたりの総咀嚼筋活動量も際だって高かった.
著者
漆畑 貴久 ウルシバタ タカヒサ Takahisa Urushibata
雑誌
嘉悦大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.71-86, 2008-12-19

幇助行為の存否について判断する際に、裁判例においては、幇助行為をしたとされる者の主観面の評価が行われる。これは、定型性が穏やかで、その成立範囲が不明確になりがちな幇助犯の処罰範囲を明確化・厳格化することを意図するものであり、幇助犯の成否の判断においては重要な意義を有していると考えられる。本稿は、幇助行為の意味を整理し、幇助行為をしたとされる者の主鏡面について評価した近時の裁判例を概観し、そのうえで、その主鏡面が幇助行為の存否の判断にどのような影響を及ぼしているのかを検討することを目的とするものである。
著者
一交斎小芳盛
出版者
ゑかつ
雑誌
教草
巻号頁・発行日
1868
著者
清水 忍 沼田 憲治 前田 真治
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.187-191, 2001-05-31 (Released:2018-09-25)
参考文献数
14

手指の系列運動課題における学習転移を指標として,運動プログラミングの左右半球優位性について検討した。対象は右利き健常大学生34名とし,ランダムに3群(右手練習群,左手練習群,コントロール群)に分けた。運動課題は一側手で出来るだけ速く第II-IV-III-V指の順にボタンスイッチを押させる系列運動課題とした。右手練習群は右手のみ,左手練習群は左手のみで30分間の練習を行った。コントロール群はこの間一切の練習を行わなかった。この練習前後で,各被検者とも両側手について本課題を遂行するのに要する時間(遂行時間)を測定し,3群間で比較した。練習前の遂行時間の成績には3群間で差はなかった。練習後,右手の遂行時間は左右両側手の練習効果を受けて短縮し,左手は左手練習の練習効果のみを受けた。このことから,左半球は両側手の運動学習に関与するのに対し,右半球は主に左手の運動学習に関与すると考えられ,運動のプログラミングにおいて左半球が優位である可能性が示唆された。
著者
川上 具美
出版者
西南学院大学学術研究所
雑誌
西南学院大学人間科学論集 (ISSN:18803830)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.121-134, 2019-02

日本におけるテスト政策もアメリカ同様に学校現場の教員に影響を持ち始めている。2018 年8 月2 日付けの日本経済新聞には次のような記事が掲載された。大阪市の吉村洋文市長は、2019 年度から学力テストの結果しだいで、校長や教員のボーナスに当たる「勤勉手当」を増減させたり、校長の裁量で使える予算を変動させたりなど、教員評価として活用すること検討すると明言したというのである。テストの結果を、教員評価や学校予算の裁定に利用することによって、米国の公立学校は民営化に追い込まれていることを考えると、今後日本の教育が向かう先が米国のようになるのではないかと危惧されるところである。学力テストは、「学力・学習状況調査」であったはずだが、テスト結果が公表されると現場はただの調査では済まされなくなっている。日本の教育におけるテスト重視の傾向は「脱ゆとり」から急速に高まり、学校教育では学習内容、授業時間数や日数も急激に増加の一途をたどっている。しかも、そうした傾向は日本が「脱ゆとり」路線を歩むようになった2003年のOECD のPISA(生徒の学習到達度調査)において、一位をとったフィンランドとは真逆の方向に向かっている。西南学院大学に客員教授として来日されたノルウェーのオークレー教授(Bjorn Magne Aakre)によると、北欧のフィンランドとも同様の歩調をとっているノルウェーでは、1997 年に徹底した学校改革が行われ、教育はテスト重視から学び重視の姿勢へと転換したという。伝統的な一斉授業のスタイルを取る教師も少なからずおり、そうした人々からの批判も寄せられたが、法律によって問題解決学習といったプロジェクト型の授業スタイルを取ることが義務とされ、徐々に浸透していったという。1990 年代末といえば、奇しくも日本でも総合的な学習の時間などが導入される時期でもあった。それから、数十年が経つが、フィンランドを初め北欧からベネルクス三国にいたる国々において、一斉授業のスタイルはほとんど取られていない。しかし、それとは反対にこの数十年で、日本において経験主義的な学び、問題解決学習などは学習内容の増加とともに鳴りを潜め、さらに追い討ちをかけるように、先の学力テスト実施によって小学校でもテスト対策の授業が行われるなど一斉授業のスタイルが低年齢化し、またその時間数も増加しつつある。次々と改訂が進む新しい学習指導要領では、学習内容が増加の一方で思考力の育成などの一見テスト政策とは反対のような指針が示され、新しい大学入学のための共通テストでは、それをテストで測ろうとしている。このような日本の教育の向かう先はどんな未来が待っているのだろうか。ここでは、暗澹たる惨状を晒しているアメリカの教育事情について、そのテスト政策と学校の民営化を浮き彫りにすることによって、日本の教育への警鐘としたい。
著者
Yuki Chiba Kei Takahashi Rui Makino Mai Yoshida Yuji Oe Tasuku Nagasawa Hiroshi Sato Mariko Miyazaki Koji Okamoto
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
pp.8385-21, (Released:2021-12-28)
参考文献数
21
被引用文献数
1

We herein report a case of crescentic glomerulonephritis associated with infective endocarditis (IE). A 61-year-old-woman presented with a fever and renal dysfunction and was diagnosed with IE. The patient was positive for PR3-ANCA and anti-GBM antibodies. Renal biopsy findings showed crescentic glomerulonephritis with isolated deposition of C3c, a serum conversion product of complement C3. Given these clinical findings, the patient was diagnosed with IE-associated glomerulonephritis. Antibiotic therapy was continued without immunosuppressive agents. After the initiation of the antibiotics, the fever resolved, and the renal function gradually recovered. This case highlights the notion that laboratory findings should be carefully evaluated with reference to other findings.
著者
稲坂 晃義 八馬 智 石塚 明夫
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.1_39-1_48, 2020-07-31 (Released:2020-08-10)
参考文献数
7

デザインの導入基礎教育を対象に,指導者が求める到達目標を明示した「振り返りシート」を用いて,学習者の自己評価により理解・習熟度を自身で把握し,指導者の評価との関係性を明らかにする.またその結果を用いて授業プログラムおよび指導方法等を検討するための示唆を得ることを目的とする.受講者の各課題に対するの理解・習熟度の自己評価,ならびに授業運営側の各課題の設定レベルの適性度の把握と今後の授業進行の調整や課題導出を目的としてICE モデルルーブリックを応用した「振り返り」シートを作成し導入した.因子分析とクラスター分析によって,学習者と指導者の各評価間の差異を明らかにした.学習者本人が自身の理解度を把握することに留まらず,指導者の指導内容の評価にも利用することができる.また多年度にわたりその結果の推移を見ると,各年度の学習者の傾向の違いがあるが,学習者の自己評価と指導者の評価の間の差異が年度を経るごとに小さくなる傾向があり,指導内容の変更や改善が一定の学習効果の向上に寄与することが分かった.
著者
小松 亜紀子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.21-26, 2006-01-31 (Released:2017-07-19)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究では,大学生へのアンケート調査により観測したデータについて構造方程式モデルによる分析を行った。これにより,身近な工業製品における製品スタイル選択を通じて実現される「成果要因(共通性,不安,評価)」を媒介変数とし,「自分らしさ」に関連する「自己認識要因(相互協調的自己観,自尊感情)」が「流行志向」に及ぼす影響について,因果モデルを構築した。このモデルにより,「相互協調的自己観」の強い傾向と,「自尊感情」が強い傾向は,製品スタイルにおける流行を生じる上で,相補的な関係にあることを明らかにした。また,「相互協調的自己観」の傾向が強い場合は「自分らしさ」の定義を他者動向に依存し,「自尊感情」の傾向が強い場合は他者から選択結果についての評価を得て自己実現を図るため,それぞれ「自分らしさ」が結果的に製品スタイル選択における流行と強く結びついているものと考える。以上をふまえると,工業製品の製品スタイルにおける流行採用というかたちで,「自分らしさ」に関する自己認識が反映されているものと考える。
著者
渡邉 萠 中西 美和
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.5_49-5_58, 2017-01-31 (Released:2017-03-10)
参考文献数
41

「『愛着』がある」と表現されるモノは、そのユーザに長きに渡って高い心理的価値をもたらすとして、近年、プロダクトデザインに携わる従事者に注目されている。しかし、人がどのようにモノに対する「愛着」を形成していくのか、また、それを促す方法としてどのような実際的手段があるかは、明らかになっていない。そこで、本研究では、「愛着」の原義が定義される心理学理論に基づき、「愛着」の観点をプロダクトに埋め込むデザイン戦略を提案し、適用したときユーザの「愛着」形成が促されるかどうかを実験的に検証した。まず、心理学理論に基づき、「愛着」を形成する要件を検討し、これをスマートフォンアプリとして実装した。次に、ユーザを、アプリを使用するグループと、使用しないグループの2つに分け、製品に対する「愛着」の変化を、先行研究で明らかにした「愛着」検出指標(脳血液量変化、指突容積脈波)を用いて計測、分析した。その結果、提案したデザイン戦略が、ユーザのモノに対する「愛着」形成の促進において有効である可能性が示唆された。
著者
中谷 宇吉郎 孫野 長冶
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.9, no.12, pp.549-555, 1940 (Released:2009-02-09)
参考文献数
2
被引用文献数
1
著者
武村 政春
出版者
一般社団法人 日本生物教育学会
雑誌
生物教育 (ISSN:0287119X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3-4, pp.149-159, 2015 (Released:2019-09-28)
参考文献数
28

真核生物の誕生は,進化史上最も重要な出来事の一つである.しかしながら,高校生物の教科書におけるその記述は,共生説の紹介,原核生物と真核生物の単純な比較などにとどまり,真核生物の誕生がその後の生物進化に与えた影響など,重要な点が欠如しているなどの問題があると考えられる.そこで本研究では,旧課程「生物I」「生物Ⅱ」ならびに現行課程「生物基礎」「生物」の教科書に掲載された「真核生物の誕生」の内容,ならびにその「3ドメイン説」との関連付けに関する調査を行い,上記問題への解決法を見出すことを目的とした.旧課程の高校生物教科書では,「生物I」→「生物Ⅱ」の順で詳細な内容が扱われ,そのすべてにおいてミトコンドリアと葉緑体の起源に関する共生説が扱われていたが,核の起源に関しては「細胞膜の陥入」程度の記述しか見られなかった.現行課程の高校生物の教科書では,そのすべてにおいて共生説が扱われており,とりわけ旧課程「生物I」ではコラム的に取り扱われていたのに対し,現行課程「生物基礎」では本文において詳細に扱われていた.また現行課程では,教科書により「生物基礎」と「生物」のどちらで「真核生物の誕生」を詳細に扱うかが異なっていることがわかった.現行課程の「生物」では3ドメイン説が詳しく扱われるようになったが,3ドメイン説と密接に関係するはずの「真核生物の誕生」とは別の章で取り扱われており,大部分の教科書で両者は完全に切り離されていた.これらのことから,次の学習指導要領の改訂では,3ドメイン説との関係も見直した上で,教科書記述を再検討することが望ましい.また「真核生物の誕生」に関する教材研究は国内外を通してもほとんど行われておらず,新たな視点での教材開発が期待される.