著者
李 震鎬 宮崎 紀郎 村越 愛策
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.9-16, 1994

視認性に及ぼす走行環境の影響を調べる目的で,現在使用されている道路案内標識をとりあげ,文字を中心にそれらをどのように認知しているのかを明らかにしたものである。内容は実験I.として視認性に及ぼす走行速度の影響を調べるために,走行速度を30,50,70km/hの3種類に設定し,同一地名に対する検索時間などで視認性を調べた。実験II.としては視認性に及ぼす情報量の影響を調べるために,九つの異なる情報を設定して視認性を調べた。その結果,I.走行速度は50km/h,30km/h,70km/hの順に視認性に対して優劣関係にあることが明かとなった。II.情報量から見た場合の視認性は,文字の複雑さの要因が大きくて,画数の少ない,簡単なものから読み始める傾向が顕著である。また,視認したという判断については,漢字のみの構成ならば画数にしたがっているが,カナや数字が入ってくると,それらが視認されてから他の文字をはっきり視認しなくても推測が働き,漢字単独の状態よりも早い段階でその情報を認知していることを確認した。
著者
加納 基喜 永井 俊介 加藤 未佳 関口 克明
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.114, 2005

現在、都市空間や建築空間には、記名・案内・誘導・説明・規制サインや商業目的の看板・広告塔・ポスター等、視覚表示が存在している。これらは大きく分類して文字情報と図形情報に分けることができる。商業建築企画設計資料集成には、正対視での視覚表示の大きさと可読距離の関係が示されており、文字と図形では、情報伝達距離に相違が見られ、双方の情報伝達特性が異なる可能性を示唆している。しかし、こうした既往研究の多くは、正対視に固定した評価のみを扱うに留まっており、実際に行動する際の状況判断が、正面のみならず様々な方向からの見えを伴うという事実を考慮していない。より現実的な知見を得るためには、人の移動に伴う視線角度の変化を踏まえた、見えの形の変形による情報伝達特性も考慮すべきである。そこで本研究では、人が移動をすることを前提に、視対象と観察者の位置関係つまり視線入射角を考慮した上で、文字情報と図形情報の伝達強度を比較する実験を行なった。これらから明らかとなった特性を利用して、道路案内標識等、人と正対方向に設置される視覚表示に対しては文字情報を、四方から観察することができる場所に公共サインを設置するなら、シルエット図を用いるなど、情報を使い分ける事も重要だと考える。
著者
相原 良孝 木村 一裕 溝端 光雄 高宮 進 前川 佳史 清水 浩志郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.18, pp.963-970, 2001

心身機能の低下した高齢ドライバーにとって, 道路案内標識は, 認知や判断の正確性, 迅速性を最も厳しく求められる標識である。本研究では, 高齢ドライバーの標識判断時間を評価するとともに, CG映像を用いて, これを推定する方法について検討することを目的としている。本研究では, 地名判断と方角判断という2種類の判断時間の計測を行った。地名判断とは, 標識上にある地名から進行方向を判断するものであるのに対し, 方角判断とは, 標識上にない目的地の方角を判断するものである。<BR>分析の結果, 以下の点が明らかになった。(1) CG映像を用いた実験により, 各種の判断時間の推定が可能であること。(2) 方角判断は地名判断に比べ, より多くの時間を要すること。ではまずはじめに実物の標識を用いて行われた既往研究との比較により, CGによる実験結果との対応関係を明らかにするとともに, CGの長所である複雑な交通場面における標識の判読性について考察し, 高齢ドライバーが複雑な判断を伴う状況において, 非高齢ドライバーよりも多くの時間を要することを明らかにした。
著者
香取 照臣 泉 隆 高橋 寛
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌. D, 産業応用部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. D, A publication of Industry Applications Society (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.116, no.1, pp.79-87, 1995-12-20
参考文献数
5
被引用文献数
2

The route guide sign system is one of the route induction system in the road traffic. However, there are cases that some addresses are unfit in the network, on regard to addresses among the route guide sign boards. Sometimes, this system is not kind for drivers. We study for the optimization of the above route guide sign system.<br>One of evaluation methods of route guide sign system is the method using drive simulator. An overall evaluation can be done by using the drive simulator, but each driver's subjectivity are included in the evaluation results.<br>In this paper, we propose the new method of objective evaluation using conditions of appropriate induction addresses for optimization route guide sign system. There are three conditions, induction considering each lines, induction considering direction at crossing point, and continuation of induction addresses on route guide sign board. And we suggest the method to improve these system using the result of its evaluation.<br>Finally, we show an example of above evaluation method and improvement to the route guide sign system at the Northwest CHIBA area.
著者
砂田 芳秀 大澤 裕 太田 成男
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.8-10, 2019 (Released:2020-09-20)

MELAS は繰り返す脳卒中様発作を特徴とするミトコンドリア病であり、tRNALeu(UUR)をコードするミトコンドリアDNA の3243A>G 変異に起因する。この変異によりtRNALeu(UUR)の1 番目のアンチコドンクレオチドのタウリン化学修飾が欠損し、コドン認識障害が惹起される。われわれは、タウリン高用量投与でMELAS モデル細胞のミトコンドリア機能障害が改善し、2 例のMELAS 患者で脳卒中様発作が9 年以上完全抑制されることを報告した。これを基に、タウリンによるMELAS 脳卒中様発作の再発抑制効果を検証するため多施設共同・オープン・第Ⅲ相医師主導治験を実施した。1 年間のタウリン投与により10 例中6 例で、脳卒中様発作再発が完全抑制され、100%レスポンダー率は60%であった。また80%の患者では脳卒中様発作の頻度が50%以下に減少した。末梢血白血球のミトコンドリアtRNALeu(UUR)タウリン修飾率は測定した9 例中5 例で有意に増加した。タウリン大量投与は、MELAS 患者のミトコンドリアtRNALeu(UUR)タウリン修飾欠損を修復し、脳卒中様発作再発を抑制する。
著者
原田 悦子 鈴木 航輔 須藤 智
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

視覚的探索は日常的にもしばしば発生する活動であるが,同一のダミー項目が複数ある中からターゲットを見出す実験室課題とは異なり,日常では,個々別々のダミー項目の中から一つのターゲットを探し出す課題である.そこで本研究では,「本棚から特定タイトルの本を選び出す」課題を作成し,その視覚探索過程において,経験的手がかり(ターゲット発生確率の偏り)もしくは意味的手がかり(カテゴリーによる位置情報の付加)を加えた場合の効果を,手がかりに合致する優先条件/合致しない非優先条件の比較から検討することを目的として,時間圧の付加ならびに加齢効果を分析した.その結果,若年成人では両手がかりとも通常条件,時間圧下条件のいずれでも有効な促進効果を示したが,高齢者の時間圧下では,意味的手がかりにおいて「非優先領域への探索」を抑制することが示された.問題解決場面における手がかり利用と目標維持の関係性について考察する.
著者
高 哲男
出版者
東京大学経済学部資料室
雑誌
東京大学経済学部資料室年報 (ISSN:21868972)
巻号頁・発行日
no.11, pp.12-16, 2021-03-31

特集 東京大学経済学図書館創設120年/アダム・スミス文庫寄贈100年記念オンライン講演会「知の継承バトン」
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.7, no.23, pp.68-71, 2008-11-04

気に入った手帳を何年も使い続ける人から理想の手帳を求めて毎年新しいものを試す人、あるいは、手帳を自作する人…。「理想の手帳会議」に集まったアソシエ読者8人は、いずれも手帳に一家言を持つ人ばかり。活発な意見交換が繰り広げられた。 西川ゆかりさんは、市販の手帳ではどうしても物足りないため、「エクセル」を使って自分専用のリフィルを作っている。
出版者
日経BP社 ; 2002-
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.74-79, 2014-04

「言語にはそれを使う人間のメンタリティーが如実に表れる。現地語を学べば、その国の人々を理解しやすい」と話すのは、『ミリオネーゼの仕事術[入門]』などの著書があり、事業開発コンサルタントとソプラノ歌手の二足のわらじを履く秋山ゆかりさんだ。 …
著者
野村 哲郎 外井 哲志 清田 勝
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.625, pp.125-133, 1999-07-20
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

本研究は, 道路網における案内標識の最適配置に関して, ネットワーク上における迷走の最小化をはかることを目的とし, その数理モデルの提案およびアルゴリズムの開発を行ったものである.<br>目的地の案内方法としては地名または路線番号方式および併用型とし, その設置箇所は交差点流入部に限定している. 運転者の迷走度の表現として到達迷走度を導入している. 最適化の考え方としては, すべてのODの到達迷走度の和を最小化する立場を提案している. 最適化の数理モデルでは, 運転者の迷走度に関する指標を目的関数とし, 標識設置リンク数および案内1方向あたりの表示数を制約条件として, 解法には動的計画法を適用し, 計算例により地名, 路線および併用型案内の性質を示している.