著者
松田 昇一 棚原 靖 田中 学
出版者
一般社団法人 溶接学会
雑誌
溶接学会全国大会講演概要
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.8-9, 2021

ガスメタルアーク(GMA)溶接は,一般に溶着速度が速く,溶込みが深い高能率な溶接法である.しかしながら電極が溶融することから,熱源が時間的・空間的に変動し,アークが不安定になる.そのためスパッタが発生しやすくなり,溶接欠陥が生じやすい.本研究の目的は,交流磁場を用いた新しい高品質・高効率なGMA溶接法の開発である.本報では交流磁場がアークおよびビード形状に与える影響を報告する.
著者
洗 幸夫
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.99-106, 2004-12-15
参考文献数
13
被引用文献数
1

超音波防鼠器の効力を確認するため,クマネズミとドブネズミを用いて室内試験を行った.慣らし飼育に比べ,20kHz±3kHz自動可変プラス衝撃波の超音波防鼠器を作動させた初日,ネズミの行動が活発となり,給餌ボックスへの進入回数は大幅に増加し,防鼠器のある給餌ボックスでの摂食量および排泄した糞量が減ったが,3~4日後その行動と摂食状況が慣らし飼育期間とほぼ同様な状態に戻った.また,2つがいのクマネズミは超音波防鼠器で30日続けて処理を受けたが,異常な行動が見られず,体重が増え,1匹の雌が妊娠した.その結果から,超音波防鼠器はクマネズミとドブネズミに一定の影響を与えることが認められたが,一過性のもので,持続期間が短いことが判明した.
著者
藤岡 悠一郎 高倉 浩樹 後藤 正憲 中田 篤 ボヤコワ サルダナ イグナチェワ ヴァンダ グリゴレフ ステパン
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2017年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100094, 2017 (Released:2017-05-03)

1.はじめに 気候変動や地球温暖化の影響により、シベリアなどの高緯度地方では永久凍土の融解が急速に進行している。そのプロセスやメカニズムは、地域ごとに固有の自然環境や社会環境要因によって異なり、各地域における現状や環境変化のメカニズムを把握する必要性が指摘されている。また、そのような環境変化に適応した生業・生活様式を検討し、社会的なレジリエンスを高めていくために、地域住民や行政関係者、研究者などの多様なステークホルダーが現状や地域の課題を認識する必要がある。本研究チームでは、現地調査によって気候変動の影響を明らかにすることと、その過程によって明らかになった諸科学知見を、教育教材の作成を通じて地域住民に還元することを目的として共同研究を進めている。そして、2016年から自然系科学者と人文系科学者との共同調査を東シベリア・チュラプチャ地域において開始した。本発表では、現地の住民が地域で生じている環境変化をどのように認識しているのかという点に焦点を絞り、結果を報告する。 2.方法 2016年9月にロシア連邦サハ共和国チュラプチャ郡チュラプチャ村(郡中心地)において現地調査を実施した。衛星画像を基に現地踏査を実施し、永久凍土融解の実態を把握した。また、チュラプチャに暮らす住民5名を対象にトピック別のグループ・インタビューを実施し、彼らの認識について把握した。さらに、チュラプチャ村近郊のカヤクスィト村において、現地観察および住民に対する聞き取り調査を実施した。 3.結果と考察 1)チュラプチャ村と周辺地域では、永久凍土が融解することによって形成されるサーモカルストが顕著に発達していた。現地踏査の結果、耕作放棄地において融解の進行が顕著であった。また、耕作放棄地に住宅が建築された場所では、住居近くにサーモカルストが形成され、盛り土などの対応を迫られていた。 2)住民は永久凍土の融解がこの地域で広域的に進行していること、特に耕作放棄地で融解が深刻であり、タイガのなかでも部分的に認められること、融解が2000年頃から急速になったことなどを認識していた。本地域における環境変化の問題としては、永久凍土の融解に伴う住宅地の盛り土の必要性や農業・牧畜に対する問題が語られたが、同時に、降水量の減少による干ばつの発生や雪解け時期の早まりなどの問題も重要視されていた。 3)融解の速度が場所によって異なる点について、住民はそのメカニズムを認識していた。例えば、耕作地では、畑を耕起することで土壌表層に空気が入り、断熱材代わりとなって熱が永久凍土に伝わりにくく、耕作放棄地では土壌が圧縮されることで熱が地中まで伝わり、サーモカルストが発達することなどが指摘され、ソ連崩壊やソフホーズの解体が遠因であるとの認識が示された。今後、自然系の研究成果との関係などを考察し、教材としてどのような知見を共有していくのか、検討していく予定である。 付記 本研究は、北極域研究推進プロジェクト(ArCS)東北大学グループ「環境変化の諸科学知見を地域住民に還元する教育教材制作の取組」(代表 高倉浩樹)の一環として行なわれている。
著者
坂倉 園江 柴村 恵子 小沢 としみ 新 恵美子
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.93-106, 1976-06-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

19才の日本人成人女性216名についてシルエッターによる写真を用いて体幹部における側面形態を整理分類した. 後面は肩甲骨後突点, 前面は乳頭点を基点とする垂直線からの頸部, 胴部, 腰部 (6項目) の出入りの寸法を読み取り, 資料とした. 6項目 (側面形態), 4項目 (上・下半身別), 3項目 (後・前面別) の組み合わせを行い整理分類すると3, 4項目の組み合わせでは一応の成果を得る事が出来たが, 6項目ともなると出現の最も高い組み合わせでも10.1%と低く体形の複雑さを示した. 胸部に対する腰部の変化については同一厚径25.5%, 腰部が薄いもの3.2%, 腰部が厚いもの71.3%であり, 姿勢については直立姿勢19.4%, 殿部後方突出44.4%, 腹部前方突出36.2%であった. これらの組み合わせは服種によっては体形別作図法の資料として. かなり活用でき得ると考える.
著者
花岡 愛子 松尾 七重
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 45 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.383-384, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
2

本研究の目的は、就学前幼児向けの図形教育プログラムの効果を明らかにすることである。そのために、 先行研究や各種テストを参考に、幼児のもつ資質、能力に鑑みた幼小接続の観点から、未就学児向けに図形能力 を測る図形認識力テストを作成し、その結果を改善するための、幼児の持つ資質・能力に適合した図形教育プロ グラムを開発した。5 歳、6 歳の 13 名の園児に対し、約 2 ヶ月間定期的に株式会社プレイシップが開発したさん かく積み木(HEMPS)を活用した図形教育プログラムを実施し、その事前、事後で図形認識力テストを通して、 園児の認識の変容を分析した。その結果、特に図形構成力の改善が見られた。
著者
Taiju Kitayama Yukihisa Kiyosue Jumpei Kozono Takeaki Hanyuda Masahiro Suzuki
出版者
National Museum of Nature and Sciece (National Science Museum, Tokyo)
雑誌
国立科学博物館研究報告B類(植物学) (ISSN:18819060)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.175-182, 2021-11-22 (Released:2021-12-07)
参考文献数
29

Freshwater red algal specimens that were collected from the streams or watercourses in Komagane City, Nagano Prefecture and Daisen Town, Tottori Prefecture, Japan were identified as Sheathia abscondita Stancheva, Sheath & M.L.Vis (Batrachospermaceae, Batrachospermales) using rbcL DNA analyses. This is the first record of the species from Japan. This species was segregated from the homocorticate species of Sheathia, S. arcuata (Kylin) Salomaki & M.L.Vis in 2020, mainly via DNA sequences based on materials from California, Washington and Hawaii, and therefore, S. abscondita didn’t have enough information on its distribution outside of U.S.A. The finding of this species from the two localities suggests that S. abscondita is hidden under “S. arcuata” reported from Japan so far, because this name tends to be used for most brown batrachospermacean algae based on limited morphological observations.
著者
新本 万里子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.025-045, 2018 (Released:2019-02-24)
参考文献数
25

本稿は、モノの受容を要因とするケガレ観の変容を、女性の月経経験に対する意識とその世代間の違いに着目して明らかにすることを目的とする。パプアニューギニア、アベラム社会における月経処置の道具の変遷にしたがって、月経期間の女性たちがどのような身体感覚を経験し、月経期間をどのように過ごしているのかについて民族誌的な資料を提示する。その上で、月経を処置する道具を身体と外部の社会的環境を媒介するものとみなし、そこにどのような意識が生じるのかを考察する。これまで、パプアニューギニアにおいて象徴的に解釈されてきた月経のケガレ観を、女性たちの月経経験とケガレに対する意識との関連という日常生活のレベルから捉え直す。 本稿では、月経処置の道具の変遷にしたがい、女性たちを四世代に分類した。第一世代は、月経小屋とその背後の森、谷部の泉という場で月経期間を過ごした世代である。第二世代の女性たちは、布に座るという月経処置を経験した。この世代は、月経小屋が土間式から高床式に変化し、さらには月経小屋が作られなくなるという変化も経験している。第三世代は、下着に布を挟むという月経処置をした女性たちである。第四世代は、ナプキンを使用した女性たちである。各世代の女性たちの月経経験とケガレに対する意識との関係の分析を行い、第一世代の女性たちは、男性の生産の場から排除される自分の身体にマイナスの価値づけだけをしていたのではなく、むしろ男性の生産の場に入らないことによって、男性の生産に協力するという意識をもっていたことを明らかにする。第二世代、第三世代を経て、第四世代の女性たちは、月経のケガレに対する意識を維持しながらも、月経期間の禁忌をやり過ごすことができるようになったことを論じる。
著者
大江 健人 瀧口 述弘 徳田 光紀 庄本 康治
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.929-933, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
29

〔目的〕脊椎圧迫骨折後疼痛患者1名への経皮的電気刺激(transcutaneous electrical nerve stimulation:TENS)が与える影響の検討.[対象と方法]80代女性,診断名は第2腰椎圧迫骨折であった.プラセボTENSをA期,通常のTENSをB期として1日ずつを交互に,計4日間実施した.TENS実施前後に安静時痛をVisual Analog Scale(VAS)で測定し,Timed up and Go test(TUG)とTUG後疼痛をVASで測定した.〔結果〕A期に比べB期では安静時痛VAS,TUG後疼痛VAS,TUGで大きな改善を示した.〔結語〕脊椎圧迫骨折後の症例においてTENSは疼痛と運動パフォーマンスの即時的改善に効果的な可能性が示唆された.
著者
山田寂雀著
出版者
愛知県郷土資料刊行会
巻号頁・発行日
1982
著者
平賀 幸弘 黄 淳一 霜村 真一
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.10, pp.1114-1119, 2013-10-20 (Released:2013-11-26)
参考文献数
12

血管免疫芽球性T細胞リンパ腫 (angioimmunoblastic T-cell lymphoma: AITL) の1症例を経験した. 患者は33歳女性で, 前頸部に単発の腫瘤を認め, 手術にて摘出された. 病期診断はStage IAで, CHOP3コースと頸部へのX線照射40Gyが施行され, 経過観察中であるが再発を認めない. AITLは, 非ホジキンリンパ腫の1.2~2.5%にみられるまれな疾患で, 耳鼻咽喉科領域での報告は認めない. 全身リンパ節腫脹, 肝脾腫, 皮疹, 貧血, 高ガンマグロブリン血症などを症状とする. 治療は多剤併用の化学療法が一般的であるが, 5年生存率20~50%と高悪性に分類されている.