著者
岩崎 敏之 稲山 正弘 小野 泰 中里 想
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p>建築構造デザインの捉え方を示す図として、荷重と力学の関係性を「体」、材料&#8722;構法の関係性を「相」、建築そのものを「用」とし、それら3つのレベルの関係性を表した体・相・用&#8722;建築構造デザインモデルを提示している。筆者らは20年間に渡って実施された木造耐力壁ジャパンカップというイベントの運営に関わってきた。本稿では、このイベントが体・相・用&#8722;建築構造デザインモデルに示される構造の工学的原理を学ぶ機会を提供できていたことについて参加者へのアンケート調査の結果などを元に考察して示す。</p>
著者
鈴木 伸明
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.273-280, 2018 (Released:2018-06-15)
参考文献数
21
被引用文献数
4 1

要約:von Willebrand Factor (VWF)インヒビターによるAcquired von Willebrand Syndrome(AvWS)は1968 年にSLE に合併した患者が初めて報告された.その後,ちょうど50年が経過するが,基礎疾患が非常に幅広く存在する一方で,臨床的にVWF インヒビターの存在が疑われるものの,リストセチンコファクター活性(RCo)ベースのベセスダ法やELISA などの手法でインヒビターが検出されない症例が多く存在し,診断基準も十分に整備されておらず,病態理解も十分に進んでいない.そのため,診断においては鼻出血や紫斑などの後天的な出血症状を呈する症例に対して,VWF 関連検査を行いながら,基礎疾患や家族歴を考慮し,総合的に臨床診断されているというのが実情である.治療法に関しては必ずしも基礎疾患の治療が,AvWS の改善につながるとは限らず,軽症例に対してはトラネキサム酸(トランサミン®)を使用しつつ,一定以上の出血イベントにはVWF 含有血液凝固第VIII 因子製剤(コンファクト®)やデスモプレシン酢酸塩水和物(デスモプレシン注®)を短縮した半減期に注意しながら使用する必要があり,デリケートかつ継続的な止血管理が必要となる.
著者
板倉 征男 長嶋 登志夫 辻井 重男
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.2394-2404, 2002-08-15

個人識別IDのために用いるDNA情報としては,全塩基配列のなかでSTR(Short Tandem Repeat)と呼ばれる数塩基の繰返し回数の個人差を用いることが考えられる.筆者らはSTR座位(ローカスという)を複数箇所指定しそこで得られる繰返し回数情報を一定の順序で並べて個人識別子(以下DNA個人IDと呼ぶ)を生成することを提案し,実用化のための数々の基本的考察を行った.本論文ではこのDNA個人IDの原理を用いたバイオメトリックス本人認証およびバイオメトリックス署名について実用的システムを提案する.また,提案の方式を検証するために実証実験を行った.すなわち,500人以上の提供者の協力を得て実際の人体のDNAを採取し,本方式によりバイオメトリックス本人認証が可能であることを検証した.実用化のために,リアルタイムによるDNA分析装置の開発が条件となるが,本装置の実現までの間は2枚のICカードを用いて認証を行う方式を考案した.
著者
山澤 成康
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 = JOURNAL OF ATOMI UNIVERSITY FACULTY OF MANAGEMENT (ISSN:13481118)
巻号頁・発行日
no.31, pp.1-18, 2021-02

本研究は、政府の景気局面判断がどのようなメカニズムでなされているのかを機械学習の手法を使って実証的に検討したものだ。被説明変数を、政府の景気基準日付に基づく景気局面(拡大期=0、後退期=1)、説明変数を景気動向指数(先行、一致、遅行)のすべての構成指標27系列(前期差)とした。サンプルを教師データと評価データの2つに分けて予測精度を調べるホールドアウトテストでは、手法の違いによりばらつきはあるが、おおむね良好な結果となった。次に外挿テストを行った。2012年3月の景気の「山」までを教師データとしてそこから先を予測するケースと2012年11月の景気の「谷」までを教師データとしてそこから先を予測するケースの 2種類を行い、局面判断ができるかを検討した。決定木を使うと概ね的中することがわかった。次に決定木を使って、景気局面判断に各指標がどのように使われているかについて調べた。2014年以前の景気局面判断は簡明で、DIとその差分の2つでほぼ判断ができていた。しかし、2014年の消費税率引き上げ以降は、局面判断の基準が変わっていることがわかった。2018年以降、公式の局面判断では景気後退のサインが出ていないが、従来の手法では景気後退のサインが頻繁に出ていることが確認できた。最後に、決定木の予測をランダムフォレスト、勾配ブースティングなどアンサンブル予測も行って、予測が改善するかどうかを検証した。結果は決定木を使った場合と同様だった。
著者
前田 三男
出版者
The Laser Society of Japan
雑誌
レーザー研究 (ISSN:03870200)
巻号頁・発行日
vol.25, no.11, pp.802-810, 1997-11-15 (Released:2010-02-26)
参考文献数
10
著者
椿 真史
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.28-55, 2021-03-05 (Released:2021-04-05)
参考文献数
30

本稿では,マテリアルズ・インフォマティクスにおけるデータ駆動型機械学習の研究動向について解説する.特に,分子や結晶における物性と機能の問題,量子化学計算による物性データベース,分子や結晶の記述子,そして深層学習アプローチによる物性予測などについて解説する.そして筆者自身の研究も紹介しながら,今後より重要となる機能予測のため,物理化学と融合した転移学習について展望を述べたい.
著者
ドルジプレフ オトゴン
出版者
奈良大学大学院
雑誌
奈良大学大学院研究年報 = Annual reports of the Graduate School of Nara University (ISSN:13420453)
巻号頁・発行日
no.20, pp.47-71, 2015

"本稿は、筆者の母国であるモンゴルにおける出土金属製遺物の科学的保存処理方法、保存研究の基礎となることを目指し、モンゴル出土の金属製遺物を対象とした保存処理方法の研究である。 出土遺物に対して、適切な保存処理を決めるために当遺物が埋蔵されていた土壌性質などの環境情報が重要である。その為、モンゴルの自然、気候や地理などの概要、さらに本研究対象遺物の出土した遺跡周辺の気候、土壌性質について検討した。 日本の金属製遺物の保存に用いられている保存方法にしたがってモンゴル出土遺物の保存処理研究を行った。研究結果、今回の脱塩処理に利用した水酸化リチウム水溶液はモンゴル出土の遺物にとって副作用がないことがわかった。そして、腐食の原因となる塩酸化イオン濃度が日本の例と比べて低かったことなどから、モンゴル草原地帯は乾燥気候でもあり、土壌性質も塩分濃度が低いため埋蔵文化財にとって比較的良い条件であると考える。"
著者
畔柳 剛 甲山 治 佐山 敬洋 馬籠 純 松尾 奈緒子 芳村 圭
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.149, 2006

広範かつ複雑に絡み合う現実社会の問題を解決するには,分野を越えた知識・経験が必要であるが,専門化された研究体制の中でそれを得るのは難しい.そこで本グループは異分野交流の場を提供し,枠にとらわれない問題解決へのアプローチができる資質を得ること,社会への還元をより意識した研究活動に取り組む姿勢を共有すること等を目指して2003年に結成された(通称カンピオーネ).時間的・社会的制約が少ない若手の特権を生かし,失敗を恐れない実験的な活動を積極的に行うことで,現実社会にとって本当に必要とされている新たな学問分野の開拓を試みる.本稿では2005年度に行った活動概要を報告する.
著者
品川 俊一郎
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.361-367, 2016

<p>&ensp;&ensp;前頭側頭型認知症 (Frontotemporal dementia: FTD) は遺伝学的, 病理学的, そして臨床症候群としても不均一な疾患群であり, 関連遺伝子としてはMAPT, GRN, C9orf72 などが知られており, 組織病理学的にはピック球のような tau をもつもの, TDP-43 をもつもの, FUS をもつものなどに大別される。この生物学的不均一性によりアルツハイマー病における A β蛋白のような疾患特異的なバイオマーカーの開発が困難となっている。画像診断においては前頭葉の大脳皮質の損傷は均一ではなく, 臨床場面で画像のみにおいて診断を行うことは困難である。認知機能検査における遂行機能障害も疾患特異的なものは少なく, 行動徴候の把握が認知機能検査よりも鋭敏とされている。行動型 FTD では診断基準に挙げられるような脱抑制, 自発性低下, 共感性の欠如, 常同行動, 食行動変化といった行動症候が出現するが, FTD は精神疾患や他の認知症などへの過剰診断と過小診断どちらも多いため,注意が必要である。</p>