著者
関口 正之
雑誌
美術研究 = The bijutsu kenkiu : the journal of art studies
巻号頁・発行日
no.321, pp.15-24, 1982-09-30

Part I and Part II of this paper appear in Nos. 317 and 319 of the Bijutsu Kenkyu. In the present part the subjects of Scrolls 6, 7 and 8 are described. Scroll 6 is the scene of Suppression of Demons. At the center of the picture is the troop of the Demon King attacking Śākyamuni. The heads of the arrows shot toward Śākyamuni are trasformed into lotus flowers. The three daughters of the Demon King are depicted at the lower left of the picture ; the daughters transformed into old women by Śākyamuni are at the middle of the bottom; and Pṛthivi who has appeared to prove the righteousness of Śākyamuni is at the lower right. The depiction of Pșthivī whose upper half of the body is emerging from the earth like this is rare. Furthermore, the figure of Śākyamuni meditating for seven days after the demon-suppression is added at the right hand side of the picture in a small size. Scroll 7 is the scene of King Bimbisāra's Conversion to Śākyamuni's Teaching after hearing his sermon. In the upper part of the picture is depicted the audience in front of Śākyamuni, including the king and his ministers, and elephant carriages and attendants waiting the return of the king are in the lower half. Behind Śākyamuni is Gṛdhrakūta Mountain with its eagle-headed peak, suggesting that Śākyamuni is preaching. Also, the wheels of law painted between Śākyamuni and the kings symbolize his preaching. Scroll 8 is a visualization of three stories concerning the Nirvāṇa. The entire left half of the picture plane is devoted to a minute depiction of the Nirvāṇa scene which embodies details like Mahāmāyā with her attendants and the old women near Sākyamuni's feet. The lower right of the picture plane is the cremation of Śākyamuni. Here, as MahāKāśyapa, who could not come to see Śākyamuni upon his deathbed, worships the coffin placed on firewood, feet of Śākyamuni appear from the coffin. The upper right is the scene of distribution of Śākyamuni's relics in which a brāhmaṇa Droṇa divides the relics.
著者
榎本 知郎
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.25, pp.49, 2009

霊長類の卵管は腹腔から子宮へ続く管系だが,機能も構成も異なる峡部と膨大部の二部分に分かれている。その構造の進化的意義について考察した。ヒトの性行動の研究から,1.女性は,排卵前の妊娠確率の高い数日間に夫とセックスしたあとで愛人ともセックスする傾向がある,2.愛人とのセックスの時オーガズムを経験する傾向がある,3.女性は,オーガズムの反応で夫の精子を子宮から掻き出し,愛人の精子を吸いこむ,4.女性は,一日のうち夫と離れている時間が長ければ長いほど浮気をする頻度が高くなる,5.夫は,一日のうち妻と離れている時間が長ければ長いほど,セックスした時多数の精子を射精する,と主張される。つまり,精子競争が認められるということである。また,受精のしくみは,1.吸引された精子は子宮の粘液の海を泳いで子宮の左右にある卵管峡部に到達する,2.卵管峡部の上皮細胞は精子をつなぎ止め,栄養を与えて生かし,授精能を与え,夫と愛人の精子がここで待機し,排卵すると精子はいっせいに放たれる,3.精子たちは広大な表面積をもつ卵管膨大部の粘膜を泳いでたったひとつしかない卵子を探し求める,4.卵子は透明帯と放線冠によってバリアーを構築しており,これを突破して授精するには多くの精子の共同作業が必要となる。これらのことから,以下のふたつの仮説が考えられよう。仮説1=ヒトの卵管膨大部と放線冠は,元気の良い精子を多数送り込めるオスを選ぶべく進化した。仮説2=ヒトの卵管峡部は精子競争をすすめるよう進化した。
著者
三木 貴弘 藤田 直輝 竹林 庸雄
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.116-124, 2019 (Released:2019-04-20)
参考文献数
29

【目的】近年,症状ごとに患者を分類し,対応する特異的介入を行う方法が提言されており,頸部痛において,Treatment Based Classification(以下,TBC)と呼ばれる分類法が提唱されている。今回,頸部痛に対しTBC を基に臨床推理を行い,生物心理社会的モデルに基づいた介入を行ったので報告する。【症例と経過】安静時・夜間の頸部痛が主訴であり,些細なことでも頸部痛が増強するのではないかと不安になることが多い70 歳代男性であった。患者情報および客観的評価よりExercise and conditioning に分類し,「患者教育」「頸部筋および肩甲骨周囲筋の筋持久力および協調性改善」「有酸素運動」を中心とした介入を約5 週間行った。【結果】愁訴は軽減し,さらに痛みに対して前向きに捉える発言が多くなった。【結語】頸部痛をTBC を基に分類し,多面的な介入を行うことで効果を上げることが可能であった。
著者
武田 直人 久保 雅昭 渡辺 裕之
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.C4P1124-C4P1124, 2010

【はじめに】<BR> 平成21年8月24日~26日の3日間にわたり、三県省道スポーツ交流事業(以下、三県省道)によるサッカー交流試合が開催された。平成16年度から実施しているこの事業は、3地域の青少年に国際交流の機会を提供し、相互理解を深めるとともに、国際性豊かな青少年の人材育成を図ることを目的に実施している。我々は大会前の練習試合と合わせた全4試合のメディカルサポート(以下、サポート)を行った。今回、三県省道での活動内容とサポート結果を検討したので報告する。<BR><BR>【方法】<BR> 本サポート前に参加した理学療法士は2名であり、ともに同年8月に開催された第40回関東中学校サッカー大会のサポートに参加していた。その経験をもとに再学習を行い、事前準備を行った。大会期間中は理学療法士2名で、全日程で会場に1名のスタッフを配置した。今回のサポートではチームから要請があった場合に対応することを原則として、スタッフはベンチにて待機し、試合前のテーピング、水分補給のインフォメーション、試合中の救護活動(応急処置、救命処置など)、アフターケアを中心に活動を行った。<BR><BR>【対象】<BR> 神奈川県内において17齢以下で選抜された男性選手17名を対象とし、サポート前に本研究の目的、個人情報の使用方法を口頭にて説明し、同意を得た。<BR><BR>【結果】<BR> 大会期間中の全対応件数は25件であり、各内訳は以下のとおりである。対応時期は、試合前12件、試合中9件、試合後4件であった。試合中に熱中症が2件発生し、障害部位は、足関節7件、下腿部5件、大腿部2件、殿部3件、腰部3件、肘関節1件、手関節1件であった。障害部位の比率としては、足関節約29.2%、下腿部約20.8%、大腿部約8.3%、殿部約12.5%、腰部約12.5%、肘関節約4.2%、手関節約4.2%であった。また、熱中症は全体の約8.3%であった。対応内容は、テーピング7件、アイシング12件、ストレッチ5件、筋力増強訓練1件、止血処置1件、飲水指導1件、問診1件であった。<BR><BR>【考察】<BR> 障害部位の比率としては足関節・下腿部が多く、また大腿部・臀部を含めると約70%の障害が下肢に発生している結果となり、サッカーの競技特性を示す結果となった。対応としてはアイシングとテーピングが大部分を占めたため、RICE処置やテーピングの技術向上が重要であると思われた。また、各所属高校が選手権大会前の合宿や強化トレーニングを開始した時期と今回の三県省道の日程が重なっていたため、選手個人の疲労も蓄積していたと思われる。そのことからも、試合前の水分補給のインフォメーションやアフターケアとして適切なアイシングやストレッチ指導の重要性が連日の試合でのパフォーマンス低下の予防となり、障害予防にもつながるのではないかと考えられた。また、気温が30°C近くであったことなどから大会側へ飲水タイムを設けるよう働きかけたり、障害予防の観点から水分補給の方法の資料を配布したりするなど、対応内容の工夫が必要であると考えられた。
著者
高野成彦著
出版者
青磁書房
巻号頁・発行日
2001
著者
水野 正明
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 (ISSN:03869067)
巻号頁・発行日
vol.87, no.3, pp.289-319, 2005-12

The Wudaishiguo 五代十国 period was characterized by political chaos with warlords running rampant and China divided into small kingdoms. Nevertheless, the country developed normally both economically and socially, as the Tang 唐 Dynasty's haute culture spread far and wide.The custom of tea drinking had already begun taking root among the common people, even extending to foreign peoples during the latter half of the Tang period. Thus, a huge tea market appeared in northern China, while in the south, wherever the war damage done to the Shiguo 十国, located to the south of the Qinling (秦嶺) and the Huaihe (淮河), was not so serious, the tea industry prospered remarkably with the help of government policy promoting the production of indigenous blends, and the tea culture became increasingly refined.With respect to the Wudaishiguo period, however, few complete source materials remain, forcing the author to use such ancient accounts as Mao Wenxi's 毛文錫 Chapu 『茶譜』, some parts of which have been scattered and lost, and "Mingchuanmen" (茗[くさかんむりに舛]門) in Tao Gu's 陶穀 Qingyi lu 『清異録』, in addition to as many fragmentary materials as possible, including the Zizhi Tongjian 『資治通鑑』 and Shiguo Chunqiu 『十国春秋』.Despite the lack of complete sources on tea during the period in question, it can be said on the basis of the available materials that the tea industry was expanding in Wang' 王 QianShu 前蜀, Ma' 馬 Chu 楚, Li' 李 NanTang 南唐, Qian' 銭 Wuyue 呉越 and Wang' 王 Min 閩 under government protection and promotion, thus forming the foundation upon which tea would become one of China's key industries. It was a time during which the sale of tea goods spread as far as Qidan 契丹, Dangxiang 党項 and Zhongyuan 中原 in northern China through the vigorous activities of tea dealers, who during the later Northern Song period would further extend merchandise distribution and the custom of tea drinking to foreign peoples, thus implementing government supplies to troops stationed on the northern frontiers via the tea-horse trade (茶馬貿易).
著者
藤井 鈴子 中友 千芳子 大藤 祥子 宮崎 愛 下司 洋子 興梠 直美 石橋 純子 秋山 仁美 辻 愛実
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.222, 2014

今年のファッションショーは、重度の障害があっても本人にとって機能的かつ好みのファッションを通し、「夢かなえる装い」を大きなテーマにしています。今年のファッションショーを担当させていただくことになった南京都病院の重症心身障害児者病棟では、日々の活動や行事を通してより豊かな生活を送って頂きたいという想いを大切にしています。その中でも毎月のお誕生会や季節行事の際には、職員が作った色とりどりの衣装を楽しんでもらっています。身にまとうことで「衣装」を介しておのずと会話が広がり、その場は楽しい雰囲気と笑顔に包まれるのです。装い一つで、利用者の皆さん、保護者、職員の気持ちに一体感が生まれ、「衣装」が楽しいひと時を過ごすための重要な役割を果たしています。今回のモデルは、夢多き女性3名です。一人目の女性は、おしゃれに興味がありファッション雑誌を見るのが大好き、夢はモデルさん。当日はモデルになった気分を思いっきり感じたいと思っておられます。二人目の女性は音楽大好きな女性、どんな曲でもピアノを奏でることができます。夢は大好きなピアノやオルガンを発表会で演奏することです。発表会用の衣装を着てリサイタルショーをします。みんなで一緒に歌いましょう。3人目の女性は理想のボーイフレンドと一緒にデートをするのが夢… 素敵な洋服でお出かけします。大好きな人が振り向いてくれますように、とそれぞれ夢かなえる装いをテーマにしています。ファッションショーの最後には南京都病院の利用者の皆さんがおしゃれを楽しまれているスライドを紹介いたします。テーマは「花火大会」。花火のようにきれいに輝く笑顔をお届けします。日本の古都、京都らしさを感じていただき、幸せな気持ちになっていただけたら幸いです。このように身にまとうことを大切にしている南京都病院ならではの行事の様子と衣装をブースにて展示しております。行事に参加されている重症児病棟の利用者の皆さんの輝く笑顔と共にご覧いただければ嬉しく思います。これからもファッションを通して笑顔の輪が広がりますように……。
著者
瀧川 寛子 田内 健二
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.595-606, 2020 (Released:2020-10-13)
参考文献数
25
被引用文献数
1

The purpose of this study was to investigate whether gender differences in motion factors affect throwing record in the javelin throw. Data on javelin throwing motion were collected from 91 male and 81 female right-handed javelin throwers covering a wide range of levels during several competitions (including the gold medalist at the 2007 IAAF World Championships in Osaka). The throwers and javelin movements were recorded with 2 cameras at 60 fps, and three-dimensional coordinates were calculated using Direct Linear Transformation (DLT). The throwing motion timing points examined were the final right foot contact (R-on), the left foot contact (L-on), and the release of the javelin (REL). Moreover, the period between R-on and L-on was considered the preparatory phase, and that between L-on and REL the throwing phase. The main results were as follows: (1) Females showed a slower center of gravity velocity than males at all time points. (2) At L-on, females showed greater left rotation of the shoulder and hip angle (in the trunk open state). (3) The shoulder rotation angle of females at L-on showed a significant positive correlation with the throwing record. These results suggest that the characteristics of throwing motion in females differ from those of males. The torso of female javelin throwers showed greater left rotation than that of males in the preparatory phase, suggesting that there are gender differences of motion factors in the javelin throw. These may be attributable to gender differences in physique, muscle strength, and joint laxity.
著者
西川 純平 森田 純哉
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 先進的学習科学と工学研究会 93回 (2021/11) (ISSN:13494104)
巻号頁・発行日
pp.38-43, 2021-11-15 (Released:2021-11-15)

言語発達の過程で個々の子どもが抱える困難は多様である.とくに音声の認識を支える音韻意識という能力が未熟なとき様々な発話の誤りが表れる.個別の誤りへの対応では,それぞれのメカニズムの理解に基づく支援が重要である.このために,子ども個人の音韻意識に対応づけた認知モデルを利用する音韻意識形成支援システムの構築を目指す.とくに本研究では,子どもがもつ音韻意識の状態を推定する方法を検討する.
著者
有本 章
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.107-125, 1992-08-07 (Released:2011-03-18)
参考文献数
129
被引用文献数
2 1
著者
北浦 健生 太田 和宏 吉田 誠 曽我 綾香 野路 稔 伊藤 智司 岡田 英孝 北 宜裕
出版者
神奈川県農業技術センター
巻号頁・発行日
no.160, pp.1-6, 2016 (Released:2016-09-14)

青首総太り品種が主流となっている現在のダイコン生産・流通体系において,特色あるダイコン新品種の開発を目的に、白首総太りダイコンの一代雑種品種を,神奈川県農業技術センター,民間育種家及び横浜植木株式会社の3者で育成した。花粉親系統については当所と県内育種家が育成を担当し,2003年から‘大蔵’及び‘晩野路’を交配母本に用い,集団選抜法により根形が円筒形の系統を育成した。2009年の集団選抜第6世代以降,形質の分離幅が縮小したため,横浜植木(株)保有の雄性不稔系統を種子親としたF1交雑検定を並行して実施した。計25の交雑系統から有望な系統‘UON’を選抜し,特性検定及び現地適応性試験を実施した。その結果,‘UON’は根部が首部を含め全体が白色で円筒形,甘味が強く,‘耐病総太り’と同等の食味評価を確認したことから,‘湘白’と命名し,2013年3月5日に品種登録出願し,2015年6月19日に品種登録を受けた(農林水産省登録番号第24375号)。
著者
西村 明人
出版者
関西大学独逸文学会
雑誌
独逸文学 (ISSN:0286682X)
巻号頁・発行日
no.39, pp.p21-23, 1995

藤井啓行教授追悼記念号
著者
古元 順子
出版者
Okayama Medical Association
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5-6, pp.773-794, 1965-06-30 (Released:2009-03-30)
参考文献数
54

16才女子高校生にみられた約2ヵ月間にわたる全生活史健忘例の発端および経過として,1. 長期間に準備された不安・葛藤状態があり2. 健忘発端の一日前に偶発的な一酸化炭素中毒に罹患し3. ついで驚愕体験にひき続く意識障碍より覚醒した時に全生活史健忘が始まり,4. 自発性催眠様状態で過去の生活を継時的に追体験し遂に一酸化炭素に罹る直前の状態で覚醒し健忘の回復をみたが,5. 健忘回復後もなお情緒の動揺に関連し,癲癇自動症を疑わせる発作および頭痛が頻発し,これらは精神療法により情緒の安定が得られるまで持続した.検査所見としては1. 一酸化炭素中毒以前より存在したと思われる脳室拡大,頭蓋骨指圧痕,髄液圧亢進が認められ,2. 発端となつた意識障碍とも或程度の関係が推定され,その後の自動症と発作の相関は確実と思われる脳波異常として,後頭側頭部優位の同期性,間歇性のirregular slow wave burstおよび散発性のsharp waveないしはspiky waveが全径過を通じ安静時記録で認められたが睡眠誘発で賦活されず,情緒動揺の著明な時期に一致して上記所見が増強し,とくに右側々頭部で6 c/s positive spikeが繰り返し出現するのが確められ,3. ロールシャッハテストでも不安・神経症徴候および重篤な現実との接触喪失徴候とならんで,癲癇徴候がことに健忘回復後に増強するのが認められた.以上の経過,所見により,本例において健忘の発端となつた意識障碍に対する一酸化炭素および癲癇(とくに情動により誘発される癲癇)の関与如何につき,文献的に比較検討,綜合的に考察し,一酸化炭素の関与は完全には否定し難いが比較的に少く,ごく軽度の意識水準低下として発生準備状態の一要素を形成はていたと推定されるにとどまり,一方癲癇の関与は,発端の意識障宮が情動により誘発された癲癇それ自身であつたか,原始反応としての意識障害を惹起する準備状態の器質的主要因であつたかは別として,相当大きな比重をもつものと推定されることを述べ,併せて全生活史健忘というヒステリー反応が器質的意識障害の機構を利用しても起り得ることを推論した.
著者
藤井 鈴子 中友 千芳子 大藤 祥子 下司 洋子 興梠 直美 石橋 純子 秋山 仁美 辻 愛実
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.113-115, 2015

昨年のファッションショーは、重度の障害があっても本人にとって機能的かつ好みのファッションを通し、「夢かなえる装い」を大きなテーマにしました。南京都病院が中心となり日本女子大学の先生と一緒に半年以上前から試行錯誤しながら進めてきました。モデルには、おしゃれに興味がある3名の利用者の方が、出演されました。会場でその人らしく一番輝ける演出を…ということでファッション雑誌をいつも見ているMさんには雑誌から飛び出てきた女性を、大好きな人にいつも素敵な笑顔を見せてくれるUさんにはデートの演出を・・オルガンの演奏をしているときが一番幸せそうな表情をされているYさんには演奏会を・・体調などを心配していましたが、3名とも本当に素敵な笑顔で出演してくださり嬉しかったです。特にYさんは全盲のため、慣れない場所での演出が本人の負担になるのではなど、ファッションショーが終わるまでたくさんの不安を抱えていましたが、本番では輝く笑顔を見ることができ、衣装を提供して頂いた日本女子大学の先生、南京都病院のスタッフともに安心しました。南京都病院の重症心身障害児者病棟では、日々の活動や行事を通してより豊かな生活を送って頂きたいという想いを大切にしています。その中でも毎月のお誕生会や季節行事の際には、職員が作った色とりどりの衣装を楽しんでもらっています。装い一つで、利用者の皆さん、保護者、職員の気持ちに一体感が生まれ、「衣装」が楽しいひとときを過ごすための重要な役割を果たしています。このように身にまとうことを大切にしている南京都病院ならではの行事の様子と衣装をブースにて展示しました(展示ブースの写真参照)。ファッションショーでは、3名が代表として出演して頂きましたが、病院内には笑顔の素敵な利用者の方がたくさん入所しておられます。全員に出演してほしいという職員の想いから、南京都病院の利用者の方々がおしゃれを楽しまれているスライドを紹介しました。この笑顔はおしゃれをして嬉しいだけではなく「かわいいよ」「きれいだね」と周りのスタッフから愛され注目されたことにより生まれたものだと思います。また、京都らしさを…という気持ちから、甚平や浴衣を着てきれいに輝く花火の打ち上げとともに演出しました。輝く笑顔が皆さんの心に届いたでしょうか?今年も重症心身障害児者のファッションショーが開かれます。今までだと、衣装に包まれた利用者の方の笑顔や演出を楽しく拝見させていただいていただけだったのですが、ここまでの道のりには、日本女子大学の先生との何回もの打ち合わせやリハーサル、職員や、会場の方、たくさんの人たちの協力で開催されているのだと思うと、また違う熱い気持ちで拝見させていただくこととなるのだろうと思います。今回身にまとうということ、「衣装」を介して個性が光り、一人ひとりが大切にされ注目されることにより周りが笑顔に包まれ、見ている人たちに深い感動を与えることができるということを学ばせて頂きました。これからもファッションを通して笑顔の輪が広がりますように……そして人と人の優しいつながりができますように……Mさん…おしゃれに興味がありファッション雑誌を見るのが大好き、夢はモデルさん。当日は大好きな主治医の先生とモデルになった気分を思いっきり感じていただきました。スポットライトを浴び、素敵な笑顔が見られました。Uさん…理想のボーイフレンドと一緒にデートをするのが夢……素敵な洋服でお出かけします。当日は年下の男の子のBGMが流れる中、大好きな人からバラの花束を頂きました。とても幸せそうな笑顔が見られました。Yさん…音楽大好きな女性、どんな曲でもピアノを奏でることができます。夢は大好きなピアノやオルガンを発表会で演奏することです。発表会用の衣装を着てリサイタルショーをしました。大好きな『バラが咲いた』の曲を演奏し、会場のみなさんと歌うことができました。(出演者の皆様には写真掲載の承諾を頂いています。)四季折々の衣装とともに笑顔と優しさを届けます。
著者
西川 星也 高松 敦子
出版者
金原一郎記念医学医療振興財団
巻号頁・発行日
pp.155-158, 2016-04-15

細胞競合は主に上皮組織でみられる現象で,組織の一部に変異細胞が誘導されると,正常細胞との境界で競合が起こり,最終的に変異細胞が組織から排除される(図1A-図1C)。変異細胞が正常細胞に取り囲まれると,細胞死や排出が引き起こされることが観察されている。排除の結果,空いた空間には正常細胞が増殖し,それによって正常な組織サイズを維持すると言われている。このことから細胞競合現象は,正常な発生,組織の維持などに重要な役割を果たすと考えられている。 細胞競合は最初,ショウジョウバエ翅成虫原基にMinute変異細胞クローンを誘導した系で発見された1)。Minuteはリボソームタンパク質関連の遺伝子であり,そのヘテロ変異個体は単独でも生存可能で,正常サイズの翅を形成する(図1B)。しかし,成長の速さが正常個体に比較して遅いことから,細胞競合の結果,どちらの細胞群が生き残るかという勝敗の運命は,成長速度の相対値によって決まると考えられた。
著者
今立 源太良
出版者
東京昆蟲學會
雑誌
昆蟲
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, 1969
著者
大内 茂人 小谷 斉之 稲葉 毅 宮下 朋之 井上 健人
出版者
一般社団法人 日本UAS産業振興協議会
雑誌
次世代移動体技術誌
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.32-43, 2020

近年,急速に応用が広がっているドローンであるが,突風など悪天候時の飛行は困難である。このような問題を解決する手段としてローターのピッチ制御・回転速度の制御などが考えられるが,飛行を行うためのロータを飛行安定性のために使うことは墜落の要因となり得る。一方,高速で回転する円盤の力を利用して宇宙ステーションの姿勢制御,クレーン吊り荷や船の揺れ止めなどを行う CMG(コントロール・モーメント・ジャイロ)が知られている。本論文では,開発の第一ステップとしてロール軸方向のトルクを発生する CMG をドローンの姿勢制御に適用,実験を行った結果得られた顕著な効果を紹介する。