著者
荒田 洋治
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.258_1, 2017

薬学と関りをもった50年の間,筆者が経験した事柄を,様々な観点から捉え,日本薬学会会員に向けて綴った短いエッセイ集です。
著者
荒木 希世 松岡 貴浩 森下 貴文 川崎 信司
出版者
熊本県水産研究センター
巻号頁・発行日
no.9, pp.13-18, 2013 (Released:2014-03-06)

近年、有明海において頻発するChattonella赤潮は、赤潮の発生とクルマエビ漁獲量及び漁獲努力量の減少との関連性から、底生性甲殻類であるクルマエビの漁獲量の減少に影響を与えていることが示唆された。また、有明海においてC. antiquaの日周鉛直移動が確認され、本種が、栄養塩が十分に供給される状況下にあっても、能動的な輸送により夜間には海底直上層(水深19m)まで到達していることが明らかとなった。
著者
秋山 雅博 外山 喬士 吉田 映子 鵜木 隆光 安孫子 ユミ 新開 泰弘 熊谷 嘉人
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.42, pp.P-113, 2015

【目的】水俣病の原因物質としても知られるメチル水銀(MeHg)は, 高濃度の摂取により深刻な神経毒性を引き起こすことが示されているが, 我々は大型魚類などを介し日常的にMeHgに暴露されている現状にある. そのため, 生体におけるMeHgへの毒性防御機構の解明は急務の課題となっている. これまでに我々はMeHgの解毒代謝物の一つとして(MeHg)<sub>2</sub>Sを発見し, 生体内においてはシステインの代謝関連酵素によって産生される活性イオウ分子(reactive sulfur species, RSS)がこの解毒代謝に寄与している可能性を示してきた. しかし, これまでの研究は主に培養細胞を用いた<i>in vitro</i>レベルの研究であり, 実際に個体レベルでの知見は得られていない. そこで本研究では個体レベルにおいて, 生体内で産生されるRSSによるMeHgの解毒代謝機構を証明することを目的とした.<br>【方法】Cystathionine γ-lyase (CSE)は生体内においてRSSを産生するシステイン代謝関連酵素の一つである. 本研究ではこの<i>CSE</i>遺伝子を全身で欠損しているCSE ノックアウト(KO)マウスに対するMeHg毒性を評価することでCSEによって産生されるRSSがMeHgの解毒代謝機構に関与しているかを個体レベルで検証した.<br>【結果および考察】<br><i>CSE</i>-KOマウスは通常では神経毒性を引き起こさない低濃度のMeHgの投与によって振戦などの神経障害が現れ, その後死亡した. このことから個体レベルにおいてCSEはMeHgの解毒代謝機構に関与していることが示唆された. 近年, CSEから生じるRSSは硫化水素(H<sub>2</sub>S/HS<sup>-</sup>)ではなく, システインパースルフィド(Cys-S-SH)であるという事実が明らかとなっており, このCys-S-SHなどによるMeHgの捕獲に伴うイオウ付加体形成がMeHgの解毒代謝に寄与している可能性が高いと考えられる.

1 0 0 0 OA II.疫学

著者
山縣 邦弘 斎藤 知栄
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.5, pp.1243-1252, 2012 (Released:2013-05-10)
参考文献数
22

慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)が提唱されたことにより,各地域でのCKDの疫学研究が報告されてきている.この際,尿蛋白を試験紙法あるいは微量アルブミン尿で評価するか,また血清クレアチニンの測定方法やeGFRの計算式により,CKDの頻度が異なってくる.またeGFRは人種により実測GFRと差が大きく出る場合があり,人種に合わせた推算式も必要になる.CKDの疫学を比較するには,CKDの評価方法を確認し,対象集団の年齢分布,人種差などの背景因子にも注目する必要がある.

1 0 0 0 OA 化学本論

著者
片山正夫 著
出版者
内田老鶴圃
巻号頁・発行日
1929
著者
北野 昌則 渡辺 啓二 篠村 和也 藤島 明宏
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.23-31, 1994 (Released:2010-04-30)
参考文献数
7

本報文では, 装軌車の超堤性能, すなわち垂直段差障害に対する装軌車の走行性能を明らかにすることを目的としており, 車両諸元および履帯と地盤間のすべり特性などから超堤運動の理論モデルを確立するとともに, 理論解析と模型実験の両面から比較検討した。その結果, 履帯と路面の相互作用を考慮した超堤運動の理論モデルにより装軌車の超堤性能の解明が可能となった。また, 装軌車の超堤性能は車両の幾何学的形状と地盤特性に大きく影響を受けることが明らかとなった。
著者
小坂 武
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.50, 2007

IS学の確立の企図のもと、S. Alterはビジネスの実務家がシステム分析を行う方法論を開発中である。その中核にワーク・プラクティスを捉えるAlter独自のフレームがある。ワークプラクティスを捉えるフレームに心理学で発達してきた活動理論がある。Alterのものと活動理論のそれを、オートポイエーシスをベースとしたKayの組織論をも使用して比較分析することで、IS論の構築基盤をより確実なものとする。
著者
中山 智裕 吉田 健史 森 雅紀
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.19-25, 2021
被引用文献数
1

<p>【背景】国内の実臨床でのアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の実践の度合いや阻害因子は明らかでない.本研究の目的は,医師におけるACPの実践の度合いを明らかにし,実践の阻害因子を探索することである.【方法】地域の基幹病院(934床)の医師対象に質問紙調査を行い,ACPに関する実践,認知,考えを尋ねた.ACPを実践していない要因を同定するため,二項ロジスティック解析を行った.【結果】186 名中90名(48%)が回答し,ACPを実践していたのは42名(46%;95%信頼区間37-57%)だった.「実践していない」ことに影響する独立因子として,ACPの認知の欠如に加え,リソース・時間の欠如や実践に労力がかるという考えが含まれた.【結語】ACPを実践していた医師は半数に満たなかった.今後,ACPの認知度の向上,実践のための時間・労力の確保等勤務面の見直しが求められる.</p>
著者
窪 航平 隅田 学 掛水 高志
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.63-66, 2021

<p>本研究は高等学校化学において,物質量に関する科学理解の形成を促進する理科授業を開発することを目指し,まず今回,予備調査として理科教員志望大学生83名を対象に物質量に関する簡単な問題及び定義に関する設問,身の回りにあるある数をワンセットとして考えているような単位概念に関わる設問をからなる3つのセクションの調査をGoogle フォームで実施した.その結果,基本的な問題では90%を超える正答率が得られた.物質量の定義に関わる自由記述形式の設問に対する回答と正答率が90%を下回った問題を総合的に分析した結果,粒子数が体積に影響するという誤概念を形成している学生がいること,基本的な定義を知っているにもかかわらず,それらの活用に問題があることがわかった.また,身の回りにあるある数をワンセットとして考えているものの例としては「クラス,卵,足,パック,カートン,ケース,チーム」などの表現が見られ,それらが単位概念の例として大学生にとって身近である事がわかった.</p>
著者
阿部 玄治 千葉 駿太 玉山 優奈 平野 詩織 向山 和枝 黒後 裕彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会 東北ブロック協議会
雑誌
東北理学療法学 (ISSN:09152180)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.69-72, 2017

<p>【目的】 靴踵部の補強であるヒールカウンター(HC)が,前後方向の立位バランス制御に与える影響を検討する こと。</p><p> 【方法】 健常若年者27名を対象とした。HCなし,またはHCを入れた上靴を履いた条件間で,直立肢位に対しつま先側あるいは踵側へ最大に重心移動した際の足圧中心(COP)の前後方向の移動距離を上靴のサイズで正 規化し比較した。</p><p> 【結果】 前方へのCOP移動距離は,HCなし条件が26.10±0.91%(平均±標準偏差),HCあり条件が23.9±0.94% であった。後方へのCOP移動距離は,HCなし条件が15.88±1.36%,HCあり条件が17.34±1.38%であった。 バランス制御方向とHCの有無との交互作用を認め,後方へのCOP移動距離はHCあり条件がHCなし条件よりも長い傾向を認めた(<i>p</i>=0.062)。 </p><p>【考察】 HCあり条件における後方へのCOP移動距離の増大は,HCが壁の役割を担い踵部の安定性が向上したた めと考えられる。 </p><p>【結語】 若年健常者では,HCは後方への立位バランス制御に貢献することが示唆された。</p>
著者
波田野 琢 服部 信孝
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.601-604, 2020 (Released:2021-05-27)
参考文献数
23

Parkinson's disease is regarded as the second most prevalent neurodegenerative disorder after Alzheimer's disease. The characteristic pathological finding in cases of Parkinson's disease is dopaminergic neuronal degeneration with Lewy body. Braak et al hypothesized that Parkinson's disease might be distributed from peripheral autonomic neurons to the central nervous system. The progression of Parkinson's disease might be caused by prion–like dissemination of alpha–synuclein, which is known as the main component of Lewy body. Thus, it might be expected that prevention of alpha–synuclein aggregation is possible through disease–modifying therapy. Alpha–synuclein is associated with lipids and the perturbation of the association is caused by the aggregation of alpha–synuclein. Furthermore, genetic dysfunction of phospholipid and glucolipid enzymes, such as GBA mutation and PLA2G6 mutations, is associated with Parkinson's disease with Lewy body. Therefore, elucidation of the pathomechanisms in Parkinson's disease related to the perturbation of lipid metabolism might shed light on the development of disease–modifying therapy.