著者
加藤 淳
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究 (ISSN:21871930)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.28, pp.595-609, 2018-01-01 (Released:2019-07-26)
参考文献数
39

本稿では,看護師のヒューマンエラーによる医療事故について,エラー誘発要因を明示化することを目的とする.まず,看護師のヒューマンエラーによる医療事故の代表的な事例について,ヒューマンエラー分析モデルであるP-mSHELL モデルを用いてエラー誘発要因を抽出した.その結果,役に立たない手順書,不十分なコミュニケーションの2 つのエラー誘発要因がいずれの事例においても抽出された.その後,ディスカッションでは,医療事故を防止するための論考を試みている.
著者
関 俊一 SEKI Shunich
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要, 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.65-70, 2012-03-31

“紙切り”という日本の伝統的な技法で、筆者自らが幼少期に体験した“紙切り”の思い出や作品を基に、小学校で実践しているワークショップと図画工作としてのあり方について考察する。鋏で図形を切るという行為は、絵を描くのとはまた違った技術や感覚が必要である。何かを模して紙を切り、具体的に表現する為には、鋏の使い方や紙の特徴を理解し、切る図形のイメージをしっかり記憶することが重要である。紙と鋏で図形を切り取るという一連の流れから、どの様な事を児童が学んだかを具体的に記した。
著者
森 杲
出版者
北海道大学經濟學部
雑誌
北海道大學 經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.73-155, 1970-11
著者
小原 格
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.136-139, 2021-02-15

2020年8月16日に行われた,第13回全国高等学校情報教育研究会全国大会(オンライン大会)について,オンライン大会を行うまでの経緯や背景および当日の内容等について解説する.コロナ禍により予定されていた愛知大会が中止となり,何とか大会を実施すべくオンライン大会に着目し,他組織の支援もあってオンライン大会を成功させる.その際の具体的な取り組み内容や手順等を解説するとともに,大会での内容,当日の体制,その成果と課題についても触れていく.
著者
今井 千文 野中 和賀樹
出版者
水産大学校
雑誌
水産大学校研究報告 (ISSN:03709361)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.219-231, 2015-03

トラフグ属魚類Takifuguはフグ科Tetraodontidaeに属し,アジア太平洋の温熱帯海域に広く分布し,日本近海には約20種が知られている。内臓や皮膚にフグ毒テトロドトキシンを含有するが,筋肉は無毒または弱毒で食用種も多く,トラフグをはじめ,水産重要種が多く含まれる。一方で,商業価値の高いトラフグは強い漁獲にさらされ,資源量は激減していて,資源管理が急務である。資源管理の実施に際しての資源情報として成長モデルは重要である。本研究では,野外調査により得られたクサフグの耳石を計測することにより耳石の成長速度が一定であることを示し,耳石測定により年齢推定が可能であることを示した。耳石日周輪間隔を測定して,耳石成長速度の安定性を検証した。
著者
万行 里佳
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1569, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】内臓脂肪型肥満は,メタボリックシンドロームなどの発症リスクを高める要因となる。肥満を改善する方法として,運動や食事などの生活習慣の是正が有効であるが,自覚症状がほとんどないため,生活習慣改善のための行動の開始や継続が容易ではない。そこで,本研究は,腹部肥満者を対象として行動変容技法を用いた介入を実施し,生活習慣改善による肥満等への効果を検討した。【方法】対象者は,30歳以上,腹囲が男性85cm,女性90cm以上でメタボリックシンドロームではない者とした。参加者は9名(男性8名,女性1名,平均年齢42.6±9.4歳)である。研究期間は48週間とし,はじめの12週間は「強化介入」を実施,13-24週の12週間は,特に何も実施せず「経過観察」を行った。25-48週の24週間は「フォローアップ介入(以下,FU介入)」を実施した。介入内容は,はじめに「知識提供」として,生活習慣改善の目的や方法,効果に関する小冊子を配布した。次いで,1.生活習慣調査の結果を提示し,運動習慣や食事習慣の改善に関する目標行動を1-2項目設定させた。目標内容は実行できる自信が95%以上ある「自己効力感の高い」内容となるよう指導した。目標は4週間毎に見直しを行った。3.自己記録表に目標の達成度,体重,歩数,腹囲,コメントを毎日(腹囲のみ週1回)記載し,電子メールにて提出させた。4.研究者は自己記録表の内容をもとに行動への「賞賛」や各自の「行動パターンの長所や問題点への対処方法」について参加者自身に思考させることを意図した助言を返信した。自己記録表の提出と研究者からの返信の頻度は,強化介入期間は毎週,フォローアップ介入期間の前半は,2週間に1回,後半は4週間に1回とした。測定は開始時と12週間毎に計5回行った。測定項目は,国際標準化身体活動質問票より総身体活動量,食物摂取頻度調査より総エネルギー摂取量を算出した。血中脂質として総コレステロール,高比重リポタンパクコレステロール,中性脂肪を測定した。また,身体計測として腹囲および身長,体重よりBody Mass Index(以下,BMI)を算出した。統計処理は,5回の各測定値の変化についFriedman検定を行い,有意差のある場合は多重比較を行った。統計学的有意水準は危険率5%未満とした。【結果】平均腹囲は,開始時97.2±13.3cmよりFU介入終了時93.0±10.8cmと減少したが,有意な差はなかった。平均BMIは,開始時29.0±6.6kg/m2より,強化介入終了後28.0±6.1kg/m2となり,開始時に比べて強化介入終了後と経過観察終了後,有意に減少した(p<.05)。平均総コレステロール値は,開始時200.8±22.1mg/dLより強化介入終了後,191.7±21.8mg/dLと減少したが,強化介入終了後と比べて,経過観察終了後,FU介入終了後に増加した(p<.05)。高比重リポタンパクコレステロール,中性脂肪,総身体活動量,総エネルギー摂取量の値に変化はなかった。【考察】行動変容技法のうち,動機づけ面接(Miller WR & Rollnick S)では,目標とする行動に対する「重要性と自信」を高めることが行動を開始させ,継続するために重要であるとされている。本研究は,重要性を高めるために開始時に知識提供を行った。また,生活習慣改善のための目標行動の内容は,研究者が指定せずに,参加者の個々の自己効力感の高い目標内容を設定することを強調し,行動実施への自信を高めた。さらに,行動の継続と強化を目的として,自己記録表の返信において,問題への対処方法を検討させることや,行動への賞賛を行った。その結果,BMIや腹囲が減少し,肥満の改善効果がみられた。自覚症状が乏しい者への指導では,知識提供に加えて,行動実施への自信を高める介入が有用であることが示唆された。今後は,参加者数の増加やランダム化比較試験による検証が必要であると考える。【理学療法学研究としての意義】生活習慣病患者の増加に伴い,自覚症状が乏しい患者への効果的な運動指導の必要性が高まっており,発症予防分野への理学療法士の貢献においても意義のある知見であると考える。
著者
北津 加純 高橋 知音
出版者
信州大学大学院教育学研究科心理教育相談室
雑誌
信州心理臨床紀要 (ISSN:13480340)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.39-49, 2017-06-01

感情のラベリングの方法の違いが,感情変化や認知的負荷に及ぼす影響について検討した。その結果,感情のラベリングを行う際に,自分自身で、ラベルを生成するよりも選択肢をもとに感情をラベリングした方が,画像による不快度や覚醒度が低下した。また,認知的負荷については自分で、ラベルを生成する条件が最も高かった。感情ラベルを選択肢から選ぶことで,自身の感情状態との距離化が生じ,不快度,覚醒度が小さくなる可能性が示唆された。認知的負荷がかからず感情制御効果も高い,選択肢を用いたラベリングは,今後カウンセリングなどの臨床場面での応用が期待される。
著者
花村 誠一
雑誌
臨床精神病理 (ISSN:03893723)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.141-156, 2011-08-30
参考文献数
57
著者
國方 弘子
出版者
日本看護科学学会
巻号頁・発行日
pp.36-45, 2010-12-21

要旨 本研究の目的は,精神に病をもつ人の自尊心回復に向けた看護支援プログラムの開発をめざして,自尊心が低下した時に,浮かぶ考えやとる行動,気分の経験世界がどのように繋がっているかを記述することである.方法は,34名の地域で住む当事者を対象に,修正版Grounded theory approachを用いて分析した.結果,自尊心が低下する状況が生じた時,《否定的な自己像》が活性化し,それにより,否定的な《バランスを失った思考》が次々に引き出され,それらの思考が頭の中をグルグル回り,《追い詰められた不快な気分》,《不快な身体現象》,自己内外に対し《攻撃または守りとしての行動》が生じ,彼らはその悪循環に巻き込まれていた.悪循環は自己に対する強いこだわりの思いから生じると解釈できた.悪循環から脱出する看護支援として,《否定的な自己像》を認識する,スキーマの修正,リラクゼーション活動,肯定的自己評価を意識化できる,などの必要性が示唆された.

1 0 0 0 Lasègue徴候

著者
大石 実
出版者
三輪書店
巻号頁・発行日
pp.304-305, 2015-04-25

原 著 Ernest-Charles Lasègue(1816-1883)はフランス人であり,フランス語ではラセーグではなくラゼーグと発音する.Lasègue徴候の原著は,自分が指導教授となった弟子Forstの博士論文である2,3,5).Lasègueは,坐骨神経痛では坐骨神経を圧迫すると坐骨神経に沿った痛みが起こり,膝関節を伸展したまま股関節を屈曲しても誘発できると記載している5).Lasègue徴候の方法は,2つの手技からなる3).患者を仰臥位にし,力を抜かせる.検者の手を患者の踵にあてて片脚を持ち上げ,膝関節は伸展したまま股関節を屈曲させる.患者は坐骨神経に沿った痛みを訴え,股関節を屈曲できなくなる(図1).次いで,膝関節を屈曲し,踵をおしりのほうにゆっくりずらして股関節を屈曲させると痛みがない(図2)場合に陽性とする.ForstではなくLasègueがこの徴候の発案者であり,この徴候は坐骨神経が引き伸ばされることによると弟子De Beurmannは記載した2).
著者
Kazumasa Kotake Atsuhito Tone Satoko Watanabe Mayumi Senoo Mitsuhiro Kaneto Yusuke Imai Sanae Teshigawara Yasuhiro Kawakami Tatsuaki Nakatou
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
pp.6261-20, (Released:2021-02-15)
参考文献数
20
被引用文献数
2

Distigmine bromide is widely used to treat neurogenic bladder and causes cholinergic crisis, a serious side effect. We herein report about a patient with distigmine bromide-induced cholinergic crisis complicated by a hyperosmolar hyperglycemic state (HHS). On admission, the patient was diagnosed with HHS based on the medical history and laboratory test results. However, she also had bradycardia, miosis, and low plasma cholinesterase activity. We later found that she had received distigmine bromide, which led to a diagnosis of cholinergic crisis. We suggest that the exacerbation of pathology, including HHS, can cause cholinergic crisis in patients receiving distigmine bromide.
著者
深山 直子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.138, 2008

ニュージーランドでは、近年の「文化ルネッサンス」と「再部族化」の動向のなかで、「伝統」的マオリ・アイデンティティがますます強化される傾向にある。しかし最大都市オークランドに生きるティーンエイジャーを対象とした調査分析からは、重層的で、時にヨーロッパ系住民社会及び「伝統」的マオリ社会に対抗するようなオルタナティヴなマオリ・アイデンティティが、形成・維持されていることが明らかとなった。
著者
三宅 妙子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.243-253, 2010-12-30 (Released:2011-01-24)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

岡山県栄養士会は, 岡山県下の福祉・保健・医療, それぞれの施設から副食の食事形態を共通理解するためのツール作成を求められている。  そこで, 副食の食事形態の名称統一を目的に, 岡山県栄養士会, 岡山県栄養士会福祉栄養士協議会, 岡山県老人保健施設協会の学術委員会栄養士部会, ならびに岡山県病院栄養士協議会の協力により, 食事形態などに関するアンケート調査を実施し, 副食の食事形態を共通理解するための基準案の提唱を試みた。  副食の食事形態の名称の総数は, 福祉施設 (112施設) では171, 保健施設 (65施設) では102, 医療施設 (153施設) では327にも及んだ。しかし, 副食の名称統一に向けての基準案 (7名称) : 1普通食, 2一口大, 3きざみ食, 4ソフト食, 5やわらか固形食, 6ペースト食, 7嚥下訓練食にしたがって分類・整理することができた。  このたび提案した副食の食事形態基準案は, 形状の解釈を標準化することで, 管理栄養士間だけでなく, 多職種との共通認識のためにも活用が期待される。  管理栄養士が, 栄養管理された, 安全で, 享受できる食事を提供することは, 当然のことである。  今後は, 喫食者の視覚や味覚を良好に刺激できる外観, 美味しさ, さらに, 咀嚼・嚥下機能の維持に繋がる食事の提供のためにも, 試行を重ねたい。
著者
和田 康由 寺内 信
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.62, no.499, pp.155-162, 1997-09-30 (Released:2017-02-02)
参考文献数
59
被引用文献数
1 1

This paper deals with the role of housing development by estate campanies, through the case of Kansai Tochi Co. Ltd., which were founded in the middle of Taisho era. Tomosaburo TAKEHARA, the President of Kansai Tochi Co. Ltd., former a stock broker, was actively engaged in the housing enterprises by merging many estate companies, and the way of his housing management was to speculate in the housing estates as if they had been the stocks. He not only took over the business of merged estate companies but employed excellent managers and architects. Especially, Ohmino Den-en Toshi which had been developed by Kansai Tochi Co. Ltd. and MORISHOUJI District in Osaka City which was the project of a land readjustment system, were developed into the residential areas with excellent quality. But the company was in financial difficulties because it owned too many housing estates and a balance between supply and demand couldn't be kept during the war. It disappeared unexpectedly after the war in spite of developing land remarkably.