著者
松山 一紀
出版者
近畿大学商経学会
雑誌
商経学叢 = Shokei-gakuso: Journal of Business Studies (ISSN:04502825)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.243-262, 2019-03-31

[概要]本稿の目的は,日大アメフト部事件を手がかりに,フォロワーシップとリーダーシップの関係を探ることにある。具体的には,三つのフォロワーシップ行動による組織的アウトカムに対する主効果および,こうした影響プロセスに対するリーダーシップ行動の調整効果を明らかにすることを目的としている。調査の結果,三つのフォロワーシップ行動による主効果が認められた。また,リーダーシップ行動のポジティブな調整効果は,受動的忠実型フォロワーシップによる影響プロセスに対してのみあることがわかった。[Abstract]The purpose of this paper is to explore the relationship between followership and leadership using Nihon University American Football Club incident as a trigger. Specifically, it aims to clarify the main effect of three patterns of followership behavior on the organizational outcome, as well as the moderation effect of leadership behavior on that influencing process. The investigation revealed that three patterns of followership behavior bring the main effect, while the positive moderation effect of leadership behavior is provided only to the influencing process on passive faithful followership.
著者
廣田 章光
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.7-19, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
参考文献数
21

本研究では「規律・統制型」(Shikita, Morishige, Nakamura, 2012)地域における観光産業の創造を,地域生活と観光産業との共生の観点から考察した。我が国観光産業の拡大における課題の1つとして,欧米豪の旅行者数の拡大がある(Atkinson, 2015; Sightseeing vision concept meeting to support tomorrow’s Japan, 2017)。欧米豪旅行者は,日本独自の景観,歴史,文化への関心が高い(Atkinson, 2015; Sightseeing vision concept meeting to support tomorrow’s Japan, 2017)。一方,日本独自の景観,歴史,文化が維持されている地域は,一般的に地域に閉じ,地域住民間の関係が強い「規律・統制型」の特性がある。「規律・統制型」地域における景観,歴史,文化の資源を旅行者に提供するためには,外部への閉鎖性,内部者の関係の強さから困難が生じる。この問題を解決するためのプラットフォームのあり方を相互作用の観点から考察した。そして,地域と共生し,欧米豪の個人旅行者を創造する観光プラットフォームの必要性と,相互作用促進における「アクティベータ」の重要性を提示した。
著者
大江 孝明
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.288-291, 2016-06-20 (Released:2016-12-27)
参考文献数
5

ウメ加工品の食味や香りは原料果実により左右されることから,筆者らは原料の違いと加工品品質との関係について梅酒を中心に調査した。その結果,熟度や大きさ等により食味成分や保健機能にかかわる有用成分量が大きく変動することを明らかにするとともに,これら成分量が多くなる原料果実の選び方や加工方法を明らかにした。
著者
山本 尚史 中村 学 中崎 秀徳 吉田 昂広 杉ノ原 春花 美崎 定也 加藤 敦夫
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.39, 2010

【目的】 当法人は2008年より高校アメリカンフットボール(アメフト)部のメディカルサポートを行っている。高校のアメフト選手は技術、知識、身体機能の未熟さから傷害発生の危険性は高い。今回、高校アメフト選手の身体特性と傷害発生との関連を明らかにすることを目的に、メディカルチェックとアンケートを実施した。【方法】 2009年度秋季公式戦前のA高校2・3年生アメフト部員(平均年齢±標準偏差:16.9±0.7歳、身長172.3±6.3cm、体重78.7±16.2kg)40名を対象に調査した。事前に顧問・監督・選手に本調査の趣旨を十分に説明し同意を得た。メディカルチェックは柔軟性「指床間距離(FFD)、踵殿間距離(HBD)、下肢伸展挙上(SLR)、股関節内旋(HIP IR)、全身関節弛緩性(GJL)」、瞬発力「プロアジリティテスト(PAT)、立ち幅跳び(SBJ)」を実施した。SLRとHIP IRは4段階で簡易的に測定した。アンケートは受傷部位(上肢、下肢、頸部・体幹)について自己記入させた。統計解析は柔軟性と瞬発力の計7項目を変数としてクラスター分析を行い、3群(A群、B群、C群)に分類した後、3群間において7項目で一元配置分散分析またはKruskal-Wallis検定(有意水準5%未満)を行った。さらに3群間の身体部位別受傷人数をまとめた。【結果】 分類された3群はA群11名、B群10名、C群18名となった。FFDはB群が有意に長く、HBDはC群が有意に長かった。SLRはB群がA群およびC群と比較して有意に大きく、HIP IRはC群がA群およびB群と比較して有意に小さかった。GJLは各群間に有意差を認めた。PATはB群がC群より有意に速く、SBJはC群が有意に短かった。身体部位別の受傷者数は上肢:A群5名、B群4名、C群6名、下肢:A群6名、B群3名、C群6名、頸部・体幹:A群1名、B群2名、C群5名であった。【考察】 FFD、SLRが乏しく瞬発力が良好な群(A群)、柔軟性、瞬発力ともに良好な群(B群)、柔軟性、瞬発力ともに乏しい群(C群)に分類された。A群はハムストリングス、背筋群の柔軟性の乏しさが傷害発生と関連していると考えられる。C群では頸部・体幹の傷害発生が多く、柔軟性と瞬発力との関連が強いことが予想される。B群では他群と比較し傷害発生は少ないが、コリジョンスポーツの特性を軽視できない結果となった。しかしA群、C群のような特徴的な身体特性が傷害発生と関連することが明らかとなり、今後の理学療法介入の手がかりになると考えられる。【まとめ】 身体特性をグループ化して理学療法介入を効率よく行うことは傷害予防に繋がると考える。今回の調査の限界は短期間であること、対象者数が少ないことが挙げられ、今後も引き続き調査が必要である。
著者
繆 冶煉 アガド マルシャルD. 吉崎 繁
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.43-48, 1996-09-01
参考文献数
11
被引用文献数
1

95%相対湿度の空気中, あるいはまき床で培養した玄米試料の遊離アミノ酸を定量分析した。空気中で培養した玄米に蛋白質および遊離アミノ酸の含有量の変化は見られなかった。一方, 15, 30および40℃のまき床での培養により玄米の遊離アミノ酸総量は23.05mg%からそれぞれ31.18, 54.79および40.75mg%に増加した。遊離アミノ酸の生成は蛋白質の分解に由来し, その過程は一次反応モデルで近似できた。各遊離成分の生成速度は温度によって異なり, それらの含有量は温度および時間の制御によって調整できることが明らかになった。
著者
得能 想平 Tokuno Sohei
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科『共⽣学ジャーナル』編集委員会
雑誌
共生学ジャーナル (ISSN:24326755)
巻号頁・発行日
no.3, pp.76-95, 2019-03

論文実存主義、構造主義、ポスト構造主義によって知られるフランス現代思想は、当時の伝統的なカント主義の批判から出発した「アヴァンギャルド」として見なされることが多かった。しかし、テクストを注意深く読むならば、そこにはまさにそのようなカント主義との関連を示唆するものも少なくない。本稿は、このような背景のもとで、これまでほとんど忘れられていたマルシャル・ゲルーの『ザロモン・マイモンの超越論的哲学』における時間と空間の概念を取り上げなおすものである。この書物に見いだされる、無限悟性を前提とした時間と空間の考え方は、カント主義と現代思想のあいだにこれまで見過ごされていた連続性を見いだす機会を与えるものである。
著者
中畑 寛之
出版者
甲南女子大学
雑誌
甲南女子大学研究紀要. 文学・文化編 = Studies in Literature and Culture (ISSN:1347121X)
巻号頁・発行日
no.43, pp.29-36, 2007-03-20

ベルトラン・マルシャルによって編集された新しいプレイヤード版『全集』(全2巻1998 & 2003)の刊行により,新世紀のマラルメ研究を支える基盤がひとまず整えられたように思う。しかし,不満がないわけではない。とりわけ,「演劇に関する覚え書」(1886-87),ナショナル・オブザーバー紙掲載の記事(1892-93),「ある主題による変奏」(1895)といった批評を,『ディヴァガシオン』(1897)の前テクストの位置にとどめてしまったようにみえることが非常に残念である。それは,マラルメのようなエクリチュールの書き手のテクストをどのように扱い,どのような視点から考察するのかという重要な問題に関わってくる。マラルメを,とりわけ彼の批評テクストを,決定稿へと精錬させるパースペクティヴにおいて読むのではなく,一方では「生成論」的なまなざしを,他方でバルトがバルザックの校正刷に向けた同じまなざしをそこに注ぐことで,己れの生きた<世紀>に対峙する詩人の態度,つまりマラルメのべつの姿がそれ自体として見えてくるのではないか。マラルメ作品の「生成批評版」はそのような作業のためにこそ不可欠なのである。
著者
出口 明子 関口 有人 大久保 達弘
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.113-116, 2015

本研究では,持続可能な開発のための教育を指向した環境学習の支援を目的として,里山林の植生遷移,及びその管理や利活用についての理解を支援する環境学習教材を開発した . 本稿では栃木県内の里山林を舞台に開発したすごろくゲーム教材「里山 Life・アドミンズ」の概要を解説するとともに,森林生態学の基礎を修得している農学部の学生及び大学院生を対象とした実験的評価の結果を報告する.
著者
関口 有人 川島 芳昭 出口 明子 大久保 達弘
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.99-102, 2016

本研究では,里山の植生遷移,及び管理・利活用の双方について統合的に学習するためのデジタルすごろくゲーム「里山 Life・アドミンズ」を開発した.本稿では,国内における科学教育を支援するデジタルゲーム教材に関する先行研究を概観するとともに,本研究で開発したデジタルすごろくゲーム「里山 Life・アドミンズ」の機能の概要やインターフェイス,学習支援における意義を解説する.
著者
福田 アジオ
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.41-81, 1983-03-15

This chronological table was compiled to indicate the development of Japanese Folklore Studies since the Meiji era. Important literature related to Japanese Folklore, significant events and activities in the Japanese Folklore Society are arranged in chronological order and divided into two columns: (1) Matters related to Yanagita Kunio, and (2) Others.Principal events and related items were included in the table to illustrate the interrelation between events, e.g.: criticism and refutation passed upon articles, publication of monographs and research papers based on field work.
著者
出口 明子 関口 有人 大久保 達弘
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.416-417, 2015

<p>筆者らは里山林の植生遷移,及びその管理や利活用についての理解支援を目的とした環境学習教材として,栃木県内の里山林を舞台にしたすごろくゲームを開発した.本稿では開発したゲームの概要を解説するとともに,大学生及び大学院生を対象とした予備的評価の結果を報告する.</p>
著者
安藤 正芳
出版者
日経BP
雑誌
日経コンピュータ = Nikkei computer (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.1015, pp.44-47, 2020-04-30

ボトルネックになりがちなテスト工程の効率を高めるため、モンストの開発チームは様々なテストツールを開発している。主なツールがWebアプリとして提供される「アドミンツール」「プレビューツール」「デバッグツール」の3種だ。 アドミンツールはデータベ…
著者
中居 賢司 平野 三千代 伊藤 忠一 宮川 朋久 加藤 政孝
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.173-179, 1988-04-30 (Released:2010-09-09)
参考文献数
11

ホルター心電図でST-Tを評価するために, (1) 限られた誘導数と胸部双極誘導に伴う問題, (2) 虚血性と非虚血性―特に体位性ST-T偏位の鑑別, (3) 24時間記録における意義と問題について検討した.ホルター心電図によるST-Tの評価として; (1) ST偏位は用いた誘導により異なり (CM5>CC5, m-II>m-aVF) , CM5誘導は不関電極の影響を受け新たなST偏位を生ずる可能性がある. (2) 体位性ST-T偏位の多くは瞬時に変化し, STトレンドグラムはBox型を呈する. (3) 虚血型ST偏位は60秒以上の経過を有し, STトレンドグラムはcrescendo-decrescendo型を呈する.ST偏位は用いた誘導および体位により異なる可能性があり, その規準化は難しい. (4) 虚血型ST偏位の判定および発生機序の評価には虚血時の心拍数の応答にも留意すべきである.今後, 記録方式を含め機器の改良, 誘導法の標準化が必要と考えられる.
著者
出口 明子 関口 有人 川島 芳昭 大久保 達弘
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.475-476, 2017

<p>筆者らは里山林の植生遷移,及びその管理や利活用についての理解支援を目的とした環境学習教材として,栃木県内の里山林を舞台にしたすごろくゲームを開発しており,そのデジタル化に着手している。本稿では開発したデジタルゲーム教材の概要を解説するとともに,大学生を対象とした実験的評価の結果を報告する。</p>
著者
関口 有人 出口 明子 川島 芳昭 大久保 達弘
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.205-208, 2017

<p>筆者らは, 持続可能な開発のための教育を指向した環境学習の支援を目的として, 里山の植生遷移, 及び管理・利活用の双方について統合的に学習するためのデジタルすごろくゲーム「里山Life・アドミンズ」を開発している.本稿では, 本ゲーム教材を用いた授業デザインと中学生生徒を対象とした実践的評価の結果の一部を報告する.</p>
著者
出口 明子 関口 有人 川島 芳昭 大久保 達弘
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.199-204, 2017

<p>筆者らは環境学習を支援するためのデジタルゲーム教材「里山Life・アドミンズ」の開発・評 価研究に取り組んできている。本研究では,ゲームを構成するパーソナル・シミュレータの有効性を明らかにするため,大学生を対象に評価実験を実施した。3 つの調査・分析の結果,パーソナル・シミュレータはプレイヤーによって活用されるものであり,ゲームが提供する学習内容の理解,特に里山の管理の仕組みに関する理解支援に有効であることが示唆された。</p>