著者
山田 茂夫
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.603-605, 1997-10-20
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

嘔吐, 腹囲膨大を呈し, 子宮蓄膿症が疑われた未経産シャム猫 (3歳) を開腹したところ, 発生期における内部生殖器と外部生殖器の癒合不全によると考えられる腟端閉鎖症と診断された. 左右子宮角および盲嚢状に終る腟は拡張し, 子宮および腟には多量の血様内容物が貯留していた. 腟尾側の盲端部分と腟前庭との間には少量の疎鬆結合組織が介在していた.組織学的には出血性子宮内膜炎がみられたが, 腟盲端部の組織は萎縮しているもののほぼ正常構造を保っていた.
著者
西之園 晴夫
出版者
日本教育実践学会
雑誌
教育実践学研究 (ISSN:1344946X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.47-53, 2020-09-30 (Released:2021-01-12)
参考文献数
8

世界的なコロナウイルス感染によって経済的社会的活動が停滞しました. 教育もまたその例外ではなく全国的に休校となり,その後,多くの大学は Zoom などを採用して在宅授業を実施することで危機に対応しました. 他方,国によっては冷静に対応したところもありました. そこでフランス語圏のフランスとスイスの高等教育の最近の状況を紹介し,今回のような緊急事態で異なる背景をもつ教育制度と方法がどのような影響を及ぼしているかを考察して,事態が終息したのちの高等教育の在り方を検討するための資料を提供しています.
著者
東,修一郎
出版者
大阪醸造學會
雑誌
醗酵工學雑誌
巻号頁・発行日
vol.39, no.9, 1961-09-15

In order to obtain a high yield of crystalline dextrose, second hydrol (the mother liquor from the second crystallization stage) was reconverted from which an additional crop of crystalline dextrose was obtained. Conditions for reconversion were established on the basis of the experimental results in small scale laboratory autoclaves. Later, a 150 l autoclave and a commericial batch converter as well as a continuous conveter were used for pilot plant trials. The optimum conditions for reconversion with batch converter were found to be acid (oxalic) concentration 0.04N, hydrol concentration Be10°, pressure 2kg/cm^2 and reaction time 20 minutes. With these conditions, second hrdrol having a DE (dextrose equivalent) of 73 and a DX (dextrose content based on dry substances) of 55 per cent was reconverted to a DE of 83 and a DX of 76 per cent, while the same hydrol was reconverted with continuous converter to a DE of 85 and a DX of 79 per cent. Yields of crystalline dextrose from reconverted liquors with batch and continuous converters were 27 per cent and 42 per cent (based on hydrol dry substances) respectively.
著者
小野 信文
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.113, no.4, pp.203-210, 1999 (Released:2007-01-30)
参考文献数
50
被引用文献数
1 1

脳血流(CBF)は自動調節(autoregulation)能によってほぼ一定に保持されている.その調節には種々の因子が関与するが,神経性調節を中心にその特徴を述べる.CBFは圧の減少に依存する減少,血圧に依存しない一定量の保持状態,高圧時に圧に依存する増加(breakthrough)を特徴とし,自動調節は保持状態の部分である.これは全身血圧低下による酸素欠乏と全身血圧の異常上昇・CBF増加による脳浮腫から脳組織を保護するための調節機構である.脳血管の緊張低下に関係する脳内機構は,コリン神経,興奮性アミノ酸あるいはGABAなどが神経性にあるいは非ニューロン的に働いている.AChについては,前脳基底部のマイネルト核から大脳皮質へ投射する系と前脳基底部の中隔から海馬へ投射する系があり,コリン系神経興奮によって大脳皮質ではムスカリン性ならびにニコチン性受容体のいずれもCBF増加を起こし,海馬では主にニコチン性受容体を介している.血管緊張に与る系は,交感神経系支配によるノルエピネフリン,セロトニン神経などがある.セロトニンの収縮性受容体は5-HT1Dβならびに5-HT2Bであるが,一部5-HT7受容体性の拡張性も持つ.神経走行が明確でないが,NO,アンジオテンシン,ブラジキニン,PG類も自動調節に影響する.NOS阻害薬は自動調節の上限を強く抑制し,breakthrough発現を抑え,breakthrough時にはNO産生の亢進が推察される.また洞大動脈神経切除によってもbreakthrough発現が見られない.アンジオテンシンの産生を抑制すると自動調節を血圧の低い方ヘシフトする.ブラジキニンは脳血管に対しB2受容体と関連する血管拡張,血管透過性亢進ならびに血液脳関門透過性亢進作用がある.PGF2αもbreakthrough発現を抑える.また,自動調節の下限域では血中TX B2が増加し,上限域ではPG Eタイプや6-keto-PGF1αが増加し,血圧の状態によって異なるPGが産生される.
著者
岩間 絹世 小野寺 淳
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2017年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100354, 2017 (Released:2017-05-03)

享保2(1717)年,長久保赤水は常陸国多賀郡赤浜村(現,高萩市)の農家に生まれた。本年は赤水生誕300年を迎える。赤水は「改正日本輿地路程全図」をはじめ,「大清廣輿図」などの中国図,本研究で扱う世界図「地球萬国山海輿地全図説」を刊行し,江戸時代中後期を代表する地図製作者として広く知られる。長久保赤水作製の地図については,すでに数多くの優れた研究がある。この中で,赤水作製の世界図は赤水のオリジナルではあるものの,参照した世界図が古典的であるとの評価がある。さらに,世界図の刊行は赤水主導か否か,むしろ板元の浅野弥兵衛から持ちかけられて出版したのではないかとの見解もある(金田・上杉2012),本研究では,これらの評価に対する検討を意図するものではなく,科研によって見出された長久保赤水の子孫宅や長久保赤水顕彰会収集の資料群から得た「地球萬国山海輿地全図説」に関する知見を報告する。 「地球萬国山海輿地全図説」は,寛政7(1795)年ころに刊行されたとされる(金田・上杉,2012)。当初は無刊記で発行され,板元の記載も無く,現在この初板の無刊記板は神戸市立博物館,国立歴史民俗博物館,長久保和良家(子孫の一家)所蔵(写真参照)の3鋪の現存が確認されている。その後,大坂の浅野弥兵衛より刊行され(一軒板)や,浅野弥兵衛を含む5つの書肆より刊行された五軒板があり,これらはいずれも大型版である(表1)。すでに蘭学系世界図が刊行される一方で,赤水没後には,長久保赤水閲とされる天保15(1844)年の中型版や小型版が嘉永3(1850)年まで刊行された。 ところで,享保5(1720)年,原目貞清「輿地図」が江戸の書肆出雲寺より刊行された。本図は最初のマテオ・リッチ系世界図の刊行とされ,赤水の「地球萬国山海輿地全図説」は本図を参照し,実際赤水の書き込みが残る「輿地図」(明治大学図書館蘆田文庫)が残されている。本報告では,長久保和良本と蘆田文庫本の比較,長久保赤水の子孫宅や長久保赤水顕彰会収集の資料群の検討を行った結果を報告する。 なお,本研究は科学研究費基盤研究(C)「長久保赤水地図作製過程に関する研究」(代表者:小野寺淳)の成果の一部である。
著者
櫻井 文教 水口 裕之
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.1099-1103, 2020 (Released:2020-12-01)
参考文献数
13

B型肝炎ウイルス(HBV)の感染を原因とするB型肝炎は、最終的に肝硬変、肝癌へと進行することから、革新的治療薬の開発が求められている。しかし現在、HBVが感染可能な培養細胞はわずかであり、新規治療薬の開発ならびにHBV感染機構の解明に向けては、利便性の高いin vitro感染評価系の開発が急務である。一方でヒトiPS細胞由来肝細胞は、肝細胞に感染する病原体の感染評価系として適した特性を有している。本稿では、ヒトiPS細胞由来肝細胞のHBV感染評価系としての有用性について紹介する。
著者
前田 信治
出版者
社団法人 日本流体力学会
雑誌
日本流体力学会誌「ながれ」 (ISSN:02863154)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.129-134, 2002-04-25 (Released:2011-03-07)
参考文献数
31
被引用文献数
2

1 0 0 0 OA 情報リサーチ

著者
久下 芳生 藤本 枝太 T.A.生
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.283-286, 1978-03-18 (Released:2010-03-18)
著者
岡田 遥平 飯塚 亮二 喜田 たろう 杉本 憲治 高原 美貴
出版者
京都第二赤十字病院
雑誌
京都第二赤十字病院医学雑誌 = Medical journal of Kyoto Second Red Cross Hospital (ISSN:03894908)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.26-31, 2018-12

2017 年9 月から開始された日本赤十字社のバングラデシュ南部避難民救援事業のEmergencyResponse Unit(ERU)のメンバーとして医療支援に従事する貴重な機会を得た.その活動の概要について報告し,医師として有意義であった経験や課題について考察する.筆者はERU 第2 班,第3 班で避難民キャンプ内の巡回診療に従事した.患者は不衛生な環境を反映し感染性の呼吸器疾患,消化器疾患,皮膚疾患が多数みられた.助産師の行う妊婦健診のサポートや栄養失調の幼児のスクリーニングなどを併せて行なった.国際赤十字・赤新月社の世界的な支援活動の一端を担うことができ貴重な経験となったが,その一方で医療の限界と先進国とのギャップに悩まされることもあった.こうした国際救援の経験は医師として視野を広げる成長の機会となりうると思われる.今後ともさらなる準備をし,支援に参加できるように修練につとめたい.
著者
鈴木 裕之
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.125, no.6, pp.37-62, 2016

本稿の目的は、内裏の夜間警備(夜行・宿直)の分析から、摂関期における左右近衛府の機能を検討することである。律令制以来、衛府は内裏警備を主たる職掌とした。夜間の警備も同じく規定されていた。延喜式段階でも、その職掌は継承された。本稿の問題意識は、このような内裏の夜間警備が摂関期(一一世紀)に機能していたか、あるいは貴族に認識されていたかという点にある。従来の研究で否定的に理解されてきた摂関期の左右近衛府の治安維持機能について、内裏夜行・宿直の観点から再検討した。<br>まず、延喜式の夜行・宿衛規定の分析を起点とした。夜行に関する諸規定から、六衛府すべてが内裏・大内裏の夜行に関与していることを指摘した。内裏夜行の検討が、摂関期の左右近衛府の性格を知るうえで有効であると判断した。また、宿衛は考第・昇進の条件として考えられていた。内裏夜行・宿衛の実態史料の分析から、その日常性が確認できた。<br>次に、一一世紀の左右近衛府の内裏夜行・宿直を考えるため、行事書・儀式書から次第を確認し、古記録から実態を検討した。その結果、摂関期における左右近衛府の内裏夜行・宿直の日常性が明らかとなり、貴族が治安維持組織たる左右近衛府を認識していたことを指摘した。<br>最後に、内裏夜行・宿直の有効性を補足する論点として、内裏火災における左右近衛府の活動に着目した。摂関期の内裏火災において、消火活動と予防組織としての左右近衛府の姿がみられた。消火・予防という活動の背景には、内裏夜行・宿直の有効性とそれに付随する貴族認識があると考えた。<br>従来の研究で否定的に理解されてきた左右近衛府の治安維持機能を、内裏の夜間警備を通じてみることで、肯定的に捉えようとしたのが本稿である。儀式関与・芸能・摂関家への奉仕など、様々な存在形態が認められる左右近衛府であるが、本来的な治安維持組織としての姿もその一つとして認めるべきであると結論づけた。
著者
日下部 貴彦 柳沼 秀樹 福田 大輔 高橋 哲 今 健 佐野 薫 野村 紗希子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.I_369-I_377, 2020
被引用文献数
1

<p><tt>高速バスは,充実した道路ネットワークのもとでは比較的柔軟に路線を設定できるなどといった特徴を有しており,鉄道を補完する都市間交通手段である.しかし,実際には需要が比較的小さな起終点間を結んでおり運行頻度が少ないことから,利用者の到着希望時刻に合う便がないなどといった不便さも存在する.そこで,方面が異なるバス同士の乗継環境の整備により利用可能なバスの本数を増やすことで,その利便性を向上できると期待される.本研究では,環状道路に近接した高速道路サービスエリア等への乗継専用バス停の設置による高速バスサービスの改善状況を想定したアンケート結果の分析を通じて,利用者にとっての利便性向上の要因把握やバス路線選択行動規定要因の分析を行い,乗継路線及び乗継地点を設</tt><tt>定する際に必要な路線特性を明らかにした. </tt></p>
著者
中村 高康 吉川 徹 三輪 哲 渡邊 勉 数土 直紀 小林 大祐 白波瀬 佐和子 有田 伸 平沢 和司 荒牧 草平 中澤 渉 吉田 崇 古田 和久 藤原 翔 多喜 弘文 日下田 岳史 須藤 康介 小川 和孝 野田 鈴子 元濱 奈穂子 胡中 孟徳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、社会階層の調査研究の視点と学校調査の研究の視点を融合し、従来の社会階層調査では検討できなかった教育・学校変数をふんだんに取り込んだ「教育・社会階層・社会移動全国調査(ESSM2013)を実施した。60.3%という高い回収率が得られたことにより良質の教育・社会階層データを得ることができた。これにより、これまで学校調査で部分的にしか確認されなかった教育体験の社会階層に対する効果や、社会階層が教育体験に及ぼす影響について、全国レベルのデータで検証を行なうことができた。