著者
金子 正孝
出版者
二松學舎大学
雑誌
日本漢文学研究 (ISSN:18805914)
巻号頁・発行日
no.2, pp.83-103, 2007-03

This paper shows how to distinguish between two kinds of phonograms. The kanji, 无 and 無, are used in the record entitled Shousouin komonjo. While these letters have the same meanings and the same pronunciation "mu," they are used in different ways. The study of kanji did not progress for a long time because the original was kept behind closed doors. However, recently the number of publications with pictures of Shousouin komonjo has increased. Therefore, I studied the phonograms in the record and singled out the charcters, 无 and 無. As a result, I found that there was a tendency to express the differences between them by using certain forms. In this article, there are some cases taken from Shousouin komonjo, mokkan (a board used instead of paper) and kinsekibun (lettering on metals or stones) for my research.
著者
平田 鷹志 山﨑 亘 カヤオ クリスチャンデウス 吉川 雅博 高松 淳 小笠原 司
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b>目的 </b>近年,家事や日常生活動作など,家政に関わる物事を代理・補助する支援ロボットの研究開発が盛んに行われている.本研究では,市販のロボット掃除機にRGB-Depth センサおよびロボットアームを搭載し,室内の掃除機掛けを行いながらゴミの認識を行い,発見したゴミの回収も行えるシステムの開発を行う.<br><b>方法 </b>ロボットにゴミ拾い機能を実装するには,1. ペットボトルや缶などがRGB-D センサ範囲内に存在するとき,コンピュータがそれらをゴミであると認識し,2. 拾い上げるためにロボットがゴミに接近し,3. 適切につかみ拾い上げる必要がある.1. ゴミの認識は,機械学習および物体認識手法を用いて,コンピュータがゴミをゴミであると認識できるよう事前に学習させ,センサ情報からゴミを検出することにより行う.2. ゴミへの接近は,センサからロボットやゴミ周辺の情報を取得し,環境に応じてロボットがどのように接近するか経路計画を行うことで実現する.3. ゴミの取集は,ゴミの形状に応じてゴミをつかむ位置などを適切に計画することで実現する.<br><b>結果 </b>ロボット掃除機とRGB-D センサおよびロボットアームのインテグレーションによって,室内の掃除機掛けを行いながらペットボトルや缶などのゴミを認識し,経路計画および把持計画を行うことによって自律的にゴミを回収するシステムの開発を行った.
著者
田中 雅嗣
出版者
一般社団法人 日本臨床化学会
雑誌
臨床化学 (ISSN:03705633)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.192-201, 1998-12-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
5
著者
鈴木 晃志郎 鈴木 玉緒 鈴木 広
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.12, 2009

<b>_I_.概説</b><br>発表者らは,文部科学省からの研究助成(研究代表者 鈴木晃志郎:『「開発=保全」問題に直面したコミュニティにおける住民意志決定のメカニズム』(課題番号: 20700673)を得て, 2008年10月下旬,公共事業に対する住民の態度を明らかにすべく住民意識調査を実施した。本発表は,その結果の一部を速報として公表することを目的とする。<br>フィールドは福山市鞆町(=鞆の浦)。昨2008年に公開され,140億円の興行収入をあげた映画『崖の上のポニョ』を,宮崎駿監督は鞆の浦で構想したとされている。このため,鞆の浦は「ポニョの海」として一躍脚光を浴びた。街が抱える港湾架橋問題もまた全国区の知名度を獲得し,『ポニョの原風景が開発で・・』(TBS:10/23)と題する特集が組まれるなど,架橋に対しいっそう厳しい視線が注がれるようになった。<br><br><b>_II_. 問題点の整理</b><br>沼隈半島の南端に位置する福山市鞆町は,城下町特有の細く入り組んだ街路網と狭小な地勢から,慢性的な交通渋滞,船舶の不法係留,駐車用地不足,下水道の未整備などの受苦を長年に渡って被ってきた。1983年,それらの解消を謳って広島県と福山市が計画したのが,港湾架橋計画(正式名称:鞆地区港湾整備事業)である。<br>この種の公共事業が社会問題化するとき多くの場合は,住民(と有識者・文化人)がスクラムを組み,いわば悪玉的存在の行政・企業の地域開発や公共事業を阻止しようとする,といった図式で語られる (長谷川2003)。しかし鞆町の場合,少なからぬ数の住民は,長年に渡る数多の受苦から解放する事業として,むしろ歓迎してきた一面がある。<br>鈴木ら(2008)は各種資料の分析および聞き取り調査をもとに,(1)リーダーの交代によって架橋反対運動の戦略が劇的に変わった,つまり外部有識者や学識経験者,全国レベルの募金や署名活動などを有効に活用し,いわば「外からの声」で事業の白紙撤回をめざす方法になってきたこと,(2) このとき全国から反対の声を挙げたのは,歴史的建築や土木遺構などハード面の景観を専門とする有識者や文化人が多く,鞆の価値が特定の側面からのみ測定される契機となったこと,を明らかにした。一方,多数派であるらしい推進派の声は全く外には届かず,その理由は(3)鞆の社会風土が持つ年功序列・家父長制的な性格と,強固なウチ/ソト意識により,そもそも鞆町内の問題で外部の者に同意を求めるという意識が働かなかったためらしいことも分かった。<br>推進派は,数度に渡る署名活動の結果をもとに,住民の8~9割は計画に賛同していると主張する。反対派は,署名による意志確認は踏み絵に等しいとし,全国からの10万を超える署名や,研究者及びICOMOSによる学術的価値づけを根拠に,事業の撤回を主張する。<br>このような水掛け論は、なぜ続いてきたのか。我々は,可能な限り第三者的な立場に立って,科学的な手続きに則って住民意識調査を実施しようと考えた。<br><br><b>_III_.調査概要</b><br>調査方法と実施状況は以下の通り。<br>・実施日時:2008年10月23~29日<br>・調査形式:訪問配布・訪問回収方式(自記式)<br>・標本抽出:選挙人名簿使用。有権者4434人中600人を無作為抽出(等間隔抽出法:拒否の意思表示がない場合のみ,予備サンプル32名から補充)。<br>・有効回答数441,回収率73.5%(予備標本を含めると69.8%)。<br>・構成比:男性46%,女性54%,高齢者(65才以上)46%<br><br><b>文 献</b><br>長谷川公一2003. 環境運動と新しい公共圏. 有斐閣.<br>鈴木晃志郎・鈴木玉緒・鈴木広2008. 景観保全か地域開発か. 観光科学研究1: 50-68.
著者
高木 絢加 山口 光枝 脇坂 しおり 坂根 直樹 森谷 敏夫 永井 成美
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.193-205, 2012
被引用文献数
1

邦人若年女性の約半数が日常的に四肢などに冷え感を有していることが報告されている.我々はこれまでに,若年女性の冷え感と低いエネルギー摂取量や体温・熱産生に関与する交感神経活動が関連していることを見出している.この結果に基づき本研究では,「若年女性の冷え感は,体熱産生が低いために,深部体温は保持されるものの末梢体温が低下し,その自覚症状として表れている」との仮説を立て,以下の実験による検証を試みた.被験者は,「四季を通じて日常的に四肢などに強い冷え感を自覚している女性(冷え群)」と「四季を通じて日常的に四肢などに冷え感をほとんど自覚したことのない女性(非冷え群)」各10名(18-21歳)とした.前夜から絶食した被験者に半袖半ズボンの検査衣を着用してもらい,異なる2日の午前8時30分に,体組成と安静時エネルギー消費量測定,もしくは体温と温度感覚(冷え感),交感神経活動(心拍変動解析)測定を26℃の実験室で行った.深部体温の指標として鼓膜温,末梢体温の指標として手先と足先の皮膚温度を,高感度サーモセンサーで60分間連続測定した.冷え感はビジュアルアナログスケールを用いて15分間隔で測定した.冷え群では非冷え群と比較して,体温・熱産生に関与する交感神経活動が有意に低く,除脂肪体重あたり安静時エネルギー消費量も低値傾向を示した.鼓膜温は全測定ポイントで2群で差がなかったが,冷え群では60分後の体温較差(鼓膜-手先,鼓膜-足先)が開始時と比べて有意に増加した.足先の冷え感スコアと鼓膜-足先の体温較差には,有意な正の相関を認めた.以上の結果から,日常的こ強い冷え感を有する若年女性は,(1)低い安静時エネルギー消費量,(2)深部体温には差がないが26℃・60分の曝露で深部-末梢体温較差が増加,(3)体温較差が大きいほど冷え感を強く感じるといった特徴を有することが示唆され,本研究の仮説が支持されたと考えられる.
著者
出雲 茂人 末吉 秀一 北村 一弘 大園 義久
出版者
Japan Society of Corrosion Engineering
雑誌
防食技術 (ISSN:00109355)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.247-253, 1990-05-15 (Released:2009-10-30)
参考文献数
6
被引用文献数
3 10

In order to make clear the effect of volcanic environment on the corrosion of metals, corrosion tests where heating and cooling are repeated between 40°C and 20°C in SO2 gas atmosphere (150-200ppm) were carried out on the specimens, carbon steel (SS 41), copper, aluminium, and zinc-plated steel which were covered with volcanic ash on the surfaces. The corrosion phenomena were investigated by means of the measurement of mass loss for corrosion and electron probe microanalysis. For SS 41, aluminium, and zinc-plated steel, the corrosion is greatly accelerated by volcanic ash when it accumulate thick on the surface. The copper specimen corrodes faster in the case of no volcanic ash, while under the presence of volcanic ash the corrosion is greatly accelerated as volcanic ash layer becomes thicker. These effects of volcanic ash on the corrosion are attributed to capillary condensation and water-retaining effects of volcanic ash layer.
著者
岡田 直紀 渡辺 政成 井出 茂 須山 敦行
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第126回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.850, 2015 (Released:2015-07-23)

福島県双葉郡の木戸川および富岡川の水系において採取したヤマメ,イワナと水生昆虫の放射能を調べた.調査地は福島第一原発から南西20-25 kmの範囲にある。魚は2014年6月に,昆虫は6月と7月に採取し,乾燥,粉砕後,Ge半導体検出器を用いて134Csと137Csのγ線を計測した.木戸川本流のヤマメ(n=42)とイワナ(n=16)の測定平均値は134Csと137Csの合計でそれぞれ183,219 Bq/kg乾重の値を示した.生重換算ではおおむね100 Bq/kgを下回っていた.集水域にホットスポットをもつ支流の魚では放射性セシウム濃度が高く,最も高かった戸渡川のヤマメとイワナ全体(n=15)の平均値は538 Bq/kg乾重を示した.水生昆虫は測定に十分な量を採取することが難しかったが,測定できたカワゲラ,ガガンボ,ヘビトンボでは137Csが120-440 Bq/kg乾重の範囲にあった.しかし,魚の胃内容物を調べると水生昆虫の他に陸生の甲虫,アリなどが多数見られ,こうした陸生昆虫を通じた放射性セシウムの濃縮の可能性が示唆された.また,魚の体重と放射性セシウム濃度には弱い正の相関が見られ,体サイズによる餌の違いが示唆された.
著者
藤田 直也 Milisenda Claudio
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.24, pp.12, 2002

&ldquo;パライバ&rdquo;トルマリンと同様に銅/マンガンを含むトルマリンがナイジェリアでも産出されるようになった。この新産地のトルマリンも&ldquo;パライバ&rdquo;トルマリンと同様&ldquo;ネオンブルー&rdquo;や&ldquo;エレクトリックブルー&rdquo;といった色調のものが産出されている。このナイジェリア産、ブラジルのパライバ産及びリオグランデ&middot;ド&middot;ノルテ産のサンプルをエネルギー分散型蛍光X線元素分析装置(EDXRF)とフーリエ交換型赤外分光光度計(FT-IR)を使って得たデータの比較を行ない産地同定の可能性を見出すことが出来た。
著者
白石 浩介
出版者
拓殖大学地方政治行政研究所
雑誌
拓殖大学政治行政研究 = The journal of politics and administration (ISSN:24239232)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.21-60, 2019-02-28

消費税は多段階課税の仕組みであり,製造販売の過程を経て税が徐々に累増していくので,消費税の転嫁問題の検討に際しては,ある商品の最終生産者や販売者以外に税の形成に寄与した中間事業者を特定化し,その影響について知ることが望ましい。本研究では産業連関分析における価格モデルと生産額モデルを用いて消費税の構造を分析した。価格モデルを用いると,消費税率の引き上げに伴う消費税額の増加をその商品の製造販売に関与した産業別に分解することができる。産業連関分析では「産業別付加価値率×逆行列係数」という算式により税込み価格を推計する。この算式を要素ごとに分解すれば,それが各産業の寄与度となり,そこから消費税分を取り出せば税の転嫁を知ることができる。総務省2011年表に基づく推計結果によると,多くの商品では消費税額の4割強は最終生産者である自産業に由来する。商品の製造販売のために用いられる原材料の種類が多くても消費税の構成という観点からみると,限られた産業が消費税を累増させている。この少なさは消費税の過剰転嫁や過小転嫁をもたらす。消費税のユニット・ストラクチャー分析とは,産業連関分析における生産額モデルを用いて,ある商品の生産に起因する直接間接の生産過程において,中間財・サービスから最終製品に至る段階までに転嫁される消費税額を推計するものである。ここでも自産業に対する転嫁が多くを占めるが,それ以外に転嫁される消費税も少なくない。最終製品の生産者に中間品を納入する1次サプライヤーは,多くの消費税を転嫁している。転嫁対策が必要とされるゆえんである。
著者
澤田 敬
出版者
熊本大学附属図書館
巻号頁・発行日
2017-03-16
著者
比屋根 哲 佐藤 晴美 青井 俊樹
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.17-24, 2001
参考文献数
12

本研究は,苫小牧演習林における1980年代以降の演習林の市民への開放の取り組みについて,演習林利用者や一般市民へのアンケート調査ならびに聞き取り調査をもとにして,市民の演習林に対する認知度や演習林の市民開放の取り組みに対する意識や要望について把握し,今後の演習林の課題等について検討したものである。検討の結果,苫小牧演習林は市民の認知度が極めて高く,市民は演習林の市民開放の取り組みを好意的に受けとめていることがわかった。また,演習林利用者のマナーが次第に向上し,演習林職員との触れ合いが利用者のゴミ拾いの活動等に結びつく事例も認められた。これらのことから,一般市民への森林の開放は,森林管理を考える上でプラスの側面が十分に期待でき,その際には森林管理者との交流が重要であると考えられた。