著者
竹内 浩二 竹内 純 菊池 豊 秋山 清 網野 範子 沼沢 健一 伊藤 綾
出版者
関東東山病害虫研究会
雑誌
関東東山病害虫研究会報 (ISSN:13471899)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.56, pp.99-102, 2009 (Released:2010-12-28)
参考文献数
8

東京都多摩地域でソルゴー障壁を組み合わせた露地ナス生産圃場において,ソルゴー上の昆虫と天敵を調査したところ,ヒエノアブラムシが5~10月に発生し,これを捕食するテントウムシ類やクサカゲロウ類,ヒラタアブ類など30種以上の土着天敵が確認された。また,現地ではソルゴー品種として主に‘風立’を使っていたが,この妥当性を試験圃場,現地栽培圃場で調査したところ,アブラムシ類の発生,草丈など生育状況による防風性,出穂の状況から,東京都においては‘風立’が適当と考えられた。また,試験圃場において露地ナス栽培におけるソルゴー障壁の効果を検討した。ソルゴー障壁区では定植後の農薬散布を実施しなかったが,アブラムシ類の発生は対照区(定植後のアブラムシ剤3回)に比べて少なく,ミカンキイロアザミウマ,カンザワハダニの発生も対照区並に抑えることができた。しかしながら,ホコリダニが多発することがあり,ソルゴー障壁栽培を導入し減農薬栽培を行うにあたってはテントウムシ類やクサカゲロウ類,ヒラタアブ類などに影響が少なくかつホコリダニに効果の高い薬剤の選択といった対応が必要と考えられる。
著者
佐川 岳人 工藤 由貴 西口 隆夫 川向 孝知 坂倉 幹始 塩田 晃久 星 大海 松本 恵子 渡辺 淳
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.335-340, 2015
被引用文献数
7

Direct analysis in real time mass spectrometry (DART-MS)を利用して,食品から連続的に放出される揮発性成分を,フレーバーリリース現象として測定することを試みた.<BR>分析用試料として,チョコレートに類似した性質を持つ,モデル食品を作成し使用した.モデル食品の構成は,パーム核硬化油,乳糖,グラニュー糖をベースとし,そこに<i>l</i>-carvoneと<i>d</i>-limoneneを添加したものである.連続的な揮発性成分の測定には,DARTイオン源と質量分析計を,揮発性成分分析専用のデバイスを組み込んだシステムを使用することで対応し,モデル食品から加熱溶解する際に放出される<i>l</i>-carvoneと<i>d</i>-limoneneを測定した.<BR>結果として,本システムを用いることで毎秒1ポイントの連続的な揮発性成分の測定が可能となり,秒単位で変化するフレーバーリリース現象を捉えることができた.また,本モデル食品では<i>l</i>-carvoneと<i>d</i>-limoneneではフレーバーリリースの挙動が異なる事も確認された.さらに,質量分析計の分析条件を最適化することにより,ミリ秒単位での測定の可能性も示唆された.
著者
境 正一郎
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.308-322, 1980-10-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
93
著者
大西 奈保子
出版者
日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.34-42, 2009-09-16
参考文献数
24
被引用文献数
1
著者
松川 正樹 福井 真木子 小河 佑太力 田子 豪 小荒井 千人 林 慶一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.120, no.6, pp.201-217, 2014-06-15 (Released:2014-11-12)
参考文献数
34
被引用文献数
2 4

岐阜-富山県県境に分布する神通層群は,9つの岩相に区分され,それらの複数の組み合わせから,岩相群として5つにまとめられ,さらにそれらの特徴や分布に基づき堆積環境が考察された.庵谷峠層は堆積盆地の周縁部に発達した扇状地の,猪谷層は河川流路と氾濫原の,白岩川層は氾濫原の堆積物と解釈される.神通層群の上方細粒化と周辺から中央への側方細粒化は堆積盆地の沈降速度の増加に基づくものと推定される.神通層群各層の分布様式から堆積盆地の中心は南の有峰地区から北の常願寺川地区に移動したことが示される.これは,オーテリビアン期のアジア大陸の東縁におけるジュラ紀~初期白亜紀の付加体の並列配置と関連した可能性がある.
著者
藤谷 健
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.104-107, 1967-02-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
17

今までバラバラに研究されていた酵母の無機成分組成とその要求性とを結びつけ, 特に必須成分であるリン, マグネシウム, カリウムをとりあげて解説。本稿で述べられている “基底含量” という考え方は, 酵母の無機成分組成と増殖との関連性を究明する際の一つの, 新しい見方として注目されよう。
著者
高橋 良
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.623-628, 1979-10-15 (Released:2011-08-10)
著者
上杉 治 山根 伸吾
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.335-343, 2019-06-15 (Released:2019-06-15)
参考文献数
8

本報告の目的は,難渋する高次脳機能障害をもつ事例に対して行った介入のリーズニング過程を構造化し,介入方法の一助とすることである.事例は,左中大脳動脈梗塞後,多彩な高次脳機能障害を呈し,入浴や更衣,家事といった生活障害があった.介入では,本人,家族に面接を行い,Mattinglyの指摘する叙述的リーズニングの視点から捉え,本人,家族の価値を重要視した.また,介入方法を考察する際には,同じくMattinglyの科学的リーズニングの側面から捉えた.結果,事例は更衣,入浴,家事の一部を獲得した.
著者
河野 善行
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.253-261, 2002-12-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

保湿は肌荒れに対して大変有効な手段であり, また化粧品の最も基本的かつ重要な機能と考えられる。そして多くの種類のエモリエント剤や保湿剤が皮膚の水分保持や乾燥を防御することを目的として用いられてきた。角質層においては, 自然保湿成分 (NMF), 皮脂および細胞間脂質の重要性が証明されてきた。皮膚科学的なアプローチの観点からわれわれは皮膚保湿のメカニズムのアナロジーを皮膚上で再構築してきた。具体的には肌荒れに対して, 水, 保湿剤および脂質を等価に皮膚に補う“モイスチャーバランス”の有用性を証明してきた。これらとは別に化粧品の開発に薬理学的なアプローチの観点も重要であり, 新規な化粧品有効成分の開発に大変役に立つ方法論である。近年われわれは, 肌荒れにおいて表皮プロテアーゼが重要な役割を果たすこと, またその活性を阻害することが修復を促すことを明らかにしてきた。そして表皮プロテアーゼであるプラスミンの阻害活性を有し, 肌荒れに効果を有するt-AMCHAを開発した。本総説では, 皮膚の保湿のメカニズムと, 皮膚科学的にまた薬理学的に開発されたスキンケア化粧品についてレビューする。
著者
齋藤 貴弘
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.106, no.12, pp.2101-2125, 1997

The cult of the healing god Asklepios was a very popular one in the Greco-Roman world. The so-called Telemachos monument (SEG. XXV. 226) tells a story about the introduction of this god in Athens in 420 B.C. We already have many studies about Asklepios, but very few of these studies present an appropriate view concerning the significance which the introduction of Asklepios had on politics and religious activities in Athens in the last half of the fifth century. In conclusion, the author argues that the introduction of Asklepios in Athens was a religious policy to reconstruct the Athenian religious piety which had been squashed by the great plague. The new festival for Asklepios involved the following major themes. The Epidauria, the new festival for Asklepios, was an attempt to link the god Asklepios with the Eleusinian goddesses. Such an association would strengthen the Eleusinian cults by providing the Greek people, especially the Delian League, a concept they could easily identify with. In turn, this plan was supposed to provide Athens with a revival from the plague, and to encourage her allies to dispatch offerings of "first fruits" to Eleusis. The introduction of the festival and the construction of a shrine were carried out in cooperation with the Epidaurian priests, Eleusinian priests and Telemachos, all according to a detailed plan. But conflict arose between the Kerykes and Telemachos. The problem involved the enlargement of the Asklepieion, the sanctuary of Asklepios in the city. Telemachos' motive for an enlargement of this site would have concerned the establishment of the healing cult. Finally, this incident clearly identifies the religious changes that were occurring at this time. Furthermore, the multiplicity of values held by the people of Athens during this period can also be identified.
著者
平野 博之 佐野 芳雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.88, no.8, pp.613-617, 1993-08-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
24

日本で好まれる米はジャポニカ米だが, 海外ではインディ力米が好まれる。前者は粘りがあるのに比して, 後者はパサパサである。この米の品質はアミロースの含量によっている。そのアミロースの合成はWaxy (wx) 座と呼ばれる遺伝子座の働きによって調節されている。イネwx座の遺伝子産物 (Wxタンパク質) はアミロースの合成を触媒するスターチシンターゼ (EC2.4, 1.21) である。米の品質を左右するwx座の性質と機能についての先端的な遺伝学的, 分子生物学的研究をわかり易く解説していただいた。