- 著者
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七田 恵子
大場 京子
芳賀 博
上野 晴美
柴田 博
松崎 俊久
高橋 重郎
斉藤 紀仁
- 出版者
- 一般社団法人 日本老年医学会
- 雑誌
- 日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
- 巻号頁・発行日
- vol.14, no.1, pp.38-43, 1977-01-30 (Released:2009-11-24)
- 参考文献数
- 24
- 被引用文献数
-
2
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都老人ホームに居住する65歳以上の男724名, 女1,239名, 計1,963名を対象として集団検診を行い, 諸種臨床検査成績における加齢変化を検討し, 次の如き結果を得た.1) 老人環: 老人環出現率は年齢が進むにつれ有意に増加し, 程度も増強し, 加齢変化を顕著に現わす指標と考えられた. また老人環と血清コレステロールとの関係は認められなかった.2) 夜間排尿回数: 就寝してから朝起床するまでの排尿回数は, 加齢とともに頻回となり, この傾向は男に比し女に強く認められた.3) 肥満度: 肥満について身長, 体重より算定した肥満度ならびに栄研式皮厚計を用いて計測した皮下脂肪厚の両面より加齢変化をみると, 女では加齢にともないるいそう傾向が認められた. この関係は肥満度に較べ皮下脂肪厚により強く表現された. しかし男では加齢による体格変動は一定の傾向を示さず横ばいであった.4) 血圧: 収縮期血圧は加齢とともに上昇し, 拡張期血圧は下降の傾向がみられるが, とくに女に顕著な変化が認められた.5) 心電図: 加齢にともなう心電図異常はST-T変化, 脚ブロック, PQ延長, 心房細動, 左軸偏位であり,とりわけST-T異常の出現が目立った.6) 血清脂質: コレステロールの平均値について男は概して横ばい, 女は加齢とともに明らかな低下を示す. 中性脂肪は男・女ともに平均値の減少化をみるが, 女により強い傾向が認められた.