出版者
Science Press
巻号頁・発行日
1990
著者
奥村 正雄 緒方 あゆみ 川本 哲郎 洲見 光男
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究課題の比較法研究に欠かせないと判断したイギリス刑法の教科書(Andrew Ashworth and Jeremy Horder, Principles of Criminal Law 7thed., Oxford University Press 2013)を協力者を得て翻訳作業を行い、同志社法学に7号に分けて14本の原稿が掲載中である。この作業を通して、本研究課題のイギリスにおける背景事情と刑事法との関係等の理解が、本研究を実行している者だけではなく、読者にも一層深まるであろう。各人の研究成果として、奥村正雄「少年法の適用年齢の引下げを巡る議論ー犯罪被害者等への配慮の視点を中心にー」同志社法学396Ⅱ号(2018年)pp.833-867は、本研究課題との直接的関連はないが、保護処分の妥当性の問題、是非善悪の弁別能力の有無・程度の問題の検討は、未成年の精神障害ないし知的障害を有する加害者の非行と社会復帰支援、それらの傷害を有する少年加害者の被害者支援のあり方を考えるうえで、重要である。川本哲郎「犯罪被害者の人権と被害者支援」同志社法学396Ⅱ号(2018年) pp.813-832は、犯罪被害者支援のあり方について、2004年の犯罪被害者等基本法及び2005年の犯罪被害者等基本計画によって、精神障害や知的障害に起因する犯罪の被害者に対する支援も同等の支援を受けるべき権利があることを主張する。洲見光男「アメリカにおける取調べの規制―自白の証拠能力の制限―」同志社法学396Ⅱ号(2018年)pp.870-889は、知的障害を有する被疑者の取調べにおける捜査官の誘導等による自白の証拠能力の問題点を検討する。緒方あゆみ「摂食障害と万引きに関する一考察」同志社法学396Ⅱ号(2018年)pp.1148-1187は、万引き事犯における摂食障害との関係性を分析している。
著者
齋藤 隆司 古阪 秀三 平野 吉信
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.81, no.721, pp.723-731, 2016 (Released:2016-03-30)
参考文献数
44

The organization of the Postal Architecture changes its style from public to private since 1886 as the starting point of the ministry of Posts and Telecommunications. The Postal Architecture has also the history that they have designed post offices, training facility for employee, employee's accommodation, hospitals, etc., and supervised their construction projects for 140 years over. This Study makes clear why Postal architects' project management has been established as architect's leading organization in the former ministry of Posts and Telecommunications (1886-1949) in the Meiji, Taisho, and early Showa era by study of related research books and thesis.

1 0 0 0 OA 興禪記

著者
靜照 述
巻号頁・発行日
1300

無象静照撰。天台宗と禅宗との宗論。文永年間(1264-75)に、叡山の衆徒等が禅宗の興隆を妬んで誹謗し、朝廷に上書して禅宗の排斥を企てたのに対して、静照(1234-1306)が駁論したものである。静照は鎌倉の人で、東福寺の聖一国師に侍し、建長4(1253)年に渡宋して石渓心月の法を嗣ぎ、文永2(1265)年に帰国。正安元(1299)年、北条貞時に招かれて鎌倉浄智寺の開山となった。勅諡は法海禅師。川瀬一馬著『五山版の研究』によれば、本書は無刊記であるが南北朝初期の開版と推定され、当館本が現在唯一の伝本であるという。本書巻末には「幹縁比丘 瑞川」と附刻されているが、瑞川の伝は未詳。補刻の痕の見られる後印本で、書中全巻に朱点・朱引きが施されている。明治時代の蒐書家寺田望南の印記「讀杜⁄艸堂」が押捺されている。
著者
細江 拓也 南角 学 黒田 隆 宗 和隆 後藤 公志 池口 良輔 松田 秀一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0481, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】変形性股関節症(以下,股OA)患者における中殿筋の筋萎縮は股関節外転筋力の低下を招き,前額面上での歩行の不安定性の原因となる。臨床の場面において,股OA患者の歩行能力の改善を目標として,股関節外転筋力の向上に取り組むことが多い。より適切に股OA患者の歩行能力の改善を図るためには,股関節外転筋力の低下の原因となる中殿筋の筋萎縮に関連する因子を明確にする必要がある。しかし,これらの因子を詳細に検討した報告は少ない。本研究の目的は,股OA患者の中殿筋の筋萎縮に関連する因子を身体所見及び画像所見から明らかにすることである。【方法】片側の進行期または末期の股OA患者52名(年齢64.6±9.8歳,BMI22.9±3.8kg/m2,男性10名,女性42名)を対象とした。身体所見として股関節屈曲・伸展・外転角度,股関節痛(VASを用いて評価)を測定した。画像所見として当院整形外科医の処方により撮影された股関節正面のX線画像から脚長差,Central-edge angle(以下,CE角),骨盤前傾角度を測定し,CT画像から中殿筋の筋断面積を測定した。中殿筋の筋断面積の測定は,仙腸関節最下端での水平断におけるCT画像を採用し,画像解析ソフト(TeraRecon社製)を用いた。さらに,得られた筋断面積から中殿筋の筋萎縮率として患健比×100%を算出した。中殿筋の筋萎縮率と各測定項目の関連性の検討にはSPSS ver.18を使用し,Pearsonの相関係数,Spearmanの順位相関係数,ステップワイズ法による重回帰分析を用いた。統計学的有意水準は5%未満とした。【結果】中殿筋の筋萎縮率は77.2±13.8%(患側2066.3±486.1mm2,健側2698.7±528.6mm2)であり,脚長差12.8±11.5mm(r=-0.51),患側の股関節屈曲角度91.6±16.7°(r=0.53),CE角17.8±10.4°(r=0.28)と有意な相関関係を認めた。一方,その他の測定項目については有意な相関関係を認めなかった。さらに,中殿筋の筋萎縮率を従属変数,脚長差,患側の股関節屈曲角度,CE角を独立変数としたステップワイズ法による重回帰分析の結果,股OA患者の中殿筋の筋萎縮率に関連する因子として,脚長差(β=-0.49),患側の股関節屈曲角度(β=0.34)が選択された(調整済みR2=0.47)。【結論】本研究の結果から,股OA患者の中殿筋の筋萎縮が進行している症例では,脚長差が大きく,患側の股関節屈曲制限が顕著であることが明らかとなった。脚長差が大きく,股関節屈曲制限が顕著であると大腿骨頭が外上側変位や扁平化を呈していると考えられ,その結果,中殿筋の筋長が弛み機能不全となることで,中殿筋の筋萎縮を招いていると考えられた。これらのことから,股OA患者において,脚長差が大きく,股関節屈曲制限が顕著である場合は中殿筋が筋萎縮を呈している可能性を考慮し,股関節外転筋のアプローチを実施していく必要性があると示唆された。

1 0 0 0 OA 人工網膜移植

著者
李 麗明 八木 哲也
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.1407-1410, 2001-11-01 (Released:2011-03-14)
参考文献数
17

黄斑変性や網膜色素変性症は, 網膜の抹消にある細胞が変性し, 光感受機能そのものが奪われる重大な疾患である.本稿では, これらの疾患で苦しむ患者の眼内に人工視覚デバイスを移植し, 視覚を回復させようという試みについて解説する.この方法の実現にはまだ高い障壁が存在するが, 医学, 生物学, 工学などの研究者が協力し合うことによって, 近い将来現実のものとなることが期待される.
著者
松本 武浩 川崎 浩二
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

地域完結型医療の推進に伴い、専門疾患も診療所管理へと変わってきたため、専門診療を支援する仕組みが必要である。がん疾患では、地域連携パスが期待されたが、充分に機能していない。診療所管理の際に専門家が関与できないことが一因と考え、ネットワーク型の地域連携パスを開発した。専門家による診察内容をシステム上に展開し、必要な検査データを自動で格納することで、専門外の医師による専門診療を可能とし、その結果により専門家が異常と判断する条件を組み込み、該当患者を一覧表示することで、診療所管理時でも検査追加の判断や増悪等を早期認識できるシステムを開発した。今後は本システムの評価を行う必要がある。
著者
斎藤 文紀
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.235-242, 1998-07-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
55
被引用文献数
36 50

東シナ海における最終氷期の海水準を明らかにするため,今までに報告されている350を超える放射性炭素年代値と最近の音波探査などの報告を検討した.この結果,50,000~25,000yrs BPについては,黄海や東シナ海において三角州の発達が認められ,当時の海水準は黄海で-80±10m,東シナ海で-90±10mと推定された.また最終氷期最盛期については,海成層と陸成層の分布深度や海底地形などから,最低位海水準は-120±10mと推定された.これらの値は従来報告されている値よりも浅い.
著者
染谷 光男
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.12, pp.974-979, 1999-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
7

醤油の国際化が進んでいる。キッコーマンは1973年に米国工場を建設したのを皮切りにアジアに2拠点, さらには97年ヨーロッパ工場, 98年米国カルフォルニア工場へと海外での生産拠点を設けている。今回はオランダのヨーロッパ工場建設の経緯と国際戦略, 特にヨーロッパを中心に事業展開の経緯を解脱していただいた。
著者
川崎 浩太郎
出版者
駒澤大学
雑誌
英米文学 (ISSN:03867463)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.61-72, 2001-03-25
著者
中山 卓郎 石田 健一郎
出版者
日本原生生物学会
雑誌
原生動物学雑誌 (ISSN:03883752)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.27-31, 2008 (Released:2017-09-09)
参考文献数
21

It is widely believed that all known plastids originated from a single primary endosymbiosis in which a cyanobacterium was engulfed and retained by a heterotrophic protist. However, there is an interesting organism called Paulinella chromatophora that may change this widely accepted view.P. chromatophora, a cercozoan protist, is a fresh water testate amoeba that contains two cyanobacterium-like structures called “cyanelles” in the cell. Past researches have failed to cultivate the cyanelles separately from the host cells and demonstrated that the cyanelles divided within the host cells and were handed over to daughter cells. In recent studies, it has been revealed that the cyanelle of P. chromatophora does not share a common ancestor with known plastids but originated from a cyanobacterium that belongs to the Synechococcus/Prochlorococcus lineage.These situation led the idea that P. chromatophora represent the second example of the primary endosymbiosis that is in progress. Further study on the symbiotic relationship between the cyanelles and the host seen in this organism would provide important insight for the mechanism of primary plastid acquisition.
著者
成田 紀子 鈴木 明子 菊池 裕 一戸 正勝 池渕 秀治 田中 東一 沢田 純一
出版者
Japanese Society of Mycotoxicology
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.36, pp.39-44, 1992-12-31 (Released:2009-08-04)
参考文献数
8
被引用文献数
2

Seeds of Job's tears (Coix lachryrna jobi var. ma-yuen) are commonly used as herbal drug and health food in Japan, but mycotoxin contamination such as aflatoxin and zearalenone (ZEN) on Job's tears products is often problematic. Thus, a mycological examination on 35 samples of raw seed materials and commercial products of Job's tears was carried out. Aspergillus flavus, Curvularia spp., Bipolaris coicis, Fusarium pallidoroseum (=F. semitecturn), F. equiseti and F. moniliforme were detected as predominant fungi in the samples. Of the Fusarium species isolated, F. pallidoroseurn was most dominant. ZEN producing ability of these Fusariunn isolates on seeds of Job's tears in cultures was measured by HPLC analysis. The isolates of F. pallidoroseum, F. equiseti and F. moniliforme produced ZEN, with maximum yields of 55, 244 ng/g, 137 ng/g and 54 ng/g, respectively. Among tested 12 samples of the commercial Job's tears products, ZEN contamination was found in 3 hulled seeds (21; 25; and 44 ng/g), 2 crucked products (6; 29 ng/g) and 3 powdery products (23; 46 and 116 ng/g).
著者
程木 義邦 渡辺 泰徳
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.27-37, 1998-03-01 (Released:2009-06-12)
参考文献数
23
被引用文献数
3 10

5つの湖沼の22定点において水中の太陽紫外線の消散過程とその要因を調べた。測定を行った全ての水域において,太陽放射は水深とともにほぼ対数的に減衰し,UVB(280-315nm),UVA(320-400nm),光合成有効波長(400-700nm)の順で強く減衰された。太陽放射の減衰の程度は水域により大幅に異なり,UVBの水面での放射量に対して1%となる水深(Z1%)は,富栄養水域で0.3から1m,貧から中栄養で2m以上であった。また,UVBとUVAのZ1%はそれぞれ透明度の0.5倍,0.9倍であった。UVBとUVAの消散係数(m -1)は,湖水中のクロロフィルおよび懸濁態有機炭素濃度と強い正の相関を示し,溶存有機炭素濃度と弱い相関を示した。これ迄の報告では,水中紫外線の消散要因として溶存有機物による吸収が強調されていたが,植物プランクトン量が多くDOC濃度が低い水域では,植物プランクトンが水中紫外線の主な消散要因となることが推測された。
著者
青柳 高明 国元 節子 竹内 富雄 梅沢 浜夫
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.109-114, 1973-04-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
20

消化性潰瘍の成因と進行には種々の因子が関与しているが, 潰瘍の発生および増大に胃液内酸性プロテアーゼが大きな役割を果していることは明らかである。胃液内酸性プロテアーゼを抑制することは, 消化性潰瘍の治療および発生機序を解明することができるとの考察のもとに, 著者らは酸性プロテアーゼ阻害物質の探索研究をおこない, 放線菌培養濾液からペプスタチンを発見した1, 2)。ペプスタチンは, ペプシン, レニンおよびカテプシンDを含む酸性プロテアーゼに対して特異的な強い阻害活性をもつが, セリン酵素, チオール酵素などの中性およびアルカリ性プロテアーゼに対しては, 阻害活性を示さない3~6)。ペプスタチンは, 臨床分野において, 消化性潰瘍に有効であると報告されている7~13)。本稿では, ペプスタチンの酸性プロテアーゼに対する抑制作用および臨床的に応用しうる胃液内の酸性プロテアーゼ活性の定量的測定法について報告する。