著者
池谷 和信
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨 2008年 人文地理学会大会
巻号頁・発行日
pp.513, 2008 (Released:2008-12-25)

バングラデシュは、約9割がイスラーム教徒であり、ブタは好まれない動物である。しかし、その起源は定かではないが、非イスラム教徒によってブタの遊牧がおこなわれてきた。本報告では、2007年から2008年にかけての4回にわたる現地調査から、ブタの遊牧の実態を、移動形態、管理技術、生産・流通システムなどから把握することを目的とする。
著者
須藤 康介
出版者
日本教師教育学会
雑誌
日本教師教育学会年報 (ISSN:13437186)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.166-169, 2015-09-19 (Released:2020-08-18)
参考文献数
2

The purpose of this report is to compare the crime rate of teachers with people of the same age in the general population and clarify the recent change. We usually see and hear disgraceful affairs of teachers in news. And, by those media discourse, not few people may have the image that the crime rate of teachers is high. Then, is the crime rate of teachers higher than general people in fact? By using macro statistics of NPA, MEXT and MIC, I calculate the crime rate of teachers.  Taking data from the past five year we can clearly see that the crime rate for teachers in the age bracket 25-59 was clearly lower than the general population. The Crime rate of teachers is less than a one-fifth of that of the general population for all categories of crime. The brutal crime rate of teachers is less than one-fifth of the general population. and sexual crime rate of teachers is less than half of the general population. In other words, the teachers is the occupation group who rarely cause a crime.  Secondly, by examining the change of the crime rate of teachers, we understood that the crime rate of teachers had changed at the standard that was extremely lower than the general population. Though the sexual crime rate of teachers is increasing, that of other people in the 25-59 year old age bracket is also increasing in a similar way. Therefore, we can know that the teachers are included in the increase of sexual crime arrests in society.  The impact of the study on teacher education may be to announce this knowledge widely. The image that teachers have many disgraceful affairs becomes the unfair label for the incumbent teachers, and, for the students who want to be a teacher, it may be a factor to reduce the motivation. It is said that we are in “Education Distrust and Dependent Times”. It is thought that the disgraceful affairs of teachers attract attention and are sometimes reported in an exaggerated way because we are in such times.
著者
山下 仁 大川 祐世 増山 祥子
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.156-165, 2019-08-01 (Released:2020-07-13)
参考文献数
45
被引用文献数
1 1

2019年5月に発刊された 「腰痛診療ガイドライン2019 (改訂第2版)」 の鍼治療に関する記載において、 文献選択、 データ抽出、 データ入力などの間違いにより逆の結果を示している深刻な誤情報を複数発見したので、 それらを指摘して正しい情報を提供する。 1. 日本人の腰痛に対する日本の鍼治療のランダム化比較試験 (RCT) のメタアナリシス論文の存在が無視されている。 2. 急性腰痛に対する鍼治療については解析ソフトにRCTデータを正負逆に入力する誤りがあり、 鍼が対照群に対して優位でないという逆の結論を導いている。 また、 機能障害のデータ統合の一部で疼痛のデータを入力して解析している。 3. 慢性腰痛に対する鍼治療についてのメタアナリシスで組み入れたRCT5論文の介入の内訳は鍼、 耳ツボ指圧、 レーザー鍼、 椅子の指圧背もたれ、 耳ツボ指圧であり、 鍼灸針を刺入する鍼治療は1編のみであるため、 これは鍼治療のメタアナリシスではない。 誤入力も多く、 図7と8はその内容が逆である。 4. ヨガの医療経済効果のメタアナリシスとして引用している論文に医療経済効果についての記載はなく、 ヨガ以外については明確に示しているものはないとしているが実は鍼治療の費用対効果のメタアナリシス論文が存在する。 Minds診療ガイドラインの手引き2014に 「完全準拠した」 とする腰痛診療ガイドライン2019だが、 システマティックレビューチームを設けておらず、 外部評価委員会の編成については記載がない。 このような状況が深刻な誤りを見逃してしまったことと関連していると推測している。 他の療法に関しても多数の誤りを確認しており、 このままでは日本の診療ガイドラインの社会的信用を大きく失墜することになるため、 できるだけ早い時期に修正版が発行されることを望んでいる。
著者
川中 健太郎
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.11, no.10, pp.42-46, 2006-10-01 (Released:2009-12-21)
参考文献数
6
被引用文献数
1
著者
平川 仁尚
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.679-682, 2014 (Released:2015-03-10)
参考文献数
1
被引用文献数
1

最近増加傾向にある医療的背景を持たないケアマネジャーは訪問看護師など医療者とのコミュニケーションを苦手としているといわれる。そこで, 訪問看護師とケアマネジャーのコミュニケーションを円滑にするための教材作成の基礎資料とするため,「ケアマネジャーを悩ませる訪問看護師の行動傾向」をテーマに参加者に約1時間グループ討論してもらった。参加者は8人で, その内訳は職種別に医師1人, 看護師1人, 医療系 (看護系) ケアマネジャー2人, 非医療系ケアマネジャー3人, 福祉職1人であった。出された意見をKJ法の技法の一部分を用いてグループ化した結果,「病院と同等の医療管理レベルをチームに要求する」,「必要最低限の業務しかしたくない」,「在宅経験が少なく, 知識が医療的なものに偏っている」,「権威勾配を背景にチームを上から管理しようとする」,「クライアントや家族の前で感情をコントロールできない」,「専門用語を使いすぎる」,「特別指示書に変えたがる」の7グループが抽出された。こうした訪問看護師に対するケアマネジャーの本音は, 病院から地域・在宅に医療の重心がシフトしていく中で, 病院外における看護師の在り方を考える上で重要な情報である。一方, ケアマネジャーにとっても訪問看護師の行動傾向を知ることでマネジメントのノウハウを蓄積しやすくなるものと期待される。
著者
橋本治著
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
2002
著者
坂本 治也
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.5-17, 2021 (Released:2023-11-16)
参考文献数
41

既存研究では,新自由主義の進展が市民社会の活性化をもたらすことは通説的見解とされてきた。しかし,新自由主義を政策パッケージではなく人々の間で共有されるイデオロギーとして捉えた場合,本当に新自由主義の進展が市民社会の活性化に結びつくといえるのであろうか。この点を検討するために,本稿では自己責任意識と市民的参加の関係を定量的に分析する。本稿では,独自に開発した指標を用いて,2つの異なるタイプの自己責任意識を測定する。分析の結果,2つの自己責任意識は市民的参加に対してそれぞれ負の関係性をもつことが明らかとなった。自己責任意識が強ければ強いほど,人々は市民的参加を忌避する傾向が見られる。イデオロギーとしての新自由主義の進展は,市民社会の活性化につながるどころか,むしろ市民社会を衰退させる可能性が高い,という通説的見解とは真逆の結論が得られた。
著者
松井 徹
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.211-219, 2019 (Released:2019-10-28)
参考文献数
43

日本を含め先進諸国ではマグネシウム (Mg) 摂取不足が問題となっている。本稿では, われわれが行ってきたMgを中心としたミネラル栄養に関する基礎的研究を紹介する。溶解性はMg吸収に大きな影響を及ぼすが, 海藻や飲用水中Mgの吸収を検討し, 溶解しているMgの形態や消化管内滞留時間もMg吸収に影響を及ぼすことを示した。Mg欠乏は肝臓中マスト細胞数を増加させることを明らかにした。肝臓および肝臓を構成する細胞のモデル培養系を用いた代謝物の網羅的解析によって, Mg欠乏により生じる新奇な代謝異常を明らかにした。Mg欠乏時の肝臓中金属類の網羅的解析を行い, モリブデンなど8種の金属類濃度が変動することを見出した。また, Mg欠乏による肝臓中亜鉛トランスポーター (Zip14) とメタロチオネインの発現増加が肝臓中亜鉛を増加させること, Mg欠乏は鉄過剰に対するヘプシジン発現応答を抑制することによって鉄代謝を撹乱することを示した。加えて, アクチビンBやインターロイキン-1βが, ヘプシジン発現亢進を生じる分子機構を解明した。
著者
近藤 暁夫
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2018年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.000334, 2018 (Released:2018-06-27)

1. 問題の所在 近年日本では「地政学」を名乗る一般書・入門書が陸続と出版され,『人文地理』の学界展望でも紹介されるに至っている.これらの大部分は,学術的な論究よりも著者の政治的主張や解説が前面に出ており,学術書と区別して「論壇地政学」(高木 2017)や「ポップ地政学」(土佐 2017)と括られる.日本地政学の負の歴史を背負う我々地理学界が,今更論壇地政学に関わることは憚られるべきだが,他方で昨今の「地政学ブーム」といわれる出版・言論の状況に沈黙を保つのもいささか無責任であろう. そこで本報告では,「ポップ地政学」の一般書に掲載されている地図図版に着目し,その表現や内容の科学的検討を行いたい.どのような本であれ「地政学」を名乗る以上は地図を重視しているはずであり,また地図の客観的検討に限定すれば地政学論壇に参加しない形で地理学の立場からの言及も容易となる.また,従来の批判地政学における地政言説分析の問題点とされてきたテクスト偏重の傾向を埋める役割も期待できよう.2. 検討の手順と方法 書名に「地政学」を含み,2017年12月現在インターネット書店で入手でき,かつ価格が2000円以下の書籍のうち,訳書や復刻本,ムック等を除く39冊を「地政学一般書」として抽出し,そこに掲載されている地図(主題図)の内容と表現について評価付けを行った.評価は次の基準で行った.①地形や領域の表現・表記などに,高等学校地図帳に記載されている「事実」レベルでの誤りはないか.②地理学の一般書にふさわしい水準の主題図表現になっているか.例えば方位記号や距離尺を欠いていないか.3. 結果と展望 対象とした書籍に掲載されている地図の枚数は,地図帳形式や「図説」を名乗る数冊を除けばまちまちで,10枚以下の本も少なくない.例えば,地政学論壇の第一人者とされる佐藤優の著書では対象とした5冊合計で13枚の地図しか掲載されていない.ハウスホーファー(1938)『太平洋地政治学』には47枚,マッキンダー(1942)『デモクラシーの理想と現実』には32枚の地図(主題図)が掲載されていることを考えると,地政学本としては異例の少なさといえる.渡部昇一『世界の地政学的大転換を主導する日本』(徳間書店, 2016)や黄文雄『地政学で読み解く没落の国・中国と韓国 繁栄の国・日本』(徳間書店, 2017)に至っては地図が1枚も掲載されておらず,これなどはマッキンダーらが体系化した地政学とは別の世界に属するものといえよう. これらの書籍に掲載されている地図(主題図)の表現や内容については,基礎的な事実レベルでの誤りが多く,ほとんど科学的な批判に耐えられる水準にない.例えば,山内昌之・佐藤優『新・地政学』(中央公論新社, 2016)では「南スーダンの位置にケニアが描画」され,船橋洋一『21世紀地政学入門』(文藝春秋, 2016)では「竹島が対馬海峡に描画」され,日本再建イニシアティブ『現代日本の地政学』(中央公論新社, 2017)では「チェコとスロバキアが合体」している.残念なことに,対象とした39冊のなかで,10枚以上の地図を掲載し,かつそれらすべての地図が一般的な地理学の書籍において必要される地理的知識と地図学の成果を踏まえた主題図表現の水準に達しているものはなかった.少なくとも,掲載されている地図の内容が高等学校地理修了水準未満の誤りを多々含んでいる以上,これらの書籍が「地理を下敷きにした科学」の名を名乗ることは許されないであろう. 土佐(2017)は「ポップ地政学」が地図という視覚情報を使うがゆえに,難解になりがちな地政学批判よりも一般社会への訴求力が強いことを懸念しているが,それはポップ地政学が用いる地図が高度なものであることを前提にしている.質の低い地図の大量掲載という事実は,適切に指摘さえすれば,逆に「ポップ地政学本」のレベルの低さを訴求する.日本のポップ地政学は,少なくとも用いる地図に関してはほとんど科学的な批判に耐えられる水準にない.地理学の仕事は,ポップ地政学の批判だけでなく,彼らがせめて高校レベルの地理と地図の知識を習得して出直すことができるよう,教育的見地から優しく諭すことだろう.【文献】高木彰彦 2017. 学界展望 政治地理. 人文地理69: 317-321.土佐弘之 2017. 地政学的言説のバックラッシュ―閉じた世界における不安と欲望の表出―. 現代思想45-18: 60-70.
著者
柏原 翔一 木崎 通 杉田 直彦
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2019年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.213-214, 2019-03-01 (Released:2019-09-04)

近年の工作機械は加工精度と加工能率を更に高めるために,従来よりも高剛性・高減衰性・低熱膨張性である工作機械構造体を開発することが求められている.そこで,本研究ではミネラルキャストを適用した高剛性・高減衰性・低熱膨張性である構造体を開発することを目的とする.ミネラルキャストの外殻を鉄で覆った構造体を提案し,解析や実験により静的変形・減衰性が従来の鋳鉄の構造体よりも高く熱膨張が小さくなったことを確認した.