著者
鶴田 一 十代田 朗 津々見 崇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.723-730, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
33
被引用文献数
1

国内ではカジノ政策の成功例としてシンガポールが取り上げられる事が多いが、同国における合法化検討の歴史とそれに伴う観光政策、都市計画の歴史が同時に考察される事は少ない。同国では2005年にIRという概念の下、カジノが合法化されたが、本研究はその際に具体的な証拠を基に議論がなされたかを検証し、カジノ合法化過程を観光政策、都市計画の歴史と併せて分析することで、3つの要素が各時代にどのような関連性を持つのかを考察する。さらに2005年のリー・シェンロン首相の声明文との整合性を検証し、最終的にIRに関して、観光政策との関連を踏まえながら、都市計画上の知見を得ることを目的とする。分析の結果、シンガポールでは1965年の建国時から合法化を4回否決してきたが、第4回目以降の合法化検討過程において、シンガポールの都市計画、観光政策は類似した内容を打ち出し、実施していくという関連性が見られた。また声明文での、IRにより大型の都市開発を海外からの投資を得て自国の経済的リスクを負うことなく短期間で行えるとの言及は、観光政策と都市計画とを関連させて新しい観光資源を生み出していくという点で有益と考えられる。
著者
中塚 武 佐野 雅規 許 晨曦
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.61, 2014

日本とアジアにおいて、樹木年輪やその酸素同位体比を用いて、近年、急速に進んできた過去2千年間の年単位での古気候(気温と降水量)の復元研究の成果を元に、これまでの日本の古文書・古日記等にもとづく古気候復元研究の蓄積を再評価し、日本の歴史時代の気候変動を、気候学的・歴史学的に概観する。具体的には、江戸時代における古文書記録から復元された総観気候場と樹木年輪酸素同位体比の広域時空間データが、夏季モンスーンの動態を良く説明できることや、弥生時代以来の日本の飢饉や反乱・内乱が、気温や降水量の数十年周期変動に伴って起きていることなどを明らかにすると共に、今後の研究課題を議論したい。
著者
児玉 柳太郎
出版者
歴研
雑誌
歴史研究 (ISSN:02875403)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.66-73, 2012-01
著者
福岡 義隆 丸本 美紀
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.215, 2011

1.いま何故、平城京ヒートアイランドか 昨今の温暖化(平成温暖期とする)に類似の平安温暖期(奈良時代から平安時代にかけて)における都市の熱環境はどうであったか。それは平城京や平安京の繁栄の現われなのか。文献的な検証により、古環境とくに気候環境への適応工夫を見直してみて先人の知恵を学ぶ手がかりにしたい。2.研究方法2-1 古典的な気候学研究方法からの類推(1)SchmidtによるWienにおける都市気温の成因分析.1917,(2)福井英一郎による土地利用比率からの都市気温の推定回帰式とAustasch概念導入.1956,(3)高橋百之による家屋密度Dと気温Tの関係式,T=αD+βで概略描写.1959,(4)河村武による都市温度成因分析,熱的指数1/(cρκ1/2)で微差補正.1964,(5)田宮兵衛による団地の気温分布参考.1968,(6)オーク、福岡、朴らによる人口数Pとヒートアイランド強度HII=AlogP+Bの回帰式で京内外の温度差推定(1987・1992,など)。2-2 平城京内の居住環境と土地利用の推定 馬場基著(2010)『平城京に暮らす』(吉川弘文館)~主に「大日本古文書」「平城宮木簡」「平常京木簡」「平城宮発掘調査出土木簡概報」などに基づく著書、宮本長二郎著(2010)『平城京―古代の都市計画と建築』(草思社)~各種古文書のほか奈良国立文化財研究所や歴史民俗博物館などの模型などに基づき穂積和夫によるイラストでの復元図、奈良文化財研究所編(2010)『平常京―奈良の都のまつりごととくらし』など3.冬季夜間のヒートアイランド推定結果 上記の手法、先行研究方法からの概略図把握および各種文献による微差補正などで下図を得る。 根拠とした数値など;_丸1_平城京の人口は10万~20万人と推定されているので、オーク・福岡らの人口とヒートアイランド強度(HII)の相関図から、おおよそHIIは1.5~2℃とした。_丸2_人が集まりやすい区域、例えば市場(東市・西市)とか頻繁に宴会が催された朝堂院、大学寮(式部省近く)、広場(行基の布教活動支援の大衆集合)等は周辺より高温とした。_丸3_大極殿とか長屋王邸などの屋根のように著熱効果のある瓦が大量に使われている建物群区域もやや高温とみなした(平常京全体で500万枚の瓦が使われた)。_丸4_朱雀大路とか二条通りなどの街路樹(槐、エンジュ)や佐保川とか秋篠川、大極殿北隣の溜池あるいは苑内池付近などの蒸発散面区域でやや低温であったと類推される。
著者
田崎,秀一
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, 2011-06-05
著者
小宮山楓軒
出版者
巻号頁・発行日
vol.[20],
著者
山下 博樹 藤井 正 伊藤 悟
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.125, 2005

1.はじめに 成熟時代を迎えた欧米をはじめとする多くの先進諸国では、20世紀に拡散・肥大化した都市地域をいかに持続可能なかたちに再構成するかが、都市政策の主要テーマのひとつとなりつつある。オーストラリア第2の都市であるメルボルンでもその都市圏の市街地は拡大の一途をたどり、住居・商業施設などの郊外化が進展した。しかし、そのような状況の中、メルボルンが位置するビクトリア州政府は都市圏の無秩序で拡散的な拡大を防ぐために、1970年代より郊外核となるアクティビティ・センターと都心の一体的な整備・開発を行ってきた。本報告では、地域住民の日常的な生活行動と関わりの深いショッピングセンターの立地動向より、メルボルン都市圏の地域構造の一端を明らかにする。さらに、アクティビティ・センター開発の特徴について述べる。2.ショッピングセンターの立地展開 メルボルン都市圏の人口336.7万人(2001年センサス)は、メルボルン市を中心にやや東に偏って分布している。その結果、主要なショッピングセンターの立地もそれに類似した傾向を示している。都市圏内に立地するショッピングセンターは、156カ所でその総売場面積は約255万_m2_である。メルボルン都心部に立地するのは10カ所、約13万_m2_に過ぎず、商業施設立地の郊外化が顕著である。売場面積が8.5万_m2_を超えるスーパーリージョナル型は4カ所、5万_から_8.5万_m2_のメジャーリージョナル型は12カ所となっている。ショッピングセンターの立地は、1970年代以後急速に進められたが、90年代後半よりその新規立地は減少傾向にある。3.アクティビティ・センターの開発 アクティビティ・センターの開発構想は、1970年代にさかのぼる。アクティビティ・センター開発の目的は、鉄道などの公共交通利用を基本とした、小売、サービス、オフィスなどの土地利用のミックス化と就業空間の形成である。その背景には公共交通利用の促進や職住接近などによる持続可能性の高いまちづくりがある。アクティビティ・センター開発の基本的な特徴は次のようにまとめられる。_丸1_アクティビティ・センターの開発は基本的には州が基本方針を立て、各自治体がそれを実行している。_丸2_その財源の確保は、基本的にはケースバイケースである。_丸3_郊外間を結ぶ公共交通は、アクティビティ・センター間をバスで結ぶ形で整備を進めている。_丸4_新規のショッピングセンターの開発は、ゾーニングにより基本的にはアクティビティ・センターへ誘導される。アクティビティ・センター以外へのショッピングセンターの開発などは、各自治体が調整を行っている。_丸5_郊外型の大規模ショッピングセンターもバスなどのアクセスを増やし、公共交通体系の中に位置づけている。 本研究を行うに際し、平成16_から_17年度科学研究費補助金基盤研究(C)(1)「成熟時代における都市圏構造の再編とリバブル・シティの空間構造に関する地理学的研究」(研究代表者:山下博樹)の一部を使用した。メルボルン都市圏における主要シヨッピングセンターの立地 1:メルボルン都心部 2:スーパーリージョナル型(売場面積8.5万_m2_以上)3:メジャーリージョナル型( 〃 5万_から_8.5万_m2_)4:リージョナル型( 〃 3万_から_5万_m2_) 資料:『Shopping Centre Directory Victoria & Tasmania (PROPERTY COUNCIL OF AUSTRALIA 刊)』より作成
著者
杉本 英晴 SUGIMOTO Hideharu
出版者
名古屋大学大学院教育発達科学研究科
雑誌
名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要. 心理発達科学 (ISSN:13461729)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.77-89, 2009-03-31

The present study examined the representation structure of "not getting a job" among university students and the relationships between such representations and career indecision. A total of 503 university students were asked to report how they would think about "not getting a job" in an open-ended question along with two scales measuring career indecision and the representations of getting a job. Results of text mining techniques indicated that the high, middle, and low classes of the text data subscale and the representation subscale were divided into eight clusters respectively: these were "negative aspect", "chasing one's dream", "do-what-one-wants-to-do oriented", "position in society", "ambivalent aspect", "dependence on the family", "impossibility of life" and "critical aspect". The negative aspect was categorized into the same cluster as the representation of getting a job that had preventing effects on career choices, whereas the critical aspect was grouped into the same cluster as the representation with enhancing effects. The ambivalent aspect and the low class of the representation subscale were sorted into the same cluster. Furthermore, it was found that those who captured the representations of "not getting a job" as the "negative aspect", "chasing one's dream", or "do-what-one-wants-to-do oriented" were most likely to be with an undecided career. Those who regarded such representations as "position in society", "ambivalent aspect", or "impossibility of life" were less likely to have had an undecided career, while students seeing the representations as "dependence on the family" or "critical aspect" were least likely. These results confirmed that the representations of "not getting a job" among university students had various aspects, and they could possibly affect students' career indecision.
著者
仁井田 陞
出版者
法律タイムズ社
雑誌
法律タイムズ
巻号頁・発行日
vol.4, no.8, pp.30-39, 1950