著者
二重作 昌満
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.s2, pp.s51-s54, 2023 (Released:2023-10-20)
参考文献数
3

本研究では、国民のレジャー活動の推移を検証するレジャー・レクリエーション研究の視点から、円谷プロが約60年に渡り大衆的に発信してきた特撮映像作品(全98作品、全2063話)に焦点を当て、各時代を生きる子ども達がどんな遊びをし、変化する時代背景によって日本の子ども達のレジャー活動はどう多様化していったのか、その変遷について悉皆調査及び作品関連資料の分析による検証を実施した。その結果、約60年に渡り発信されてきた円谷プロの特撮映像作品における子ども達のレジャー活動は変遷を遂げており、当初は複数の子ども達が空き地等で行なう外遊びが主流だったものの、時代の推移と共に空き地や道路といった特定の場所で遊ぶ描写が減少していったほか、教育ママや学習塾による束縛を理由に悩む子ども達、さらには家庭用コンピュータや携帯電話といった新メディアの普及による子ども達のコミュニケーションの変化等が描写されてきたことが確認できた。
著者
土屋 篤生 青木 宏展 植田 憲
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.2_1-2_10, 2023-09-30 (Released:2023-10-25)
参考文献数
15

千葉県における伝統的鍛冶技術は、職人の高齢化や後継者不足、社会構造の変化などの要因により消失の危機にあり、その記録および継承が急務である。館山市の房州鎌職人および柏市の型枠解体バール職人への聞き取り調査をもとに、それぞれの製作技術をまとめた。房州鎌:①地金と鋼を鍛接する。②鎌の形状になるように叩いて曲げ、薄く延ばしたのち、型どおりに切断する。③刃元の段差、ミネの勾配およびコバを付け、強度を増す。④水で焼き入れ・焼き戻しをする。型枠解体バール:①四角柱と八角柱の鋼材を鍛接する。頭部に用いる四角柱の方に硬度がより高いものを用いる。②スプリングハンマーを用いて頭を直角に曲げる。③爪を斜めにし、先を割って成形する。④同様にして尾を成形する。尾はおよそ 25 度の角度をつける。⑤焼き入れ・焼き戻しをする。焼き入れでは、工業用の油で半分ほど冷ましたのち、水冷する。両者とも要所の繊細な工程は手作業で、五感を駆使して行うが、鍛接や延ばしなど単純だが力を要する工程には機械を併用することで、高齢でも今日まで続けられている。

2 0 0 0 OA UV硬化塗料

著者
肥田 敬治
出版者
一般社団法人 表面技術協会
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.73-79, 2018-02-01 (Released:2018-11-01)
参考文献数
12
著者
稲垣 航大 久米山 幹太 石橋 澄子 谷口 守
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.23-00079, 2023 (Released:2023-10-20)
参考文献数
9

コンパクトシティを実現する上で政策に対する市民認知の重要性が指摘されている.そのような中,国土交通省の調査によるとコンパクトシティ政策に対する市民の自称認知は総じて低いことが示されている.そこで本研究では,市民のコンパクトシティ政策に対する内容を誤って認知していないか(誤認)について独自のアンケート調査を行った.分析の結果,1) 中山間地域からの撤退やタワーマンションの建設をコンパクトシティ政策だと高い割合で誤認されていること,2) 自称認知度が高いグループにおいて,むしろ誤認の割合が高くなることを明らかにした.自称認知度が高いグループは,行政に対する信頼も高いため,自治体がコンパクトシティ政策に関して提供している情報自体が誤認を招く内容になっている可能性があることに留意が必要である.
著者
安達 智史
出版者
東北社会学研究会
雑誌
社会学研究 (ISSN:05597099)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.139-164, 2015-07-10 (Released:2022-01-21)
参考文献数
19

本稿は、多文化社会における女性若者ムスリムが、複数の社会的期待に直面する中で、どのように自身のアイデンティティを構築し、社会への参加を実現しているのかについて、イギリスのコベントリー地区のインタビュー調査に基づき描くものである。分析の結果は、インフォーマントが、イスラームを遵守すべき最も重要な規範として引き受ける一方で、アイデンティティを分節・(再)接合しながら、イスラーム、イギリス社会、コミュニティや家族、そして多様な志向や背景を有する友人たちと関係を築いていることを示している。こうしたアイデンティティ管理、そして、それを通じた社会への統合に寄与しているのが、彼女たちが生きる多文化社会という現実である。多文化社会が、アイデンティティの多様化を要請し、それを管理する自律性を発展させることにより、女性若者ムスリムがそうした社会に適応することを可能にしている。それは、文化と宗教の区別やスカーフの着用をめぐる彼女たちの態度に看取することができる。
著者
山口 敬太
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45.3, pp.241-246, 2010-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
44
被引用文献数
1

1920から30年にかけて、東西30kmにおよび複数の市町村にまたがる六甲山に、行政界や都市計画区域を越えた「一大森林公園」としての位置づけをもった山地開発計画が立てられた。本研究では、この山地開発計画の策定経緯と具体的内容、およびその目的について一次史料をもとに明らかにした。その結果は以下の通りである。山地開発計画の作成主体は、兵庫県都市研究会と神戸市都市計画部であり、前者の計画原案を作成したのは、都市計画地方委員会技師兼兵庫県技師であった森一雄であった。両者ともにその山地開発の根本目的は、風致の保全を前提とした山地および風景地の開放にあり、道路と公園的施設の配置が主眼となった。道路については、兵庫県都市研究会が骨格となる幹線道路を、神戸市都市計画部が都市計画区域内の道路網を充実させる案を示し、両者により統一的な計画案が示された。またそれは、自動車用の幹線道路と徒歩道路とを織り重ねたものであり、その計画路線は遊行と自然鑑賞を満足させるように考慮された。さらには、観賞樹の植林等により風景の保護修飾をなすとともに、様々な種類の公園的施設の充実が図られた。
著者
横小路 泰義
出版者
日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.11, no.6, pp.794-802, 1993-09-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
31
被引用文献数
11 20

2 0 0 0 OA 薬剤性肺障害

著者
伊藤 善規 千堂 年昭 大石 了三
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.127, no.6, pp.425-432, 2006 (Released:2006-08-01)
参考文献数
62
被引用文献数
5 7

薬剤の投与により,肺間質組織へのマクロファージ,好中球,好酸球およびリンパ球などの炎症性細胞の浸潤によって炎症を呈し,肺胞壁の肥厚によって呼吸困難などの症状を呈するのが薬剤性間質性肺炎である.間質性肺炎や肺線維症,さらには肺水腫や急性呼吸不全症候群といった肺障害を引き起こす可能性がある薬剤は極めて多い.薬剤性肺障害は発症機序から肺組織に対する直接的な障害作用に基づくものとアレルギー反応に基づくものに分類されるが,多くの場合は両機序が相伴って発症すると考えられている.直接的な細胞障害作用を引き起こしやすい薬剤として,抗癌薬や抗不整脈薬(アミオダロン)があり,肺障害の発現頻度は投与量に依存する.一方,アレルギー性肺障害を引き起こしやすい薬剤としては,抗生物質,抗リウマチ薬,インターフェロン(IFN),顆粒球コロニー刺激因子製剤,小柴胡湯などが挙げられ,この場合の発現は投与量に依存しない.アレルギー性肺障害は予測が困難であり,かつ,症状の進行が早く,発症後,数日以内に呼吸不全に陥ることもある.本稿では,肺障害を起こしやすい代表的な薬剤を取り上げ,その発症機序と対策について述べる.
著者
Daisuke NISHIO-HAMANE Takeshi YAJIMA Norimasa SHIMOBAYASHI Masayuki OHNISHI Takefumi NIWA
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
Journal of Mineralogical and Petrological Sciences (ISSN:13456296)
巻号頁・発行日
pp.230711, (Released:2023-10-25)

Asagiite, a newly-discovered mineral having the ideal formula NiCu4(SO4)2(OH)6·6H2O, is a member of the ktenasite group, representing a Ni analogue. It occurs as a secondary mineral on smithsonite aggregates that overlie fractures in a serpentinite found in the Nakauri mine within Aichi Prefecture, Japan. Asagiite exhibits a unique pale blue-green coloration and so is named after the traditional Japanese color “asagi-iro.” Asagiite occurs as thin plate-like crystals with perfect cleavage along {001} planes. The crystal size of this mineral is typically 0.1 to 0.2 mm, although in rare cases crystals may range up to 0.5 mm in length. These crystals are vitreous, transparent and non-fluorescent and have also been shown to be brittle with a Mohs hardness of 2½. The measured and calculated densities of asagiite are 2.90(3) and 2.92 g·cm-3, respectively. This mineral is optically biaxial (-) with α = 1.577(2), β = 1.620(2) and γ = 1.631(2) together with a 2Vcalc value of 52.4°. Electron microprobe analyses determined an empirical formula (based on 2S) of (Cu3.44Ni0.76Zn0.59Co0.18Fe0.01)Σ4.98S2O7.95(OH)6.05·6H2O. Based on single crystal X-ray diffraction data, the structure is monoclinic with space group P21/c and unit cell parameters a = 5.6095(8), b = 6.1259(7), c = 23.758(3) Å, β = 95.288(4)°, V = 812.92(17) Å3 and Z = 2. Single-crystal structural determination also gives an R1 value of 0.0303. The seven most intense peaks in the powder X-ray diffraction pattern [d in Å (I/I0) hkl] were found to be 11.830 (100) 002, 5.912 (64) 004, 4.845 (55) 013, 3.920 (45) 006, 2.953 (33) 008, 2.668 (57) 202 and 2.571 (36) 123, with unit cell parameters of a = 5.614(5), b = 6.108(8), c = 23.758(18) Å, β = 95.62(7)° and V = 810.8(14) Å3.
著者
木下 浩一
出版者
日本メディア学会
雑誌
メディア研究 (ISSN:27581047)
巻号頁・発行日
vol.103, pp.173-192, 2023-07-31 (Released:2023-10-24)
参考文献数
20

Since Tuchman’s (1978) analysis of newsroom routines, related case studies have been accumulating in the United States for over 40 years. Many studies have employed ethnographic methods to examine how news workers gatekeep news. In recent years, Mari (2016) has attempted to describe a social history of the newsroom, furthering its contextual understanding.    This research tried to describe the social history of the "photographers" who belonged to major Japanese newspaper companies after World War II, using the Shinbunkenkyu as the source material and extracts the dominant factors and contexts in postwar Japan.    The following are the extracted factors and contexts.     1) The first factor is education: Higher education influenced the rise of the photographers’ status in Japanese newsrooms. Professional education in photography had a short-lived impact and was replaced by higher education as general education. In the United States, it was professional education in higher education that elevated the status of photographers, contrary to Japan’s case.     2) The second factor is technological advancements: In Japan in the 1990s, the spread of electronic cameras, the ease of sending photos electronically, and the systematization of newsrooms limited the rise of the photographers’ status in newsrooms. Whereas in the United States, this elevated their status. The difference between Japan and the United States arose from the combination of other technologies.     3) The third factor is labor unions: Japanese labor unions aimed for uniform treatment in newsrooms, and the unintended consequence was curbing the differentiation of news workers. In the United States, where weekly wages were set for each type of job, labor unions promoted the differentiation of news workers.    4) The fourth factor is specific coverage area and news sources: The lack of specific coverages areas and news sources has had significantly impacted their status in newsrooms.
著者
金子 亜由美
出版者
論潮の会
雑誌
論潮 (ISSN:18821982)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-22, 2022-08-10 (Released:2023-10-02)
著者
小林 明美
出版者
密教研究会
雑誌
密教文化 (ISSN:02869837)
巻号頁・発行日
vol.1983, no.141, pp.L86-L68, 1983-02-21 (Released:2010-03-12)
著者
山崎 吉朗 臼山 利信 茂木 俊浩
出版者
一般社団法人 日本外国語教育推進機構
雑誌
複言語・多言語教育研究 (ISSN:21887403)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.183-190, 2019 (Released:2021-04-22)

The members of the JACTFL (Japan Council on the Teaching of Foreign Languages) executive board, President Mr. YAMAZAKI Y., Prof. USUYAMA T. and Mr. MOGI T. paid a visit to the Tokyo Metropolitan Board of Education on November 28, 2019 in order to appeal directly to the key person on decision-making process in the Tokyo Metropolitan Government (TMG). We made a request to keep supporting the multi-lingual education and the international exchange programs and to continue their financial funding after the Olympic Paralympic Games. Mr. UDA Takeshi, Special Advisor on Education of Tokyo Metropolitan Board of Education of TMG, mentioned the importance of the multi-lingual education policy in school education (focused on English education) long before and articulated his intention to continue supporting it after Tokyo 2020 Games.
著者
神保 洋之 阿部 琢巳 花川 一郎 国井 紀彦 西野 猛 桑沢 二郎 岩田 隆信 松本 清
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.312-316, 1993-06-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
7

過去3年間に当科で経験したいわゆるyoung adults (15歳~45歳) の, 高血圧性出血を含めた脳内出血20例のうち, 出血原因不明であった5例に対し検討を加えた.年齢は, 15歳から29歳 (平均21.4歳) でいずれも若年者であり, 出血部位は皮質下出血3例, 尾状核頭部1例, 被殻1例であった.治療は開頭血腫除去術を施行したもの2例で, その他は保存的に経過をみた.予後はいずれも良好であった.推察し得る出血原因については各症例ごとに異なっており確定診断を得ることは困難であったが, 様々な観点から出血原因を検討することが必要であると考えられた.
著者
大崎 康宏 土井 勝美
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 (ISSN:24365793)
巻号頁・発行日
vol.126, no.1, pp.7-11, 2023-01-20 (Released:2023-02-01)
参考文献数
11

半埋め込み式人工中耳である Vibrant Soundbridge® (VSB) は電磁式の振動子を持ち, 高音域の増幅を得意とする. 補聴器と比較して歪みの少ない音の伝達が可能となり, 外耳道を閉塞して生じる諸問題がなく, 審美面でも優れている. またほかの人工聴覚器と比較して明瞭度がよいこと, ハウリングが少ないことも利点と考えられる. 本邦では Colletti らが2006年に発表した術式を元に伝音・混合性難聴を適応疾患として導入された. 人工内耳と同様に全身麻酔下で手術が行われるが, 振動子を中耳のどこに設置すると効果的かを判断する必要があり, 振動子を正円窓窩に設置する round window vibroplasty, 卵円窓に設置する oval window vibroplasty, また残存耳小骨に設置する vibrating ossicular prosthesis を適切に使い分ける. 音入れは通常術後8週目以降に行い, 近年は vibrogram の結果を活用して調整が行われる. 海外では感音難聴も適応疾患となっており, 高音域では 85dB と高度難聴の領域もカバーされている.