著者
友利 幸之介
出版者
公益社団法人 北海道作業療法士会
雑誌
作業療法の実践と科学 (ISSN:24345806)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.57-67, 2019 (Released:2019-11-29)
参考文献数
24

作業療法のエビデンス構築は, 他領域と比べて明らかに遅れている. これは研究者の責任に依るところが大きいと猛省しているが, 臨床研究には臨床家の参画が欠かせない. 臨床家一人ひとりが, 研究を他人事とせず取り組むことが求められている. そこで本稿では, 作業療法研究のロードマップと題して, 1) まず研究論文を日々の臨床で活用することから始め, 2) 良質な事例報告とは何かを定義し, 3) 事例報告で生成された仮説を疫学研究へ発展させるための方法と, 4) 最後にエビデンスを構築するための仮説検証方法について論ずる.

43 0 0 0 OA 国史大系

著者
経済雑誌社 編
出版者
経済雑誌社
巻号頁・発行日
vol.第14巻 百錬抄 愚管抄 元亨釈書, 1901
著者
堀口 裕治 山田 稔
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.39-43, 2013 (Released:2013-06-21)
参考文献数
18

75歳,男性。スッポンの卵を生で食べた約8週後,右側腹部にそう痒を伴う赤い結節が生じた。初診時,径約 15mm の隆起性で柔らかい赤色結節が見られ,近傍の皮下に浸潤をふれた。パンチ生検を行ったところ,結節の中に白色の紐状の寄生虫をみとめた。その表面の性状,頭部の形,虫体内の石灰小体の存在からマンソン裂頭条虫のプレロセルコイドと同定した。また,血清中の抗マンソン裂頭条虫抗体価の上昇を確認した。生検時に幼虫を除去したのちには再発はみられず,3ヶ月の経過で抗体価は減少した。本例をスッポンの卵の生食により罹患した早期のマンソン孤虫症と診断した。文献的にもスッポンの生食は寄生虫に感染する可能性があると考えた。(皮膚の科学,12: 39-43, 2013)
著者
岩本 雅也 土井 幸輝 戸川 達男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.81, pp.21-24, 2006-05-20
参考文献数
7

聴覚器官は機械的構造をもつことから,熱膨張や組織の弾性率の温度特性により絶対音感(AP)に体温の影響があると考えられる.そこで本研究では,体温がAPにどのように影響するのかを調べた.純音発生器を用いてAP保持者自身の音高でA4(440Hz)に調節するように指示し,同時に耳式赤外線体温計によって鼓膜温度を測定した.その結果,被験者が440Hzと認識した周波数と体温には,限定的な期間において高い相関(R^2=0.7以上)が見られ,温度係数が約-3Hz/Kであることがわかった.このことから,極限の周波数弁別能力を達成するためには,蝸牛内の体温は約0.1Kの精度で調節される必要があると考えられる.
著者
Junya Sado Tetsuhisa Kitamura Yuri Kitamura Rong Liu Emiko Ando Tomotaka Sobue Yumi Sugawara Keitaro Matsuo Tomio Nakayama Ichiro Tsuji Hidemi Ito Takaichiro Suzuki Kota Katanoda Suketami Tominaga
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Journal (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.757-766, 2019-03-25 (Released:2019-03-25)
参考文献数
32
被引用文献数
5 10

Background: Coffee, which contains various bioactive compounds, is one of the most popular beverages. Further accumulation of evidence is needed, however, to confirm whether coffee consumption would be effective in preventing cardiovascular disease in the general Japanese population. Methods and Results: We evaluated the association between coffee consumption frequency (never, sometimes, 1–2 cups/day, 3–4 cups/day and ≥5 cups/day) and mortality from all causes, heart disease, and cerebrovascular disease, in 39,685 men and 43,124 women aged 40–79 years at baseline, in a 3-prefecture cohort study. The coffee consumption frequency was assessed on questionnaire. Cox proportional hazards regression modeling was used to assess the association between coffee consumption frequency and all-cause and cardiovascular disease mortality with adjustment for potential confounders. During 411,341 and 472,433 person-years in men and women, respectively, a total of 7,955 men and 5,725 women died. Coffee consumption frequency was inversely associated with all-cause mortality in both genders (P for trend<0.001). In addition, the risks of mortality from cerebrovascular disease in men (P for trend<0.001), and heart disease in women (P for trend=0.031) were inversely associated with coffee consumption. Conclusions: In this Japanese population, coffee drinking has a preventive effect on all-cause and on cardiovascular mortality in men and/or women.
著者
林 正人
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1_44-1_56, 2009-07-01 (Released:2011-07-01)
参考文献数
44
被引用文献数
1

近年の電子情報通信に関するデバイス技術の進化にしたがって,物理層の奥深くまで踏み込んだ情報処理が可能になりつつある.このような事情から,究極の情報処理理論として量子情報理論が定式化され,様々なバックグラウンドを持った研究者の努力により急激に進展した.しかしながら,量子情報理論では,これまでブラックボックスとして扱っていた部分に踏み込んで情報処理理論を展開するので,基本的概念の理解のレベルでさえ様々な参入障壁がある.本稿では,これらの障壁を取り除くため,初学者が誤解しやすい点や概念に重点を絞って解説する.例えば,波動関数と密度行列の違い,物理量とPOVM,状態複製と状態準備の違いなどについて丁寧に触れる.同時に,量子情報理論の最近の研究動向を解説する.具体的には状態識別,量子通信路符号化,量子鍵配送などの最新に成果にも触れる.
著者
真鍋 祐子
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.46-67, 1996-06-15 (Released:2017-07-18)

1970年11月13日、ソウルにある零細裁縫工場の労働者であった全泰壹は、勤労基準法の遵守を叫ぶ示威の最中、抗議のための焼身自殺を遂げた。体制をはじめとする他者たちに向けて演じられた彼の死は、60年代以降の飛躍的な経済成長め裏側で生存権を剥奪された民衆が、初めて歴史の主体として登場した事件と評される。伝統的な儒教の孝倫理に背く自殺という手段が敢行されたにもかかわらず、むしろ「冤魂」をめぐる両義性のゆえに、彼は韓国の民衆運動において尊崇されるべき殉教者のモデル、すなわち「烈士」に祀られた。本稿はその神話化過程を分析する試みであり、趙英来著『全泰壹評伝』(1983年)を資料とする。著者の析出した全泰壹闘争の在り方からは自己スティグマ化による価値逆転の過程が見出され、また生と死に関する記述から「民族民主主義」のための供犠としての意味づけが示唆された。ゆえに、それは80年代へ通ずる殉教者神話となりえたのだろう。
著者
中川 雅晴
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.156-163, 2017-09-30 (Released:2017-11-05)
参考文献数
18

チタンは優れた耐食性を有するが,酸性フッ素環境では容易に腐食することが知られている.pHが低下しているプラーク内面や歯肉縁下などにフッ素含有歯磨剤が投入されると,一時的に酸性フッ素環境となりチタンの腐食が生じる可能性がある.一時的な腐食が長期間累積すると,腐食孔や腐食組織に発展する.腐食によって表面が粗糙化するとプラークや口腔内細菌の付着が助長され,インプラント周囲炎等の発症のリスクになるおそれがある.したがってチタンインプラントが埋入されている場合,フッ素含有歯磨剤の使用を控えるか,フッ素濃度の濃い歯磨剤がインプラント体に触れないように,インプラント埋入部以外の場所からブラッシングを開始することを推奨する.
著者
内山 弘 UCHIYAMA Hiroshi
出版者
鹿児島大学
雑誌
地域政策科学研究 (ISSN:13490699)
巻号頁・発行日
no.7, pp.219-236, 2010-03

I have collected words and phrases used in 2channel (Ni-channel) and Nikoniko-doga,and divided them into five categories according to their characteristics: (1) grammatical,(2)phonetic,( 3) orthographical,(4 )vocabulary,and (5) style. As a result,I found that the orthographical category (inc1uding pictorial) has the greatest number of expressions,followed by the categories of vocabulary and style. In the orthographical category,there are various expressions influenced by the arrangement of Japanese letters on the key-board,the process of installing Japanese words,the similarity of letter shapes,size of letters,and omission. We find many examples of abbreviations,new words,and change of meaning in the category of vocabulary. It's especially noticeable that the words which were once deconstructed or used as parts of other words and AA (ASCII Art),are rearranged as new words. In style,there are a lot of baby words,euphemisms,and AA,which may help to convey precisely what a writer wants to tell. Based on these analyses,I noticed that there are mainly three motives for producing new Net-words: (1)the writer's desire to differentiate their own words from other writers' words,( 2) the writer's desire to make the work easier,and/or (3) the writer's desire to create novel expressions. I think writers' desires to create novel expressions,or "word neophilia",is potentially a rich source of new Net-words for the future.
著者
武藤 崇 Takashi Muto
出版者
心理臨床科学編集委員会
雑誌
心理臨床科学 = Doshisha Clinical Psychology : therapy and research (ISSN:21864934)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.31-38, 2018-12-15

本稿の目的は,「チャレンジング行動」という用語が含意する,認知症のBPSDに対する介入におけるパラダイム・シフトの核心を明確にすることであった。そのため,本稿の構成は,1)Challengeという英語から「チャレンジング行動」を検討する,2)学術的な「チャレンジング行動」の含意を明確にする,3)認知症のBPSDと「チャレンジング行動」の使用に関する動向を検討する,4)James(2011)による「チャレンジング行動」の定義からの示唆を明確にする,となっている。結論として,チャレンジング行動そのものを「主体」として(擬人化して)焦点化し,その上で,認知症の人と,その周囲の人たちが,協働して取り組む課題として捉えることが,当該のパラダイム・シフ トの核心である,ということが明確となった。
著者
金 政秀
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2010-02

制度:新 ; 報告番号:甲3026号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2010/3/15 ; 早大学位記番号:新5286
著者
高田 治樹 菊地 学 尹 成秀
出版者
目白大学
雑誌
目白大学心理学研究 = Mejiro Journal of Psychology (ISSN:13497103)
巻号頁・発行日
no.16, pp.1-13, 2020-03-31

本研究は,多種のオタクカテゴリとオタクカテゴリに対する印象との関連性を検討することを目的として調査を実施した。調査対象者は,自身をオタクと自認するオタク群258名となり,自身をオタクと認識しない一般群258名を対象とした。オタク群と一般群によるオタクカテゴリごとの印象の差を検討した結果,カテゴリによって,オタク群は一般群よりも社交性に関するポジティブなイメージを抱きやすく,マナーの悪さに関するネガティブなイメージを抱いていた。また,一般群はオタク群よりもオタクカテゴリに対して不健康で,大人しいという印象を抱いていた。さらに,オタクカテゴリと印象評定との相互関連性を双対尺度法によって検討した結果,腐女子とマンガオタクは過激で妄想しやすいという印象でまとめられ,女性アイドルオタクと声優オタクは不健康という印象でまとめられ,ゲームオタクと鉄道オタクは陰気でマナーが悪いという印象でまとめられ,アニメオタクやコスプレイヤーは恋愛が苦手で大人しいという印象でまとめられた。本研究の結果から,一般群においていまだにオタクに対する偏見がみられ,その偏見はオタクカテゴリごとの異なる印象が統合された偏見である可能性が示唆された。
著者
水川 葉月 池中 良徳 筧 麻友 中山 翔太 石塚 真由美
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.137, no.3, pp.257-263, 2017 (Released:2017-03-01)
参考文献数
17
被引用文献数
3

The ability to metabolize xenobiotics in organisms has a wide degree of variation among organisms. This is caused by differences in the pattern of xenobiotic bioaccumulation among organisms, which affects their tolerance. It has been reported in the veterinary field that glucuronidation (UGT) activity in cats, acetylation activity in dogs and sulfation (SULT) activity in pigs are sub-vital in these species, respectively, and require close attention when prescribing the medicine. On the other hand, information about species differences in xenobiotics metabolism remains insufficient, especially in non-experimental animals. In the present study, we tried to elucidate xenobiotic metabolism ability, especially in phase II UGT conjugation of various non-experimental animals, by using newly constructed in vivo, in vitro and genomic techniques. The results indicated that marine mammals (Steller sea lion, northern fur seal, and Caspian seal) showed UGT activity as low as that in cats, which was significantly lower than in rats and dogs. Furthermore, UGT1A6 pseudogenes were found in the Steller sea lion and Northern fur seal; all Otariidae species are thought to have the UGT1A6 pseudogene as well. Environmental pollutants and drugs conjugated by UGT are increasing dramatically in the modern world, and their dispersal into the environment can be of great consequence to Carnivora species, whose low xenobiotic glucuronidation capacity makes them highly sensitive to these compounds.

43 0 0 0 新日本経済

出版者
新日本経済社
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, 1963-01
著者
彬子女王
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究の一番大きな成果は、大英博物館の日本コレクションの草創期である19世紀後半から、コレクションが盤石なものと変容を遂げていく約100年間の日本関連の展覧会図録の調査を通して、大英博物館の学芸員たちの日本美術に対する理解の変遷の過程が明らかになったことである。19世紀後半のコレクターの主観が反映されたやや偏った日本美術理解が、日本から直接情報が入ってくるようになったことで徐々にその誤差が少なくなり、現代の漫画や伝統工芸の展示などを通して、大英博物館独自の日本理解を示すようになる過程を追うことができた。