著者
伊藤 彰浩 阿曽沼 明裕 村澤 昌崇
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

前年度に引き続き、1)州間比較によっての州の高等教育機関の機能分化のパターン調査、2)機能分化が形成されたプロセスの歴史学的な比較分析、3)研究大学の規模や組織構成、専門分野構成など構造の数量的な比較分析、の3点をおこなった。まず1)について、今年度は、カリフォルニア大学バークレー校を訪問し、州の高等教育機関の機能分化における研究大学の特徴について調査するとともに、スタンフォード大学も訪問し州高等教育機関の機能分化の私立大学への影響について調査した。また、米国教育省の個別大学データベースIPEDSを使って研究大学の特徴について分析した。2)については、戦間期までのアメリカの州レベルの高等教育システムの変化を歴史的にたどる作業をさらにすすめ、州毎の公立高等教育システムの形成過程 を、とくにいわゆるフラッグシップ大学とよばれる州立研究大学の形成過程を中心に考察し、論文執筆をすすめた。とともに、州高等教育システムに関する歴史的データベース構築をさらにすすめた。3)については今年度は、アメリカの大学の組織・経営に関する基礎的な文献(Bess&Dee)を読み進め、アメリカの研究大学の特性を明らかにした。さらに、分析のための方法論の習得を進め、欠測値補完、ゼロの多いデータを扱える分析方法(Zero-Inflated model, Hurdle model等)を習得し、その応用可能性を検討した。以上を踏まえて、3つの研究課題のそれぞれに関する研究とりまとめの作業をすすめた。
著者
朴澤 泰男
出版者
国立教育政策研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、現代日本における大学生の中途退学の社会経済的な背景と、政府や大学による退学の抑制政策(奨学金、教育条件の向上など)の効果を明らかにするとともに、退学が個人に及ぼす社会経済的な帰結を分析した。その結果、家計所得の増加、大卒者の高卒者に対する相対賃金の上昇、奨学金受給率の上昇、大学の選抜性の上昇、教員・学生比率の低下が中退率の低下に結びつくことや、大学中退者の年収は、高卒者と同等の水準である反面、年収の散らばりも大きいことなどが明らかになった。
著者
杉本 和弘 鳥居 朋子 高野 篤子 佐藤 万知 立石 慎治 猪股 歳之 福留 東土
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

大学におけるミドルマネジメント人材の状況について、2012年実施の「大学の組織運営とマネジメント人材育成調査」のデータを用いて、学科長として必要な能力構造を析出し、また学科長の遂行能力が多様な経験や教職協働に支えられていることを明らかにした。他方、アングロサクソン諸国を中心に大学や大学コンソーシアムで展開されているアカデミック・リーダー育成プログラムの内容・構成・受講者等について現地調査を行うとともに、東北大学で実際に提供している同種プログラムの実装・改善に活かした。また、国内大学や大学団体が提供するマネジメント人材育成の取組や研修についても調査を行い、その特徴について学会発表を行った。
著者
辻本 雅文 服部 明 後藤 芳邦
出版者
帝京平成大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

小胞体アミノペプチダーゼ(ERAP1)はインターフェロン(IFN)-γ およびリポ多糖(LPS)処理によりマクロファージから分泌される。このことは、分泌されたERAP1が血液中の血管作動性物質に作用し、血圧を調節している可能性を示している。ERAP1の分泌機構を検討した結果、IFN-γ およびLPS処理により発現誘導されるIFN-β等のサイトカインが細胞内カルシウム濃度を上昇させることが重要であることが示された。また分泌されたERAP1がアンジオテンシンII などN-末端にアルギニンを有するペプチドに作用し、一酸化窒素を産生することで血圧調節に関与しうることも示された。
著者
東川 浩二
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

言論規制は、例え犯罪防止目的であったとしても、言論の自由の侵害であると捉えられる。本研究では、言論規制が言論の自由を侵害することによって生じる害悪について検討し、そのような害悪が生じない場合での規制可能性について検討を行った。その結果、言論規制の害悪を萎縮効果との関連で論じることが多いことから、萎縮効果が生じない場合、例えば話者が当該言論を犯罪行為の一部として行っている場合には、規制が許容される余地があることがわかった。このことは、名誉毀損法における現実の悪意の理論で紹介されているものであり、今後、この法理の発展・応用を検討する必要があると結論した。
著者
能登路 雅子 藤田 文子 シーラ ホンズ 吉見 俊哉 谷川 建司 土屋 由香 矢口 祐人 梅崎 透
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究は冷戦期を中心にアメリカの文化外交の実態を学際的に解明することを目的とし、特に1940年代から70年代にかけて米国国務省が民間人や民間機関、ハリウッド映画産業や航空機産業などの企業と緊密な連携を保ちつつ、日本を含むアジア地域で積極的な文化外交を展開した実態を3年間を通じて明らかにした。本研究が特に注目したのは文化外交の政策的内容よりも実践レベルにおける当事者の意識・行動とその調整・抵抗といった変容のプロセスである。第二次大戦後、戦略的重要性を高めたアラスカ・ハワイの州昇格の際にアメリカ政府が製作した広報映画の分析も研究成果のひとつであるが、太平洋地域における植民地統治と文化的影響に関する幅広い研究を進めたことも本プロジェクトの学術的貢献としてあげられる。特にサイパンとパラオ共和国における実地調査を通じて、スペイン・ドイツ・日本・アメリカによる統治が現地に残した文化とアイデンティティにおける多層な影響力をポストコロニアルの視点から理解し、文化外交が一国の国益を超えた文化混淆をもたらす実態を長い歴史的スパンで、またローカルな文化実践との関連で捉えることができた。
著者
旗手 瞳
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

当初、計画していた通り、英国図書館蔵敦煌チベット語文献IOL Tib J 1253の訳注を行った。この文書は敦煌が吐蕃支配下にあった時期に作成されたもので、吐谷渾人で組織された二つの千戸(新旧のカルツァチン千戸)の千戸長をめぐり、ある一族内で発生した争いを記録している。この文書はこれまで五人の研究者(F. W. Thomas, 山口瑞鳳, S. Coblin, 周偉洲, 陳践践)によって取り上げられてきたが、いずれも部分的な分析にとどまるか、あるいは吐蕃について研究が進展したことで、今日では訂正されるべき箇所が少なくない。申請者は、五人の研究を踏まえた上で、あらたな日本語訳注を作成した。と同時に、文中で問題となっている千戸がどういう過程を経て設置されたものか、また千戸長の任命が行われたかを、詳細に検討した。その結果、千戸設置は必ず宮廷ないし中央の大臣の主催する議会で決定されていたことを示した。また千戸長任命の過程で行われる推薦に、「吐谷渾王」とチベット中央から派遣されたと考えられる「吐谷渾の担当大臣」が関与していたこと、任命者は「デの大臣」であるが、その任命は中央の認可を得た上で行っていたことを示した。加えて、本文書から明らかにされた千戸長任命の過程を、吐蕃中央で行われた千戸長任命と比較することを試みた。その際、使用したのは現在もラサに残るショル碑文である。そして、両者から吐蕃の千戸長の特徴として、①千戸長は、ある人物の貢献に対する恩賞として与えられる②千戸長は世襲が保証され、実際に親子間で世襲されていた③有為な人材を得るために、千戸長の候補者は時として貢献を捧げた人物の子孫だけでなく、祖父の世代にまで遡って、その子孫も含むよう設定されたという三点を示した。
著者
駒井 三千夫 白川 仁 後藤 知子
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

これまでの報告では、苦味レセプターTAS2R遺伝子中のSNP(一塩基多型)は苦味感受性に大きな影響を与えていることが判明している。ブロッコリー等のアブラナ科植物の苦味を敏感に感じ取ることが可能な人では、発癌リスクが高いと推定される疫学的データがあるため、その苦味感受性とその物質の代謝酵素の活性も違う可能性も類推される。苦味レセプターの多型と苦味感受性の相関関係を明らかにしていくことは、苦味受容機構の解明につながるほかに、個人の遺伝的素因と疾病発症の関係を解明する糸口になるものと考えられる。よって本研究では、被験者個々人のTAS2R遺伝子のSNP検出と官能検査を行い、苦味感受性に関与するSNPを同定することを目的とした。今の段階では研究結果の詳細を公開することはできないが、以下に成果の概略を記す。平成21年度の研究では、TAS2R44とTAS2R45におけるSNPの組み合わせに規則性がみられ、これらの遺伝子型はカフェインの閾値とは関連が見られなかったものの、カフェインの苦味強度との関連が見られた。これらのSNPの組み合わせは苦味感受性に影響を及ぼしていることが示唆された。TAS2R44、TAS2R45のハプロタイプを解析した結果、TAS2R44では3つのハプロタイプ、TAS2R45では2つのハプロタイプが観察された。これらのハプロタイプの組み合わせにより、被験者48人は3種類、官能検査を行った38人は2種類の遺伝子型に分類することができた。これらの成果は、今後の研究の進展に極めて重要である。
著者
牟田 淳
出版者
東京工芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

私は主に形の縦横比率とその形に対して人々が抱く印象間の関係を日本と米英に於ける各々千人程度のアンケート結果を用いて研究した。形の種類は四角形、キャラクター、顔等とした。四角形の場合、米英人は黄金比四角形を有意に好む場合があるが日本人は正方形を有意に好む事等が明らかになった。キャラクターの場合、日本人は細長くないキャラクターを好むが米英人は細長いキャラクターを好む事等が判明した。顔の場合、日本人は前髪を分けた幾分細長い顔を好む事等が判明した。以上から好みの比率は不変ではなく、民族や形の種類等により変化する事等が判明した。
著者
前橋 明 浅川 和美 佐野 裕子 泉 秀生 松尾 瑞穂 長谷川 大
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

2012年度から2014年度の3年間で、述べ25県の幼稚園に通う3歳~6歳児15,575名、1都1府35県の保育園に通う1歳~6歳児41,797名の生活習慣調査を実施し、結果の返却と、希望の保護者には個人健康カードを作成して配布した。また、各地の行政や教育委員会と連携し、2012年は、18地域で延べ22回、2013年は、34地域で延べ70回、2014年は、24地域で延べ79回の健康づくり理論普及の講演会や、生活リズム向上のための運動指導などを展開した。生活習慣調査と講演会開催担当者358名を対象に、実践に対する評価を調査た結果、子どもたちの生活リズムが改善し、元気になったと回答が寄せられた
著者
上羽 陽子
出版者
国立民族学博物館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、ものづくりの「作りの手個人の創意工夫」や「伝統的技術の戦略的継承法」に実践的にアプローチし、その製作と流通の歴史を掘り起こすことによって、「伝統的」とされてきた手工芸品の社会・文化的意義をめぐる従来の視点を大きく変えることを目的とした。成果としては、南アジアの染織技術の特質について、インド西部やネパールなどの事例から明らかにした。
著者
香川 敬生 野口 竜也 赤澤 隆士 小林 明夫 北村 正志
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

2007年10月より緊急地震速報が運用され,他にもP波センサーが機器の緊急停止に用いられ,計測震度計で得られた各地の震度が速報されている。しかし,これらは独立に設置・運用されており,有機的かつ総合的な活用には至っていない。そこで,市販の計測震度計に緊急地震速報受信およびP波センサーの機能を付加することでP波センサーによる推定震度,緊急地震速報を用いたその場所の予測震度,実際の揺れによる計測震度を出力する「三段階震度計」を試作し,その活用方法の検討をおこなった。
著者
小池 博明
出版者
長野工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、古今集的表現と一括される三代集の表現を、助詞・助動詞・構文・文章構成を観点として考察した。その成果として、以下の点をあげることができる。第1に、古今集から後拾遺集および拾遺抄の文末語と句切れのデータベースを、私家版ながら作成し、和歌の表現研究を効率的に行えるようにした。第2に、初句切れの表現構成を明らかにした。第3に、文末「らむ」と句切れとから、倒置的表現による体言止めの歌の形成過程の一端を明らかにした。第4に、三代集各に特徴的な詠歌の場が、「疑問詞……らむ」の用法に差異をもたらすことを明らかにした。第5に、三代集の「……ものは……なりけり」構文の展開を明らかにする端緒を得た。
著者
梅田 泉 今西 利之
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

この研究は、留学生センターで初めて日本語を学ぶ国費研究留学生のための学習環境を開発することが目的である。彼らは来日から授業開始までの間、少なくとも一週間自由な時間がある。そして、未知である日本文化と日本語に対する学習動機が高いことがわかっている。そこで、この期間に彼らが日本語を学習する場所、学習する教材、学習を支援する人の3つの学習リソースを含んだ学習環境を開発した。学習場所には、留学生の宿舎、留学生センター、大学生協の店などを含み、支援者には日本語教師やそれぞれの場所で働く人々を含む。教材は、印刷教材とビデオ教材、マルチメディアによるひらがな学習教材がある。教材の項目は、以下の4項目である。1 挨拶おはようございます:こんにちは:こんばんは:行ってきます:ただいま:しつれいします:しつれいしました2 自己紹介はじめまして。〜です。〜とよんでください。〜からきました。専門は〜です。どうぞ、よろしくおねがいします。2 買い物ちょっとすいません:〜、ありますか:これ、いくらですか:じゃあ、これお願いします。すいません、またきます:どうも。4 質問をするこれは、なんですか:これは、日本語でなんですか:そうですか留学生は、熊本に来た翌日、留学生センターでオリエンテーションがある。キャンパスの案内や一週間後に始まる日本語コースの説明の他、今回開発した教材での学習方法を説明する。学生は、留学生センターでは、コンピュータとビデオを見たり、教師やボランティアスタッフと練習し、宿舎では、印刷教材などで練習する。こうした学習によって、日本語コースが始まるまでの間に、日本語学習のためのレディネスが高められると考えている。こうした学習の過程は、印刷教材やビデオ、写真等で記録する。日本語コース開始時に日本語教師がその記録を参照することで、その学習者の特徴や学習のレディネスについて理解を深めることができる。
著者
齊藤 雅也 辻原 万規彦 羽山 広文 宿谷 昌則
出版者
札幌市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

札幌・東京・熊本の小学校教室で夏と冬に温熱的不快に達する閾値温度を解明する実測調査を行ない、ロジスティック解析により以下のことがわかった。1)夏に「暑くて授業に集中できない」児童が過半数(60%)になる外気温は札幌で30.5℃、熊本で32.5℃、実際室温は札幌で29℃、熊本で35.5℃だった。その時の児童の想像温度は札幌で27.5℃、熊本で32.5℃で、教室にエアコンが設置されている東京では外気温が28.5℃のときだった。2)冬に「寒くて授業に集中できない」児童が40%のときの児童の想像温度は、札幌:9℃、東京:7℃、熊本:2℃だった。以上から、児童の夏と冬の閾値温度には地域差があった。
著者
佐山 公一 PAWEL Dybala PAWEL Dybala DYBALA Pawel
出版者
小樽商科大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

平成24年度に引き続き, メタファー概念ネットワーク構築の具体的作業を行った。日本語表現大辞典(小内, 2005)から収集したメタファーの文例3万についてメタファーのsalience imbalanceの閾値(基準)を計算した。格フレーム等を使い, それぞれの直喩の喩辞と被喩辞の属性のリストをとりだして比較し, 両方のリストに現れた項目を抽出した。項目に, 直喩の共通属性または共通属性らしいものが現れたら, 喩辞の属性リストと被喩辞の属性リストの中の位置を計算し比較する。たとえば, 『疑問が雲のように湧く』では, 喩辞が『雲』, 被喩辞が『疑問』, 共通属性が『湧く』となる。共通属性『湧く』の属性リスト内の位置を計算する。『疑問』の全属性の数188のうち, 『疑問』側の『湧く』の位置が9(平均位置, 9/188=0.048), 『雲』の全属性の数123のうち『雲』側の『湧く』の位置が27(平均位置, 27/123=0.220)となり, 平均位置の差は0.172となる。この平均位置の差をsalience imbalanceの閾値と考える。このようにして, 直喩におけるsalience imbalanceの閾値を計算する。閾値を超えればメタファーとして処理し, 超えなければメタファーとして処理しない, という条件を設けることで, データ内のメタファーを実際にコンピュータが処理できるかどうかを調べた(現在もこの作業を行っている)。作業を行っている過程の中で, 『ような』のような指標を含み, かつ比喩として受けとられる(比喩性を持つ)表現ではあるが実際には直喩ではなく, 文字通りの比較ではあるがその中に換喩を含む表現が数多くあることが分かった。こうした表現は, 表層表現からは直喩と区別がつかない。たとえば, 『クジラのような小さい目』はクジラが小さいことを述べているわけではむろんなく, クジラの目がクジラの体に比べて非常に小さいことを述べている。日本語母語話者はクジラとクジラの目との間の隣接関係を使ってこのことを簡単に理解できていると考えられる。しかしながら, そうした処理はコンピュータには難しい。この日本語の表現を英語に翻訳すると, 『Eye small as whale's』のようになり所有格が使われる。英語では表層表現からそれがクジラの目であることが分かるが, それを日本語にすると表層表現上では分からないことになる。日本語母語話者にとっては, そうした表現も直喩も同じように比喩的に感じられる。日本語母語話者はこういった表現を一種の換喩として理解している。そこでメトニミーもメタファーネットワークに含めることにし, システムの中に換喩と直喩を区別する仕組みも導入することにした。メタファーとメトニミーを, 閾値を使って区別するアルゴリズムを作り実際にコンピュータに判定させた。日本語母語話者にもメタファーかメトニミーかを区別してもらい, その判定結果をコンビ。ユータの結果と比較した。
著者
中道 仁美 大友 由紀子 柏尾 珠紀
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

林業女性の研究は日本と欧州の代表的林業国(オーストリア、スウェーデン、ドイツ)の調査から、まだほとんど進んでおらず、林業女性の活動も緒に就いたばかりである。日本は他国に比べて林業女性支援が公的に行われ、林業女子会の活動のように、異業種との交流や若い女性の活動などの見られるのが特徴的である。女性の自立的活動では、欧州では女性の林業経営者が見られ、ドイツやオーストリアでは、相続により林業経営をしているものが多かったのに対し、スウェーデンでは、狩猟を目的とした林業経営、林地の購入などが特徴的であった。女性の林業労働者は内外ともに非常に少なく、機械化が進んでも、重労働であることが一因である。
著者
今榮 國晴 中西 宏文
出版者
名古屋音楽大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

コンピュータ利用に関する性差gender differenceの状況を分析して、できるだけ性差が少ない状況を実現するための、教育的働きかけを提案することが本研究の目的である。平成9年度において調査票を作成し、小学校911名、中学校875名、高校生1504名、平成10年度に大学生432名(合計3722名、いずれも有効回答者数)を調査した。1970年代、情報機器の普及が始まって以来、情報リテラシーについて男性が女性より高い水準にあるという一般的な信念が、世界的に認められてきた。我々が最初に調査した1984年には、小・中・高校生でパソコンを操作できる女子は、男子の1/3から1/4しかなかった。しかし、1990年代に入り、中学校で情報基礎領域の授業が始まる頃から、性差が急激に縮小し、今回の調査では、パソコン・ワープロ使用率では男女とも90%を越えるようになり、性差はほぼ消滅したと考えられる。このことは本研究の主要な結論と言えるが、これには学校教育が大きく寄与したと思われる。しかし、パソコン等の使用内容には大きな性差がある。1.パソコン等の利用内容として、絵や文字の作成では女子が、ゲーム等の利用では男子が多い傾向があり、利用内容には性差が存在するが、このことは教育的にどのような意味をもつかは明らかにできなかった。これに関連して、電子おもちゃの所有傾向も、ファミコン及びポケット型ゲーム機は男子の所有率が高く、ラベルづくり機、電子手帳の所有率は女子が男子より高いことが分かった。2.パソコン・ワープロを使えない児童生徒は少数であるが、かれらは教科学習が好きでなく、また不得意であり、学習塾への通塾も少なく、学校生活に適応感が低い傾向があることが明らかになった。
著者
奥村 誠 塚井 誠人 金子 雄一郎 日比野 直彦 大窪 和明
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

都市間旅客交通には、交通発生の非日常性、情報の不完備性、ネットワーク性などの固有の特性がある。本研究は,このような特性を考慮した調査方法・分析方法の開発・整理を行った。1990-2005年の4回の国土交通省全国幹線旅客純流動調査のデータと追加調査・計測結果の分析を通じて、サンプリング段階のデータの補正方法、観光統計等との統合利用方法の提案を行った。さらに、企業・事業所の立地データと業務トリップの関連性に基づく国土構造分析を行った。
著者
李 鍾昊
出版者
公益財団法人東京都医学総合研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

予測制御とフィードバック制御の評価に基づいた神経疾患治療ナビゲーターシステムを構築し、小脳疾患やパーキンソン病などの神経疾患患者の手首運動を評価した。小脳患者の指標追跡運動を分析した結果、疾患の重症度に応じて予測制御やフィードバック制御、両方の精度が悪くなり、小脳が両方の制御器に深く関係していることが明らかになった。その一方、パーキンソン病患者ではこの2つの運動制御器だけでは病態の特徴がはっきり抽出できなかったが、さらに3Hz以上の不随意運動領域(F3領域)も分析した結果、6Hz前後(4-8Hz)の小刻みな階段状運動の定量的計測によりパーキンソン病患者の病態をより高精度で評価できた。