著者
佐藤 弘希 丸山 徹 小田切 陽子 三村 絵美子 河上 恵子 池田 倫子 岡山 善郎 安楽 誠 小田切 優樹
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.9, pp.940-945, 2006-09-10 (Released:2007-11-09)
参考文献数
25
被引用文献数
2 3

The results of a population pharmacokinetic (PPK) analysis for Japanese suggest that smoking and gender difference are factors influencing the clearance of olanzapine, an atypical antipsychotic drug. However, no post-marketing verification has been conducted regarding how these factors affect the prescribing of this drug by practicing physicians. We therefore conducted a retrospective analysis on the effects of smoking and gender difference on olanzapine dosages. The results showed that smokers received significantly higher doses of olanzapine than non-smokers and that males tended to receive higher doses of olanzapine than females. The dosage for male smokers, the highest dose group, was 1.3 times that for female non-smokers, the lowest dose group. These results showed good correspondence with those of the PPK analysis given in the package insert and suggests that PPK data could be useful information for the community pharmacist.
著者
川端 雅彦 春日 修二 小川 哲也 陶山 紳一郎 森山 勝利 高畠 利一
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.57-62, 1998-01-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
15

維持透析患者9例を対象とし, 血液透析 (HD) と血液濾過透析 (HDF) 療法中の循環血液量 (BV) の経時的変化をクリットラインモニターにより測定して, 両治療における特徴を比較検討した. 総除水量およびdry weightに対する除水率は両治療で同一であったが, 治療終了時のBVの減少率はHDFで大であった. 経時的な観察では, HDFで治療前半, HDで治療後半にBVの著しい減少がみられる傾向があった (0.05<p<0.10). 血液生化学検査では, 治療中間点において, HDFで総蛋白濃度とヘマトクリットがHDに比し高値, 血清浸透圧とNa濃度は低値を示した (p<0.05). 血清尿素窒素, クレアチニン, ヒト心房性Na利尿ペプチド濃度は, 両治療で差はみられなかった. これらの成績は, HDFでは治療の前半においてBVの急速な減少と血漿の濃縮がみられることを示し, この時期の血管外から内への体液の移動が相対的に小さいことが原因であると推測される. 血漿の濃縮による蛋白濃度の上昇は, 膠質浸透圧を高め, plasma refillingを高める方向に作用して, 治療後半の循環動態の維持に有利に働く可能性が考えられる. 一方, HDでは, 治療前半ではBVは維持されるが, 総体液量が絶対的に減少する治療後半に急速なBVの減少が生じる傾向がある. これは, HDの治療後半において循環動態の破綻がしばしば認められることと関連するものと推測される.
著者
望月 學 鴨居 功樹 寺田 裕紀子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.7, pp.1410-1416, 2017-07-10 (Released:2018-07-10)
参考文献数
12

HTLV-1ぶどう膜炎は無症候キャリアに合併する眼内炎症である.主訴は霧視,飛蚊症,視力低下等で,片眼あるいは両眼に生じる.このぶどう膜炎は副腎皮質ステロイド薬によく反応し,視力予後は良好であるが,約30%の患者でぶどう膜炎が反復して起こる.全身合併症としてBasedow病の既往,HTLV-1関連脊髄症(HTLV-1-associated myelopathy:HAM)がみられることがあるが,成人T細胞白血病(adult T-cell leukemia:ATL)の合併は極めて稀である.
著者
米山 陽子 三星 沙織 黒瀬 真弓 平尾 和子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 2022年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.12, 2022 (Released:2022-09-02)

【目的】近年、菓子類にも健康機能を付加するものが増えているが、米菓には少ない。本実験では、生活習慣病の予防に効果的でありながら、日本人の1日の摂取目標量が不足している食物繊維に注目し、糖質が主成分である米菓への水溶性食物繊維を添加することによる影響について検討した。【方法】既報の方法を用いて、国産米菓用うるち米をロール法粉砕した米粉(40メッシュ)に、水溶性食物繊維イソマルトデキストリン((株)林原)を5%および10%添加したせんべいを調製した。物性は,テクスチャー測定と破断特性測定(RE2-3305B:山電(株))を行い、実体顕微鏡((株)島津理化STZ-171)による組織観察も行った.官能評価は7段階評点法を用い、教職員専門パネル10~20名で評価した。【結果・考察】米粉にイソマルトデキストリンを10%添加すると、焼成前の生地は付着性が低下し、せんべいはコントロールに比べて破断応力およびもろさが大となった。せんべいの生地の硬さとせんべいの破断応力・もろさの間には、それぞれ危険率5%で有意の相関が認められた。実体顕微鏡による組織観察では、イソマルトデキストリンを添加したせんべいは組織が緻密で細かい気泡が多く観察された。官能評価では、試料間に有意の差はなくコントロールと同等の評価を示したが、自由記述においては、10%添加することにより、サクサク感やザクザク感などの好ましい食感を示す旨の記述がみられた。これらの結果より、せんべいの副原料の一つとしてイソマルトデキストリンを添加することは、新たな付加価値を付与するとともに、「高い旨」の栄養強調表示に相当する10%を添加してもコントロールと同等に製造できることが示唆された。
著者
阪口 毅
出版者
日本社会病理学会
雑誌
現代の社会病理 (ISSN:1342470X)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.37-50, 2021 (Released:2022-11-01)
参考文献数
31

本稿は、都市社会学における「移動性(mobility)」の観点から「地域/コミュニティ」概念について再検討を加えつつ、これらの概念を用いることの方法論的な意義について論じるものである。「コミュニティ」概念の扱いの難しさは、規範概念としての側面を持ちながら、空間を記述するためにも使用されることに起因する。さらにこれらの二つの側面が、ネットワーク論や構築主義などの重要な理論的知見と接合されていないことも問題である。本稿では、既存のコミュニティ研究のレビューを踏まえて、コミュニティを三つの位相―関係的、制度的、象徴的位相―の複合的な社会過程として捉える分析枠組を提示する。そして「コミュニティ」概念が、親密な紐帯、集団の想像、象徴的な境界、帰属の経験といった現象を、包括的に捉える上で有用であることを示す。
著者
大阿久 達郎 山田 展久 池田 佳奈美 山根 慧己 竹村 圭祐 堀田 祐馬 世古口 悟 磯崎 豊 長尾 泰孝 小山田 裕一
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.117, no.1, pp.72-77, 2020-01-10 (Released:2020-01-15)
参考文献数
15

症例は76歳男性.粘血便を主訴に受診し,下部消化管内視鏡検査および便汁鏡検でアメーバ性大腸炎と診断した.メトロニダゾール静注開始24時間後より手袋靴下型の感覚低下が出現し,投与開始2日後からは足部の疼痛が出現した.同薬中止により徐々に症状は改善し3カ月後には消失した.長期間投与で発症するとされてきたメトロニダゾールによる末梢神経障害が投与開始後早期に発症したまれな症例であり,報告する.
著者
岩下 倫子
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.146, pp.18-33, 2010 (Released:2017-03-21)
参考文献数
50

本稿で報告する研究はMackey & Philp (1998) を基盤に2種の文法項目における集中言い直し訓練の効果を調査したものである。12週間にわたる母語話者との毎週1時間の会話練習に参加した5人の学習者が後半の6週間,会話練習前に15分言い直し集中訓練を受けた。訓練前後に行った算出テストの成績を比べた結果,先行研究の結果と同様に学習者の2種の文法項目の使用における正確度が向上した。しかし研究対象となった2種の文法項目が似通っているために,訓練前に正しく使用できた項目の正確度が訓練後一時的に後退したが,すぐに回復した。その後言い直し訓練の効果は六か月後に査定したテストの結果においても正確度は後退しなかった。本研究の結果は現場の教師の間違い訂正ストラテジーに応用することには無理があっても,フィードバックの効用性に新しい局面を展開する。
著者
村井 邦彦 酒井 大輔 中村 嘉彦 中井 知子 鈴木 英雄 五十嵐 孝 竹内 護 村上 孝 持田 讓治
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-8, 2012 (Released:2012-03-07)
参考文献数
49

椎間板ヘルニアに伴う神経痛の病態には,神経根の炎症機序が関与している.その一因に,椎間板髄核が自己の組織として認識されない隔絶抗原であるので,髄核の脱出に伴い自己免疫性炎症が惹起されることが考えられる.一部の髄核細胞の細胞表面には,眼房細胞などの隔絶抗原にみられる膜タンパクFasリガンドが存在し,Fas陽性の免疫細胞のアポトーシスが惹起され,自己免疫反応は抑制されるが,二次的に好中球の浸潤が惹起され,炎症を来す可能性がある.近年,われわれはマクロファージやナチュラルキラー細胞などの細胞免疫反応が,椎間板ヘルニアに伴う痛みの発現に関与することを示した.Fasリガンドや,細胞免疫の初期に発現するToll 様受容体に着目すれば,坐骨神経痛の新たな治療法が開発できる可能性がある.
著者
河原 利和 杉万 俊夫
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.101-119, 2003-03-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
26
被引用文献数
3 5

強い保守性, 閉鎖性を有し, かつ, 少数の有力者が集落運営を支配する体制を引きずる, ある過疎地域で進行している住民自治システム創造の試みを, アンケート調査によって検討した。その過疎地域にある89集落のうち, 住民自治システム創造のための運動に取り組んで4-5年が経過した14集落の全住民 (青少年を含む) を調査対象にした。その結果, これらの14集落は, 同運動に「積極的-中間-批判的」という軸にそって, 分類できることが見出された。また, 同運動に積極的な集落では, 同運動によって導入された新しい集落運営システムが, 古い伝統的な運営システムと対等の地位を獲得しつつあること, 同運動に批判的な集落では, 新しいシステムが古いシステムにのみこまれて, 古いシステムの下位システムに位置づけられていることが見出された。
著者
北見 由奈 茂木 俊彦 森 和代
出版者
日本学校メンタルヘルス学会
雑誌
学校メンタルヘルス (ISSN:13445944)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.43-50, 2009-09-30 (Released:2021-04-08)
被引用文献数
3

目的:本研究の目的は,1)就職活動経験の有無による精神的健康状態の相違を明らかにすることと,2)近年の就職活動状況を考慮した就職活動におけるストレスを測定する尺度を作成し,3)大学生の就職活動におけるストレスが精神的健康に及ぼす影響を明らかにすることである。方法:調査対象者は,大学3・4年生1295人であった。なお,因子分析および就職活動におけるストレスと精神的健康に関する分析には,就職活動状況について,「現在,行なっている」もしくは「すでに終了した」と回答した608人を用いた。調査内容は,基本的属性(性別,年齢,学部),就職活動状況,精神的健康(GHQ-12項目短縮版),就職活動におけるストレスについてであった。結果:分析の結果,就職活動経験がある者の方が,経験がない者に比べ,有意に精神的健康状態が悪いことが示された。また,就職活動ストレス尺度について探索的因子分析およびステップワイズ因子分析を行なった結果,最終的に4因子各4項目の計16項目が抽出され,すべての因子において高い信頼性が得られた(α=0.715-0.870)。さらに,希望の企業からの内定がない者は,内定がある者に比べ,就職活動ストレスは高く,精神的健康へ及ぼす影響も強いことが明らかにされた。結論:本研究の結果から,学校現場において大学生の就職活動期の精神的負担の減少や学校生活の質の向上を目指した支援を行なう必要性が示唆された。
著者
一條 智康
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.1143-1150, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
20

ユマニチュード®はジネストとマレスコッティの2人によって創案された認知症ケアの技法である. 本稿では, ユマニチュードの語源をネグリチュードの歴史的意義にまで遡って解説し, 「ユマニチュード®」 の概略を紹介した. さらに, 治療的自己, マルチモダール, オキシトシンなどの観点から文献的考察を加えた.超高齢社会を迎えた日本にとって, ユマニチュード®の有用性は今後ますます広く受け入れられると思われる. その哲学を学び実践できれば, 人と人の 「絆」 という最も根本的に重要でありながら, 現代社会において希薄となっている大事な視点にわれわれが立ち返るきっかけをつかめるかもしれない. 「われわれがお互いに『人間としての尊厳』が保たれていることを再認識できる」 ユートピアが実現できることが期待される.
著者
中村 信隆
出版者
日本倫理学会
雑誌
倫理学年報 (ISSN:24344699)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.233-247, 2022 (Released:2022-07-11)

The idea of basic equality is the foundation of our society today. However, the claim that all humans are equal is a strange one, considering that there are many differences among humans in terms of age, appearance, birth, physical and intellectual abilities, economic power, and actual behavior and achievements. What exactly is the basis of human equality? This paper clarifies the basis of our equality as moral persons. Since the equality in question is equality as moral persons, it seems to be based on the equal capacity for moral personality. However, the problem arises that the capacity for moral personality admits differences of degree. There are people with high moral capacity and people with low moral capacity. This would mean that there are higher and lower moral persons among humans according to the difference in the degree of their abilities, and thus all humans are not equal. One innovative argument against this problem was presented by I. Carter. According to Carter, we must evaluate and treat each person equally, not in terms of scalar property, which each person possesses to different degrees, but in terms of range property, which each person possesses equally. We must respect the dignity of each person, and this means that we must conceal their scalar property and treat them as opaque, that is, show “opacity respect” toward them. However, Carter’s argument does not make it clear enough why we must treat each person as opaque. To clarify this point, this paper argues that it is we ourselves, not others, who conceal scalar property. We can flexibly form our self-respect according to our ideals and aspirations. This flexibility in self-respect allows us to have self-respect as equal moral persons with range property, so that we make ourselves opaque in order to protect our appearance as equal moral persons. Therefore, we should treat each person equally in terms of range property.
著者
渡辺 雄貴 加藤 浩 西原 明法
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.19-27, 2014-05-20 (Released:2016-08-11)

通勤・通学時に電車のような環境で学習する際には,学習以外に様々な情報を処理する必要がある.そこで本研究では,そのような環境下における情報の介入を想定し,動画コンテンツによる学習を行った際,どのような影響があるかをパフォーマンステストおよび質問紙調査により定量的,定性的に調査を行った.その結果,パフォーマンステストでは,内容理解を必要とする問題において,介入の有無により効果の差異があることが明らかになった.また,質問紙調査により,多くの被験者は視覚に対する介入と比較して,聴覚に対する介入を煩わしく思う傾向があることが明らかになった.