著者
黒崎 岳大
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第43回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.213, 2009 (Released:2009-05-28)

米国信託統治領下のマーシャル諸島では、各地の離島で日本の青年団をモデルとした「クミ」と呼ばれる協働組織が形成された。同組織は、70年代には政治等の分野において強い影響力を見せたものの、90年代以降は急激に消滅していった。本発表では「クミ」という組織を巡る歴史的変遷を通じて、マーシャル人にとっての日本統治時代に対する過度に理想化された憧憬と急激に進む米国化に対する抵抗の関係について検討していく。
著者
甲村 弘子 コウムラ ヒロコ Hiroko KOUMURA
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.1, pp.223, 2011-01-31

月経前症候群(PMS)は月経周期の黄体期、すなわち月経前に起こる様々な身体的、精神的症状をあらわす疾患であり、軽度のものを含めると多くの女性が経験する。PMSは疾患として名前が広く知られているにもかかわらず、その原因はまだ明らかにされておらず、確立された判定基準はない。本症の頻度に関しては、諸外国では報告がなされているが本邦ではほとんど認めない。若い女性での報告もみられない。本研究では、日本における女子大学生のPMSとPMDD の頻度を、"The Premenstrual Symptoms Screening Tool (PSST)"を用いて明らかにしようとした。対象は18歳から22歳の554名である。身体症状は約80%にみられ、中等症から重症のPMS群は20.4%、PMDD群は4.0%であった。この頻度は諸外国の報告とほぼ一致する。少なからず存在する本疾患に対して適切な対応が行われ、女性の生活の質(QOL)の向上に貢献することが期待される。
著者
石原 旭 升谷 保博
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp."2P2-E19(1)"-"2P2-E19(4)", 2008-06-06

For the purpose of presenting 3D information for tele-operation, a method of displaying motion parallax by measuring only orientation of the operator's head is proposed. Assuming that the operator sits down in front of an object of task and gaze it, the position of its eye is estimated from the orientation of its head measured with an inexpensive sensor.
著者
長沢 栄史 下野 義人 本郷 次雄
出版者
日本きのこセンター菌蕈研究所
雑誌
財団法人日本きのこセンター菌蕈研究所研究報告 = Reports of the Tottori Mycological Institute (ISSN:03888266)
巻号頁・発行日
no.38, pp.6-13, 2000-12 (Released:2011-03-05)

従来日本から未記録であったモエギタケ科のきのこ,Hypholoma tuberosum Redhead & Kroeger(キンカクイチメガサ/菌核市女傘:新称)の日本における発生について報告した.本種は1987年にカナダ,バンクーバー産の標本に基づいて新種記載された比較的新しい種類であるが,Hypholoma(=Naematoloma)クリタケ属において菌核を形成する点を著しい特徴とする.カナダからの報告以後は,オーストラリアおよびベルギーから報告されているのみであった.菌核は地中に形成され,褐色で不規則に歪み,大きさは通常10-30×10-25×10-20mm.子実体は一つの菌核から1-5個生じ,比較的小形.かさは径2-4cm位,黄土色~帯褐橙色で湿時やや粘性を帯びる.柄はつばを欠き,傘より淡色で細長く,菌核が土に深く埋っているときは基部が根状に長く伸びる.胞子紋は暗紫褐色.胞子は楕円形で発芽孔を有し,大きさ8.5-12×5-6.5μm(平均10×5.5μm).日本では秋,芝生,畑,公園内の植木の下,あるいは花壇などに発生し,鳥取県(鳥取市),京都府(京都市),大阪府(高槻市)および新潟県(上越市)で発見されている.国内における生態および分布の状況から推察して,本菌は恐らく外国からの移入種であり,また,国内に広く分布しているのではないかと考えられる.
著者
高安 秀樹
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:07272997)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2-3, pp.299-317, 2008-05-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
中田 亮太 仲地 孝之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LOIS, ライフインテリジェンスとオフィス情報システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.306, pp.15-20, 2012-11-14

本報告では、Shamirの秘密分散法を利用した秘密計算の提案を行う.Shamirの秘密分散法は秘匿にしたいデータを複数に分散・暗号化する暗号アルゴリズムで,復号を実行する為にはしきい値以上の分散暗号文を集める必要がある[2].このShamirの秘密分散法は暗号化の際に線形性を保つ為、分散暗号文のまま加減算を実行する事が可能であり,その計算結果は復号した平文に反映される.秘密分散法ではこの性質を利用してマルチパーティプロトコルを実現可能である事が知られている.本報告ではShamirの秘密分散法を利用して加減算が成り立ち、乗法が一度だけ可能な秘密計算の方法と,当アルゴリズムで運用可能なクラウドサーバ上での計算モデルを併せて提案する.
著者
末近 浩太
出版者
日本中東学会
雑誌
日本中東学会年報 (ISSN:09137858)
巻号頁・発行日
no.15, pp.259-314, 2000-03-31

1970年代後半から80年代初頭にかけて,中東各地で急進的イスラーム復興主義が「噴出」した。政治イデオロギーとしてのイスラーム復興主義は,70年代にはその力を低下させていた世俗的ナショナリズムや社会主義のオルタナティヴとして台頭したといえる。こうした流れが顕著に見られた国のひとつとしてレバノンが挙げられる。内戦(1975-90年)による事実上の国家の崩壊が,既存のイデオロギーに対する幻滅感を生み,人々のイスラームへの回帰を促した。その象徴ともいえるのが,急進的なシーア派・イスラーム復興主義組織「ヒズブッラー(神の党)」の登場である。ヒズブッラーは,80年代内戦下のレバノンにおいて急速に勢力を拡大した。そして,革命的汎イスラーム主義の標榜やイスラエル・欧米勢力との衝突など,その影響力はトランスナショナルな広がりを見ゃた。こうしてヒズブッラーは,最も急進的な「イスラム原理主義」グループのひとつとして知られるようになる。しかし今日,このような一面的な認識やイメージは,大幅な修正を余儀なくされている。80年代末に始まった国際政治の「地殻変動」は,組織の存在理由を大きく揺るがした。ヒズブッラーは新たな現実に適応し,組織の存続を確実なものとするため,革命的イデオロギーの柔軟化や,92年と96年のレバノン議会選挙への参加,組織の再編成など,さまざまな政策・方針の転換をする。その結果,組織の性格はトランスナショナルからレバノン・ローカルへと変化しつつあるといえる。これまでの研究の多くは,こうしたヒズブッラーの変容を新たな国際秩序の確立に対する「後退戦」と捉えている。しかし実際は,ヒズブッラーは時代に適応するイスラーム復興の形態を積極的に模索しているのであり,むしろその「間接的」影響力はイスラーム世界,さらに国際社会においても拡大しているのではないか?本稿は,変容の背景・要因と政策・方針の転換を包括的に分析することで,ヒズブッラーの持つ今日的意味を再検証する。
著者
藤尾 慎一郎
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.149, pp.135-161, 2009-03

弥生集落論は,同じ土器型式に属する弥生土器が床面直上から出土する住居を,同時併存,すなわち同時に存在したとみなしてきた。土器一型式の存続幅が30~50年ぐらいで,一世代と同じ時間幅をもつと考えられてきたこともあり,とくにその傾向が強かった。縄文集落論では,縄文土器の大別型式一型式の存続幅が百年程度だったので,1970年代から,同時併存の遺構の認定法をめぐって盛んに議論がおこなわれてきた。現在では,小林謙一の較正年代にもとづいた一段階20年以内での同時併存を認定するまで研究が進んでいる。しかし弥生集落論においても,較正年代を用いれば,板付Ⅱa式や板付Ⅱb式のように,存続幅が百年以上にわたる可能性のある型式の存在がわかってきたため,縄文集落論に遅れること40年にして,同時併存の認定に関する議論をおこなわなければならない段階に至ったといえよう。検討の結果,同時併存住居の認定は,存続幅が短い前期末や中期初頭においてはかろうじて可能なことがわかった。一方,存続幅が長く現状では同時併存住居の認定が難しい板付Ⅱa式や板付Ⅱb式も,もともと存在した住居の累積軒数が土器型式ごとに表されたものと考えれば,存続幅が短い板付Ⅱc式段階の累積棟数と比較するなどして,各段階の特徴を相対的に評価できることがわかった。土器一型式の存続幅を考慮した集落論は,同時併存住居5棟を一単位とする集団構造論の前提を再考しなければならなくなった一方で,これまでの弥生研究では解決の糸口が得られなかった時間的側面を前面に押し出した,弾力的な人口増加率などの研究テーマに新たな可能性の扉を開き始めたといえよう。According to Yayoi settlement theory, Yayoi pottery belonging to the same pottery type excavated directly from the floor of a pit dwelling is thought to have existed simultaneously with the pit dwelling. Each Yayoi pottery type lasted for about 30 to 50 years, and it was firmly believed that they lasted for the same length of time as a single generation.Since according to Jomon settlement theory the broad types of Jomon pottery lasted for around 100 years, from the 1970s there has been much debate surrounding methods of identifying relics that co-existed at the same time. Research has progressed to the extent that today coexistence is identified within a single 20-year phase based on calibrated dates by Ken'ichi Kobayashi.However, if we use calibrated dates we find that there were pottery types like Itazuke IIa and Itazuke IIb that continued for more than a 100 years. Consequently, today, some 40 years behind Jomon settlement theory, Yayoi settlement theory has reached the stage of having to debate the identification of simultaneously co-existing pit dwelling.The results of this study show that it is just possible to identify pit dwelling that co-existed simultaneously at the end of Early Yayoi and the beginning of Middle Yayoi when pottery types lasted for a short time. But even for Itazuke IIa and Itazuke IIb types, for which it is currently difficult to identify simultaneously coexisting pit dwelling due to their long duration, assuming that the number of cumulative dwellings that existed represented each pottery type, the author found that it is possible to make a comparative evaluation of the features of each stage by comparing the number of cumulative pit dwelling to the cumulative number for the Itazuke IIc type stage, which lasted for a short time.Settlement theory that takes into account the duration of each pottery type necessitates a review of the premise of the theory of group structure that considers that five simultaneously coexisting pit dwelling form a single unit. Nonetheless, it brings to the fore the temporal aspect of Yayoi research, for which clues have remained elusive until now, and opens the door to new possibilities for research topics, such as variable rates of population increase.
著者
藤尾 慎一郎
出版者
裳華房
雑誌
遺伝 (ISSN:03870022)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.27-31,図巻頭1p, 1998-10
被引用文献数
1
著者
藤尾 慎一郎
出版者
吉川弘文館
雑誌
本郷
巻号頁・発行日
no.96, pp.23-25, 2011-11
著者
藤尾 慎一郎
出版者
学士会
雑誌
学士会会報
巻号頁・発行日
vol.2014, no.4, pp.4-15, 2014-07