著者
朴峠 周子
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.72-74, 2014-09-01 (Released:2014-09-13)
参考文献数
13
著者
高倉 伸有 矢嶌 裕義 高山 美歩
出版者
東京有明医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

私たちは、患者とはり師にどのような鍼かを明かさずに(二重盲検法)、骨格筋に刺さる鍼か皮膚に刺さらないプラセボ鍼を用いて肩こりの鍼治療を施し、その効果や首肩の筋血流や筋活動を比較する、厳格な臨床試験を行った。その結果、鍼により肩こりは主観的には改善したが、「鍼を刺す」特異的効果はなく、鍼治療の効果には「プラセボ効果」が含まれる可能性が示された。また、鍼治療による頸肩部の筋血流・筋活動には特異的変化は見られず、鍼による肩こり改善の生理学的メカニズムの解明には至らなかった。一方で、本結果は鍼特有のユニークな現象である可能性があり、「鍼のプラセボ効果」について興味深い示唆を与えるものと考える。
著者
石田 健二 岩井 敏 仙波 毅 福地 命 當麻 秀樹
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.455-459, 2018 (Released:2020-04-02)
参考文献数
14

がんは複数の遺伝子に段階的に損傷および変異が蓄積することによって起こるという「多段階発がん説」が,唯一の発がんメカニズムとして定着していた。しかし近年,ある特定の遺伝子が一つ変異するだけで短期間に正常細胞ががん化してしまうというメカニズムが存在する可能性のあることが報告されてきている1)。このような遺伝子の変異を「ドライバー変異」と呼ぶ。このタイプのがんの発生は限られており,小児がんや,白血病のような血液がんに多く見られるといわれている。その一例として,チェルノブイリ事故で多発した小児甲状腺がんが注目されている。本稿ではチェルノブイリ事故後の小児甲状腺がん発症のモデル,すなわち放射線誘発による遺伝子変異した細胞が原因ではなく,放射線による細胞死の誘導と組織微小環境の攪乱により,自然発生(散発性)の遺伝子変異細胞が,増殖を開始して発がんするというモデルについて解説する。
著者
佐藤 知正 森 武俊 原田 達也
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.482-486, 2002-07-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
17
被引用文献数
2 1
著者
染谷 智幸
出版者
総合研究大学院大学
巻号頁・発行日
2013

博士論文
著者
岸田 秀樹 Hideki Kishida 藍野大学医療保健学部作業療法学科 Aino University Faculty of Nursing and Rehabilitation Department of Occupational Therapy
雑誌
藍野学院紀要 = Bulletin of Aino Gakuin (ISSN:09186263)
巻号頁・発行日
no.22, 2009-03-31

本稿では, 第1に, 制度的問題の解決を通して, 不審死体の届出, 死亡の種類の公的認定, 分担死体の埋葬の義務を含むプロセスが確立し, 聖六坊の防犯的役割も明確になったことを明らかにする. 第2に, 心中法度の成立により男女の情死が「相対死」という犯罪となり, 死体の裸晒しを含む, 過酷な刑罰が適用されたことを示す. 第3に, 個人単独の自殺は犯罪ではなかったが, 検使役による公的介入を招き, 死体が自殺現場に晒されたり, 公衆の面前で体表検索されたりし, 都市では自殺者の葬送儀礼と家族のケアを欠いていたことを示す. 最後にデュルケームの自殺類型論の観点から, 大坂の自殺名所であった千日墓所で, 心中法度成立後, 経済的繁栄期における相対死の流行, 飢饉時の単独自殺の増加の影響を遮断し, 自殺抑止期間が延長している成功的事実を検討し, 心中法度を背景にして聖六坊や非人番が自らの職務遂行を通して自殺予防に貢献したことを明らかにする
著者
長山 好夫
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌) (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.123, no.4, pp.323-328, 2003 (Released:2003-07-01)
参考文献数
22

The tokamak with the aspect ratio less than 2 is called spherical tokamak (ST), since the plasma is naturally elongated and has a spherical shape. It is being theoretically and experimentally shown that ST has a high potential to confine the very high beta plasma (beta=plasma pressure/magnetic pressure). The blanket module can be easily replaced in ST. If the internal transport barrier and the high bootstrap current fraction are established in ST, the economical fusion reactor would be more realistic.
著者
山田 壮志郎
出版者
日本福祉大学
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.128, pp.51-65, 2013-03-31

ホームレス問題が社会的排除の一つの典型であるならば, ホームレス対策は社会的包摂を志向するものであるべきである. 本稿の目的は, ホームレス状態の解消が社会的排除の克服に結びついているかどうかを検討することにある. そのために, 筆者がホームレス状態からアパート生活に移行した人々を対象として 2009 年に実施した調査の結果を用いて, ホームレス状態解消後の被排除状況を, 先行研究の分析枠組みに依拠しながら分析した. その結果, 第 1 に, 回答者の多くはホームレス状態を解消してもなお社会的に排除された状態に置かれていることが明らかになった. 第 2 に, 被排除状況には年齢階層による相違がみられ, 若年層では生活保護受給後の孤立化が, 高齢層では居住環境の低位性が課題となっていることがうかがえた. 第 3 に, 生活保護受給者の多くが, 社会的必需項目を剥奪されていることが明らかになった.
著者
岡 美登里
出版者
滋賀医科大学雑誌編集委員会
雑誌
滋賀医科大学雑誌
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.1-8, 2020-11-11

【目的】日本における「寄り添う看護」の実践内容について文献から明らかにすることを目的とした。
著者
景山 望
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.142-148, 2017-03-31 (Released:2017-06-07)
参考文献数
35
被引用文献数
1

In practice, it is difficult to estimate cognitive functions owing to the location and lack of tools for measurement. Therefore, it is restricted to the use of items on cognitive function that we are able to investigate. Multiple application software can be installed on a tablet-computer. Therefore, it could be a useful tool for assessing cognitive function without depending on the measurement environment. In this review, we examined psychological studies that used a tablet-computer to assess cognitive functions in the workplace. Additionally, we discussed the usability of a tablet-computer as a tool for assessing cognitive function in various environments.
著者
田辺 繁治
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.289-308, 2008-12-31

本稿は日本文化人類学会第42回研究大会(2008年6月1日、於京都大学)における第3回日本文化人類学会賞受賞記念講演の内容を書き改めたものである。その目的は、1960年代末から今日にいたる私自身の人類学研究をふり返りながら、人びとが想像的、再帰的な実践のなかでコミュニティを構成していく過程を考察することにある。ここではコミュニティとは、すでにそこに存在するものばかりでなく、人びとの欲望、想像や思考の展開のなかで実践的に創られていくという視角から考える。そこでまず1970年代以降に現れたブルデューやレイヴ/ウェンガーらの実践理論を批判的に検討しながら、コミュニティが多様な権力作用のなかで形成されることに注目する。ここでいう権力作用とは他者にたいする外部からの支配だけでなく、イデオロギーや言説のように、人びとの認知様式や価値評価に影響をおよぼし、秩序の承認へと導く効果を含んでいる。そうした権力作用にたいする抵抗あるいは闘争を描くことは20世紀末の民族誌の重要なテーマであり、そこには西欧近代の主体概念とは異なったエージェンシーの躍動が浮き彫りになった。私が取り組んだ北タイの霊媒カルトやエイズ自助グループの研究も、病者や感染者たちがコミュニティのなかで自己と他者、権力の諸関係を想像的、再帰的な実践をとおして創りなおしていく過程に焦点をあてるものであった。彼らの実践の資源となるのは合理主義的知であるよりは、むしろコミュニティに埋め込まれた自分たちの<生>にかかわる解釈学的知である。しかし他方、近年の社会的マネージメントの展開において、こうしたコミュニティのなかに形成される共同性そのものが、国家、企業、NGOなどを含む多様な権力が介入する回路や標的となっていることに注目しなければならない。そこでフーコーの統治性の概念は、権力がそうしたコミュニティの枠組みをとおして介入し、自己規律化するフレキシブルな主体を構築していくことを分析するにあたって有効だと考えられる。このようにして人びとが想像力によってコミュニティを新たな共同性として構成してゆく道筋は、統治テクノロジーの作用による自己規律化と重なりあっているのであり、人類学はそうした重層的過程にアプローチする必要があるだろう。
著者
越中 康治
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.479-490, 2005-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
31
被引用文献数
2 4

本研究では, 挑発的攻撃, 報復的攻撃, 制裁としての攻撃の各タイプの攻撃行動に関する幼児の認知を比較検討した。4, 5歳の幼児を対象として, 主人公が他児に対して各攻撃行動を示す場面を紙芝居で提示し,(1) 主人公が示した攻撃行動の善悪判断,(2) 攻撃行動を示した主人公を受容できるかの判断,(3) 幼児が日常, 主人公と同様の攻撃行動をするかの報告を求めた。結果として,(1) 幼児は挑発的攻撃は明らかに悪いことであると判断するものの, 報復的攻撃及び制裁としての攻撃に関しては善悪判断が分かれており, 全体として良いとも悪いともいえないという判断を示した。また,(2) 幼児は挑発的攻撃を示す主人公を明らかに拒否していたが, 報復的攻撃及び制裁としての攻撃を示した主人公とは一緒に遊んでもよいと判断した。さらに,(3) 挑発的攻撃及び報復的攻撃に関して, ほとんどの幼児は日常示すことはないと回答したものの, 制裁としての攻撃に関しては示すと回答した者も少なからずいた。本研究から, 報復的公正に関する理解は4, 5歳児にも認められることが明らかとなった。幼児が報復や制裁のための攻撃を正当化する可能性が示唆された。