著者
松枝 秀二 小野 章史 内田 郷子 中田 裕美
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.253-257, 1992

高校生野球部員の食生活調査をおこなった.対象はレギュラークラス11名.調査期日は平成元年10月と12月に一週間づつおこなった.その結果, スポーツ選手としては摂取栄養素量は少なく, 特に野菜類, 乳類の摂取不足が顕著であった.エネルギー充足者では内容が蛋白質, 脂質にかたよっていた.今回の調査から若年スポーツ競技者に対する食事指導の必要性が強く感じられた.
著者
久保 森 杉村 暢大 中桐 紘治 秋田 求 泉井 桂
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.162-170, 2015-09-01 (Released:2015-09-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

ホルムアルデヒド(HCHO)は重要な産業用化学物質であるが,大気や室内の環境汚染物質でもあり,化学物質過敏症やシックハウス症候群の原因物質の一つとされている.われわれは,先に,HCHOを固定して同化する酵素群の遺伝子をメチロトローフ細菌から取得し,これを導入することによって,植物にHCHOの同化能を付与することに成功した.この方法を観葉植物などに適用して環境浄化(ファイトレメディエーション)に役立てることができるかどうかを検討するためには,遺伝子導入によって付与されたHCHOの吸収能やHCHOへの耐性について,より定量的なデータが必要とされる.本論文においては,一定の湿度を保ちながら,種々の濃度のガス状HCHOに植物を曝露するためのシステムの作成とその性能について報告した.予備試験的に,このシステムを用いてシロイヌナズナの野生型および上記の形質転換体をHCHOに曝露したときの可視的影響を観察した.両植物体ともに,1~2 ppmにて48時間の曝露では葉に可視的な傷害がみられ,14~16 ppmで4日間の曝露では成葉が全面的に褐変した.しかし曝露後通常大気中で栽培をつづけると茎頂から成長が再開され死滅はしていなかった.
著者
小池 高史 長谷部 雅美 野中 久美子 鈴木 宏幸 深谷 太郎 小林 江里香 小川 将 村山 幸子 藤原 佳典
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.357-365, 2015 (Released:2015-08-27)
参考文献数
25

目的 自治体による身元不明の認知症高齢者の増加を抑制する事業の利用を広めていくために,大田区で展開される高齢者見守りキーホルダーの利用の特徴を明らかにする。また,普及を担当する地域包括支援センターの方針や戦略と利用の特徴との関連を明らかにすることを目的とした。方法 2013年 7 月,東京都大田区 A 地区において,住民基本台帳上65歳以上の高齢者のうち,自力回答が難しいと思われる人を除いた7,608人を対象に質問紙を郵送し,5,166人(回収率67.9%)から回収した。このうち,分析に用いた変数に欠損のなかった4,475人を分析対象とした。見守りキーホルダーの利用の有無を従属変数とする二項ロジスティック回帰分析を行った。独立変数には,性別,年齢(前期高齢者/後期高齢者),同居者の有無,社会的孤立状況(孤立/非孤立),IADL(自立/非自立),もの忘れ愁訴の有無を投入した。また,2014年 8 月に大田区内 6 か所の地域包括支援センターにて12人の職員を対象にインタビュー調査を実施した。結果 ロジスティック回帰分析の結果,女性は男性よりも1.64倍,後期高齢者は前期高齢者よりも4.39倍,独居者は同居者のいる人よりも2.14倍,非孤立者は孤立者よりも1.36倍,IADL 非自立の人は自立の人よりも1.50倍,もの忘れ愁訴のある人は無い人よりも1.37倍見守りキーホルダーを利用していた。地域包括支援センターへのインタビューの結果,見守りキーホルダーの主な普及の対象としては,独居高齢者,心配を持っている人,若くて元気な人などがあげられた。地域包括支援センターのなかでも,独居高齢者と若い層を普及の主な対象と考えているセンターがあったが,実際には独居高齢者は多く利用し,前期高齢者の利用は少なかった。登録している人が多いと考えられていたのは,不安感の高い人,若くて自立度が高い人などであった。実際の登録までの経路としては,人づてや,町会などで登録するケースがあげられた。結論 見守りキーホルダーは,女性,後期高齢者,独居者,非孤立者,IADL 非自立の人,もの忘れ愁訴のある人により利用されていた。地域包括支援センターの多くが例示した友人や地域団体を経由しての登録の仕方と,孤立している人の利用率の低さの関連が示唆された。若くて IADL の高い人や社会的に孤立した人の利用を広めていくことが今後の課題である。
著者
泉山 若菜 金澤 奈津美 小濱 広子 篠木 千佳 摂待 詩織 千葉 さゆり 川崎 雅志
出版者
岩手県立大学
雑誌
岩手県立大学盛岡短期大学部研究論集 (ISSN:13489720)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.23-30, 2015-03

異なる種類の食餌摂取の血清および肝臓脂質レベルに対する影響をラットにおいて検討した。ラットには,実験食として日本料理,西洋料理,中華料理を,ヒトが一般に摂取している食事を組み合わせてメニューとし,カロリーを等価として与えた。副睾丸脂肪組織の絶対重量は,3 食の間で有意な違いはみられなかったが,相対重量が,日本食摂取に比べて洋食摂取によって有意に増加し,中華食摂取によって増加の傾向を示した。血清トリグリセリド濃度ならびに肝臓トリグリセリド含量が,洋食摂取によって日本食摂取に比べて有意に増加し,中華食摂取に比べて増加の傾向を示した。肝臓コレステロール含量が,洋食ならびに中華食摂取によって日本食摂取に比べて有意に増加した。日本料理,西洋料理,中華料理から調製した異なる種類の食餌摂取により血清および肝臓脂質レベルに対して異なる作用がみられ,こうした異なる作用は,少なくとも一部としてそれぞれの食餌の成分組成の違いによるものであることが示唆された。食品の作用は様々な成分の栄養的多様性により現れることが考えられ,バランスのとれた食事を摂ることが重要である。
著者
Salsuwanda SELAMAT Akio MIYARA Keishi KARIYA
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
pp.15-18RE_OA, (Released:2015-08-31)
参考文献数
14

Horizontal ground heat exchanger in ground source heat pump systems is susceptible to ground surface variations thus affecting its thermal performance. However, this configuration is desirable due to low installation costs as it mainly involved burying pipes in shallow trenches. The optimization of horizontal ground heat exchanger was investigated by simulating a cross section of the ground containing a single unit of slinky-loops. The analysis shows that although trench depth increased by one third in vertical orientation, there was no significant improvement on thermal performance compared to horizontal orientation. Unless land area is limited then it is suggested that loops are installed in vertical orientation. When the material used as ground heat exchanger was copper pipe, heat exchange rate improved by 20% compared to conventional HDPE pipe. As expected, ground thermal resistance has a limiting effect on thermal performance although the pipe was changed to a material with thermal conductivity of over 800 times higher. The effect of distributing the flow into a group of loops in parallel was also examined. Thermal performance increases as more heat transfer area was provided in parallel loops. The spacing between adjacent loops was studied to elucidate heat interference in parallel loops operation.
著者
市辺 義章
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.424-430, 1993-12-31
被引用文献数
1

アレルギー性結膜炎の近年増加傾向に,種々の生活環境(生体外環境)汚染物質の関与が指摘されてきた。また,HLA抗原と関係したいわゆるアレルギー体質など宿主側の因子も検討されているが,現在までに報告は極めて少ない。我々はアスコルビン酸の抗ヒスタミン作用やフリーラジカルに対する防御作用に注目し,ハートレイ系雄モルモットを用いて実験的アレルギー性結膜炎に対するアスコルビン酸の効果を検討した。アスコルビン酸の投与は大量群,正常群,欠乏群の3群に分けた。モルモットにスギ花粉に対する受動免疫を与え抗原を投与,結膜炎の強度を血管から漏出したEvans blueを分光光度計で測定,定量化した。その結果,スギ花粉の抗原,抗体を投与せず,3群で色素の漏出度を比較したところ有意差はなかったが,抗原,抗体を投与しアレルギー反応を生じさせた場合はアスコルビン酸の投与量が少ない群ほど色素漏出度(アレルギー反応)が強かった。アスコルビン酸の有する抗ヒスタミン作用の低下が主な原因と思われた。またアレルギー性結膜炎の増悪因子である有機燐剤へのアスコルビン酸の防御的効果も検討したが,本実験では明らかな効果は認めなかった。アレルギー性結膜炎の増悪に生体外環境因子のみならずアスコルビン酸の低下など宿主側の正常な生体内環境を乱す因子も重要だと考えた。また臨床上,重度のアレルギー性結膜炎の患者の治療や診断に血中アスコルビン酸レベルにも注目すべきと思われる。
著者
林 和弘
出版者
応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.19-22, 2015-01
著者
早川 久美子
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.35-44, 2007

「曾根崎心中」の研究史は、近松がいかに世話狂言などの先行作を下敷きにしていたかという、成立基盤の解明に重きが置かれていた。本稿では、本作品成立の意義を追求するため、先行世話狂言である「心中茶屋咄」、「河原心中」の二作品を取り上げ、そこでの心中原因の描かれ方を比較検討した。近松は、九平次を創作したことによって、生玉社の場からお初の行動に焦点を当てていることがわかった。お初は、困難に耐えながら徳兵衛への思いを貫いてゆく。
著者
今橋 理子
出版者
学習院女子大学
雑誌
学習院女子大学紀要 (ISSN:13447378)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-31, 2002
著者
小林 隆
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

日本語の方言形成にあたって中心的な役割を果たしたと考えられる「中央語の再生」現象について検討し、その特徴を明らかにするとともに、方言形成の一般原理としての理論的整備を行った。日本語の方言形成は、中央語の単純な伝播によって起こるのではなく、中央語を受容し、再生する地域独自の作用が大きい。特に、言語の運用面など、社会的背景が方言形成に関わる場合には、地域の社会構造の違いによって、東西差などの顕著な地域差が生じることになる。