著者
緒方 広明 矢野 米雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.2354-2363, 2004-10-15
被引用文献数
9

本論文では,ユビキタスコンピューティング環境において,学習者個人個人にあった形RTRPL(right time and right place learning)で,適応的に日常的な学びを支援するユビキタスラーニング環境を提案する.特に言語学習は,辞書やテキストを用いた学習だけでなく,日常生活で獲得される部分も大きいと考えられており,本論文では言語学習を対象としたユビキタス学習環境CLUEを提案する.具体的には,CLUEは3つのサブシステムからなる.1つ目は,学習者が日常生活の経験で得た知識を共有し,RTRPLを促す,用例学習支援システムである.2つ目は,学習者の対話相手や周りの状況を把握し,それに合わせて適切な待遇表現を提示する,待遇表現学習支援システムである.3つ目は,RFIDタグを日用品につけ,日常生活の中で単語学習を支援するシステムである.本論文では,これらのシステムの開発と利用実験について述べる.This paper proposes a ubiquitous learning environment that supports daily learning at the right time and at the right place (RTRP) in ubiquitous computing environments. Especially, it is said that language is acquired in everyday learning (outside school) rather than using dictionaries and textbooks (inside school). Therefore, this paper proposes a computer-supported ubiquitous language learning environment called CLUE (Collaborative-Learning support-system in Ubiquitous computing Environments). CLUE consists of three subsystems. The first system supports sentence learning, which provides the useful expressions at the right place at the right time. The second system helps polite expression learning. In Japan, there are four levels of polite expressions. This system provides the right level of politeness, deriving from personal information of another person and user's situation. The final system supports learning vocabulary, which detects the objects around learner using RFID tag, and provides the learner the right information at the moment. This paper describes the implementation and experimentation of those systems.
著者
守倉 正博 松江 英明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.11, pp.1918-1927, 2001-11-01
被引用文献数
49

IEEE 802.11ワーキンググループは2.4GHz帯及び5GHz帯無線LAN標準規格を定めている団体である.近年, IEEE 802.11b準拠無線LANが, 有線イーサネットと同等な11Mbit/s伝送速度を達成できることから, 急速にオフィス環境や家庭内ネットワークとして普及しつつある.本論文では, 2.4GHz帯無線LAN規格についてIEEE 802.11b規格を中心に解説を行い, 現在更なる高速化標準が審議中のIEEE 802.11g規格について述べる.また, 今後広帯地域無線アクセス手段として広く用いられる5GHz帯無線LAN規格についてはIEEE 802.11aを中心に解説を行い, 欧州への適用を考慮したIEEE 802.11hの審議状況について概説する.
著者
高島 尚美 村田 洋章 北 素子
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本邦におけるICU入室患者のストレス経験を明らかにすることを目的とし、12時間以上人工呼吸器管理を受けICU入室患者にICU退室前に34項目のICU Stressful Experiences Questionnaire日本語版(ICU-SEQJ)を作成し調査をした。96名のストレス経験は、8割近くが口渇を、7割近くが動きの制限、会話困難、気管チューブによる苦痛、痛みや緊張を経験していた。関連要因は、挿管時間、鎮痛鎮静剤投与量、抜管前のCRP値、痛みの訴え、および既往歴のなさ、緊急入室であった。入室患者の多くが苦痛を体験していることを看護師は推測しながら関わりニーズを充足する必要がある。
著者
廣井 孝弘 小島 秀康 海田 博司 佐々木 晶 中村 智樹
出版者
国立極地研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

国立極地研究所が南極から回収してきた隕石試料片を、そのまま非破壊の状態で可視から赤外領域の反射光の分光をすることで、それらの鉱物組成を推定する試みをした。貴重な火星や月からの隕石、そして大部分が小惑星ベスタから来ていると考えられるHED隕石、そして水や有機物を含む炭素質コンドライト隕石の合計130個余りの試料について、反射スペクトルの測定を各試料片に1点以上行った。それらのスペクトルに線形外挿・修正ガウス関数分解・主成分解析などを施すことにより、各隕石の岩石種や鉱物・化学組成などを理解することができ、はやぶさ2などの探査ミッションへの応用方法も提案できた。
著者
岡本 健
巻号頁・発行日
2012-12-15

コンテンツ文化史学会 2012年大会 シンポジウム「記憶と場所」. 2012年12月15日. 明治大学.
著者
高橋 弘充
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、日本のX線観測衛星「すざく」と、本年度に米国から打ち上げに成功したガンマ線観測衛星Fermi(旧名GLAST)を用いて、超新星残骸(SNR)を共同観測し、世界で初めてSNRからπ^0起因のガンマ線の有無を直接的に検証することである。「すざく」衛星についてこれまでに、我々が開発した硬X線検出器(HXD)の2つの検出器(シリコンPIN半導体とGSOシンチレータ)のバックグラウンドモデルの再現精度を定量的に評価することで、SNR(RXJ1713.7-394,SN1006)のデータ解析において、SNRからの微弱なシンクロトロン放射をこれまでにない精度で測定することに貢献してきた。また今年度も従来どおりに衛星の運用に携わり、検出器の性能向上に努めた。Fermi衛星について2008年6月の打ち上げ前から、衛星の運用が行われる米国・スタンフォード線形加速器センター(SLAC)に滞在し、衛星の模擬運用に参加した。この経験を活かし、打ち上げ後もSLACで実際の運用に携わり、さらに帰国後は日本から運用に参加するだけでなく、日本メンバーに運用のノウハウを伝え、検出器チーム全体で日米欧3局24時間体制での衛星運用を維持することに尽力した。初期観測データの解析においては、LAT検出器の較正を行いながらいち早く結果を出すため、銀河系内でもっとも明るいガンマ線天体であるパルサーを扱っている。とくにFermi最初の観測論文(CTA1パルサー)においては、Fermiのデータを解析するだけでなく、私のこれまでのX線観測の経験を活かし、「あすか」やXMM-NewtonなどのX線衛星のデータ解析も行った。これにより、ガンマ線で発見されたパルス周期がX線で検出されていないことを確認することができた。SNRはパルサーよりも暗いため、現在は日々のサーベイ観測によって得られたデータを蓄積している段階である。
著者
宮崎 康行
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,薄膜やケーブルなどのゴサマー構造と,それを支持する宇宙機本体等から成るゴサマー多体構造物の変形と運動について,その特徴を理論・数値シミュレーション・地上実験により明らかにした.そして,その理論・数値解析手法をJAXAの小型実証機IKAROSの設計・開発へ適用し,IKAROSの軌道上データとの比較により,その妥当性を宇宙実証した.最後に,ゴサマー構造物の実用化に向けた新しい解析手法を提案した.
著者
鈴木 睦
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.102-104, 2009-06-25

プラネットCは,衛星バス及び搭載機器のフライトモデルが完成し,組み立ての第一段階として噛み合わせ試験(一噛み)が2008年11〜12月末に実施された.ここではプラネットCの開発フェーズの中での「一噛み」の位置づけと打ち上げまでの試験について紹介する.
著者
押川 文子 日下部 達哉 佐々木 宏 牛尾 直行 伊藤 高弘 南出 和余 村山 真弓 黒崎 卓 柳澤 悠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

近年南アジア諸国では、多様な供給主体による教育の普及がみられる。本プロジェクトでは現地調査と統計分析に基づき、多様な教育供給が広範な人々の教育への期待を活性化させているものの、教育格差はむしろ再生産される傾向があり、雇用市場の制約のもとでとくに中等教育~非エリート高等教育のモビリティ拡大機能は限定的であること、教育改革では市場原理の導入とともに格差是正や子どもの権利が重要課題となっていること、を明らかにした。
著者
家田 仁 MALEE Uabharadorn
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

本研究は,特にタイを対象とし,日本側受入研究者と協力しながら,タイの社会的,経済的,文化的背景ならびに交通に関するデータを把握・分析し,日本との比較を通じて,持続的発展に向けた有効的かつ現実的な交通システムならびに交通政策の提案を目的としたものである.研究の実施に当たっては,日本の交通整備状況ならびにその問題点を把握するための調査を実施するとともに,タイの交通システムに関するデータ収集,交通システム上の問題整理を行った.その結果,以下の点が明らかとなった.・タイは,日本と非常に類似した交通インフラ整備をこれまで行ってきているとともに,交通機関選択の状況等でも日本とかなり類似する点が見られること・タイでは,これまで長期にわたって,総合的な交通政策を目指していたにもかかわらず結局部分的な交通施策の実施に終始してきたこと・今後,タイでは,より実質的な総合交通政策を実施するための方策を検討する必要があること・総合的な交通政策実施のためには,以下の点が重要であること.(1)交通システムの安全性向上,(2)交通から発生する環境負荷軽減,(3)インターモーダルを意識した交通効率性の向上,(4)交通システムにおける競争原理の導入,(5)地域および国土レベルの視点からみた広域交通インフラの整備,(6)旅客,貨物双方を意識した先端的な交通技術の導入,(7)交通行政の効率化,(8)交通サービスの料金システムの改善,(9)タイがアジア圏の中心的な存在となるための国際的なネットワーク整備,(10)効果的な土地利用の誘導に資する交通政策.
著者
岩瀬 忠行
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

哺乳類の腸内における窒素固定細菌の役割を純粋な形で検討するため、まず、窒素固定細菌を有するマウスモデルを構築した。また、国内メーカーと共同で、15Nガス曝露実験用インキュベーターを設計・開発を行った。本インキュベータにて3日間飼育した窒素固定細菌を保有するマウスと保有しないマウスの臓器(腸内容物、腸管、肝臓、体毛)を回収し、元素分析/同位体比質量分析計を用いて、窒素同位体比を測定した。その結果、腸内容物、腸管、そして肝臓において統計学的に有意な窒素同位体比の上昇が認められた。一方、体毛においてはそのような上昇は認められなかった。
著者
山本 晴彦 荊木 康臣 高山 成 吉越 恆
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

① 人工衛星データと現地踏査等による参詣道の被害解明では、参詣道の被害解明を実施した。② 気象観測モニタリングポイントの設置・運用によるリアルタイム気象解析では、リアルタイム気象解析を行い、多雨地域における降水特性を明らかにした。③ 長期間・高密度データセットの作成による豪雨解析では、雨量観測データの入力を行い、1929年からの雨量データセットを完成させ、紀伊山地で発生した豪雨の解析を試みた。④ 林床画像や分光測定による世界遺産「参詣道」の劣化、被害回復の調査・解析では、現地踏査による参詣道の遺産劣化調査・解析に基づき、和歌山県を中心に現地踏査による遺産被害回復の調査を実施した。