著者
大櫛 章裕 徳永 清輝 〓本 真佑 中村 匡秀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LOIS, ライフインテリジェンスとオフィス情報システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.470, pp.195-200, 2012-03-01

我々は先行研究において,レシートに記載された購買履歴を蓄積して様々な消費者向けサービスに役立てる「レシートログ」の提案を行っている.本研究では,レシートログの一活用方法として,買い物支援サービス「スマショ」の提案・実装を行う.スマショは,買い物における「二重購入」および「買い忘れ」を防止するサービスである.二重購入は家に在庫があるのに同じ商品を買ってしまう問題,買い忘れは家に在庫がないのに買うのを忘れてしまう問題である.スマショは,ユーザがいつ何をどこで買ったかという購買履歴をレシートログAPIを利用して検索し,スマートフォン等のモバイル端末に提示して上記2つの問題を解決する.開発したスマショを被験者8名に実際に利用してもらい,有効性の評価を行う.
著者
竹之内 星矢 青森 久 大竹 敢 田中 衞 松田 一朗 伊東 晋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.82, pp.69-73, 2010-06-11
参考文献数
11
被引用文献数
1

本論文では,画像毎の特徴に応じ適応的に処理を行うセルラニューラルネットワーク(CNN)を用いた階層的可逆符号化方式を提案する.提案方式は,画像の分割と予測に基づく方式であり,符号化性能は予測性能に大きく依存する.このため,予測を予測誤差を最小とする最適化問題に帰着させることにより,CNNによる最適な予測を実現している.また,画像の特徴に応じて,CNNのテンプレート形状を変化させ,予測性能の向上を図った.さらに,コンテクストモデリングを用いる算術符号化器を導入し,高い符号化効率を実現している.様々な画像に対し符号化を行い,提案方式の有効性を確認した.
著者
福地 伸章 松枝 大治
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.115-115, 2009

ミャンマー, Mogok地域は,ルビー・サファイア,スピネル,トパズ,電気石などの宝石鉱物を産出する地域として知られる.上八洞石(Johachidolite; CaAl[B3O7])は,岩瀬,斎藤(1942)により北朝鮮吉州上八洞から発見された新鉱物で,最近になって本地域のペグマタイト中からもその産出が報告された.この上八洞石は淡黄緑色と橙黄色部からなり,少量のThを含むのが特徴である.今回は鏡下観察,EPMAによる化学組成,カソードルミネッセンス(SEM-CL)像の観察に加えび流体包有物測定等により本鉱物の生成環境に関して得られた知見を報告する.
著者
鈴木 利彦 藤森 伸也
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
昭和歯学会雑誌 (ISSN:0285922X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.134-146, 1992-06-30 (Released:2012-08-27)
参考文献数
50
被引用文献数
8

チタンは表面に不動態被膜 (酸化物被膜) を生成するので, 耐食性及び生体親和性に優れていることが認められてきたが, 生体材料の用途としては, コントロールされた方法で酸化物被膜を付与し, なおかつ, 硬さ, 耐摩耗性, 耐食性などをさらに向上させることが望ましい.そこで本研究では, 電解液中でチタン板を陽極にして陰極と試作のパルス電源で接続し, 火花放電開始電圧以上の電圧を印加して陽極近傍で液中放電を発生させ, この現象を利用してチタン板へ酸化物被膜の生成を行う新しい方法 (放電陽極酸化処理) を開発した.放電陽極酸化処理では, 供給エネルギーをコントロールして, 通常の陽極酸化処理よりもはるかに厚い (μmオーダ) 酸化物被膜の生成が可能であった.被膜の母材への密着性は良好で, 硬さや耐摩耗性が向上し, 耐食性についても改善されていた.放電陽極酸化処理面には微小な小孔が生成していたが, この小孔の大きさも, 供給エネルギーでコントロールすることが可能であった.培養細胞を用いた細胞培養実験の結果, 放電陽極酸化処理面は, 母材のチタンと同等以上の良好な生体適合性を有していることが認められた.これらの所見から放電陽極酸化処理はチタンを生体材料として用いる場合の有効な処理になると考えられる.
著者
永沼 孝子 小川 智久 尾定 誠
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

4種のマベガイ外套膜レクチン(PPL-1~4)のうち、PPL-1は生体防御に関わること、PPL-2はカルシウム結晶化制御能、即ち貝殻および真珠層の形成に関与する他、生生体防御能も有することを明らかにした。PPL-4もカルシウム結晶化に関与することが分かった。このように、PPL群はマベガイ生体において、それぞれ異なる役割を果たし、健康な生体の維持に貢献していることが示唆された。
著者
後藤 康志 Gotoh Yasushi
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.111-118, 2014-05-17

教員免許状更新講習選択領域では6,000を越える講習が開設されているが,受講者側からはどのような講習が受講できるか見えにくく,開設側からはトータルとしてどの領域がどれだけカバーできているかモニタリングしにくい.選択必修領域の新設の提言に伴い,選択頒域の講習を整理する枠組みについて検討する.
著者
中村 環 Nakamura Tamaki
出版者
千葉医学会
雑誌
千葉醫學會雜誌 (ISSN:00093459)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.24-61, 1924-01-28

予ハ曩キニ本研究ノ第一篇「イヌリン」若クハ菊芋ノ健康體及ビ糖尿病患者ニ於ケル態度ニ就テ」ヲ東京醫學會雜誌ニ寄セタルガ今次ノ震災ニ依リ不幸登戴ノ運ニ到ラズシテ原稿ハ烏有ニ歸セリ。本篇ハ第一篇ノ諸事項ヲ前提トスルモノ尠カラザルガ故ニ茲ニ兩篇ノ内容抄録ヲ併記スベシ。第一篇内容抄録。著者ハ三名ノ健康體及ビ七名ノ糖尿病患者ニ就テ行ヒタル諸試驗ノ成績ヨリ經口的ニ攝取シタル「イヌリン」ハ健康人タルト糖尿病患者タルトヲ問ハズ全ク利用セラル、事無キカ或ハ利用セラル、トスルモ其一少部分ノミナリト結論セリ。而シテ「イヌリン」ガ糖尿病患者ノ糖排泄ニ對シテ好影響ヲ與フル所以ハ從來主トシテストラウス等ニ依リテ提唱セラル、「イヌリン」ガ消化管内ニ於テ徐々ニ分解セラレツ、徐々ニ吸收セラル、爲メナリト云フガ如キ直接ノ結果ニ非ズシテ寧ロ「イヌリン」自身ガ利用セラレ難キノミナラズ亦夫ハ同時ニ攝取シタル他ノ食品ノ利用ヲモ阻害スル間接ノ結果ニ他ナラズ。蓋シ此際急劇ニ增殖セル腸内細菌ニ依リテ生成セラレタル「イヌリン」ノ分解産物ガ糖尿病ニ對シテ間接ニ好影響ヲ呈スルモノアルベシ。之等ニ就テハ尚精細ナル檢索ヲ要ス。第二篇内容抄録。著者ハ其實驗成績ヨリ動物體内ニアリテ「イヌリン」ヲ吸收、利用スベク分解スルモノハ唯胃液ノ鹽酸アルノミニシテ「アルカリ」、唾液、膵液等ニハ其作用無ク、防衛酵素トシテ恐クハ又適應性酵素トシテモ「イヌリン」ヲ分解スルモノナシトノ結論セリ。從テ動物體内ニテ鹽酸以外ニ「イヌリン」ヲ分解スルモノハ腸内細菌ノミトナル理ナルガ此細菌ニ依ル分解ハ「イヌリン」ヲ果糖ヨリ以上ニ進デ分解スThe author has reached to the following conculsions as the results of experiments. 1. The hydrochloric acid secreted in the stomach is the only one agent which chemically attacks and hydrolyses the inulin to the absorbable and utilizable sugar. Neither the alkali of the intestinal juice and saliva nor the pancreatic juice has similar functions. Also no protective or adaptive enzyme, which influences the inulin hydrolysis, is to be found. 2. In addition to the hydrochloric acid, the bacteria in the intestinal canal have the possibility of hydrolysing inulin. However the latter destruct inulin far beyond the utilizable sugar, say fructose, so that the utilization of this products might not be remarkable. 3. The inulin prepared by me from Jersalem artichocke, found to be purest in comparison with other preparations, 1.00 gram giving 1.02 gram of fructose. 4. Inulin diffundiert the semipermeable membran proportionally to the duration and concentration. 5. The optimal concentration of hydrochloric acid for the inulin hydrolysis is from 1/10 to 1/20 mol. The concentration of 2g/dl or 2% is not fitted as it destructs inulin further than fructose. 6. The serum of rabbit which manipulated with inulin previously gets no power of hydrolysing inulin. By injection of inulin no increase of blood sugar was observed and after repeating the injection the excretion of inulin rather increases. 7. The serum of rabbit after manipulation with inulin shows no reaction against the inulin in the form of complementbindingpower or of precipitations. (Abstract by Author).新字体抄録:予ハ曩キニ本研究ノ第一編「イヌリン」若クハ菊芋ノ健康体及ビ糖尿病患者ニ於ケル態度ニ就テ」ヲ東京医学会雑誌ニ寄セタルガ今次ノ震災ニ依リ不幸登戴ノ運ニ到ラズシテ原稿ハ烏有ニ帰セリ。本編ハ第一編ノ諸事項ヲ前提トスルモノ少カラザルガ故ニ茲ニ両編ノ内容抄録ヲ併記スベシ。第一編内容抄録。著者ハ三名ノ健康体及ビ七名ノ糖尿病患者ニ就テ行ヒタル諸試験ノ成績ヨリ経口的ニ摂取シタル「イヌリン」ハ健康人タルト糖尿病患者タルトヲ問ハズ全ク利用セラル、事無キカ或ハ利用セラル、トスルモ其一少部分ノミナリト結論セリ。而シテ「イヌリン」ガ糖尿病患者ノ糖排泄ニ対シテ好影響ヲ与フル所以ハ従来主トシテストラウス等ニ依リテ提唱セラル、「イヌリン」ガ消化管内ニ於テ徐々ニ分解セラレツ、徐々ニ吸収セラル、為メナリト云フガ如キ直接ノ結果ニ非ズシテ寧ロ「イヌリン」自身ガ利用セラレ難キノミナラズ又夫ハ同時ニ摂取シタル他ノ食品ノ利用ヲモ阻害スル間接ノ結果ニ他ナラズ。蓋シ此際急激ニ増殖セル腸内細菌ニ依リテ生成セラレタル「イヌリン」ノ分解産物ガ糖尿病ニ対シテ間接ニ好影響ヲ呈スルモノアルベシ。之等ニ就テハ尚精細ナル検索ヲ要ス。第二編内容抄録。著者ハ其実験成績ヨリ動物体内ニアリテ「イヌリン」ヲ吸収、利用スベク分解スルモノハ唯胃液ノ塩酸アルノミニシテ「アルカリ」、唾液、膵液等ニハ其作用無ク、防衛酵素トシテ恐クハ又適応性酵素トシテモ「イヌリン」ヲ分解スルモノナシトノ結論セリ。従テ動物体内ニテ塩酸以外ニ「イヌリン」ヲ分解スルモノハ腸内細菌ノミトナル理ナルガ此細菌ニ依ル分解ハ「イヌリン」ヲ果糖ヨリ以上
著者
古田 潤
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

65nmのFD-SOIプロセスを用いて設計した非冗長フリップフロップの放射線起因のエラーの測定を中性子を照射する加速試験により行った。提案回路であるSLCCFFは通常のFFよりも耐性が高く、特に0.4Vと低い動作電圧では約30倍のソフトエラー耐性を持つことを確認した。この値は従来の放射線耐性回路であるstacked FFと等しい値である。SLCCFFは動作速度の点で従来回路よりも優れている。
著者
福田 亜希子 岩崎 雅史 山本 有作 石渡 恵美子 中村 佳正
出版者
一般社団法人日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:09172246)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.109-181, 2013-03-25

近年,ハングリー型の離散可積分系である離散ハングリー戸田方程式と離散ハングリーロトカ・ボルテラ系から,非対称行列の固有値が高精度に求まるアルゴリズムが定式化されている.本論文では,アルゴリズムの導出過程に加え,中心多様体理論を利用した漸近解析,浮動小数点数演算における混合誤差解析,高速化のための原点シフトに関する結果について概説する.ハングリー型の離散可積分系を結ぶベックルント変換についても示す.
著者
右谷 理佐
出版者
立教大学
雑誌
史苑 (ISSN:03869318)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.72-93, 1998-10
被引用文献数
1
著者
三本松 政之 朝倉 美江 原 史子 大井 智香子 中尾 友紀 新田 さやか 福山 清蔵 永田 理香 門 美由紀
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

日本の外国人移住生活者への政策は総論的な検討に止まり具体的対応は基礎自治体に委ねられており、移住生活者の支援にはデニズンシップとしての実質化という視点が重要となる。韓国では人権をミッションとする市民団体が外国人労働者の労働環境改善、移住女性の生活改善策提案などのための政策担当局との折衝ルート等を活用し、政府への政策形成やデニズンシップの実質化に向けて一定の影響力をもっていることが見い出せた。
著者
中井 泉 阿部 善也 扇谷 依李 和泉 亜理紗
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

我々は、これまでに2台のポータブル粉末X腺回折計を開発し、世界各地で考古化学的分析を行いその有用性を実証してきた。そこで、長年の現場分析の経験と世界の開発状況に基づき、高性能の新しいタイプのポータブル粉末回折計の開発を試みた。特徴は、「ポリキャピラリーハーフレンズ」を通して平行X線を試料に照射することで、絵画のような表面に凹凸のある試料でも、非破壊非接触で正しく測定できる点である。検出器は、SDD(分解能125 eV)を導入することで、同一照射点からX線回折データと蛍光X線スペクトルの両方を高いエネルギー分解能で測定できる装置を試作し、エジプトの壁画の分析に応用して成果を得ることができた。
著者
橋口 昌治
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.164-178, 2014

企業社会が揺らぐなか, 若年層はさまざまな困難を抱えつつも, それを社会的・構造的な問題として捉え, 集合的に異議申し立てを行うことが難しくなっている. なぜなら, 個人化が進んだ社会において人々が「集まる」ことすら難しいからである. また先行研究では, 共同性が政治的目的性を「あきらめ」させるという主張がある. その一方で, 「若者の労働運動」に参加している若者もいる. 本稿では, 「若者の労働運動」における抵抗のあり様を明らかにした. その際, エージェンシー性の高いと思われる組合員にインタビューを行った. エージェンシー性の高い人物ほど, 現在の地位が構造的要因に規定されたものなのか, 個人の選択や努力の結果なのかが判別しがたいという, 揺らぐ労働社会における矛盾が現れやすいと考えられるからである.<br>その結果, まず, ユニオンが労働相談にのることで, インタビュー対象者が個人的な問題として捉えていたものを社会的・集団的に解決すべき問題へと転換させていたことがわかった. 次に, 「あきらめ」, つまり上昇アスピレーションの冷却や「私」を受け入れていくことを通じて, 「政治的目的性」は加熱されていたことがわかった. 先行研究においては, 政治的目的性や自分探し, 上昇アスピレーションが加熱か冷却かの二項対立で捉えられていたが, 2人の事例からは, 「あきらめ」の相互関係は二項対立では捉えきれず, また抵抗につながりうることが明らかになった.
著者
橋口 昌治
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.164-178, 2014

企業社会が揺らぐなか, 若年層はさまざまな困難を抱えつつも, それを社会的・構造的な問題として捉え, 集合的に異議申し立てを行うことが難しくなっている. なぜなら, 個人化が進んだ社会において人々が「集まる」ことすら難しいからである. また先行研究では, 共同性が政治的目的性を「あきらめ」させるという主張がある. その一方で, 「若者の労働運動」に参加している若者もいる. 本稿では, 「若者の労働運動」における抵抗のあり様を明らかにした. その際, エージェンシー性の高いと思われる組合員にインタビューを行った. エージェンシー性の高い人物ほど, 現在の地位が構造的要因に規定されたものなのか, 個人の選択や努力の結果なのかが判別しがたいという, 揺らぐ労働社会における矛盾が現れやすいと考えられるからである.<br>その結果, まず, ユニオンが労働相談にのることで, インタビュー対象者が個人的な問題として捉えていたものを社会的・集団的に解決すべき問題へと転換させていたことがわかった. 次に, 「あきらめ」, つまり上昇アスピレーションの冷却や「私」を受け入れていくことを通じて, 「政治的目的性」は加熱されていたことがわかった. 先行研究においては, 政治的目的性や自分探し, 上昇アスピレーションが加熱か冷却かの二項対立で捉えられていたが, 2人の事例からは, 「あきらめ」の相互関係は二項対立では捉えきれず, また抵抗につながりうることが明らかになった.