著者
土屋 晴文 榎戸 輝揚 楳本 大悟
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

日本海側の冬の雷や雷雲からガンマ線が観測されている。Gamma-Ray Observations of Winter Thunderclouds (GROWTH)実験では、2006年より柏崎刈羽原子力発電所の構内に、放射線検出器と、光や電場を測定する装置を備えてガンマ線の観測を続けており、雷や雷雲は電子を10 MeV以上に加速できることを明かした。本研究では、BGOシンチレータで構成された検出器を新たに導入して、ガンマ線事象の検出数を向上させた。加えて、雷雲から1分にわたり511 keVの陽電子の対消滅線が放射されていることを明かし、雷雲が大量の陽電子を生成しているかもしれないことを示した。
著者
柄沢 宏明 森 忍
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター 天然放射性元素測定小委員会
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.7, pp.276-277, 1996-03

タンデトロン加速器質量分析計業績報告 Summaries of Research Using AMS 1995(平成7)年度
著者
西田博文
雑誌
精神医学
巻号頁・発行日
vol.27, pp.907-913, 1985
被引用文献数
1
著者
森本 賢治 国枝 正典 千田 慎吾 杉山 和永
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.368-368, 2004

放電加工には角だれや,放電位置偏在によるギャップの不均一から加工機の工作物形状を予測することは困難である.そこで放電現象をコンピュータ上で予測し,加工後の工作物形状や加工前の電極形状を知ることが本研究の目的である.本シミュレーションでは角柱電極を用いているが,エッジの形状表現は非常に困難であった.そこで,この問題を回避すべく,改良された電極メッシュ貼付や工作物及び電極の除去方法について提案する.
著者
土居 隆秀
出版者
[栃木県水産試験場]
雑誌
栃木県水産試験場研究報告 (ISSN:13408585)
巻号頁・発行日
no.47, pp.84-89, 2004-03

本県在来の水産資源であるイワナ(ニッコウイワナ型)、ヤマメ、カジカについて、地域遺伝子の保存を考慮した増殖計画(人工種苗の放流水域の選定指針)を策定するために、在来個体群(地域遺伝子集団)の生息分布を調査した。利根川水系思川の各支流(北から順に粟野川、思川、永野川の主要3河川)について調査を行った。イワナの在来個体群の生息する可能性は極めて低く、まったく生息しないか、生息したとしても極めて狭い範囲に少数単位で隔離されている可能性のあることが想定された。ヤマメの在来個体群はいないものと考えられた。那珂川でのカジカの放流実績はなく、各河川に生息している個体は全て在来個体群であると推定された。
著者
吉田 真樹
出版者
静岡県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では倫理学・日本倫理思想史の観点から「死者」について、古代では『古事記』が死後の霊魂を極力叙述せず、『日本霊異記』が仏教教義に反して死後の霊魂を前提としたこと、中世では『源氏物語』が生霊と死霊とを恋において連続的に把握し、謡曲が成仏を望む死霊と望まない死霊を設定したこと、近世では平田篤胤が庶民仏教の死後霊魂観に対抗して神道に死後の霊魂を導入し、近代の排仏的柳田國男と親仏的折口信夫の霊魂論を準備したことを明らかにした。
著者
金子 正秀
出版者
電気通信大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009

顔特徴・顔印象の定量的解析手法を利用した顔認知機能の解明について、以下の研究を行った。1.2つの異なる顔に対する似ているか否かの判断に係る顔認知親子の顔の類似性に対する主成分分析による定量的比較に関して、年齢印象操作による方法と顔部品特徴による方法を検討した。年齢印象操作による方法では、子供の顔に対して大人への年齢印象操作を行った上で親(大人)の顔と比較することにより、親子の顔を直接比較する場合に比べ、類似性評価の精度を向上することができた。顔部品特徴による方法では、子供と大人(親)の2つのグループに分け、各々の固有空間で顔特徴解析を行うことにより、各グループの中で入力顔特徴を定量化した。定量化された顔特徴を言葉による顔特徴記述に置換え、顔部品ごとの類似比較を行い、その結果を統合することにより親子の顔の類似性を柔軟に評価できるようにした。また、車のフロントフェースについて、各部品形状、配置に関する固有空間を求め、人間の顔に対してと同様に、対話的に特徴解析、特徴操作を行うための基礎的システムを構築した。2.顔の3次元形状に対する認知の仕組みの解明ステレオ画像計測により顔部分の3次元形状を取得するシステムの整備を行った。また、正面顔とは異なる典型的な例として横顔を取上げ、主成分分析を用いて横顔特徴の定量的分析を行った。正面顔に対してと同様の横顔特徴解析ツールの構築を進めた。また、どの主成分にどの様な横顔特徴が表れているのかを調べた。3.顔特徴・顔印象の定量的解析及び顔画像生成ツールの機能の拡充Bag of Words手法を顔による個人認識及び表情認識に適用する方法を考案し、従来の認識手法に比べて撮影条件の違いに頑健でかつ認識性能が高いことを実験により確認した。また、GPGPUによる並列演算を利用して顔特徴点の検出処理の高速化を図り、顔特徴点の検出から似顔絵生成までを実時間で行えるようにした。
著者
菅原 広史 近藤 純正
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.813-818, 1995-12-31
被引用文献数
7 10

都市の各種地表面について,熱収支モデルを用いて地表面温度と気象条件,地表面のパラメータとの関係について調べた.気象条件では日射量が地表面温度に与える影響は大きく,建物の日陰の地表面温度は日向と比べてかなり低い.一方,気温や大気の比湿は地表面温度にあまり影響を与えないことがわかった.都市と郊外(アスファルト面と芝生面)を比較すると地表面温度には地表面の湿潤度が最も大きな影響を与えている.また地中の熱物理係数は地表面温度の位相,振幅を変化させ,場合によっては日中にクールアイランドが形成される可能性があることを示した.
著者
田中 政信 中島 寿亀 森 欣也
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.162-168, 2003-03-15
被引用文献数
3 6 6

サトイモ葉柄用品種育成のための効率的選抜法を確立するために、シュウ酸カルシウム結晶の形成過程、発生時期および組織内分布について検討した。シュウ酸カルシウム結晶は、極めて若いステージの実生の胚軸や葉柄組織の結晶細胞中に、短い針状結晶や砂粒状結晶として出現した。細胞の分化に伴い、これらの結晶は細胞の中央部で、一方は柱状の束晶へ、他方は金平糖状の集晶へと分化した。束晶細胞はその形態的特長から、大型で不整形の非防御的束晶細胞と細長いキュウリ様で、細胞の一方の先端に乳頭状突起を有する防御的束晶細胞とに区別された。また、防御的束晶はわずかな刺激によって崩壊し、多数の針状結晶を細胞外へ飛散させる特性を有していた。実生の幼苗では、非防御的束晶細胞がまず出現し、その後、やや遅れて防御的束晶細胞が出現した。集晶は植物体の生長が比較的進んだ時期から出現した。播種後約60日目に葉柄中の束晶細胞密度は安定した。サトイモの各器官における束晶細胞の分布は、葉身が最も高密度であり、葉柄、球茎の順に低密度となった。また、外部組織は内部組織に比べ束晶及び集晶細胞の分布密度が高くなった。結晶細胞の密度は各器官の通気組織や表皮の近傍の柔組織、細胞分裂の盛んな組織で高くなった。また、結晶細胞の密度は、若い組織が高く、古い組織が低かった。
著者
山本 啓二 矢野 道雄
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

プトレマイオスによる『テトラビブロス』のアラビア語校訂版を作成する過程で初めて得られた知見は、9世紀のフナイン・イブン・イスハークが改訂したとされるアラビア語写本が全部で9種類現存することが確認できたこと、サービト・イブン・クッラ(9世紀)がナイン版にどの程度手を加えたかが判明したこと、そしてフナイン版とウマル版がともに、現存する唯一のシリア語写本から翻訳されたものではないことが判明したことである。
著者
藤永 太一郎 竹中 亨 室賀 照子
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.25, no.11, pp.795-799, 1976-11-10
被引用文献数
1

日本産のコハクについて赤外吸収スペクトルにより産地同定が可能であることを報告したが,本報では更に新たに得た外国産の資料についても検討し,これらも同様に産地同定できることを明らかにした.又,本邦産のコハクについても新しく資料を入手し詳しく検討した.資料は地質学的標準資料として久慈I,久慈IIの久慈産と,海鹿島,波止山No.1-1,波止山No.1-2,長崎海岸No.5,犬吠崎No.6-1,酉明浦No.7,酉明浦No.8の銚子産,竹折の宿の岐阜産,外国産として撫順III,Palmnicken, Dominica,及びDalmatiaのRetiniteを用いた.又,考古資料としては千葉県銚子市の粟島台遺跡のもの2種,奈良県富雄丸山古墳,於古墳,慈恩寺脇本古墳より出土したものを用いた.元素分析の結果は地質学的資料はC:H:0=43〜208:70〜350:4,考古学的資料はC:H:O=19〜56:29〜91:4で,考古学的資料のほうがばらつきは少ない.赤外吸収スペクトルは全波長領域にわたって産地特有のパターンを示し,同一産地は同一パターンであった.考古出土品の原産地については富雄丸山古墳,於古墳,脇本古墳の2資料はいずれも久慈産のスペクトルの特徴をそなえており,粟島台遺跡の2資料は銚子産のものと同定した.これは古墳時代に東北久慈のコハクが,近畿地方にまでゆきわたっていたことを示している.
著者
鳴坂 真理
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

作物の病気の発生を防ぐことは農業にとって最も重要な課題である。しかし、植物の病気には病原体認識、その後のシグナル伝達、抗菌性物質の産生など多くの遺伝子が関与するため、少数の遺伝子を用いた遺伝子発現解析では病害応答を精緻に理解することは困難である。そこで、一度に千から数万の遺伝子の動きを解析できるマイクロアレイを用いて、「カスタムアレイ設計の方法論の確立」および「遺伝子診断法の確立」を試みた。
著者
高梨 ありこ 纐纈 雄三
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.10-14, 2011-07

本研究は、低生涯生産性を示す母豚(LE母豚)に関連する要因の探査を目的とした。要因は、初交配日齢(AFM)、産次0の種付け回数、産次1の生存産子数(PBA)とした。本研究では、101農場における2001-2003年に導入された34,728頭の分娩記録を用いた。LE母豚は、年間化生涯PBAの下位25パーセンタイルを持つ母豚と定義した。AFMは151-209日、210-230日、231-251日、252-272日、273-293日、294-365日の6グループに分類した。産次1のPBAは≦7頭、8-11頭、≧12頭の3グループに分類した。産次0の種付け回数は、初回種付けと再種付けに分類した。統計分析には混合効果モデルを用いた。母豚のAFMが151-209日から294-365日に上がるにつれ、LE母豚になる割合は、18.7%から37.3%に増加した(p<0.05)。再種付け未経産豚は、初回種付けと比べて、LE母豚になる割合が10.3%高かった(P<0.05)。産次1のPBAが≦7頭の母豚は、8-11頭と≧12頭の母豚と比べて、LE母豚になる割合がそれぞれ19.4%と28.5%高かった(P<0.05)。結論として、LE母豚になる割合を減らすためには、成熟した未経産豚における早い日齢での初交配、再種付け未経産豚割合を減少させること、そして産次1におけるPBAを増やすことが推奨される。

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1897年12月25日, 1897-12-25
著者
小泉 京美
出版者
東洋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

「満洲国」および「関東州」における日本語文学・文化関連資料の調査成果を、コレクション・モダン都市文化第5期第85巻『満洲のモダニズム』(ゆまに書房、2013年6月)に発表し、日本および満洲におけるモダニズムの展開について論じた。また、『アジア遊学』167 (2013年8月)の特集「戦間期東アジアの日本語文学」に、「まなざしの地政学―大連のシュルレアリスムと満洲アヴアンガルド芸術家クラブ―」を発表し、満洲事変以降の大連の地政学的条件と、絵画・写真・詩など多様なジャンルを横断して展開したシュルレアリスムについて論じた。さらに、国際シンポジウム「文化における異郷」(2013年11月16日、輔仁大学、台湾)に参加し、「故郷喪失の季節―満洲郷土化運動と満洲歳時記―」と題して口頭発表を行った。1930年代に南満洲鉄道株式会社の社員会で活発化した満洲郷土化運動と、満洲における日本語文学の展開との関わりにっいて論じたもので、満洲におけるインフラ整備とメディア開発の進展が、日本語文学の展開に果たした役割を検証するとともに、満洲の日本人社会の変容が、日本語文学に与えた影響について考察した。口頭発表の成果は、「満洲郷土化運動と〈日本文学〉―短歌・俳句・歳時記―」(『東洋通信』、第50巻第9号、2013年12月)及び「故郷喪失の季節―満洲郷土化運動と金丸精哉〈満洲歳時記〉の錯時性―」(『フェンスレス』第2号、2014年刊行予定)に発表した。
著者
山田 昌久 山岡 拓也
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

考古学の研究は、過去の物質資料を観察研究することを基礎として成立している。しかしそこでは、技術を「機能」「用途」として捉えること、その器具や装置の数量を捉えること、その器具や装置の時間別空間別整理をすること、はできても、効力・効果を時間や精度で測ること、資源交渉量をボリュームで測ることは困難である。本研究は、実験考古学という手法により、技術力を数値で提示することと資源利用量や資源の生産量を数値で提示することを目的とした。過去の人類集団が、資源の入手法でのみ整理されるのではなく、それぞれの技術力や交渉資源量をもとに整理されることで、考古学の先史・原始時代研究は個別社会の特性を分離・統合する基準を保有することが可能となる。本研究では、(1)各種土質地の掘削力、各種草本の切削力・各種木本の切削力などを器具や装置ごとに示すことに成功した。(2)狩猟具の衝突圧や精度の数値化・石器・鉄器の形状特性の判断に成功した。(3)水利施設の設置・利用実験により先史・原始期の各種水利構想の特徴を示すことに成功した。