著者
西前 出
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

途上国における自然災害による農業生産の被害を軽減するために,地域資源を再考することを通じて新しい開発援助の在り方についてミクロ,マクロの双方の視点から研究を行った。フィールド調査,アンケート調査,GIS分析を通じて研究を実施し,住民目線では災害に対する正しい認識の欠如,行政の支援とニーズの不一致などが主たる課題として挙げられ,都市部では経済的な発展度合いによる災害への適切な対応が必要不可欠であることが定量的に明らかとなった。
著者
坂口 寛典 宮田 一乘
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.5, pp.1-6, 2013-02-11

本報告では日常の中で女性が身に着けるストッキングの質感を, CG で表現する手法を提案する.ストッキングは伸縮によって構造や質感が変化するという特徴を持ち,女性の表現には欠かせない要素の 1 つであるため,その質感を表現することは重要である.提案手法では,ばね質点モデルを使用することによってストッキングの構造を再現し,足形状へのフィッティングを行った.その情報を用いてレンダリングすることで,ストッキングの構造に基づいた質感の表現が可能となる.This paper proposes a method to represent the features of stockings by means of CG. A stocking has a feature that changes its structure and texture by stretching. Stockings are one of the essential elements for representing women. The proposed method represents the structure of a stocking by using a mass-spring model. The stocking model is deformed to fit to a specified foot model. After the deformation, the method renders an image of stocking from the obtained geometrical structure of a stocking.
著者
古川 勝哉
出版者
上越市立中郷小学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

「発達適合的再現」と「誇張」を視点とし,系統性と競争課題を明確にした「ベースボール型」ゲームの単元を提案するとともに,「ベースボール型」ゲームの教材的可能性を探ることとを研究の目的とし,(1)発達適合的再現を視点としたゲームの工夫,(2)「誇張」を視点とした競争課題の明確化,(3)子どもの学びから「ベースボール型」ゲームの教材的可能性を探ることを研究内容とした成果を次の4点にまとめる。○「ベースボール型」ゲームにおいて,「発達適合的再現」と「誇張」の両方の視点からゲームを修正することによって,「ベースボール型」ゲーム本来の面白さを損なうことなく,学習内容を確実にかつ楽しく学ぶことができる。○「ベースボール型」ゲームを初めて学習する第3学年の子どもでは,1塁ベースと本塁だけを設定したゲームから始めることによって,「打者がボールを打った後,1塁ベースを経由して本塁(ゴール)を目指す」という進塁の原理を理解することができるようになる。○第6学年の子どもでは,主に「誇張」の視点からゲームを修正し,段階的に競争課題を示していくことにより,自分で状況を判断しプレーすることができるようになる。○打者(走者)と守備が次の塁に到着(送球)するまでの速さを競う二次ゲームにおいて,打者(走者)をどこでアウトにするか判断したり,次の塁を陥れる/阻止するといった攻守の作戦を考えたりすることは,「ゴール型」の他のゲームに戦術や技能が転移する可能性がある。また,「ベースボール型」ゲームは,他の「型」にはない「進塁すること」を学習することができる唯一の教材である。このことから,「ベースボール型」ゲームは,教材的価値が非常に高いと判断できる。
著者
佐藤 隆夫 赤木 章信 繁桝 博昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理
巻号頁・発行日
vol.98, no.276, pp.23-30, 1998-09-18
被引用文献数
3

視覚は人間のコミュニケーションにとって時に言語以上に重要な意味を持つ, 視線の知覚は, 相手が正対している時には驚くほど高い精度を持っているが, 顔が回転し, 「流し目」になると視線の移動量の過大視が起こり, 受け手から見ると視線が行き過ぎてしまう.この「頭部回転効果」は従来, 眼の偏移そのものの知覚の誤差であると考えられてきたが, 原理的には, 眼の偏移の他に, 頭部回転量の過小視も原因となりうる.こうした仮説のもとに, いくつかの実験を行い, 頭部回転の過小評価が頭部回転効果に大きく影響していることが明らかになった.

1 0 0 0 OA 豊臣昇雲録

著者
弄月閑人 編
出版者
松林堂
巻号頁・発行日
vol.上, 1880
著者
森 吉昭 島田 保之 幸村 秀樹 高橋 章
出版者
ダム工学会
雑誌
ダム工学 (ISSN:09173145)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.114-123, 1997-06-15 (Released:2010-04-30)

中央遮水壁型ロックフィルダムの各ゾーンのうち堤体の安定性を確保するシェルゾーンには, 要求品質に見合うように自然地山深部の堅硬な岩石を使用している。この材料を採取するためには採石場表層付近の土砂, 軟岩を大量に廃棄する必要があり, ダム工事費増加の要因の一つとなっているため, 重回帰分析手法を用いて廃棄材料の有効活用を図った。本報告は, その検討結果について述べるものである。
著者
原 直之 大隣 辰哉 西原 伸治 大田 泰正 栗山 勝
出版者
Societas Neurologica Japonica
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.395-402, 2014
被引用文献数
8

特発性脊髄硬膜外血腫16例の臨床分析をおこない,脳卒中と類似した点を検討した.初診時に片麻痺を示す症例が10例(62.5%)で,ホルネル症候群を4例(25%),無痛性の発症を1例(6.3%)みとめた.また激痛発症で迷走神経反射による意識障害をきたし,くも膜下出血様の症例もみとめた.MRI画像が確定診断に有用であり,好発部位は頸髄下部であった.横断像では血腫は,左右どちらかに偏った楕円形が多く,偏在性の脊髄圧迫が片麻痺出現の要因である.発症は活動時に多く,関連要因は,抗血栓剤内服,C型肝炎,慢性腎不全などをみとめた.急速進行例は,緊急手術の適応になるが,保存的治療も可能であり,予後も良好であった.
著者
米山 正敏 深田 聡 森川 美絵
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.407-417, 2014-08

近年,我が国では,保育所入所待機児童(調査日時点において入所申込が提出されており,入所要件に該当しているが入所していないもの.厚生労働省保育課が把握して「保育所関連状況取りまとめ」を作成する際に定義されている.保育所に空きがなくて入所できない児童,もしくは空きがあっても諸事情により入所していない児童を含む.以下,待機児童という.)の解消が大きな目標になっている.平成13年以降,保育所定員数も保育所数も全国レベルでは右肩上がりに増加しており,かつ,毎年保育所利用児童数は定員を下回っている.しかしながら,待機児童は依然として発生しているという現状がある.このことは,待機児童の地域偏在や,待機児童解消のための保育の受け皿整備等,自治体による取り組み方の違いに起因している可能性,そして,それらについての検証の必要性を示唆している.本報告では,待機児童と保育所整備に関する状況について既存のデータを整理し,有用と思われる新たな指標も追加することで現状の分析を行った.結果として,政令市・中核市レベルの待機児童と保育所整備に関する状況は,人口規模の類似した自治体であっても大きく異なっていることが明らかになった.また,自治体単位の5才以下人口に占める保育所定員数の割合が高いほど,5才以下人口に占める待機児童数の割合が低いという傾向が見出された.また,どのような受け皿により保育ニーズが吸収されているのか,地域の保育ニーズに応じるためにどの程度の地方単独保育施策が動員されているかについても,自治体によりかなりの相違があることも示された.なお,待機児童の解消を含めた保育所整備は,保育の受け皿の量的拡大のみならず,ケアの質の保障,地域の子育て支援能力の向上,雇用環境とマッチした環境整備といった多様な視点からなされることが重要である.それらを把握しモニタリングするための指標の開発,地域の施策立案への活用が,今後の課題として示された.
著者
井上 次夫
出版者
小山工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

論述文で適切な単語が使用できることを目的に、話しことばから書きことばへの書き換え能力を高める教材を開発し、冊子『アカデミック・ジャパニーズ表現の演習』(A4版、42ページ)を発行した。また、それを用いて、高専の3年生及び専攻科1年生、公立高校2年生を対象に授業実践し、自学自習にも役立つ多様な練習問題を中心に据えた語彙の指導法について提案した。

1 0 0 0 OA 法国律令

著者
[ビ]利幹 口訳
出版者
同文館
巻号頁・発行日
vol.刑名定範, 1880
著者
大隈 貞嗣
出版者
三重大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

われわれが作製した血管血球系特異的p38αコンディショナルノックアウトマウスおよびマクファージ特異的コンディショナルノックアウトマウスにおいて高脂肪食による肥満の抑制が観察され、マクロファージにおけるp38αが肥満を促進していることが示された。またマクロファージ特異的p38αcKOマウスにおいて食餌誘導性NASHモデルを作製したところ、肝における炎症および線維化が減少していた。また老化促進マウスとの交配に関しては作製途中であるため予備的にp38阻害剤投与実験を行ったところ、寿命延長効果が認められた。
著者
毛利 一平 小川 康恭 甲田 茂樹 熊谷 信二
出版者
独立行政法人労働安全衛生総合研究所(産業医学総合研究所)
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

1.清掃作業者を対象としたコホートの構築全日本自治団体労働組合の協力を得、全国の清掃労働者に対してコホート調査への参加協力を呼びかけた。コホート構築に必要な個人情報の収集(ベースライン調査)に、ごみ焼却炉での経験を有する者(曝露群)2,866名、ごみ収集作業者(非曝露群)6,239名の協力を得た。発がんリスクについては早期の評価を目指し、退職者を対象としたコホートの構築を試みたが、個人情報保護にかかわる社会環境の変化もあり、実現は困難であった。2.ごみ焼却作業におけるダイオキシン類へのばく露の評価全コホートを対象に、個々のダイオキシン類への曝露を、血液試料の分析により客観的に評価することは困難である。このため、作業内容や従事期間などの代理指標による曝露評価が必要であった。ベースライン調査において、清掃職場での職歴と飛灰に接触する頻度を、自記式調査票によって記録した。また、58人のごみ焼却炉作業員を対象に代理指標による曝露評価と血中ダイオキシン類濃度の相関を検討したところ、曝露期間(飛灰に曝露する作業に従事した期間の総和)と血中HpCDF濃度(PCDD/DFの異性体の一つ)に相関が認められた。3.がん死亡リスクの評価研究期間内に構築したコホートはすべて現役の労働者であり、労働に伴うがん死亡リスクを評価するには、今後さらに10年以上の追跡期間が必要である。4.児の性比への影響生殖障害の指標として、児の性比を検討した。複数の曝露代理指標を用いて解析した結果、統計学的に有意ではなかったが曝露期間が長いほど女児の比率が多くなる傾向を認めた。この傾向は、母親の出産経験、出生時における父親の年齢、出生年を調整しても変わらなかった。ただし、最も曝露期間が短い群で非曝露群よりも男児が多い結果となり、飛灰曝露と子供の性比に関連があるとするには根拠が弱く、現段階で明確な結論は得られなかった。
著者
熊谷 信二 車谷 典男
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

2007年に、旧石綿工場の周辺住民1907人の参加を得て後向きコホート調査を実施したが、本調査では観察期間を2012年12月まで延長して死亡状況を観察した。そして推定石綿濃度に基づき、対象者を4群に分類して、肺がん死亡状況を検討した結果、石綿濃度がもっとも高い地区では、職業性石綿曝露がない肺がん死亡者は男性9人および女性4人であり、標準化死亡比(日本の一般人と比較して何倍かの指標)はそれぞれ2.40(95%信頼区間1.10-4.55)、3.27(同0.89-8.39)となり、男性では統計学的に有意であった。この結果により、周辺住民の肺がん死亡リスクが上昇していることが示唆された。
著者
津田 敏秀 頼藤 貴志 土居 弘幸 鹿嶋 小緒里
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

国内では大気汚染の健康影響を評価した疫学研究は依然として少ない為、下記目的を達成するために研究を行った。①短期曝露と疾病罹患の関連評価、②短期曝露と疾病別死亡の関連評価、③大気汚染曝露と周産期指標の関連評価、④大気汚染曝露と児の疾病罹患との関連評価。結果として、①では短期曝露により、循環器疾患、呼吸器疾患、心停止による救急搬送のリスクが上昇していた。②においては、日々の二酸化硫黄の濃度と疾病別死亡との関連を認めた。③に関しては、曝露モデルの検討を行っており、更なるデータ蓄積と解析を行う予定である。④に関しては、妊娠中の曝露は満期低出生体重児を増加させ、発達にも影響を及ぼしていた。