著者
沼田 加代
出版者
群馬大学
雑誌
群馬保健学紀要 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.15-24, 2005-03
被引用文献数
2

本研究の目的は,育児グループを行政主催型育児グループと自主型育児グループとに分け,母親の育児不安の内容と育児グループの効果を検討することである。対象は,M市内の育児グループヘの参加者のうち,乳幼児を持つ母親8名ずつの計16名である。研究方法は,対象者である母親に半構成的面接法を実施し,その内容を質的に分析した。面接内容は,基本属性,育児不安の内容,育児グループ参加の効果,子どもおよび母親の育児面の変化,専門職との関わり状況等である。結果,母親の年齢は26〜38歳,子どもの年齢は1〜5歳であった。育児不安の内容は,「兄弟姉妹による育児の相違」,「夫や周囲からの協力不足」があげられた。育児グループ参加による効果については,行政主催型育児グループと自主型育児グループに共通した内容は,「友達が増える場」であった。さらに,行政主催型育児グループのみにあげられた効果は,「相談ができる場」,「遊び場・機会の確保」,「遊びを教えてもらえる場」,「気を紛らわす場」などであった。自主型育児グループのみにあげられた効果は,「交流の場」,「作り物ができる場」,「情報が得られる場」,「視野が広がる場」などであった。これらのことから,行政主催型育児グループは,保健師などの専門職との具体的な相談の場を求めており,自主型育児グループは,母親同士の交流をはかりながら自分たちの創作活動をする場を求めていたといえる。
著者
寺久保 繁美 中島 秀喜 竹村 弘 金本 大成
出版者
聖マリアンナ医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

百日咳、麻疹、風疹はワクチン接種により予防可能な感染症である。近年、我が国ではこれらの疾患の成人発症例が増加している。その原因として抗体低下が考えられる。今回、若年成人(医学生)の抗体価を測定した。百日咳抗体価は28.3%(194/686名)が感染防御レベル(10EU/ml以上)を満たしていなかった。麻疹抗体価は55.6%(322/579名)が感染予防の基準(16以上)を満たしていなかった。風疹抗体価は27.5%(159/579名)が感染予防の基準(8以上)を満たしていなかった。感染予防対策のためにも医学生に対するワクチン接種を積極的に推進する必要があると考える。
著者
島崎 司 三明 清隆 塚正 泰之 杉山 雅昭 峯岸 裕 信濃 晴雄
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.569-576, 1994
被引用文献数
1 13 1

Two types of smoked salmon in the A<sub>w</sub> range above 0.93 and less than 0.96 (L-A<sub>w</sub> type) and above 0.96 (H-A<sub>w</sub> type) were prepared, sliced, vacuum-packed and then stored for 40, 30, and 5 days at 5, 10, and 20°C, respectively. Changes in sensory evaluation, and microbiological and chemical characteristics were investigated throughout the storage period. The overall sensory score and textural evaluation of the H-A<sub>w</sub> type decreased faster than the L-A<sub>w</sub> type at each storage temperature. Viable cell counts and VB-N values of the H-A<sub>w</sub> type were larger than the L-A<sub>w</sub> type at each temperature during the storage period. As for microflora in the H-A<sub>w</sub> type, Enterobacteriaceae was significant in the middle period at 10°C, and was very common at 20°C after 2 days of storage. <i>Lactobacillus</i> finally dominated under the temperature conditions examined. In the L-A<sub>w</sub> type, <i>Streptococcus</i> and <i>Lactobacillus</i> were predominant on the last day of storage at 20°C, and 10 and 5°C storage, respectively. These findings suggest that the storage temperature and A<sub>w</sub> of smoked salmon are closely correlated to shelf-life, because a combination of storage temperature and A<sub>w</sub> affected the viable cell counts and formation of microflora during the storage period and induced the changes of sensory evaluation and VB-N values.
著者
灘野 宏正 中迫 正一 河野 正来
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.61, no.592, pp.4763-4768, 1995-12-25
被引用文献数
2

To clarify the seizure resistance of stainless steel balls of which the surface layer was thermally diffused after being Sn-plated, a four-ball test was carried out with grease lubrication. From the tests, the following results were obtained. The diameter of the wear scar of the ball lubricated with the grease containing a molybdenum disulfide additive was smaller than that of the ball lubricated with the grease without the additive, and the diameter of the wear scar increased with increasing concentration of the additive. The load at the incipient stage of seizure of the ball of which the diffused surface layer was about 6 μm thick was 2〜4 times larger than that of the ball without the diffused surface layer. Further, it was found that the seizure resistance of the balls could be estimated from the critical surface temperature and that the critical temperature increased with increasing concentration of the additive.
著者
具志堅 美智子 オムラー 由起子 宇都宮 典子 呉屋 秀憲 糸数 ちえみ 益崎 裕章 辻野 久美子 砂川 博司 与儀 洋和 比嘉 盛丈 喜瀬 道子
出版者
琉球大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

研究(1)では2型糖尿病者6名を対象としてCGMS装着者にインタビュを行い、グラウンテッド・セオリー・アプローチにて分析した。CGMS装着体験は自らの病と真摯に対峙する機会となり、偏った食行動の気づきを得ていた。気づきは食行動改善のモチベーションを高めていた。研究(2)では20名を対象としてCGMS前後の糖尿病負担感情調査(PAID)の測定にて検証した。PAID総点数の平均はCGMS前25.62±16.2後21.8±14.9で有意差は認められないものの負担感情は軽減傾向にあった。患者背景因子との関連では有職群において「糖尿病の治療」の負担感情が有意に軽減していた(p<0.05)。
著者
原 真志
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

第1に,集積内と集積間の関係を総合的に取り扱い,また,企業から独立したプロジェクトリーダーチームが意思決定を行う場合があるコンテンツプロジェクトを説明するためには従来の組織論,組織間関係論,境界連結単位を超えるプロジェクトの理論が必要であり,申請者のこれまでの研究成果と他の既存研究の再検討を通して,「プロジェクトの空間デザイン」の研究フレームの構築作業を進めた。第2に,「プロジェクトの空間デザイン」の研究フレームを具体的に検証するため,ハリウッドにおけるVFXプロジェクトの総括責任者であるVFXスーパーバイザーへのヒアリングを行った。具体的にはKevin Tod Haug氏,John Bruno氏,John Dykstra氏を対象に,担当したVFXプロジェクトでの,要求内容に応じた企業選択の要因を,分業内容,企業や集積の評価(コストとクリエイティビティ),過去のプロジェクト経験,監督やプロデューサーの意向などの点について詳細にヒアリングを実施した。第3に,プロジェクトリーダーであるハリウッドのVFXスーパーバイザーを対象に調査した内容を,連携するハリウッド外の視点から検証するために,ハリウッド映画の参加実績を持つロンドンとプラハに立地するVFX企業を対象とした現地調査を行った.第4に,日本におけるアニメの事例として,東京のサンライズ社を中心とする日本で初めてのフル3DのCGによるテレビアニメシリーズ「SDガンダムフォース」プロジェクトにおけるコミュニケーションとイノベーションに関する調査を実施した。第5に,日本における実写の事例として,円谷プロとNHKの共同制作によるデジタル衛星放送用のハイディフィニションテレビSFシリーズ「WoO」を取り上げ,VFXスーパーバイザーである松野美茂氏を対象に1週間の参加観察を実施し,コミュニケーション行動のデータ収集を行って分析した.
著者
日野 晶也 河合 忍 出川 洋介
出版者
神奈川大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究ではイトマキヒトデの精子中心体の分画から発見した新奇DNAが、ヒトデ以外の生物にも保存される中心体特有のDNAであり、中心体を有する多くの真核生物にも同様に相同な塩基配列のDNAが存在すると考えた。また、広く真核生物に共通の分子マーカーとしても貢献すると考えた。そこで、中心体を有する真核生物からの網羅的な探索を試みた。その結果、海綿動物から脊索動物まで、96%以上の相同性が検出された。また、アメーボゾアの粘菌からも96%以上の相同性のあるDNAが検出された。更にコケ植物など、植物からも95%以上の相同配列が確認されたことから、真核生物に広く保存されるDNAであることが示唆された。
著者
三宅 紀子
出版者
首都大学東京
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

今年度は身体描画法の量的指標以外のその他の指標を深層心理学的に分析する活用法について検討した。個別の事例を取り上げ、身体描画法により得られた描画の質的な分析結果と被検者との面接により聴取された情報との対応・一致の程度を吟味し、身体描画に表出した被検者の身体に対する感情や態度等を検討した。事例を挙げると、不安定な対人関係の経験があり、病的痩せにより無月経となり、婦人科の処方薬を飲んで月経を起こさせている被検者Aさんは、大きな頭、細く長い首、異常に長い脚を描いた。面接では「お腹が空いた感じがわからない。」「私は時間で食事をしている。」と話した。この事例は、自然に感じられる空腹感がわからず、大きな頭で食事をコントロールしているが、頭を支える首が細いために頭がグラグラとして、頭のコントロールも不安定になりがちなAさんの様子が描画に反映されたものと考察された。また、体重増加の懸念や痩身願望が強く、大食や自発嘔吐を繰り返すという非常に不安定な摂食態度を持つBさんは身体の輪郭が曖昧で、足部(正面画、横向き画の両方)と腕および手(横向き画)がない不完全な身体を描いた。面接では、「食べちゃいけない、という反動で食べちゃう。」「夜にたくさん食べてしまい、これではいけない、吐かなきゃ、と毎日のように吐くこともある。」と話した。先行研究より、腕なしは不適応感や無力感を表わし、足なしは自立心の欠如を表わすとされるが、Bさんの描画はBさんの摂食に対する不適応感や食欲に抵抗する無力感、摂食コントロールの自律性の無さを表わすものと推察された。このような事例より、描画には被検者が意識しているか、否かに関わらず、被検者の身体に対する感情や態度などの内面が表出していることが認められた。これにより一般的に身体像を測定するために身体描画法を用いるだけではなく、言語による自己表現能力が低い生徒や学生を理解するための方法、あるいは恣意的な回答を避けるための身体像測定方法として身体描画法が適用可能であることが確認された。
著者
岡村 信幸 安保 尚美 青野 美和 江口 倫由 吉井 久乃 小野 行雄 八木 晟
出版者
和漢医薬学会
雑誌
和漢医薬学雑誌 (ISSN:13406302)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.114-118, 2002-06-20
被引用文献数
1 1

Daio-kanzo-to is a Kampo medicine for acute and chronic constipation which consists of a combination of rhubarb and glycyrrhiza. The contribution of rhubarb is to provide a purgative effect, due to the presence of sennosides. Sennoside A is known to decompose on heating during decoction. Therefore, it is said that Kampo decoctions containing rhubarb rather do not have to be boiled for a long time when targeting the purgative activity of sennoside A. This study was performed to clarify the relationship between decocting times of rhubarb and purgative activity. The variation of sennoside A content in rhubarb during the decocting times of 5 to 240 min was shown to be almost the same as that of Daio-kanzo-to. Compared to sennoside A content between powder and cut rhubarb during the period of decoction, the time when the maximum dissolution was reached had significant differences (powder: 10 min, cut: 40 min). Each purgative activity of powder and cut rhubarb decoctions was in proportion to sennoside A content. Kampo decoctions are generally prepared with cut crude drugs. Therefore, we concluded that usual decoction (40 min) is most suitable for Kampo medicines containing rhubarb to use for constipation.

1 0 0 0 OA 避雷針叢説

著者
鳥居菊助 編
出版者
電友社
巻号頁・発行日
1899
著者
西村 馨
出版者
国際基督教大学
雑誌
教育研究 (ISSN:04523318)
巻号頁・発行日
no.48, pp.161-174, 2006-03

本論文では児童・思春期の子どもに対するグループ介入に関するいくつかの問題を取り上げ,効果的なものにしていくよう基本問題を検討した.そのひとつとして,グループが置かれている文脈に留意することがしばしば欠けてしまっていることを指摘した,状況においてどのようなグループが求められているのかは文脈によるため,目標は全体の状況の理解を踏まえて明確にするべきである.グループ目標を達成するために,グループ介入のいくつかの分類を提示し検討した.もうひとつの問題は,心理社会的発達の問題を実践家が特に軽視しているということである.グループは,子ども達が表面上見せている行動上,および心理学的な問題の背後にある発達的苦闘を克服するのを援助するためにデザインされるべきである.これを踏まえて,グループの意味と児童・思春期の発達課題を簡潔に概観し,発達位相に適した活動内容を提示した,さらに,実践技術の問題,すなわちグループ規範,グループリーダーの役割,グループダイナミクスの重要性を,グループの実践的有効性を検証するために考察した.グループでの抵抗の効果的な取り扱い,精神分析的理解に基づく対話的手法,問題解決と目標達成のためにプログラムをデザインすることに関して,例を示した.最後に,将来の実践に向けて,グループデザインのアイデアを提示し,心理療法訓練生による心理教育的な活動グループの実践例を紹介した.
著者
若崎 淳子 長崎 雅子
出版者
島根県立看護短期大学
雑誌
島根県立看護短期大学紀要 (ISSN:13419420)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.41-52, 2003

本研究は、看護短大生を対象に、IGF法を活用した「やる気」調査をもとに、グループ形式で卒業研究に取り組む学生の「やる気」の要因を明らかにすることを目的とした。卒業研究前期では、学生の「やる気」グラフは多峰型を示し、促進要因は、[卒業研究過程の理解]、[グループダイナミクス]、阻害要因は、[卒業研究過程のつまずき]、[グループダイナミクス]、[身体コンディション不良]であった。中期では、グラフは直線型を示し、促進要因は、[前向きな取り組み]、阻害要 因は、[関心の転化]、[身体コンディション不良]であった。後期では、グラフはサイン・コサイン型を示した。特徴的な促進要因は見出せなかった。阻害要因は、[身体コンディション不良]であった。