著者
笹野 友寿 塚原 貴子
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.39-45, 1998

本研究の目的は, 神経症の主要な下位分類である解離性障害について, 大学生を対象にスクリーニングすることにある.対象は岡山県内にある短期大学の1年生57名で, 全員女性である.入学後2週目に解離性体験尺度(DES : DissociativeExperienceScale)を採点した.DES得点の基礎データは, 中央値1.94,平均値16.03,平均値の標準誤差1.94,歪度1.61,尖度5.82であった.DES得点が30点以下の者は57名中48名(84.2%)であったが, 適応レベルに問題は認められなかった.一方, DES得点が30点以上の者は57名中9名(15.8%)であったが, 適応レベルが良好でない者が含まれていた.この結果より, DESを用いたスクリーニングは, 大学生を対象とした精神保健活動にとって有用であると思われた.そして, DES得点が30点以上の場合は, 精神科医や臨床心理士などによる面接が望ましいと思われた.
著者
一杉 裕志
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

ヒトの脳は大脳皮質、大脳基底核、海馬などの器官から構成される汎用の機械学習装置である。この脳全体のアーキテクチャの詳細が解明できれば、人間のような知能を持ったロボットが実現可能になり、人類に莫大な富と利益をもたらすだろう。脳の各器官の計算論的モデルは不完全ながらすでに出そろっており、それらがどう連携して脳全体の機能を実現しているのか解明することが、汎用人工知能への有望なアプローチであると考える。
著者
青柳 かおる
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

現代のムスリムによるイスラームの生命倫理、特に中絶や初期胚に関する議論を分析し、近代以前の伝統的な古典の死生観と比較することにより、古典思想の現代的意義を解明した。
著者
林 久男
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
やどりが (ISSN:0513417X)
巻号頁・発行日
no.203, pp.35-36, 2004-12-25
著者
関根 祐子 木津 純子 長瀬 幸恵 荒川 基記 安野 伸浩 遠藤 睦 柳 真志帆 山中 緑 大山 実 荒川 義弘
出版者
一般社団法人 日本医療薬学会
雑誌
病院薬学 (ISSN:03899098)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.61-68, 2000 (Released:2011-08-11)
参考文献数
11
被引用文献数
1

To determine whether the cotreatment with histamine H1 antagonists (H1) and histamine H2 antagonists (H2) are effective in treating chronic urticaria sufferers whose condition does not improve by H1 antagonist alone, we investigated academic books, papers provided by pharmaceutical companies and the MEDLINE on-line data base. No sufficient information could be found from inquiries of books and company-provided papers. However, from the MEDLINE data base, six papers on clinical trials based on the protocols of randomized controlled on trial were obtained and used as evidence. We also performed a meta-analysis based on the findings of the 6 papers.It is thus considered indispensable for drug information services to find appropriate papers using a data base search and then provide such information to doctors together with a critical appraisal by pharmacists.
著者
永井 義雄 関口 正司 下川 潔 山内 友三郎 有江 大介 音無 通広 姫野 順一
出版者
関東学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

3年間にわたる本研究の最大の目標の1つは、功利(公益)主義の古典原典、それも出来れば未刊の草稿に遡って研究を拡大、深化させ、その成果を国際的に問うことであった。幸い、ベンサム草稿のマイクロ・フィルムを一括購入出来、ロンドン以外でこれを持つのは、日本が最初ということになった。永井、音無、有江、深貝、堀田、桜井、市岡、近藤、立川らは、これによって研究をすすめ、前6名は、その成果を第5回国際功利(公益)主義学会(ニューオーリンズ、1997年3月)で発表した。その後、研究協力を仰いだ坂井、奥野、児玉らがこの線にそって新たに研究を開始している。他方、いま1つの目標は、実践道徳として今日生きている功利(公益)主義が理論的、実践的にいかに機能しているかを確認し、今後さらに人類の福祉と地球環境の保護のために功利(公益)主義をいかに理論的、実践的に展開していくべきかを、考察することであった。この点でも、もちろん、国際交流は必要であって、山内は、オーストラリア国立大のシンガー教授と連携しつつ、生命倫理の問題で研究を深め、樫(研究協力者)もシンガー教授の著書を翻訳して、この面での功利(公益)主義的思考の意義を広めた。理論面では、永井、有江、深貝の3名は、1996年9月、ロンドン大学において、バリー教授の著書(Brain Barry,Justice as impartiality)をめぐっての、日英合同研究会に参加し、それぞれおよそ、1時間半の質疑応答をおこなった。これには、バリー教授自身が参加したのみならず、ローゼン教授、スコフィールド、ケリ-、クリスプ各博士など、約15名がイギリス側から討議に参加し、日本側には他5名が参加した。こうした研究会活動の結果、およそ、国際学会における日本からの発信については、国際的に一定の評価を受け、日英合同研究会の基礎も、一応固まったように思える。若手の研究者も、現れつつあり、今後の一層の理論的、実践的展開が期待される。1998年7月、待望の日本功利(公益)主義学会が旗揚げ出来るようになったのも、3年にわたる本研究補助があり、そのお蔭で研究会を継続できたからである。
著者
大橋 晃太 横山 明弘 籠尾 壽哉 細田 亮 山本 隆介 米田 美栄 工藤 昌尚 朴 載源 上野 博則 矢野 尊啓
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.670-674, 2013 (Released:2013-08-02)
参考文献数
15

症例は53歳男性,2006年11月にPOEMS症候群と診断され,翌年2月に自家末梢血幹細胞移植(ASCT)を受けた。2011年7月に両側胸水貯留による呼吸困難と,全身性浮腫が出現した。血漿vascular endothelial growth factor (VEGF)およびM蛋白が増加し再発と診断された。lenalidomide/低用量dexamethasone (Ld)療法により体液貯留は速やかに改善し,11コース実施後も増悪なく経過している。ADLは全介助から軽介助立位可能なレベルまで改善した。最近lenalidomideの本疾患への使用報告が増加しているが,浮腫の改善だけでなく溢水症状が急速に改善した報告はない。水分貯留傾向が著明なPOEMS症候群においてLd療法は有効な治療選択肢である。
著者
川崎 晴久 川﨑 晴久 (2013) ABADZHIEVA Emiliya EMILIYA Abadzhieva EMILIYA Abadzhieva
出版者
岐阜大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

ロボットハンドに適用できる高性能減速機の研究開発を狙い,ベベルギヤをヘリコン型と運動学的に同等の双曲面ギヤに変換できる数学モデルを構築した。ヘリコンギアドライブは, 特殊な最適な構造と幾何学的特性を選択することでシンセシスでき, CADでモデル化できた. このとき,重複する係数の増加に関連する問題の解を見つけ,相手歯車間のバックラッシュを制御するための前提条件を明らかにし、その数学モデル化,解析法や設計法の確立等に取り組んだ.開発した設計手法の新規性は,へリコンギア減速機がバックラッシュが殆どなく,小型に構成でき,かつ減速比を60:1と大きく取れることにあり,最適なシンセシスによるロボットハンドへの技術的な実現という挑戦的な課題に取り組んできたが、実証の段階に至っていない.今後,開発した数学モデルをロボットハンドの減速機構に実際に適用してモデルの有効性を示せるように,更なる発展に期待したい. さらには,ロボットの動的運動を確実に伝達する伝達モデルや交合歯の間の反発制御を含んだ実証的なCADモデルの開発の実現に向けた研究により, ロボットハンドの減速機構の開発に役立つことを期待している.
著者
山口 正泰 山中 直明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.47, pp.61-66, 2009-05-15
参考文献数
5

本稿では,複数地点に設置したセンサ(雷検知器)群をネットワークで結んで雷を観測する簡易型多地点雷観測システムの構成法とプロトタイプによる実験結果について報告する.汎用パーソナルコンピュータをベースとした簡易な構成を採ることで,従来のシステムに比べて経済性の高いシステムを構築できる可能性がある.試作した雷検知器を3つの観測地点に設置して,実際の雷が発する空電パルスの観測が可能であることを確認するとともに改良のための課題について考察した.
著者
城谷 一民
出版者
室蘭工業大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
2001

スクッテルド鉱型化合物LnT_4X_<12>(Ln = lanthanide, T = transition metals, X = P, As, Sb)は超伝導、金属一絶縁体転移、強磁性や反強磁性など多様な物性を示すうえ、熱電材料など実用面からも注目される興味深い化合物である。これらはスズフラックス法を用いて合成されるのが普通であるが、我々は高圧合成法を用いて多くの新スクッテルド鉱型化合物の開発に成功し、大きな成果を上げている。しかし単結晶の作製は行っていなかった。精密な物性研究には単結晶が不可欠である。スズフラックス法では単結晶の育成は可能であるが、大きな単結晶を造るのが難しい。中性子回折や超音波の測定には大型の単結晶を必要とするので、スズフラックス法は適当でない。我々はすでに黒リンの大型単結晶を高温、高圧下で育成させることに成功している。この技術を用いれば、スクッテルド鉱型化合物の単結晶の育成ができると考え、比較的単純で融点も低いCoP_3を取り上げた。CoSb_3は熱電材料としては最も研究されており、当然のことながら同族のCoP_3にも注目が集まっている。キュウビックアンビル型高圧装置を用い、CoとPを化学量論的にとり、高圧装置にセットして、3.5GPaまで加圧する。その後、温度を1100℃まで上昇させて、CoP_3をまず合成する。再び加熱して1600℃まで上昇させてCoP_3を融解した後、1分に約1℃の割合でゆっくりと温度を低下させる。約1000℃になった所で急冷した。取り出してみると大型単結晶の育成が認められた。ラウエ写真でも単結晶のスポットが見出された。スクッテルド鉱型化合物の高温高圧下における単結晶の育成は世界で初めて行われたものなので、現在特許を申請中である。CoP_3の熱起電力、電気抵抗率、熱伝導率なども測定し、熱電特性を評価し興味深い結果を得ている。
著者
Takashima Yohei Martínez Virginia Martínez Furukawa Shuhei Kondo Mio Shimomura Satoru Uehara Hiromitsu Nakahama Masashi Sugimoto Kunihisa Kitagawa Susumu
出版者
Nature Publishing Group
雑誌
Nature communications (ISSN:20411723)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, 2011-01-25
被引用文献数
712

「ちえのわ」型ナノ細孔を用いたセンサー開発に成功: 動き、捕まえ、光って知らせるナノ多孔体. 京都大学プレスリリース. 2011-01-26.Chemosensors detect a single target molecule from among several molecules, but cannot differentiate targets from one another. In this study, we report a molecular decoding strategy in which a single host domain accommodates a class of molecules and distinguishes between them with a corresponding readout. We synthesized the decoding host by embedding naphthalenediimide into the scaffold of an entangled porous framework that exhibited structural dynamics due to the dislocation of two chemically non-interconnected frameworks. An intense turn-on emission was observed on incorporation of a class of aromatic compounds, and the resulting luminescent colour was dependent on the chemical substituent of the aromatic guest. This unprecedented chemoresponsive, multicolour luminescence originates from an enhanced naphthalenediimide-aromatic guest interaction because of the induced-fit structural transformation of the entangled framework. We demonstrate that the cooperative structural transition in mesoscopic crystal domains results in a nonlinear sensor response to the guest concentration.