著者
家島 彦一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.493-512, 1967-11

松本信廣先生古稀記念
著者
内藤 久子
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、ハプスブルク帝国支配下のチェコ諸領邦において展開された宮廷社会を背景に、後期ルネサンスからバロック期に至る「チェコ音楽」の発展の諸相を、政治史・社会史・文化史の視座から読み解き、更に同地域における「人文主義」の開花について深く洞察することにより、同時代の「中欧文化」の歴史の一端を明らかにするものである。その成果は、同時期の「チェコ音楽」を、近現代の「チェコ音楽」創成への礎石と位置づけ、ヨーロッパ文化史の中でその卓越した発展の様態を解明するものとなった。
著者
角谷 均
出版者
日本結晶成長学会
雑誌
日本結晶成長学会誌 (ISSN:03856275)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.164-169, 2013-01

高圧高温下(HPHT)での温度差法において,高純度な炭素源とFe-Co-Ti溶媒,高結晶性の(001)種結晶を用い,HPHT条件を高精度に制御して,最大径12mmの高品質IIa型単結晶ダイヤモンドを合成した.このダイヤモンドは,天然あるいは従来の合成のダイヤモンドに比べて欠陥密度がはるかに少なく,非常に高い結晶性を有する.特に,(001)種結晶に成長させた結晶の種結晶上部の(001)成長セクター内には転位欠陥や積層欠陥はほとんど見られないことがX線トポグラフ測定より明らかとなった.そこで,合成領域内の低温側で合成温度を厳格に制御して,この(001)成長セクターが優勢な結晶形をもつダイヤモンドを合成したところ,5×5mm^2以上の無欠陥部を含む結晶が得られた.
著者
弓削 繁
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、拙著『六代勝事記の成立と展開』(平成15年、風間書房刊)の成果を承け、承久の乱後に明確になってくる、イデアとしての帝王と現実の天皇とを峻別する二元的な王権思想について、その変容と展開の姿を中世文学史の中に見定めようとするものであった。まず、乱前の思想状況を捕捉するために、改めて『愚管抄』について検討した。その結果、『愚管抄』は国家の基本形態を宗廟神の意思によるものとして、「文武兼行ノ摂録」の出現を歴史の道理と説く原理論的な著作であることを確認することができた。一方、乱後に成った『六代勝事記』は、儒教的な徳治主義の立場から政治の善悪による帝位の有限性を説く鑑戒の書であるが、中に幕府側を正当化する政子の神功皇后再誕説が含まれているのが注意される。すなわち、これを自己の存在証明として利用したのが『吾妻鏡』であり、この話に天照大神の政子への示現(の夢想)を重ね合わせることで、<政権神話>を作り上げていく『吾妻鏡』の構想を明らかにすることが出来た。次に『神皇正統記』や『梅松論』になると、国王を相対化するものとして「天道」が措定されてくるが、その思想形成過程の詳細については続考を期したい。この外、『徒然草』第226段の背景に承久の乱の記憶が存することを明らかにし、また新資料として『五代帝王物語』の高松宮家本と、『人幡宮愚童訓』の岩国徴古館本を略解を付して紹介した。なお、当初の計画では軍記物語や説話集へも視野を広げる予定であったが、問題が多岐にわたることもあり、多くを今後の考察に委ねざるを得なかった。
著者
中井 善一 塩澤 大輝 田中 拓
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本課題では,高輝度放射光のX線回折を用いたコンピュータトモグラフィ(DCT)法を開発し,アルミニウム合金およびステンレス鋼多結晶体の結晶粒の形状を三次元的に同定した.その結果,SPring-8の偏向電磁石を利用した汎用のビームラインでも,結晶粒の形状および位置を三次元的に同定することができた.各結晶粒の塑性ひずみを同定するため,結晶方位の拡がりを測定した.この結晶粒方位の拡がりは,転位構造と関連した結晶粒のモザイク性と関連しており,塑性ひずみの増加とともに結晶方位の拡がりが増加した.また,疲労過程中の損傷の蓄積もDCTによって測定することができた.
著者
坂本 真紀
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.88-96, 2008-09-10 (Released:2010-12-04)
参考文献数
22
著者
松本 幸子 小岩 信義 久住 武
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1_39-1_45, 2010-02-10 (Released:2010-09-28)
参考文献数
17

看護学校に在籍する学生(看護学生)が看護教育を受ける中でつまずく要因には,看護学等の基礎学力の問題だけではなく,患者を中心とした周囲の人々の気持ちを理解する等のコミュニケーション能力の低下が存在すると考えられる.そこには知能指数,すなわちIQ(Intelligence Quotient)に加えて,ダニエル・ゴールマンが提唱したEQ(Emotional Intelligence Quotient,感情知能指数)も関係していると考えられる.そこで本研究では看護学生のEQを調査し,看護教育のあり方について検討した.EQの調査は,A専門学校の看護学生281名を対象に,高山簡易版EQテストを用いて質問紙によりアンケートを行った.EQを構成する4つの要素(感情の「識別」,「利用」,「理解」,「調整」能力)それぞれの得点(各要素:6~30点)と4つの構成要素の得点を合算したEQ合計得点(24~120点)について検討した.EQ合計得点は学年別でみると,新入生がもっとも高く,次いで3年生,1年生と続き,2年生が最も低かった.学年枠をはずして年齢とEQ合計得点との関係を検討したところ,両者の間に関連性は認められなかった.また,EQの4つの構成要素の得点を比較すると,各学年とも「識別」が最大で「利用」が最小値で,「識別」と「利用」の値の間には有意の差を認めた.EQの各構成要素の値の間には強い正の相関関係を認めた (r=0.63~0.83).EQ合計得点と4つの構成要素の関係では,「利用」が最も強い関連性を示した (r=0.89).以上のことから,看護学生のEQを高めるには,合計得点が最も低かった2年生への教育,さらに各学年とも低値を示した感情の「利用」を高めるような教育が必要になると考えられる.また,EQの各構成要素間の相関が高いことや,各構成要素とEQ合計得点との間に強い相関を認めたことから,看護学生が自らの得意とする感情の要素を学習することで他のEQの要素と総合的なEQを高めることが可能であると考える.
著者
植田 昌治 久住 武 大谷 純
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1_30-1_38, 2010-02-10 (Released:2010-09-28)
参考文献数
9
被引用文献数
1

高所不安による立位保持への影響を確認するため,健常成人男性31名を対象に,高さ1mテーブル中央上と,通常時の立位保持60秒間の足圧中心値測定を行った.加えて不安を惹起する原因の所在が異なることによる立位保持への影響の違いを確認するため,高さ1mテーブル上で,対象者の前・後・左・右側がテーブル縁に近くなる位置で足圧中心値測定を行った.また対象者に生じた不安と足圧中心値との相関を確認するため,STAI(状態─特性不安検査)等を用いて不安評価を行った.その結果,開眼状態では,テーブル中央時の総合プレート値での総軌跡長などが,通常時に比べて有意な減少を認めた.またテーブル上で立つ位置を変えて実施した足圧中心値測定では,開眼状態では後不安時の左プレート値・右プレート値の前後方向軌跡長などが他の場面に比べて有意な増加を認めたことより,高所不安により足関節底屈筋などに反射的な収縮が生じ,協調的な姿勢保持が阻害されたこと,後方向への転落防止のためには前足部が有効に機能できず不利なこと,転落方向への視覚情報がなく,後方への転落は危険であるとの認識から不安が増大したことなどが関与したものと推測された.またSTAI特性不安得点と後不安時の右プレート値の左右方向最大振幅などとの間に有意な負の相関を認めた.特性不安の大きい者ほど右足の側方の動きが減少することより,初めて動作練習を行う不安になりやすい傾向であると認識した患者には,右足の側方への動的な反応を要求する場面を設定し,運動学習を行わせる必要性が示唆された.
著者
佐藤 容子
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

アイルランドの詩人・劇作家・神秘家であるウィリアム・バトラー・イェイツの夢幻劇における表象構造を以下の観点から多角的に分析した。すなわちイェイツが体系的に用いる頭韻によるサウンド・シンボリズム、アイルランドのフォークロアと溶け合ったスピリチュアリズムの要素、さらに日本の能との接触という観点である。劇作としては『鷹の泉』、『骨の夢』、『煉獄』を取り上げ、能『景清』、『熊坂』、『錦木』、『求塚』との関連性を明らかにした。
著者
藤本 康雄 池上 忠治 日向 進 山口 重之 西田 雅嗣 竹内 次男
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

研究分担者池上は本務(神戸大学文学部長)の都合上、先発隊としてフランスのパリとオーストリアのウィーンに赴き、関連予備調査と準備折衝にあたった。パリでは国立図書館、クリュニ-中世美術館、ル-ヴル美術館等、ウィーンでは歴史美術館、美術アカデミー美術館等を歴訪、ヴィラール・ド・オヌクールの画帖関連の絵画、彫刻を中心に調査を行った。その結果を後着の本隊に連絡報告の後、帰国した。調査本隊は8月末にパリに到着、レンタカ-(ルノ-・エスパース)を調達し、ヴィラールの修業地ヴォ-セル修道院と、オヌクール・シュル・エスコ-にヴィラール・ド・オヌクール協会本部を訪問することから調査活動を開始した。協会役員と資料・情報の交換を行い、ヴィラールの画帖に描かれた水車利用自動鋸装置の模型等を調査、藤本は協会員に推挙された。ランス大聖堂調査に際しては、1984年学術調査時に採取したゴシック建築家ユ-・リベルジェの墓石拓本の寄贈を果たした。ドイツではニュルンベルク国立博物館及びウルム市立古文書館で、中世羊皮紙図面多数を閲覧、一部実寸写真複写を入手した。チェコではプラハにP.パルラ-作の大聖堂を調査し、文化財保護局を訪問、ヴィジ・ブロッド修道院に、ヴィラールの画帖所載図面と類似のリブ・ヴォ-ルト架構建物を調査した。スロバキアのコシ-ツェではヴィラールが関与したと伝えられる聖エリザベート教会堂の実測を行った。ハンガリーではブダペストの文化財保護局と国立博物館でピリシュ修道院遺構の情報を得、その調査を実施、画帖所載分と類似の床タイル拓本等を得た。次いでオーストリアのウィーンに入り、美術アカデミー古文書館で建築古図面の実測調査を行い、一部複製を入手したほか、ザンクト・ステファン教会堂の建築家像を調査した。スイスではザンクト・ガレン修道院平面原図の調査を行ったほか、ロ-ザンヌでヴィラールの描いた大聖堂南袖廊バラ窓修理現場において実測調査の機会を得た。再度フランスに入り、ポアチエでは大聖堂聖歌隊席木彫に木の葉模様図案を見出し、またスケアの実測を行った。シャルトルでは大聖堂床舗石の迷路について、部分に留まったが拓本を採りを果たし得た。パリに戻りクリュニ-中世博物館に館長A.E.ブランデンブール氏を訪問、同氏の口ききで国立図書館秘蔵のヴィラールの画帖原本閲覧の念願が遂に叶った。写真撮影は許されなかったが、従来の複写本との比較で原図実寸を確認した。また一部の図柄に、何時の時期か不明であるが薄青色の着色を認め得た。一方、画帖研究家として知られるR.ベッシュマン氏と会い、意見・情報交換を行った。画帖所載投石機の模型復原と投擲実験は注目すべきものがあった。われわれのヴィラール・ド・オヌクール協会訪問と、同会に寄贈した藤本による画帖研究書は、直ちに会報に記事が掲載され11月例会に招待を受けるなど、大きな反響を呼ぶことになった。フランスほか6ヵ国にわたり旅程約12,000キロ、20余都市で訪問・調査した機関・建物は多数に及び、知遇、援助を得た人は数知れない。手続きや時間的な制約もあった中で、写真撮影も相当数をこなした。収集資料等を含め、その成果は多大であったといえる。現在、図面・写真・スライド等を鋭意整理中である。研究担当者藤本が平成6年3月末を以て本務校を退官することになるので、拓本資料はすべて、美術工芸資料館に寄贈し、分担者竹内のもとで整理保管することとした。その他の資料は、分担者日向、西田らの研究室に引き継ぎ、保管することになった。分担者西田は調査成果の一部を研究報告に導入しており、担当者も発表準備を進めているところである。ヴィラール・ド・オヌクール協会からは引き続き、雑誌記事のための照会が来ており、別途関係者からも藤本研究についての書信が寄せられるなど、今後の国際的研究へ進展が見込まれるに至ったことも一方の大きな成果であるといえよう。今回の現地調査により、ヴィラール・ド・オヌクールがハンガリーに赴いて旅を重ねた事績に、ある程度の裏づけを得た。また画帖に盛られたスケッチに類似の画題を多数見出し得たことや、画帖におけるローマ尺・カロリング尺の尺度用法について、われわれの仮説を実証し得たかと見られることを以て大きな成果と見たい。
著者
藤本 薫喜 渡辺 孟 坂本 淳 湯川 幸一 森本 和枝
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.443-450, 1968
被引用文献数
12 105 89

Various calculation formulas of body surface area are designed by the measured values of body surface area and other physical measurements, e.g. height, weight, chest circumference etc, of 201 Japanese of both sexes from neonatal to old age.<br>Statistically comparing the formulas, the following three may be used for all ages of Japanese with the slightest possibility of error.<br>1. Newborn (under 1 year) <i>S</i>=W<sup>0.473</sup>×H<sup>0.655</sup>×95.68<br>2. Young child (1-5 years) <i>S</i>=W<sup>0.423</sup>×H<sup>0.362</sup>×381.89<br>3. Over 6 years to old age (for general use) <i>S</i>=W<sup>0.444</sup>×H<sup>0.663</sup>×88.83<br>(<i>S</i>: Surface area in cm<sup>2</sup>, W: Body weight in kg, H: Height in cm)

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1942年06月15日, 1942-06-15
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.183-194, 2005-07-20

キシレン C_6H_4(CH_3)_2 [CAS No. 67-66-3] 尿中総メチル馬尿酸 800mg/l (o-, m-, p-三異性体の総和)試料採取時期 : 週の後半の作業終了時 この数値は気中キシレンの許容濃度50ppmに対応する値として設定されている. 1. 別名 ジメチルベンゼン. 特に工業用キシレン(本来の成分としてエチルベンゼンを含んでいる)をキシロールと呼ぶことがある. 2. 用途 化学品合成原料(例えばo-キシレンからは無水フタル酸等, p-キシレンからはテレフタル酸等. m-キシレンは相対的に用途が少なかったが, m-キシレンから合成されるイソフタル酸の用途が広まっている)に用いられるほか, 塗料などの溶剤としてトルエンとともに広範囲に使用される. 溶剤としてのキシレンはm-キシレンを最多成分(約40%)とし, 次いでo-キシレンおよびp-キシレン(それぞれ約20%弱)を含むほか, エチルベンゼンをo-およびp-キシレンと同じ程度に含むことが多し、. 3. 物理化学的性質 分子量106.17. 融点および沸点をCAS番号とともに表1に示す. 4. 吸収, 代謝, 排泄およびその修飾要因 蒸気は速やかに肺から吸収される.