著者
小谷 裕基 伊野 文彦 萩原 兼一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.106, pp.37-42, 2006-10-06

本稿では,GPUグリッドにおける遊休資源の定義を示し,資源選択手法を提案する.ここでGPUグリッドとは,GPUを装備するPCを計算資源とするデスクトップグリッドを指し,GPUを用いる大規模な汎用計算処理の実現を目的とする.定義は次の2つの観点に基づいて実験的に定める.(1)資源所有者への外乱を最小化すること,および(2)グリッドユーザへ提供する演算性能を最大化すること.提案手法は低オーバヘッドで遊休GPUを検出することを目的として,スクリーンセーバを基とし,資源のVRAM便用量およびCPU使用率を調べる.また,ベンチマークおよびマッチメイキングを組み合わせることで資源選択を実現する.実験の結果,遊休資源の定義が妥当であることを示せた.また,高々262ミリ秒の低オーバヘッドで遊休資源を検出できた.This paper presents a resource selection method and shows a definition of idle resources for the GPU Grid. The GPU grid here consists of desktop computers at home and the office, utilizing idle GPUs and CPUs as computational engines for GPGPU applications. We experimentally define the idle state that minimizes interference to resource owners and maximizes application performance provided to grid users. Our method is based on a screensaver-based approach with low overhead sensors. The sensors detect idle GPUs by checking video random access memory (VRAM) usage and CPU usage on each computer. Detected resources are then selected according to a matchmaking framework and benchmark results. The experimental results show that the definition is reasonable. We also find that our method achieves a low overhead of at most 262 ms, minimizing interference to resource owners.
著者
上田 健太郎 広木 正紀 村上 忠幸
出版者
日本理科教育学会
雑誌
日本理科教育学会全国大会要項
巻号頁・発行日
no.57, 2007-08-04

私は、子どものときから「周りの植物が緑色なのはどうしてか」が、気になっていた。後に、「植物の緑は、植物が光合成を行うのに使っている葉緑素の色」ということを学んだ。しかし、私にとってはこの問題が全部解決したわけではなく、次の疑問は、今も続いている。それは「もし、植物の大勢を占める色が、緑色でなかったとしたら、生物の世界はどうなるだろう」ということである。植物の緑は、私たちに、心の落ち着きや癒しを与えてくれている。人間だけでなく、いろいろな動物の生存は、植物に栄養的に依存しているだけでなく、植物の緑色にも少なからず影響を受けているのではないだろうか?このような関心から、「生物の世界に及ぼす色環境の影響」に着目して研究に取り組むことにした。
著者
田中 孝夫 荻田 太 田巻 弘之 齊藤 和人
出版者
鹿屋体育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、一流競泳選手のパフォーマンスを決定する要因の解明、およびその競技力を向上させる新たなトレーニング法を開発することであった。その結果、一流競泳選手のパフォーマンスは、生理(体力)的要因より、むしろ推進パワーや抵抗、推進効率といった力学(技術)的要因の方が深く関与していることが明らかとなった。また、本研究で開発された高強度スプリントトレーニング、およびpush-offトレーニングは、無酸素性エネルギー供給能力、および最大推進パワーを効果的に向上させ、泳成績の改善に有効であることが証明された。
著者
Suetaka Nishiike Suzuyo Okazaki Hiroshi Watanabe Hironori Akizuki Takao Imai Atsuhiko Uno Tadashi Kitahara Arata Horii Noriaki Takeda Hidenori Inohara
出版者
徳島大学医学部
雑誌
The Journal of Medical Investigation (ISSN:13431420)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3.4, pp.236-239, 2013 (Released:2013-11-01)
参考文献数
12
被引用文献数
4 46

In this study, we examined the effects of sensory inputs of visual-vestibulosomatosensory conflict induced by virtual reality (VR) on subjective dizziness, posture stability and visual dependency on postural control in humans. Eleven healthy young volunteers were immersed in two different VR conditions. In the control condition, subjects walked voluntarily with the background images of interactive computer graphics proportionally synchronized to their walking pace. In the visual-vestibulosomatosensory conflict condition, subjects kept still, but the background images that subjects experienced in the control condition were presented. The scores of both Graybiel’s and Hamilton’s criteria, postural instability and Romberg ratio were measured before and after the two conditions. After immersion in the conflict condition, both subjective dizziness and objective postural instability were significantly increased, and Romberg ratio, an index of the visual dependency on postural control, was slightly decreased. These findings suggest that sensory inputs of visual-vestibulosomatosensory conflict induced by VR induced motion sickness, resulting in subjective dizziness and postural instability. They also suggest that adaptation to the conflict condition decreases the contribution of visual inputs to postural control with re-weighing of vestibulosomatosensory inputs. VR may be used as a rehabilitation tool for dizzy patients by its ability to induce sensory re-weighing of postural control. J. Med. Invest. 60: 236-239, August, 2013
著者
小笠原 小枝 石田 千尋
出版者
東京国立博物館
雑誌
東京国立博物館研究誌 (ISSN:00274003)
巻号頁・発行日
no.456, pp.p4-18,巻頭図1p, 1989-03
被引用文献数
4

1 0 0 0 OA 老後の政岡

著者
斎藤皕助 著
出版者
斎藤皕助
巻号頁・発行日
1893
著者
天滿 敬 佐治 英郎 塩見 雅志
出版者
独立行政法人国立循環器病研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、近年動脈硬化治療の分子標的として注目されてきているFatty Acid Binding Protein 4(FABP4)およびMatrix Metalloproteinase 12(MMP12)に着目し、選択的阻害剤構造を基盤とした低分子核医学イメージングプローブの開発を目的とした。トリアゾロピリミジン骨格を有する125I-TAP1は高いFABP4親和性を認めた一方で高い非特異的結合性を示した。脂溶性を低減した18F-FTAP1は高いFABP4親和性・選択性を示し非特異的集積を低減した。さらに18F-FTAP1はFABP4発現組織のインビボPETイメージングが可能であることを示した。
著者
小野 絵里華
出版者
東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻
雑誌
言語情報科学 (ISSN:13478931)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.161-176, 2012-03-01

本稿では2004年に発表された多和田葉子『旅をする裸の眼』のテクスト分析を行なう。その際、ベトナムからヨーロッパにやってきた主人公が見ているカトリーヌ・ドヌーヴ主演映画との関連を分析する。特に、フランス領インドシナを描いた映画『インドシナ』(1992年)を見ながら、植民地主義を批判しているはずの主人公が幼児的に退行し、映画のなかのドヌーヴという西洋植民者側の<母>に積極的に従属しようとする在り方は、映画鑑賞におけるマゾヒスティックな欲望と相まって見逃してはならない点である。そこには、映画『インドシナ』の批評にあるように、植民地の記憶を「集合的ファンタジー」として記憶させる植民者側の戦略があったかもしれず、主人公はそれにはまってしまったことになる。ホーチミンを崇拝している主人公は、パリで不法滞在しながら、一方では資本主義を批判し、一方ではドヌーヴに表象される西洋的身体に魅了されるという矛盾のなかを生きている。ベルリンの壁崩壊後の世界で、もはやどこにも居場所がない主人公は、最後には「時計の針」で映画狂の自分自身の目を突いてしまおうとする。それは「共産主義/資本主義」「西洋/東洋」といった二項対立に抵抗し、異空間へと越境するための残された唯一の手段であった。
著者
藁谷 哲也 江口 誠一 竹村 貴人 羽田 麻美 石澤 良明 三輪 悟 宋 苑瑞 梶山 貴弘 比企 祐介 前田 拓志 林 実花 神戸 音々 佐藤 万理映 LOA Mao BORAVY Norng
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では,アンコール遺跡からアンコール・ワット,バンテアイ・クデイ,およびタ・プローム寺院を選定し,寺院を構成する砂岩材のクリープ変形と風化環境を有限要素解析や高密度の熱環境分析をもとに明らかにした。その結果,砂岩柱の基部に見られる凹みの形成には,従来から指摘されていた風化プロセスに加え,構造物の自重による応力集中が関与していることが判明した。また,寺院は日射による蓄熱のため高温化,乾燥化が進み,砂岩材に対する風化インパクトの増大が生じていることが推察された。アンコール遺跡保全のためには,日射を和らげる緑地の緩衝効果を見直すことが必要である。
著者
高橋 好範 和野 重美 吉田 宏
出版者
岩手県農業研究センタ-
雑誌
岩手県農業研究センター研究報告 (ISSN:13464035)
巻号頁・発行日
no.3, pp.121-127, 2003-03
被引用文献数
1 1

岩手県の県中北部でも栽培可能な早生の酒造好適米品種「ぎんおとめ」について、心白発現率40%以上で検査等級1等以上を確保することと、70%搗精白米中の粗タンパク質含有率が5.7%以下となることを特に重視して栽培法を検討した。心白発現率や検査等級、および白米中粗タンパク質含有率等の酒造好適米品としての品質を確保するためには目標生育量としてm2当たり籾数で21~29千粒/m2程度とすることが重要であると判断した。これを確保するための施肥法としては、基肥は標肥とし幼形期の栄養診断指標を基に追肥の要否判定を行い、追肥を行う場合には減分期を重点時期とする。減分期追肥は幼形期追肥に比較して籾数が低下することや白米中の粗タンパク質含有率をやや上昇させる点で不利であるが、登熟歩合や心白発現率は減分期追肥が有利であることや、障害不稔に対するリスクも考慮して総合的に減分期が有利と判断した。追肥時期を減分期にすることによる粗タンパク質含有率の上昇割合は小さく、目標m2当たり籾数の範囲内であれば酒造適性基準の範囲内に十分制御可能である。「ぎんおとめ」の葉色は「たかねみのり」などに比較してかなり淡いことから、追肥の要否判定の際には注意を要する。品質を重視した刈取り適期は出穂後の積算平均気温で1000~1100℃を確保した頃である。
著者
入江 正和
出版者
japan association of food preservation scientists
雑誌
日本食品低温保蔵学会誌 (ISSN:09147675)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.103-107, 1996-05-30 (Released:2011-05-20)
参考文献数
24
被引用文献数
2
著者
綿貫 早美 狩野 太郎 亀山 絹代 筑井 夕佳織 諸田 了子 中野 良子 神田 清子
出版者
群馬大学
雑誌
群馬保健学紀要 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.109-116, 2003-03
被引用文献数
3 1

術後せん妄は重大な医療事故につながる合併症である。術後せん妄は医師と看護師が共に責任を持つべき問題であるが,高齢者の術後せん妄予防に向けた看護介入を検討した報告は少ない。今回我々はせん妄の発症率,発症時期,症状,発症因子を分析した。対象と方法:1998年〜2000年の3年間に当院泌尿器科で手術を受けた65歳以上の高齢者502人を対象に,カルテ及び看護記録から遡及的にデータ収集を行った。収集したデータをもとに術後せん妄発症率及び発症のピーク時期,症状などを分析した。また,502人中,せん妄を発症した22人を「せん妄群」とし,せん妄群と性,年齢,術式,麻酔の種類を一致させた22人を抽出し「非せん妄群」とした。せん妄群と非せん妄群を比較しせん妄発症に関連する要因を分析した。結果:せん妄の発症率は腰椎麻酔患者で2.2%,全身麻酔患者で17.1%だった。術後せん妄の発症ピークは,全身麻酔患者で術後2-3日目,腰椎麻酔患者で術当日の夜だった。せん妄の発症に関連する要因として,1)不眠・昼夜逆転 2)視聴覚障害 3)鎮痛・鎮静剤の使用が明らかとなった。結論:術後せん妄予防のため,術後早期から睡眠の援助,眼鏡や補聴器の使用,鎮痛・鎮静剤の適正使用の援助を実施することの重要性が示唆された。

1 0 0 0 OA さすらひの空

著者
鄭然圭 著
出版者
宣伝社
巻号頁・発行日
1923
著者
藤原 和典 福原 隆宏 北野 博也
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.117, no.7, pp.887-892, 2014-07-20 (Released:2014-08-08)
参考文献数
18

早期の咽喉頭癌に対して, 化学放射線治療に代わる治療として, ロボット支援下経口的咽喉頭癌切除術 (TORS: Transoral Robotic Surgery) が海外において普及しており, 良好な成績や機能温存が報告されている. しかし, 残念ながら, 本手術は本邦では薬事未承認である. 現在, 早期の薬事承認を目指し, 鳥取大学, 東京医科大学および京都大学による多施設共同臨床研究の準備を進めている.