著者
佐藤 慶明
出版者
大阪産業大学
雑誌
大阪産業大学人間環境論集 (ISSN:13472135)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.109-117, 2011-02

サッカーでは,インプレーの際にゴールキーパーをのぞくフィールド選手は手の使用を禁じられている。脚部を中心として行われるサッカーではあるが,実際のゲームでは空中でのボールを処理する事が〓繁にある。そのため,ボールをコントロールする技術としてはキック以外に「ヘディング」という技術の習得も必要となってくる。ヘディングは,腰部よりも高い位置にあるボールをコントロールするために必要な技術である。ヘディングを行う場面は,空中を飛んできたボールに対して,脚を地面と接地したまま行う「スタンディングヘッド」とジャンプして行う「ジャンピングヘッド」がある。また低いライナー性のボールに対して飛び込んでいく「ダイビングヘッド」も〓度は高くはないが行われる。ヘディングはサッカー未経験者には恐怖心が伴うので技術習得が困難である。本稿では初心者にも対応できる指導法を紹介する。
著者
水川 克
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

グリオーマはグリア細胞由来の原発性脳腫瘍で、原発性脳腫瘍の約1/4を占める悪性脳腫瘍である。Olig2はグリア前駆細胞に発現し、オリゴデンドロサイトの分化に関与する転写因子である。しかし、Olig2はオリゴデンドログリオーマだけでなく、astrocytomaにも発現している。オリゴデンドログリオーマはアストロサイトーマよりも予後良好であることが知られており、オリゴデンドログリオーマではアストロサイトーマと遺伝子の発現パターンが異なっている。Olig2はグリア細胞の細胞周期を調節しているとも報告されている。そこで、悪性アストロサイトーマのうち、グリオブラストーマ(GBM)および退形成アストロサイトーマ(AA)でのOlig2の発現率と予後について詳細に検討し、Olig2遺伝子導入が治療ターゲットになりうるかについて検討した。(結果)対象はGBM : 43例、AA : 75例。118例のパラフィン包埋されたGBMあるいはAAの腫瘍サンプルを解析。症例は、1987~2007年に手術・治療を行い、追跡可能であった症例。平均Olig2陽性細胞率はGBM : 16. 0%(0~ 64. 7%)、AA : 45. 11%(0. 1~ 89%)であり、AAでは平均陽性細胞率が高かった。GBMではOlig2陽性細胞率の差による予後の差を認めなかったが、AAではOlig2陽性細胞率が40%以上と40%未満で分けると、生存期間中央値は40%以上の群で98. 6ヶ月、40%以下の群で30. 6ヶ月であり、2年生存率は40%以上の群で61%、40%以下の群で31%であり、有意に生存期間の延長を認めた。以上より、AAではOlig2発現細胞が多い方が予後良好である傾向があり、グリオーマにおいてOlig2を発現させることで、腫瘍の悪性度が低下する可能性があることが示唆された。(結論) Olig2の発現は、GBMよりもAAの方で有意に高く、Olig2の発現が高いAAは、発現量の低いAAに比べると、統計学的に生存期間が長かった。一方、GBMでは、Olig2の発現は予後と相関しなかった。以上より、AAではOlig2の発現を誘導することで、予後が改善する可能性があると思われた。
著者
Lee JaeYoung
出版者
日本建築学会(AIJ)、大韓建築学会(AIK)、中国建築学会(ASC) 編集事務局:AIJ jaabe(at)aij.or.jp
雑誌
Journal of Asian Architecture and Building Engineering (ISSN:13467581)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.33-40, 2014-01-15 (Released:2014-01-15)
参考文献数
12
被引用文献数
2

This research seeks to evaluate the experience of nature in the architectural instruments as created by Le Corbusier, in terms of the phenomenology of corporal experience. The architecture of Le Corbusier is active in viewing the spectacular landscape of nature through frontal localization, windows, ramps, and roof gardens. His architecture has the attitude of separating from earth and opposing and viewing nature as an autonomic machine. The nature experience of Le Corbusier is largely divided into seeing from on high and seeing while walking. Considering the senses of the body and the aspects of movement responding to each situation, the experience of seeing and contemplating nature on a large scale has an abstract quality. Seeing nature as an object from afar basically limits the experience in the information of the senses and the abstraction of nature. For the concrete experience of nature, what is needed is the idea that the body takes part in the diverse sensorial worlds and is simultaneously taken in by the situation. This research also aims to reconsider the qualities of experiences of nature, based on the modernity characterized by the separation of human from nature and sprit from body.
著者
萩原 守
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、崇徳3(1638)年のモンゴル文法規、康煕6(1667)年のモンゴル文法典、康煕35(1696)年のモンゴル文法典を比較研究し、清朝前半期における蒙古例の起源を問うという目的を持っていた。このうちまず、崇徳3年軍律と同年の漢文版軍律との対応関係を解明した。次にこの軍律は、康煕6年法典には含まれず、康煕35年に初めて蒙古例法典へ入ったことがわかった。さらに康煕35年版や後の乾隆年間の法典中の条文の改変状態より、八旗の法から蒙古例への編入という蒙古例形成課程の一類型を抽出できた。
著者
新藤 浩伸
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、市民文化活動の支援方策の国際比較として、(1)文化政策、生涯学習政策における市民活動支援プログラム、(2)民間の文化活動支援ネットワーク、(3)劇場を含めた文化施設・機関の教育プログラムという三つの観点から、イギリス(平成23年度)、アメリカ(平成24年度)、EU(平成25年度)における文化施設および団体の訪問調査を実施した。調査からは、ハイカルチャーだけでなく、文化多様性を重視し、福祉等の関連領域も視野に入れた多様な文化活動支援がなされていること。そして、民間の文化活動支援ネットワークが緊密に市民文化活動への情報提供およびエンパワメントを実施していることが明らかになった。
著者
高寺 貞男
出版者
京都大學經濟學會
雑誌
經濟論叢 (ISSN:00130273)
巻号頁・発行日
vol.91, no.1, pp.19-42, 1963-01
著者
若松 孝志 高橋 章 佐藤 一男 久保井 喬 柴田 英昭
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.169-178, 2004-04-05
被引用文献数
6

アカマツ林の林床に^<15>NH_4^+を添加し,70日後までの林床植生,有機質・無機質土層への^<15>Nの移行量を調べた.さらに,室内培養実験により窒素の形態変化速度を測定し,^<15>Nの動態と微生物による窒素代謝との関係を調べた.^<15>N添加30日後の各プールヘの15N移行量は,林床植生5%,有機質上層56%,無機質土層44%であった.70日後には,無機質土層への移行量が増大したが,37%の^<15>Nが有機質土層に保持されていた.土壌水の観測結果から,無機質土層へ浸透する窒素の95%をNO_3^-が占めることが分かった.また,^<15>NH_4^+を添加したにもかかわらず,添加初期には土壌表層のNO_3^-のδ^<15>N値が著しく上昇し,またそのピークは時間の経過とともに下層に移動した.このことから,林床に沈着したNH_4^+のほとんどは,有機質土層で硝化によりNO_3^-に変化した後に,下層土壌へ移行することが裏付けられた.室内培養実験の結果,有機質土層(Oe-Oa層)における硝化速度(20mg N kg^<-1> d^<-1>)は,微生物の代謝によるNH_4^+の有機化と窒素無機化の速度(145mg N kg^<-1> d^<-1>)の1/7程度であった.このことから,大気由来のNH_4^+は林床に沈着した後,すべてが硝化に向うのではなく,微生物の窒素代謝のサイクルに取り込まれることが推察された.このことが,70日経週後も,添加した^<15>Nの4割が有機質土層に保持された主要な要因と考えられた.本調査地の有機質土層における窒素の形態変化速度は,ほぼ同量の窒素が大気から負荷されているオランダの森林よりも1桁程度大きかった.これには本調査地における温暖多雨な気候条件と酸性度の低い土壌条件が関与していることが推察された.
著者
麻田 豊 藤井 毅 石田 英明 ムイーヌッディーン アキール 萩田 博 粟屋 利江 AQEEL Moinuddin ムイーヌッディーン アオール ムイーヌッディーン アキ アキール ムイーヌッディ
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1997

1.南アジア近代諸語文献の所蔵調査を行う目的で、初年度の平成9年度においては、ヨーロッパ大陸では特にロシアとフランスに的を絞り、サンクトペテルブルグの東洋学研究所とパリの国立図書館において予備調査を行った。イギリスではロンドンの東洋学・旧インド省コレクション(OIOC)とロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)をはじめ、マンチェスター、エディンバラの図書館、また、インド・パキスタンでは各都市の文書館を精力的に訪問し、各言語による中世の写本や19世紀の刊本の文献所在調査・検索調査を遂行した。2.2年度目の平成10年度は、前年度のロシアとロンドンのOIOCとSOASにおいて重点的に文献所蔵調査を実行するとともに、ドイツとチェコにまで調査範囲を広げることができた。特に、ドイツではこれまで知り得なかった、写本に関する有益な知見を得ることができた。3.最終年度の平成11年度は、ヨーロッパではスペインとオランダ・ドイツを中心に調査を行った。インド・パキスタンにおいては、大都市の機関や図書館のみならず、これまで未訪問でありその所蔵状況が判明していなかった大小さまざまの図書館や文書館をできるだけ多く訪問した。また、各地のイスラーム聖者廟やモスクに附属する図書館および旧藩王国の図書室にまで調査範囲を拡大した。各年度において、最も基礎的な資料でありながらこれまで収集を怠ってきた各言語の写本・刊本目録の収集に力を注いだ。4.3年間の海外調査では、特にインド・イスラーム関係(ウルドゥー語・ペルシア語・アラビア語による)の写本目録類をかなりの量、収集することを大きな目的とした。これら写本目録は通常の図書流通ルートにのらないため入手が極めて困難であり、発行元の図書館をひとつひとつ訪問して収集することは今回のようなプロジェクトが組織されて初めて可能になったといえる。収集された目録類は量的にも我が国最大のコレクションであろう。ほかに、マラーティー語・パンジャービー語・マラヤーラム語の写本・刊本に関するかなり密度の高い所蔵情報が得られた。これらは分冊1の報告書として、また個別テーマ書誌として、カースト族諸関係およびインドの言語問題関係の文献目録を分冊2の報告書としてまとめることができた。
著者
松本 啓子
出版者
公益財団法人大阪市博物館協会
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

鎖国期、17世紀後半の輸入陶器のマジョリカ・アルバレルロは、寸胴形の壺で、foglie文の葉を縦に描く。ヨーロッパには部分的に一致するものはあるが、同一型式の壺はない。foglie文も16世紀後半に限られる。アルバレルロは同一規格の薬壺で薬局や病院の棚に並ぶ。これらを運営するカトリック修道院からの注文品である。マジョリカ窯調査例では、アルバレルロの窯の占有割合は高く、カトリックの意匠も見られることから、マジョリカ工房にとってカトリックは最上の顧客とみられる。宗教改革によるカトリック衰退に伴い、旧来のマジョリカ工房も17世紀に入ると廃れ、代わってカトリック色の薄い工房がオランダ語圏北部で台頭する。大坂出土品は後出の窯で注文焼成された可能性が高いことがわかった。
著者
塩野 義人 POUMALE POUMALE Herve Martial POUMALE POUMALE H.M
出版者
山形大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

【目的】カメルーンは中央アフリカに位置に生命活動が非常に活発な地域であり、未だ、多くの薬用植物の成分が明らかになっていない。そこで、今年度は、カメルーン産薬用植物に寄生する植物内生菌菌類より、生理活性物質を探索した。【平成22年度の研究結果】カメルーンの森林地域で、採取した薬用植物サンプルより分離した植物内生菌類の培養物のメタノール抽出物について、抗菌活性や細胞毒性試験を用いて、スクリーニングを行いカッコウアザミ(Ageratum conyzoides L.)の樹皮より分離された糸状菌Fusarium equieti SF-3-17を選択した。次にSF-3-17株の培養物をカラムクロマトグラフィーにより精査し、2種の物質(1,2)を単離することができた。それぞれのNMRを中心とした構造解析の結果、既知のネオフサピロンの新規誘導体であることが判明した。詳細に構造を解析したところ、両物質は、分子内にマグネシウムを含有し、二分子のネオフサピロンがピロン環を介して、マグネシウムに配位した非常にユニークな構造をしていることが判明した。次に抗菌試験を行ったところ、物質(1,2)は、モノマーのネオフサピロンと同程度で活性を示し、さらに、植物に対する根の伸長阻害活性試験おいては、既知のネオフサピロンと比較し、強い阻害活性を示すことがわかった。
著者
高瀬 将道
出版者
信州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

6次元球面に埋め込まれた3次元球面がすべて、1989年にデニス・ローズマンによって導入された部分多様体に沿うスピニングという操作で構成できることを示した。また、このような6次元球面に埋め込まれた3次元球面に対して定義されるある種のHopf不変量の取りうる値の考察を行った。さらに、3次元球面から4次元空間へのはめ込みに対して、そのボルディズム類をジェネリック写像による拡張に現れる特異点の幾何的情報から読み取る公式を与えた。
著者
池森 豊 太田 正史 梅田 浩二 ペラルタ ロバート 黒木 雅彦 横山 英明 児玉 義勝
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.365-367, 1996-04-25

2種類の鶏卵黄抗体を用いて消化管における動態試験を行った. ヒドロキシメチルセルロースフタレート(HPMCP)抗体粉末(HAP)とコントロール抗体粉末(CAP)を子牛に経口的に投与し, ELISA法により抗体活性を測定したところ, 投与後2時間目には, CAPおよびHAP投与牛の第4胃における抗体価はそれぞれ128倍と256倍であったが, 4時間目には, 2倍および64倍に低下した. これらの結果から, HPMCPを含む抗体粉末は胃液に対してより抵抗性があり, 小腸でより確実に作用する可能性が示唆された.
著者
宮脇 秀貴
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は、従来のエンパワーメント研究では解明されてこなかった「経営理念・組織文化」と「組織成員」のインターラクションプロセスの解明に重点を置いたものである。理論的なフレームワーク作りを、新しい脳科学の分野等の文献(例えば、共感覚、社会脳、錯覚の科学、異彩を放つ障害児の感覚、乳児・幼児の心理やコミュニケーションの発達過程、組織の免疫力等)を用いて考えると共に、3年間、地元Jリーグクラブのイベントを私の研究室の学生を中心に行ってもらい、香川県庁や高松市、他大学の学生や高校生と協働していく過程で、文献研究等で得たエッセンスを学生に適用しながら彼らの成長を観察することでケースを蓄積してきた。
著者
前川 功一 TEE Kian Heng PINTO Dos Santos 小滝 光博 倉田 博史 久松 博之 福地 純一郎 北岡 孝義
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究では、非定常・非線型時系列回帰モデルの統計理論的及び応用的研究に関するものである。これまでの成果は(1)非定常性と非線形性を同時に扱う研究、(2)非定常性のみを扱う研究、(3)その他この二つの基礎となる回帰分析の基礎理論研究を並行して行ってきた。(1)に関しては前川とティー・キャン・ヘンが担当し、わが国のGDPのようなトレンドをもち単位根を持つ可能性のある経済時系列に対して単位根検定及び未知の構造変化時点の推定を研究した。その結果は2000年の日本統計学会でと題して報告された。それによると我々の提案した構造変化時点の推定方法は先行研究(畠中・山田(1999))で示された方法よりも優れていることがモンテカルロ実験で示された。(2)に関しては、前川・久松が非定常な説明変数を持つSURモデルにおける代表的な推定方法の優劣の比較を理論的及びモンテカルロ実験を通して行った。その結果、定常時系列回帰の場合と同様に単純な最小2乗法より一般化最小2乗法のほうが推定効率が良いことが示された。また前川・何は単位根がある複数の無関係な時系列の間には見せかけ上のGranger因果性が検出される確率が高いことを理論的計算およびモンテカルロ実験で示した。そしてアメリカの生産統計とマネーサプライ統計の間の因果性はこの見せかけの因果性である可能性があることを示した。小滝は共和分関係が存在する場合のGranger因果性検定の方法を提案しその理論的性質を研究した。(3)に関しては、倉田がSURモデルにおける推定法の理論的比較を、また福地は時系列回帰に対するSubsampling法の有効性を研究し、共に(1)及び(2)に対する基礎的研究を行った。なお、本研究の応用面で不可欠な株価日次データ収集のためにピント・ドス・サントスは、NHK文字放送から株価日次データを採取・分析するシステムを導入した。また、シンガポール国立大学金融工学センターで非定常時系列モデルの金融データの応用に関する研究成果発表を行うとともに、同センターの副所長Yuk Tse教授らと金融時系列の非線形・非定常モデルについて意見交換を行った。
著者
馬場 香織
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本年度4月から9月までは,制度的変化と発展に関する理論を勉強する一方で,全世界における年金改革の状況を特に民営化を焦点に量的分析を行ない,第二世代改革を説明するにあたって制度的要因に注目することの妥当性を示すことができた。平成22年10月からは約1ヶ月間メキシコシティに滞在し,米州社会保障研究所図書館などで関連資料の収集を行ない,また,同研究所教育担当長のアントニオ・ルエスガ氏へのインタビューを行なった。11月末からはアルゼンチンに移り,連邦社会保障庁(ANSES)資料室での一次資料収集および各界関係者へのインタビューを行なった。インタビュイーは元ANSES高官ミゲル・フェルナンデス氏,元民間年金基金運用会社監視局高官ラウラ・ポサーダ氏,元民間年金基金運用会社組合長オラシオ・ロペス氏,アルゼンチン労働センター社会保障担当局長リディア・メサ氏,年金問題専門弁護士アレハンドロ・シベッティ氏などである。これらの資料やインタビューを通じて,アルゼンチンにおける年金制度第二世代改革についての各方面からの見方を知ることができ,こうしたデータを理論にフィードバックすることで,理論の精緻化も可能となった。第二世代改革がなぜ起こり,そしてなぜ各国間で違いが見られるかについて,短期的要因と長期的要因を複合的に見る必要がある。とりわけ,長期的要因,すなわち制度的発展の様態・第一世代改革におけるveto構造・財政的移行コストという,制度的・構造的要因を詳しく明らかにすることは,ラテンアメリカ年金制度改革に関する研究においても新しい視点であり,これを政治・経済状況といった短期的要因と組み合わせてみることで,より高い説明力をもった理論枠組みを期待できる。
著者
床次 眞司 古川 雅英 石川 徹夫 赤田 尚史 秋葉 澄伯 Saidou
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

アフリカは地下金属資源が豊富にある。その中でもウラン鉱山は、原子力発電に必要な原料であるウランを産出する。その鉱山で働く作業者は放射線のリスクにさらされているため、十分な管理が必要とされる。さらに、その鉱山周辺で生活を営む住民も少なからず放射線被ばくの可能性がある。本研究では、未だに公表されていないアフリカのカメルーンに所在するウラン鉱山周辺地域での住民に対する放射線被ばく線量調査を実施した。外部被ばく評価では、走行サーベイを実施して地域分布を調べた。内部被ばく評価では、吸入摂取と経口摂取による線量を調べた。吸入摂取による線量は世界平均の2倍程度、経口摂取による線量は2倍から7倍程度であった。
著者
白坂 成功 神武 直彦 保井 俊之
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

世の中に存在する多くの問題が、技術あるいは社会科学など、個別の学術分野だけでは解決ができない。本研究では、システムズエンジニアリングとデザイン思考とを統合した学問分野横断的なシステムデザイン方法論の基本的な体系を構築した。この方法論は、対象を俯瞰的かつ系統的にみるシステムズエンジニアリングと、対象を人間中心でみるデザイン思考とを組み合わせたものとなっており、より幅広い対象に有効であるようにするために、1つの決まったプロセスを決めるのではなく、対象に応じて自由にプロセスをデザインできるとした。また、この方法論を実社会の問題に適用してみることで、その有効性の検証をおこなった。