著者
鈴木 猛 水谷 澄
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.273-286, 1992
被引用文献数
1 2

The Guatemala-Japan Cooperative Project on Onchocerciasis Research and Control sponsored by Japan International Cooperation Agency (JICA) was run for 8 years (1975-1983), targeted mainly at the establishment of effective vector control measures of Guatemalan onchocerciasis by applying an insecticide to the streams inhabited by the principal vector, Simulium ochraceum. Following basic studies on taxonomy, biology and transmission of the suspected vector blackflies, extensive and intensive studies were carried out on insecticides, i.e., trough tests to determine the comparative effectiveness of various chemicals, laboratory tests to determine the extent of adsorption of insecticides to soil, and field tests to determine insecticidal carry in various types of streams and the behaviour of insecticides after application in streams. It gradually became clear that the special feature of this vector control lies in infestation of S. ochraceum larvae in streamlets, which accelerates adsorption of insecticides to streambeds, hence accounting for extremely short carry. Together with the information on distribution of the target streams based on geology, geomorphology and geography, the control strategy was established : applying 24g of 5% temephos wdp fortnightly to all the streams with the discharge range of 0.1-50 liter/sec, irrespective of the discharge rate. After the Phase 3 operation commenced in July 1982,the density of S. ochraceum on human bait was suppressed to an extremely low level far below 1.9 flies/man/hr, the critical level theoretically established. The epidemiological evaluation has been made, but final conclusions are not yet drawn.
著者
竹井 英文
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

今年度の研究は、これまでと同様、織豊政権による全国統一過程に関する研究、および戦国・織豊期城郭の基礎的研究を継続すると同時に、基礎史料の調査を重点的に行った。今年度活字化された成果は、以下の通りである。①「岩付太田氏と難波田城」(黒田基樹編『岩付太田氏』岩田書院、2013年5月)は、以前活字化された論文を再録したもので、東国城郭の基礎的研究の一環である。黒田基樹編『北条氏年表宗瑞・氏綱・氏康・氏政・氏直』(高志書院、2013年8月)のうち、②「天正十年~天正十八年」、③「コラム 北条氏の城郭その後」を執筆した。②は、拙著『織豊政権と東国社会』(吉川弘文館、2012年)の内容を踏まえて、より政治史の流れを意識して通史的に叙述した。③は、移行期城郭論の方向性を論じた。④「館山市立博物館所蔵「里見吉政戦功覚書」の紹介と検討」(『千葉大学人文研究』第43号、2014年3月)は、移行期政治史に関わる史料の全文翻刻と内容紹介・検討したもの。⑤「文化財講演会発表要旨 戦国前期の東国と史跡深大寺城跡」(『調布の文化財』第49号、2013年3月)は、2012年10月に行った同名の講演会の要旨である。⑥「2013年度歴史学研究会大会報告主旨説明 中世史部会 中世における地域権力の支配構造」(『歴史学研究』第905号、2013年5月)は、大会報告の主旨説明文である。⑦「戦国期(関東・甲信越・東北)」(『史学雑誌2012年の歴史学界―回顧と展望―』第122編第5号、史学会、2013年5月)は、昨年度の戦国期研究を整理・紹介したもの。⑧「書評 黒田基樹著『敗者の日本史10小田原合戦と北条氏』」(『織豊期研究』第15号、2013年10月)は、本研究に深くかかわる黒田氏著書の書評である。その他、受理された研究(研究ノート)として、⑨「真田と上杉を結んだ道―戦国・織豊期の沼田と会津―」(谷口央編『関ヶ原合戦の深層(仮)』高志書院、2014年5月刊行予定)がある。
著者
福島 茂
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1980年代後半以降、クアラルンプル大都市圏とバンコク大都市圏の二つのアセアン大都市圏はグローバル経済と国内経済を結ぶ結節点となり、その産業経済構造と社会構造を大きく変容させていく。大都市圏郊外部では製造業集積、工場労働者や新中間層の拡大と核家族化、モータリーゼーション、郊外住宅開発や商業開発は一体的なダミナミズムのなかで生み出され、郊外都市社会とそのライフスタイルを形成してきた。急速な居住形態の変化は住宅需給構造の変化に起因している。就業構造のフォーマル化が居住形態のフォーマル化を促していった。就業構造のフォーマル化と教育水準の向上は若年層から起こり、しかも、都市圏人口の拡大はこうした若い世代を中核としている。これが住宅需要構造を一変させた最大の理由である。居住形態の急速な変化は量的に圧倒する若い世代の住宅需要とそれに対する住宅供給によるものである。一方、住宅需要の質的な側面に目をむけると、両都市圏とも学歴による職業・職階の階層化がなされており、これが世帯所得と住宅格差につながっている。クアラルンプル大都市圏では中学歴化が進んだ段階でグローバル経済化に接合したのに対して、バンコクでは初等教育水準の労働力が圧倒的に多かった。バンコクの低学歴層の賃金上昇は抑制され、低学歴層の住宅取得をより難しくした。所得格差を住宅格差に直裁的に結びつくことを抑制する、あるいは低所得者層の居住水準を向上させるメカニズムには、(1)公共住宅政策(補助政策)・住宅市場介入策(リンケージ政策)、(2)賃貸住宅市場、(3)住宅市場動向における購入のタイミング、(4)住宅ローンによる過去からの補助金、(5)コミュニティ改善という5つのシステムが確認される。クアラルンプルとバンコクではそれぞれメカニズム(1)(3)(4)、メカニズム(2)(4)(5)が働き、住宅水準の底上げに寄与している。
著者
高間 由香里
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.127-130, 2011-12-20
著者
佐藤 みほ
出版者
東北大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、思春期の子どもたちの幼少期における家族の習慣と現在の家族機能、学校帰属感覚、学校充実度及び精神健康との関連を検討することである。山形県立X高等学校、福島県立Y高等学校、上山市立Z中学校に在籍する2010年度入学生を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した。調査の結果、Z中学校の男子を除いた対象者に対して、幼少期の家族の習慣の形成度は現在の学校帰属感覚に有意に関連することが認められた。
著者
浦 雅春 石光 泰夫 小林 康夫 杉橋 陽一 河合 祥一郎 高橋 宗五
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

本研究は既存の国や文化の枠を超えてますますクロスオーバー化する現代の演劇の諸相を歴史的淵源にさかのぼって分析するとともに、近年著しい成果をあげているインターディシプリナリーな分析装置を手がかりに多角的に演劇の表象システムを再検討することを目指したものである。年度ごとの研究成果を記せば、以下の通りである。平成9年度においては、まず研究の端緒として広くヨーロッパ近代演劇の成立にかかわる各国の演劇理論を再検討し、個々の演劇理論が具体的にどのような舞台表象とつながりの中で発展してきたかを解明した。平成10年度には、「身体論」と「空間論」の観点から演劇の表象システムを考究した。おのおの文化に固有な身体観や空間意識がいかなる形式を演劇に与えるか、また逆に演劇という表象システムが演劇固有の身体や空間を形作ってきたか、その相互のダイナミズムを理論化した。平成11年度には、精神分析の立場から演劇に分析を加えた。たんに戯曲というテクストを精神分析的に解剖するのではなく、演劇と精神分析がきわめて類似した表象システムであることを分析し、演劇の中でヒステリー的身体がいかに抑圧され、また解放されてきたを歴史的に解明した。最終年の平成12年度には、これまでの研究成果の取りまとめの段階として、演劇という表象システムの歴史的変遷を総括した上で、演劇と他のメディアの相互作用、個別身体論や空間論との交叉から演劇のインター・カルチャー的本質を抽出し、演劇理論の新しいパラダイムを構築した。

1 0 0 0 十津川郷

著者
西田正俊著
出版者
十津川村史編輯所
巻号頁・発行日
1954
著者
上總 康行
出版者
立教大学
雑誌
立教経済学研究 (ISSN:00355356)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.1-25, 2008-03-10
著者
都甲 由紀子 駒城 素子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
生活工学研究
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.136-139, 2007
著者
吉岡 章 嶋 緑倫 杉本 充彦 松本 雅則
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

心筋梗塞や脳梗塞をはじめとした致死的な病的血栓症は多彩な要因で成立するが、生体防御に本来必須である止血機構が発症トリガーになると考えられている。止血機構は血小板粘着、凝集相と血液凝固相の2つが協調的に機能して成立するが、興味深いことに各々の相で中心的役割をはたすvonWillebrand因子(VWF:血小板粘着、凝集)と第VIII因子(FVIII:血液凝固)の2分子は生体では複合体を形成して存在することが知られている。本研究では古典的な血小板生物学や血液凝固学の枠組みを越えた視点で、第VIII因子/VWF複合体の包括的な血栓促進機能を生理的血流下で解析し、この複合体の適正な制御による新しい抗血栓症戦略の構築を目標とした。(1)第VIII因子の制御:我々は、強力な生理的線溶因子であるプラスミン(Plm)の第VIII因子制御機能の解明をおこない、PlmがFVIII活性を初期段階で約2倍上昇させ、その後速やかに低下させることを明らかにした。これらの知見で、今まで注目されていなかった凝固系と線溶系の密接なリンクが判明した。(2)VWFの制御:VWFの生物学的機能に大きく関与するマルチマーサイズの制御はADAMTS13がつかさどっているが、今回、ADAMTSI3によるVWF切断活性発現メカニズムを生理的な前血流動状況下で解析した。その結果、ADAMTS13は高ずり応力下での血栓形成現場でVWFを切断し、リアルタイムにVWF機能ならびに血栓成長を制御していることが判明した。このADAMTS13のVWF切断メカニズムはずり応力依存性であり、血流に直接暴露される血栓外表面部に優先的であった。今回明らかとなったADAMTS13のVWF切断メカニズムは、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の病因論を明確に説明するのみならず、止血機転が機能した後に血管閉塞のみを特異的にブロックするユニークなものであり、止血機能と抗血栓機能とが両立する新世代型の抗血栓症戦略の可能性を示唆する。
著者
嶋本 伸雄 十川 久美子 永井 宏樹 HAYWARD Rich CHATTERJI Di
出版者
国立遺伝学研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本研究の最大の発見は、バクテリアにおいて初めてプリオン様の調節機構を発見したことである。この意外な発見のため、主要な努力をこのテーマに注ぎ込んだ。転写の大部分に関与する主要転写会誌因子の動態は、病原菌を含むバクテリアを制御するために重要である。大腸菌の主要転写会誌因子σ^<70>因子の細胞内の動態を観察するために、大腸菌のクロモゾーム上のσ^<70>の遺伝子(rpoD)を破壊した菌株を昨年度作製した。この株を利用して、プラスミド上の遺伝子の発現を制御することによって、野生型変異型のσ^<70>の細胞内量を調節した。この結果、σ^<70>は、高い増殖温度や増殖後期に、αヘリックスからβ構造の転移を伴うアミロイド繊維を形成して、転写の活性を低下させ、マイナーσによる転写パターンに切り替えることが明らかになった。アミロイド繊維を形成しやすい変異株、しにくい変異株に置き換えると増殖温度が変化したので、σ^<70>が大腸菌の分子温度となっている傍証を得た。また、σ^<70>の細胞内濃度を変化させながら観察すると、熱ショック遺伝子の定常的発現量と誘導的発現量はともにσ^<70>の存在量に反比例したので、熱ショックσとのスイッチングとアミロイド生成との関係を証明した。また、20年来謎であった、RNAポリメラーゼのωサブユニットの機能を明らかにした。ω欠損株は、野生株と同じ表現型を示すが、コア酵素には、シャペロニンGroELが結合していた。GroELを除いたコア酵素σ^<70>は結合することができず、活性が無かった。つまり、ωサブユニットはコア酵素の成熟因子であり、これを欠く細胞においてはGroELがその役割を代行することが明らかになった。σ^<70>のアミロイド繊維を含む封入体を可溶化する必要から、高濃度のグリセロールを用いた可溶化法を開発した。この手法を、各種生物の蛋白質を大腸菌で量産したときにできる封入体に応用し、8-200倍の改善を観察し、その一般性を証明した。
著者
増田 絹子 岩崎 寛 藤井 英二郎
出版者
千葉大学
雑誌
食と緑の科学 : HortResearch (ISSN:18808824)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.27-40, 2007-03-31

本研究では,日本でみられる多様な植物との関わりについて検討するために,植物由来の色名について,その意味や成立背景に基づいて把握し,そして戦前から近年におけるこれらの色名の推移を調査し,植物との関わりが色名の推移にどう反映されているのかを分析した.日本の植物由来色名は染料植物由来色名に始まり,植物様態由来色名,染法用語由来色名,欧米起源の植物由来色名で構成されることが確認された.染料植物由来色名については,アイ,クレナイ以外の植物に由来する染めの程度を示す色名や重ね染めを意味する色名,染料植物の婉曲表現の色名が衰退していたことから,植物を染料として利用する機会やこれらの染め色を目にする機会が減少していることが示唆された。植物様態由来色名については,微妙な色の差異を示し,より細かい季節を象徴する色名が衰退していたことや,植物の俗称や別名の色名が衰退していたことから,身近な植物への関心の低下や身近な植物の減少が示唆された.欧米起源の植物由来色名においては,盛んに交替する性質があり,植物名から色がイメージされるまで定着しているものが少なかったことから,色名の対象となった植物の存在が軽視されていることが示唆された.
著者
三浦 典之 溝口 大介 ユスフ ユスミラズ・ビンティ・ 桜井 貴康 黒田 忠広
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.250, pp.73-78, 2004-08-12
参考文献数
7
被引用文献数
2

スタックチップ間を,誘導結合を利用して無線通信する手法を提案し,この際に用いるインダクタと送受信回路の最適化手法を提案する.0.35μmCMOSテクノロジを用いたテストチップで正当性を評価し,1.25Gb/s/chを46mWの電力で達成した.