著者
鈴木 利則 水野 俊夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.77, no.12, pp.739-748, 1994-12-25
被引用文献数
32

差動符号化振幅変調(DASK)信号に適用可能な多シンボル遅延検波方式を提案しその特性を評価している.多シンボル遅延検波方式とは観測シンボル数をふやすことによって,その誤り率特性を同期検波の特性に近づけるものである.多シンボル遅延検波は,これまで差動符号化位相変調(DPSK)信号についてその適用が検討されているだけであった.しかし近年,DASKを用いた16DAPSK(スター16QAM)が16DPSKよりも誤り率特性がよいために,大容量伝送を目指した無線通信の変調方式として,その適用が検討されるなど注目されている.しかし従来の多シンボル遅延検波方式では差動符号化振幅変調(DASK)には適用できない.本論文では初めに,DAPSK変調方式における送信信号が与えられたときの受信信号の事後確立を求め,振幅成分を含んだゆう度算出式の導出を行う.その結果ゆう度は雑音電力Nに依存する値となるが,しかしNが十分小さい場合はNに依存しない値に漸近することを示す.続いて,最ゆう系列推定(MLSE)の観点から,そのゆう度の漸近値を最大にするDAPSK多シンボル遅延検波方式を提案する.次にDAPSK変調方式として16DAPSKを採り上げ,従来の遅延検波方式における最適パラメータを理論的に検討したうえで,多シンボル遅延検波方式を適用する.更にAWGNチャンネルにおける誤り率特性を計算機シミュレーションにより評価し,ゆう度算出式の妥当性と提案方式の有効性を確認している.
著者
八木 哲也 亀田 成司 飯塚 邦彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.104-113, 1998-02-25
被引用文献数
32

網膜は, 生体の実時間画像情報処理に欠くことのできない, 優れた視覚知能センサである.網膜の超並列画像処理機能を, アナログCMOS集積回路(ビジョンチップ)として実現した.チップは1次元ラプラシアン-ガウシアン型の受容野を備え, 網膜の順応機構に習いその幅が可変となっている.チップの光センサ部には, 電荷蓄積型のものを用い, 蓄積時間を変えることで光応答感度が制御できるようにした.チップには, 素子の特性のばらつきによるノイズを補償する回路が組み込まれており, 実験の結果自然照明下での実用に十分な出力精度が得られることが確認できた.本チップは, 信号と雑音の空間周波数帯域に応じて効率的に画像を抽出する場合に, 前処理プロセッサとして応用できる.
著者
原 嘉孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.11, pp.2027-2039, 2001-11-01
被引用文献数
32

SMI(Sample Matrix Inversion)アダプティブアレーでは, その構成成法によっては相関行列演算と相関ベクトル演算に用いるサンプルが一致しない場合も想定される.本論文では, 相関行列と相関ベクトルの演算サンプルに関して様々な条件設定を行い, 理論解析とシミュレーションの両面からSMIアダプティブアレーのウェイト収束特性について論じる.性能評価の結果, TDMA(Time Division Multiple Access)方式で多く見られる希望信号電力が他の干渉電力に対して強い環境では, 相関行列と相関ベクトルを同一サンプルで演算することが強く望まれることがわかった.また, CDMA(Code Division Multiple Access)方式で多く見られる逆拡散前の希望信号電力が他の干渉電力に対して弱い環境では, 相関行列と相関ベクトルの演算に異なるサンプルを用いる構成が有効であることがわかった.
著者
荒木 昭一 横矢 直和 岩佐 英彦 竹村 治雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.1704-1711, 1996-10-25
被引用文献数
32

従来の動的輪郭モデル(Snakes)では,Snakes内部の複数対象物を独立して抽出できないため,対象物の数だけ初期輪郭を与える必要があった.本論文では,Snakesによる複数対象物の自動抽出を目的として,複数対象物を包含するように初期輪郭を一つ与えるだけで,それらを独立して抽出できるSnakesを実現するため,面積項による収縮型のSnakesが変形の際に自己交差を起こすという挙動に着目し,Snakesを自己交差部分で切り離して複数に分裂させる分裂型の輪郭モデルを提案する.提案手法は,分裂により生じた小さな輪郭モデルを消滅させることにより,画像中に散在するノイズや抽出対象外の小物体に捕獲されにくく,初期輪郭を対象物から離して与えても安定して対象物を抽出できるため,例えば,画像の枠を初期輪郭として,複数対象物を自動的に抽出することもできる.提案手法の有効性を示すため,まず人工画像を用いた動作確認実験を行い,次に実画像を用いた実験として,顕微鏡写真からの複数細胞の抽出および動画像を用いた複数移動物体の抽出・追跡への適用例を示す.
著者
向川 康博 中村 裕一 大田 友一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.1555-1562, 1997-06-25
参考文献数
12
被引用文献数
32

本論文では, あらかじめ用意された複数の顔画像を適切に組み合わせることで, 任意方向から見た任意表情の顔画像を生成する手法について提案する. 頭部の3次元形状や, 表情変化のための精密なモデルを用意する必要はない. 顔表面上に配置した特徴点の, 任意方向・任意表情の場合の2次元座標は, 少数の基底ベクトルの線形結合で表現できる. 更に, 特徴点を頂点とする三角形パッチに, 複数の顔画像から得られるテクスチャを重み付け平均してマッピングする. さまざまな表情をもつ顔画像を用意し, 実際の表情変化を素材として用いることで, 自然な表情の見え方を生成できた.
著者
片柳 磨子 村上 恭通 境 隆一 笠原 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.208, pp.9-14, 1999-07-22

本稿では, (k, n)しきい値秘密分散法の概念を応用した複数エンテイテイ参加型の再利用可能な認証方式(RSS認証)を提案する. 提案方式ではn個のk次元ベクトルのうち任意のk個を連接したk×k行列のランクが高確率でkとなることを利用し, 秘密鍵の分散およびグループ内での認証を行う. また, 提案方式は, 認証センタを想定することより, 分散情報のみから完全に秘密を復号することはできないが, グループ全体の持つ情報が秘密鍵と等しいことを認証することができる. しかしながら, 提案方式では, 任意のk個のk次元ベクトルの連接により, ランクkの行列が生成できない場合が存在するため, より確実に(k, n)しきい値で復号可能であるように改良した方式として, 改良方式IおよびIIを提案する.
著者
Fu Pingqing Kawamura Kimitaka Kobayashi Minoru Simoneit Bernd R. T.
出版者
Elsevier
雑誌
Atmospheric Environment (ISSN:13522310)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.234-239, 2012-08
被引用文献数
154

Sugars are important water-soluble organic constituents of atmospheric particulate matter (PM). In order to better understand the sources and seasonal variations of sugars in aerosols, primary saccharides (fructose, glucose, sucrose, and trehalose) and sugar alcohols (arabitol and mannitol), together with levoglucosan, have been studied in ambient aerosols at Gosan, Jeju Island in the western North Pacific, the downwind region of the Asian outflow, using gas chromatography-mass spectrometry. The results showed that the sugar composition varied seasonally with a total concentration range of 6.8-1760 ng m^[-3] (mean 246 ng m^[-3]). The total identified sugars had the highest concentration in April, the spring bloom season at Jeju Island, when sucrose contributed up to 80% of the total sugars. The dominance of sucrose was also detected in pollen samples, suggesting that pollen can contribute significantly to sucrose in aerosols during the spring bloom. The seasonal variation of trehalose is consistent with those of non-sea-salt Ca2+ and δ13C of total carbon with elevated levels during the Asian dust storm events. This study indicates that sugar compounds in atmospheric PM over East Asia can be derived from biomass burning, Asian dust, and primary biological aerosols such as fungal spores and pollen. Furthermore, this study supports the idea that sucrose could be used as a tracer for airborne pollen grains, and trehalose as a tracer for Asian dust outflow.
著者
張 海燕 柏原 士郎 吉村 英祐 横田 隆司 飯田 匡
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.70, no.589, pp.25-32, 2005
被引用文献数
7 12

Interviews were given to the visitors and the managing staffs of Machikado-hiroba which utilize a vacant shop in the neighborhood center. The findings are as follows. 1) More than half of the visitors are over 65 years old. The majority of visitors live within 400m from Machikado-hiroba and they come mainly on foot. 2) Machikado-hiroba plays an important role as a new communication place for the visitors, especially for the aged. 3) They use the neighborhood center more frequently than before the opening of Machikado-hiroba. 4) It is necessary to accept the need of visitors and to increase the number of younger visitors.
著者
神里 博武
出版者
沖縄国際大学
雑誌
沖縄国際大学人間福祉研究 (ISSN:13483463)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-24, 2005-06

本稿は、2004年1月に実施した「小地域福祉活動の取り組み状況調査」を通して、長崎県の小地域ネットワーク活動の現状と課題を考察した。調査は長崎県社会福祉協議会(長崎県社協)の協力を得て、県下市町村社協に対して行った。調査の目的は、長崎県の小地域ネットワーク活動の現状を把握すること、特に、小地域ネットワークの対象にどのような広がりが見られるか。又、活動内容が、見守り・安否確認といった従来のネットワーク活動から、当事者の生活課題に対応した生活支援活動にまで拡大しているか。さらに、ネットワーク活動がどのような効果をもたらしたか、等を明らかにすることであった。今回の調査研究で明らかになったことは、対象が高齢者だけでなく、障がい者、子育て家庭にまで拡大し、活動も見守り以外に、買い物、介助等の生活支援も行われていることである。今後の課題としては、市町村社協が、小地域ネットワークを重要な社協活動として認識し、民生委員・児童委員、関係者と連携して主体的に取り組むことが求められる。また、対象が高齢者だけでなく、障がい者等まで拡大してきているが、現状は、依然として高齢者が中心で、障がい者等のネットワークは弱い。特に、地域で児童の虐待問題が深刻化しているが、子育て支援のネットはほとんど構築されていない。地域の福祉課題に応えるネットワークの構築が急がれる。そのためには、ネットワーク会議や社協が主催するネットワーク推進会議の設置とその機能化が不可欠である。