著者
平子 友長
出版者
一橋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究の成果は、カント最晩年における政治哲学を、非西洋諸大陸の先住民の先住権を否定する「無主の地」理論を装備した同時代の西洋国際法に対するラディカルな批判として解釈するものである。カントの世界市民法の概念は、非西洋世界に住む人々の先住権を基礎付け、西洋の植民地主義と対決するための論理を提供するものであった。
著者
丸山 貴司 中川 匡弘
出版者
日本高専学会
雑誌
日本高専学会誌 : journal of the Japan Association for College of Technology (ISSN:18845444)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.97-104, 2011-07-31
被引用文献数
2

近年,ヒトの生体信号を解析することで感性の定量的評価を試みる研究が取り組まれている.中でも,ヒトの感情は脳の活動と密接に関係していると考えられ,脳波を解析することで感情の定量化を試みる手法として,感性スペクトル解析手法(ESAM),感性フラクタル次元解析手法(EFAM)が提案されている.本研究では,脳波のフラクタル次元を特徴量として感性の定量化を行うEFAMの拡張として,脳波のマルチフラクタル次元を用いた感性解析を試み,既存技術であるESAM,EFAMとの比較を行った.具体的には,被験者16名に対し,「喜怒哀楽」の基本4感性について想起の持続性・再現性の実験を実施した.その結果,提案手法はEFAMに比べ,学習誤差等は増加し,一つひとつの感性の認識率は低減するが,4つ全ての感性が偏り少なく認識できることが確認できた.マルチフラクタル次元を特徴量として用いることにより,感性に寄与している特徴を適切に抽出でき,認識可能な感性の偏りが低減されたものと考えられる.また,学習に用いる時系列データのばらつきを抑えることで,認識率が向上する可能性が示唆された.
著者
岡 雅彦 松野 陽一 落合 博志 山下 則子 谷川 恵一 新藤 恊三 キャンベル ロバート 山崎 誠
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、ヨーロッパ各地に所在する日本古典籍の調査を網羅的に行うことを目的としている。また、ヨーロッパ各地における日本文学者との交流や、各地と日本との文化交流についての研究もその対象としている。本研究の中心となる、ヨーロッパにおける日本書籍調査は、合計4回行われた。第1回(2000年1月19日〜31日)は、館内者3名と館外研究協力者2名(後半のみ)が参加した。日本古典籍(主に近世の絵本)の書誌調査を行い、カードをとった。イタリア共和国ジェノバのキオッソーネ東洋美術館で81点、ドイツ連邦共和国ケルンのプルヴェラー家で86点の成果であった。第2回(2000年3月1日〜16日)は、館内者4名が参加し、オーストリア共和国ウィーンのオーストリア国立図書館で265点、チェコ共和国プラハのプラハ国立美術館(ズブラスラフ分館)で27点、ナープルステク博物館では142点、ボドメール図書館では、12点の成果であった。第3回(2001年2月20日〜3月5日)は、館内者6名が参加した。連合王国ロンドンのチェスタービーティー図書館では1点の成果があり、主要な資料の撮影も実施した。第4回(2001年3月9日〜24日)は、館内者3名が参加した。イタリア共和国ローマのサレジオ大学図書館では、日本書籍の整理(帙入れ・請求番号の確認・ラベル貼付)と調査12点、キオッソーネ東洋美術館では68点、プルヴェラー家では105点の成果があった。
著者
稲垣 奈都子
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

多様性の高いゲノムを有するエイズウイルスの中で比較的保存性が高いゲノム領域にコードされるGagカプシドタンパク(CA)の構造上の制約を知ることは、ワクチン抗原デザインや抗HIV薬開発に有用である。私は細胞傷害性Tリンパ球の認識に影響するCAの1アミノ酸置換を有する変異体の解析を行い、CAのN末端ドメイン内のある1アミノ酸とC末端ドメイン内の1アミノ酸の相互作用がウイルス複製に重要であることをin vitroおよびin vivoの両視点から明らかにした。具体的には、今年度は、構造的な相互作用を探るため、現時点で報告されているHIV-1のCA構造を基にSIV CAの構造シミュレーション解析を行った。Gag205はGagがコードするCA内のNTDに位置するのに対し、今回新たに見出された代償性変異Gag340はCAのCTDに位置しておりCA六量体構造シミュレーション解析により両者のアミノ酸の分子間相互作用が示唆された。更にin vitro core stability assayを用いてCAコアの安定性を検討したところGagD205E変異によりコアの安定性が低下し、GagV340M追加変異により回復することが示され、CA六量体での分子間相互作用を支持する結果が得られた。また、MHC-Iハプロタイプ90-120-Ia陽性サルのSIVmac239感染慢性期に、GagD205E+GagV340M変異が選択されることを見出した。培養細胞でのSIVmac239Gag205E継代実験でGag205Eから野生型のGag205Dに戻るのではなくGagV340Mの追加変異の出現を認めたが、同様にサル個体においてもGagD205E+V340Mが選択された。このことは、Gag205D-Gag340VおよびGag205E-Gag340Mの相互作用の存在、つまりCANTDのGag205番目とCA CTDのGag340番目間に機能的相互作用の存在が示唆された。本研究は、CAドメイン間の機能的相互作用のための構造上の制約を提示するものである。
著者
森田 果
出版者
商事法務
雑誌
エヌ・ビー・エル (ISSN:02879670)
巻号頁・発行日
no.849, pp.35-43, 2007-01-15
著者
池田和史 服部元 松本一則 小野智弘 東野輝夫
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.1308-1315, 2011-06-30

近年、TwitterのようなブログやWeb掲示板などに投稿された商品やテレビ番組などに対する口コミ情報を分析してマーケティング等に応用する評判解析技術に注目が集まっている。これらは手軽い情報発信が可能なため、新鮮かつ多数の意見を即座に収集するツールとして、その活用は大きな可能性を持っている。一方で、評判は投稿者の年齢や性別、趣味などのプロフィールに応じて異なることが多いが、ブログや掲示板には投稿者の年齢や性別が記載されていない場合が多く、投稿数や平均的な意見などの表面的な情報しか抽出できず、プロフィールごとの意見を抽出できないことが課題であった。この問題を解決するため、著者らはTwitter上の口コミ投稿者の日常的な投稿内容を解析することで、年代、性別、居住地域などのプロフィールを推定する技術を開発した。本技術を利用することで、ネット上の口コミ情報をプロフィールごとに分類、集約することが可能となり、商品の改善やテレビ番組の企画などに生かすことが可能となる。性能評価実験の結果、提案手法の汎用的な推定精度は性別で88.0%、年代で68.0%、居住地域で70.8%であり、視聴率測定などへの応用を想定したプロフィール分布誤差の評価では、分布に偏りがある場合でも性別で8.8%、年代で12.4%、居住地で14.0%と実利用に十分な精度であることが示された。
著者
永倉 俊充
出版者
素粒子論グループ 素粒子研究編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.56-61, 1949-10-15

朝永氏の超多時間理論に於て,単一時間理論との関係に就いての考察に多少不充分な点あり,その為にHamiltonianの誘導に当って模索的な方法がとられている点がある.著者はこれ等の点に考察を加えてこれを明確ならしむると共に,Diracの相対論的場理論との関連をも明かにした.
著者
Kao Dana 飯田 繁 井上 晋 大賀 祥治
出版者
九州大学
雑誌
九州大学農学部演習林報告 (ISSN:04530284)
巻号頁・発行日
vol.86, pp.69-84, 2005-03

森林伐採が生態系の回復過程とマッチしない規模であるため,森林の破壊・細分化がもたらされている。熱帯林は1990年代においても毎年1,420万haの規模で減少が続いており,発展途上国では2000年の場合,森林のわずか5.5%しか計画的な管理が実施されていない。カンボジアの森林は,世界の熱帯林の一部を構成しているが,道路建設,木材生産,鉱業生産,農業開発などで過去30年間にわたり毎年0.6%の割合で森林が減少してきた。そこで本稿では,カンボジアにおけるコンセッション経営の問題点を明らかにする。問題点は,CFC林業会社から得たデータとモントリオールプロセスで示された基準との比較によって明らかにされ,評価される。評価基準は同プロセスの基準2(指標10~14: 森林生産力の維持)であり,評価対象は,カンボジアのコンセッション型林業経営で実施している輪伐期25年の管理基準である。モントリオールプロセスの基準2は33の指標に分かれているが,コンセッションでは,その内17指標についてのみ記録されている。3指標についてはコンセッションの管理計画にも入っていない。また,今回の調査では植林木の成長状況や非木質林産物についての調査が欠けているという問題もあった。今回の調査結果は,カンボジアにおける熱帯林の管理に有益であり,コンセッションの林業計画やモントリオールプロセスの評価基準や指標の改善に有益である。
著者
竹内 聡史 河野 正司 小林 博 桜井 直樹 細貝 暁子 金城 篤史 甲斐 朝子
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.473-481, 2008-10-10 (Released:2009-02-20)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

目的 : 下顎タッピング運動に随伴する体幹動揺が, 座位において観察できるのか, また立位と座位でどのような差を示すか追求することを目的とした.方法 : 被験者は顎口腔系に異常を認めない男性6名 (25-29歳, 平均年齢27.0歳) で, 姿勢は立位, 座位の2種類として, 10秒間の咬頭嵌合位保持, 3Hzの20秒間タッピング, その後10秒間咬頭嵌合位保持を1測定単位として測定を行った. 下顎運動はTRIMETII (東京歯材社製) により上顎座標系にて下顎切歯点を, 頭部は大地座標系で上顎切歯点, 下顎頭点, 頭頂点, 後頭点を, また体幹動揺はProreflex (Qualisys社製) により大地座標系で胸骨点の矢状面内運動を分析した.結果 : 座位において, 下顎タッピング運動に随伴する体幹動揺が認められた. 開口量に対する体幹動揺量を立位と座位でWilcoxonの符号付検定をしたところ, 有意に立位の方が大きくなった. また体幹動揺の周波数分析におけるパワーの平均値を立位と座位でWilcoxonの符号付検定をしたところ, 有意に立位の方が大きくなった. しかし, 原波形解析による検出率をWilcoxonの符号付検定をしたところ, 立位と座位で有意差は認められなかった.結論 : 体幹動揺量は立位の方が大きいが, 原波形による検出率では差がなく, 咀嚼動作として自然な座位での分析も可能であることが明らかとなった.
著者
Nakamura Ryohei Recky H. E. Sendouw
出版者
岡山大学大学院社会文化科学研究科
雑誌
北東アジア経済研究 (ISSN:18808476)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.17-44, 2009-03-26

This study is conducted in order to examine the inter-provincial per capita GRP (Gross Regional Product) disparities in Indonesia under the NEG (New Economic Geography) framework. The coefficient of variation shows that the disparities are decreasing in the periodof 1993-1997 and increasing in the period of 1998-2004. On the basis of the disparities trends, those two different periods are examined in our analysis. By utilizing wage equation which developed by Fujita, et al.(1999)we make use of panel data analysis in estimating the role of domestic market access, foreign market access, urbanization and human capital on interprovincial per capita GRP. The findings suggest that domestic market access, foreign marketaccess and human capital play important roles on inter-provincial per capita GRP disparities, while urbanization shows reverse role because of excess of urban labor.

1 0 0 0 OA 貴族院要覧

出版者
貴族院事務局
巻号頁・発行日
vol.昭和8年12月増訂 丙, 1933

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1913年07月19日, 1913-07-19

1 0 0 0 OA 熊本県統計書

著者
熊本県 編
出版者
熊本県
巻号頁・発行日
vol.第32回, 1926
著者
石山 和志 千葉 淳
出版者
公益社団法人日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:18804004)
巻号頁・発行日
vol.28, no.11, pp.1067-1073, 2004-11-01
被引用文献数
1

Recently, medical actuators of various kinds have been reported. We have particularly reported actuators for colon endoscope navigation. Magnetic actuators have the unique feature that they can be moved wirelessly, using external magnetic fields. The magnetic actuator consists of a permanent magnet and a spiral structure. When a rotational magnetic field is applied, the actuator rotates and moves without wired connection. The actuator therefore has a potential use for colon endoscope navigation. In this paper, we show some results compared with other navigation systems.
著者
千葉 淳 仙道 雅彦 石山 和志 荒井 賢一
出版者
社団法人日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 : 日本エム・イー学会誌 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.313-317, 2004-12-10
被引用文献数
1

In this paper, the authors propose applying a magnetic actuator to a capsule endoscope. We fabricated a capsule-type magnetic actuator and investigated its moving properties in a silicone tube and in pig intestines. The device consists of a dummy capsule measuring 11 mm in diameter and 40 mm in length, a magnetic actuator composed of a permanent magnet inside the dummy capsule and a 1-mmφ spiral structure outside the capsule. The permanent magnet is magnetized in the direction of the diameter. When a rotational magnetic field is applied, the magnetic actuator rotates and moves wirelessly. In this study, we measured the effect of the spiral shape on the velocity and thrust properties. According to our experimental results using the silicone tube, the optimal actuator was formed with 4 spirals set at a spiral angle of 45 degrees. In the subsequent moving test performed in pig intestines, the actuator traveled a distance of 450 mm to its destination in the large intestine in 150 s, and a distance of 400 mm to its destination in the small intestine in 110s. This result confirms the potential applicability of the actuator as a guidance system for capsule endoscopes.
著者
千葉 淳 仙道 雅彦 石山 和志 荒井 賢一
出版者
公益社団法人日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:18804004)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.343-346, 2005-03-01
被引用文献数
2 12

Application of a magnetic actuator to a capsule endoscope is proposed. Capsule-type magnetic actuators were fabricated and their motion properties were investigated in a silicone tube and in the intestine of a pig. The dummy capsule is 11mm in diameter and 40mm in length. This magnetic actuator is composed of a permanent magnet inside the dummy capsule and spiral structures outside it. The permanent magnet is magnetized in the direction of the diameter. When a rotational magnetic field is applied, the magnetic actuator rotates and moves wirelessly. The velocity of capsules with top spirals was examined in a silicone tube. In addition, a motion test was conducted in the intestine of a pig. The actuator can pass through the small and the large intestines over distances of 450mm and 400mm, respectively, in less than 150s. The capsule can pass out of the bag-shaped section of the large intestine. This result shows that the actuator has the potential to be used in the guidance system of a capsule endoscope.