著者
國澤 尚子 徳田 哲男 新田 収 前川 佳史 植竹 篤志 桑原 邦寿
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.13-21, 2003
被引用文献数
1

本研究は、車いすを必要とする要介護者およびその介護者が行動しやすい居住空間の広さや備品の配置などについて提案することを目的とする。本稿では、車いすの回旋動作およびベッド・車いす間の移乗動作から、最適な居室のスペースとベッドの高さについて検討した。要介護者、介護者の内観報告をもとに分析した結果、X軸方向、Y軸方向の推奨幅から算出された床面積は9.40m^2であった。これは従来の特別養護老人ホームでの1人あたりの居室面積に近い値であるが、私物が配置された居室の中で車いすを使用しながら生活するためには、さらに広いスペースが必要であろう。また、移乗介助に適したベッド高の推奨値は47.9cmであり、この値は要介護者がベッドの高さに対して「不安を感じない」高さにほぼ一致した。さらに、筋電図を用いて介護者の身体負担を評価した結果、ベッドに臥床している要介護者を抱き起こして座位にするときと、車いすから立位にさせるときに筋負担が大きいことが示唆された。
著者
紀平 知樹 浜渦 辰二 大北 全俊
出版者
兵庫医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究課題は、環境問題とケアの問題は相互に独立した問題ではなく、むしろ共通の根をもつものであるという観点から、新たな社会のあり方を模索することを目的としていた。そのために生産志向の社会から定常型社会へ、そして生産へと方向付けられたケアから新たなケアのあり方について検討することを課題としていた。本研究では、定常型社会において、生産活動に対して一定の制約を課すために強い予防原則が必要であることを明らかにした。またケアについては、ケアを支える健康に関する政策、特にヘルスプロモーションの意味について問い直す必要があることを明らかにした。
著者
桑田 修平 前田 康成 松嶋 敏泰 平澤 茂一
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.8, pp.1-6, 2012-05-10

推薦問題を扱うためのより一般化されたマルコフ決定過程モデルに対して,ベイズ基準のもとで最適な推薦ルールを履歴データから求める方法を提案する.提案法の特徴は,ある商品を推薦した後に何が買われたのかを考慮していること,さらに,一回の推薦結果だけでなく一定期間内に行った複数の推薦結果を評価している点にある.ここで,従来の推薦手法と大きく異なる点は,推薦ルールを求めるためのプロセスを統計的決定問題として厳密に定式化したことにある.その結果,推薦する目的に対して最適な推薦が行えるようになった.人工データを用いた評価実験により,提案する推薦手法の有効性を示す.In this paper, we proposed a general markov decision process model for the recommendation system. Furthermore, based on the bayesian decision theory, we derived the optimal recommendation lists from the proposed model using historical data. Our method takes into account not only the purchased items but also the past recommended items within a given period. Here, the unique thing about this paper is that we formulate the process to get the recommendation lists as the statistical decision problem. As a result, we can obtain the most suitable recommendation lists with respect to the purpose of the recommendation. We show the experimental results by using artificial data that our method can obtain more rewards than the conventional method gets.
著者
浦嶋 泰文 堀 兼明
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.163-168, 2003-04-05

PGPRを用いて,生育遅延型の連作障害を解決することを目指している。農業利用に当たってはPGPRを何らかの形で土壌に導入しなければならない。本研究では,軟弱野菜としてホウレンソウを対象とし,ホウレンソウの生育を促進するPGPRの作物根圏における挙動,根への定着性および接種方法について検討した。1)浸漬する菌懸濁液の菌密度が10^5cfu m L^<-1>以上では,菌密度にかかわらず,種子に付着した菌密度には差異が見られなかった。種子の菌密度にかかわらず,ホウレンソウ根に定着した接種菌の菌密度には顕著な差異が見られなかった。2)ホウレンソウ種子を10g L^<-1>メチルセルロース(重合度100)で処理し4℃で保存することで,菌密度の低下を抑えられ,比較的長期(6ヵ月)にわたり種子の接種菌密度を高く維持することが可能であった。6ヵ月保存後の種子の発芽率を見ると,いずれの処理区においても種子の発芽率は90%以上と高く,種子バクテリゼーションの方法として適当であった。3)ホウレンソウの生育を促進する機能をもつ蛍光性シュードモナスを土耕(ポット試験)のホウレンソウに供試したところ,水耕の場合には見られた根重および地上部新鮮重に関し顕著な生育促進効果が見られなかった。生育促進効果が認められなかったのは接種菌が根に定着しなかったためと推察される。4)稲わら牛糞堆肥,おがくず馬糞堆肥および稲わら馬糞堆肥を接種菌と同時に添加した場合は,接種菌株の土壌中での菌密度の低下が有機物無施用区に比べて緩やかで,有機物の同時施用で接種菌の土壌中の菌密度が維持可能であった。
著者
曹 徳弼
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.372-379, 2000-10-15

需要の変動はトレンド(線形と非線型), 周期変動(季節変動含む), およびばらつきに分類することができる.トレンドや周期が一定である場合には予測モデルを用いてそれを抽出することができ, ばらつきは安全在庫で対処すればよい.また, トレンドや周期がダイナミックに変化する場合には予測モデルを逐次修正する方法と安全在庫をダイナミックに変化させる方法が考えられる.本研究では予測モデルの修正(予測モデルの再同定, バラメータの再推定, 再学習など)に手間がかかことや, バイヤス発生の確認が遅れることなどを考慮し, 予測モデルを逐次修正する方法の補助的な方法として, 過去一定期間における予測誤差の平均とばらつきに基づいて安全在庫をダイナミックに変化させる方法を提案した.提案法の有効性を検証するために本研究では, 単段階在庫システムにおいて移動平均法に基づいて需要予測を行う発注点方式を対象に, 異なる4つの需要パターンのもとで, 需要が安定していることを想定して安全在庫を計算する方法(方法A), 理想的な予測手法を想定して安全在庫を計算する方法(方法B), および予測のバイアスの存在を無視して安全在庫を計算する方法(方法C)など3つの方法と, 平均在庫水準および欠品率を評価基準に比較実験を行った.その結果, 需要のパタンが変化する場合には提案法がA, C両方式に比べて平均在庫をそれぞれ50%近く削減し, 提案法の有効性が示された.また, B方式は提案法より平均在庫が少なく, パターンの変化を素早くキャッチする予測手法の確立が大変重要であることを確認できた.
著者
新里 隆 郭 偉宏
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 = Journal of Japan Industrial Management Association (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.164-173, 2011-10-15

最適な安全在庫量を求めることは,在庫管理の重要な課題の1つである.しかしながら,これまで相関を含んだ需要に対する最適な安全在庫量を独立を仮定した既存手法を用いて決定することに対する数学的な保証がされていない.つまり過去の売り上げの影響を受けやすいトレンド商品に対する最適な安全在庫量を導き出す強力な手法を理論的に開発する必要がある.そこで本研究では大偏差原理を用いて,相関を含む需要に対する最適な安全在庫量についての新しい解析方法を提案する.さらに情報科学や統計的学習理論などで重要な役割を果たすレート関数の性質を用いて,最適な安全在庫管理に関する提案手法の有効性を保証する.また我々の手法の有効注はいくつかの需要分布により確認することができ,一般性を失うことなく先行研究で得られた手法よりもタイトな安全在庫量を推定することもできる.
著者
奥山 洋一郎
出版者
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林
雑誌
東京大学農学部演習林報告 (ISSN:03716007)
巻号頁・発行日
vol.102, pp.151-201, 1999

大学演習林は約130,000haという広大な面積を持つが,その広大な面積の必要性や一部大学への集中に対しては,戦後の演習林水平化運動,共同研究利用林構想という演習林当局の議論や行政監察による勧告でも問題とされてきた。本研究では演習林がこのような大面積を持つに至った経緯を明らかにすることを目的として,戦前期における社会の要請と演習林の対応の経緯について検証を行った。そこから現代につながる課題を考察した。資料としては東大演習林所蔵の各種往復文書,書類綴り,予算関係書類等の資料を用いて実証的に分析した。対象時期は演習林が創設された1894(明治27)年から戦前期までであり,特に1921(大正10)年から1934(昭和9)年までに行われた国有財産整理事業による演習林縮小の議論を中心とした。1921(大正10)年に成立した「国有財産法」により,それまで各省庁が独自に管理を行っていた国有財産について初めて統一的に規定された。同法は,国有財産の内で利用が本来の目的から逸脱したり,意義を失ったものについては処分を行うとした。そして,各省庁国有財産の評価を行う国有財産調査会が設置されて,国有財産整理事業が実施された。同事業は財政一元化を目指す大蔵省と各省庁の既得権益確保のせめぎ合いであり,公用財産として陸軍省演習地に次ぐ大面積であった演習林にも,厳しい縮小要求がなされた。北海道所在国有財産を対象とした「国有財産整理案(第一次)」(1921年11月9日閣議決定)では,東大(約25,000ha),北大(約60,000ha(4カ所))の演習林を一演習林当たり1,000ha程度へと縮小するように要求された。これに対して,東大側は林学に関する教育研究には保続的林業経営が可能な面積が必要であり,東大北海道演習林は北海道内国有林の一施業区と面積がほぼ等しく縮小は不可能と主張した。同様の縮小要求は台湾,樺太演習林にもなされて,その後,国有財産調査会において演習林の帝国大学への集中,所在地域の偏りについて共同利用化の検討や,同時に演習林の名称を変更して経営面に配慮をするべきだとする意見が採択された。東大側は教育研究における演習林の重要性を主張して,演習林の集中,偏りについては学生数や全学の予算規模から考えるなら東大は他大学の2倍の面積を持つ必要があり,演習林の財産価値が高まったのは多年の投資や努力の結果であるとした。このような大学,文部省側の抵抗で演習林の縮小は進行せず,その後,戦争という時局の変化で国有財産整理事業は1936年に打ち切られて,演習林縮小や名称変更は実行されなかった。そして,戦時体制へ移行して,海外占領地への演習林拡大が行われたのである。
著者
田代 久美
出版者
宮城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

都市戦略として「子ども・青少年にやさしいまちづくり(CFC)」を成功させている海外の都市を調査したところ、ユニセフが掲げる9つのCFC基本条件を元に行政内の横断的連携体制があり、子ども・若者の参画を地域の大人も支えていた。CFCの導入により地域全体が活性化している。日本で実施するためには、国際的な基準を踏まえつつも、日本の社会システムにあった評価スケールの開発や国内ネットワークの整備などが必要である。
著者
家高 洋
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ドイツの哲学者ガダマーは、理解を「問いと答えの弁証法」とみなした。ガダマーの考察に基づいて、本研究は、まず理解における言語の役割(媒体としての言語)を明らかにした。それから、理解を、言語に基づいた「問いと答えの弁証法」と考えることによって、(看護研究等の)質的な研究の前提と主題が、言語性と意味であることを示した。さらに、哲学カフェという「問いと答えの弁証法」の実践において、この弁証法の具体的なあり方を調査した。
著者
瀧川 禅
出版者
大阪女学院大学・短期大学
雑誌
大阪女学院大学紀要 (ISSN:18800084)
巻号頁・発行日
no.3, pp.15-24, 2006

本稿では異文化間コミュニケーションにおいて、国際結婚カップルの日本語会話データを用い、日本人の妻がアメリカ人の夫に話をする時、話の重要な点をどう伝えそれを夫は理解できるのか分析する。文化の違いにより話の伝え方も全く異なる。たとえば、アメリカ人は話の重要点をはっきり表現するが、日本人は聞き手自身が文脈から理解する手法をとる。従ってそのスタイルに慣れていない外国人は、話し手である日本人が伝えたいことを理解できないことがある。本研究でも、妻と夫の話の伝え方の違いが誤解を生む結果となることが分かった。
著者
丸山 千賀子
出版者
金城学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

消費者庁の創設により、消費者政策も新しい局面を迎えることになった。そこで、本研究では、新しい消費者政策における消費者団体と企業の役割について、先進諸国との比較をしながらまとめた。海外調査は、アメリカ、フランス、オランダの主要な消費者団体、行政機関、事業者団体や企業を対象として行った。主な研究成果は、消費者政策の変革における消費者団体の態様の変化や最近の特徴、今後の発展といった観点からまとめた。
著者
志賀 博 小林 義典 荒川 一郎 横山 正起 雲野 美香
出版者
日本顎口腔機能学会
雑誌
日本顎口腔機能学会雑誌 (ISSN:13409085)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.25-29, 2005-10-30

目的: 食品の味の違いが咀嚼時の脳内血流に及ぼす影響を明らかにする目的で, 健常者に味の異なるグミゼリーを咀嚼させた時の脳内血流について分析した.方法: 健常者10名(男性5名, 女性5名, 22〜34歳, 平均年齢24.8歳)に味の異なる3種類のグミゼリー(普通, 甘い, 苦い)を主咀嚼側で20秒間咀嚼させた時の両側の脳内血流を浜松ホトニクス社製近赤外分光装置NIRO-300^[○!R]を用いて記録した.なお, 近赤外分光装置の測定プローブは, 照射部と受光部の距離を4cmとし, 両側の咀嚼運動野相当部の皮膚上に毛髪をかき分けて, 開閉口運動に最も反応する位置に設定した.分析は, はじめに各グミゼリーの咀嚼前, 咀嚼中, 咀嚼後の脳内血流の経時的変化を調べた.次いで, 咀嚼前と咀嚼中との脳内血流の変化量について, 食品間で比較した.結果: 脳内血流は, いずれのグミゼリーでも咀嚼中に有意に増加したが, 咀嚼終了後に減少し, 咀嚼前の状態に回復する傾向を示した.また, 脳内血流量は, 苦いグミゼリー咀嚼時が最も少なく, 甘いグミゼリー咀嚼時, 普通のグミゼリー咀嚼時の順に多くなり, 食品間に有意差が認められた.結論: 脳内血流は, 咀嚼運動によって増加すること, また食品の味の違いは, 脳内血流の増加の大小に影響を及ぼすことが示唆された.
著者
安達 久博
出版者
宇都宮大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001

本年度は、前年度に得られた、共起関係ペアを特徴観点とする特徴ビット・ベクトル間の類似性計算による対象オノマトペの同値類への分割結果を利用し、清音と濁音(半濁音を含む)間との対応関係を分析した。たとえば、「トントン」と「ドンドン」の関係は清音と濁音の違いだけであるが、この二つのオノマトペの基底概念(ものを叩く)は共通と考えることができ、強弱関係の差を提示していることが分かる。一方、同様に「ジロジロ」の基底概念は(ものを見る、観察する)であるが、その清音に対する「シロシロ」はオノマトペとは認定し難いものである。このように、必ずしも清音と濁音相互間で対応するオノマトペが存在するとは限らないといえる。なお、「クンクン」と「グングン」の関係ペアにみられる共通の基底概念は希薄で、別の概念をあらわしている関係ペアがあることが分かった。他にも「フリフリ」が様態を示すのに対して、「ブリブリ」は感情(負の)を示しているように、擬音と擬態の対比があるペアは興味のある結果である。これらの成果は外国人や聴覚に障害を持つ人々が日本語のオノマトペを学習する際に有益な知見を提示することができるデータベースとして機能し、日本語学習支援システムなどに有効利用できると考える。本年度は、この関係を検索・表示するシステムを試作した。検索システムは、オノマトペを含む例文コーパスをデータベースとし、オノマトペを入力すると、対応する例文コーパスを提示する。この例文の提示の特徴はオノマトペの意味を言葉で記述することの難しさを、複数の例文を提示することで、意味(概念)の差を理解させる、単語の見出しに対する、単語の概念見出しと捉えることができる。また、清音(フラフラ)の入力に対して、対応する濁音(ブラブラ)の例文も参照できる構造とすることで、概念の差を明示可能な構造とした。