著者
三木 直大 池上 貞子 佐藤 普美子 松浦 恆雄
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

連携研究者と協力して台湾現代詩研究会を組織し、以下のふたつを大きな柱として共同研究をすすめた。(1)台湾現代詩の研究と翻訳紹介については、研究代表者を編集委員として、台湾現代詩人シリーズ 5 冊の翻訳詩集を詳細な解説と詩人年表を付して出版した。(2)台湾から詩人・研究者を招聘し、日本の詩人にも参加を依頼しての研究会を5回開催し、そこでの成果を公表するとともに、今後の台湾現代詩研究の基礎を提供した。
著者
遠藤 俊樹 山田 秀昭 小田 稔周
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1999, no.2, 1999-03-08
被引用文献数
1

近年, IP網と電話網を融合した通信サービスを実現するため, IP網と電話網の間で, 通信プロトコル変換を行う音声ゲートウェイ(以下音声GWと称する)が開発されている。音声GWは, 低レート音声コーデックを適用することで, IP網でのパケットの使用帯域を低減しているが, IP/UDP/RTPヘッダによるオーバヘッドの問題が生じ, IP網に対し多量のIPパケットを転送することで, IP網内のパケット処理負荷を増大させる問題が生じる。これらの問題に対処するため, 同一着音声GW宛の音声データブロックを複数個多重して転送する方式が提案されている。本稿では, 音声GWにおいて, 各チャネル毎に複数の音声データブロックをまとめて転送する方式と, 複数チャネルを多重化する方式の, 各音声データブロックをパケット化する際の待ち時間(パケット化遅延)を考察する。その結果, 複数チャネルを多重化する方式が, 各チャネル毎に複数の音声データブロックをまとめ転送する方式に比べ, パケット化遅延が小さいことを示す。
著者
吉矢 生人 中田 英昭 真下 節 稲垣 喜三
出版者
大阪大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1991

平成4年度の研究では、作成したストレス反応モニタシステムを用いて麻酔中の皮膚切開に伴う皮膚組織血流量の一過性低下反応出現の有無を調べ、各麻酔薬のMAC BAR(MAC that blocked the adrenergicresponse)を求めた。同時に血行動態と血中ノルエピネフリン濃度を経時的に測定し、皮膚組織血流の一過性低下反応が侵害刺激に対する交感神経反応を反映するかどうかを検索した。対象は65名のASA分類I-II度の予定手術患者で、無作為にハロセン(H群N=17)、エンフルレン(E群N=14)、イソフルレン(I群N=16)およびセボフルレン(S群N=18)単独麻酔の4群に分けて調べた。皮膚切開に伴う一過性低下反応出現の有無によって、Dixonのup-and-down法にしたがってMAC BARを求めた。得られたMAC BAR値は、ハロセン1.35%(1.75MAC)、エンフルレン2.25%(1.34MAC)、イソフルレン2.01%(1.75MAC)、セボフルレン2.77%(1.62MAC)であった。ハロセン、イソフルレンおよびセボフルレンでは近似したMAC値であったが、エンフルレンでは他の麻酔薬に比べてかなり小さな値となった。一方、皮膚切開前後のRPP(rate pressure product)の増加は4群共に一過性低下反応が出現した症例群で出現しなかった症例群に比べて大きいかまたは大きい傾向がみられた。また、4群共に、皮膚切開前後の血漿ノルエピネフリン濃度の増加の程度も、一過性低下反応が出現した症例群で出現しない症例群よりも大きいかまたはその傾向がみられた。以上の結果から、皮膚組織血流の一過性低下反応は侵害刺激に対する交感神経反応を反映していると結論した。本研究において作成したレーザー・ドプラー組織血流量計を用いたストレス反応モニタシステムは麻酔中のストレスに対する交感神経反応モニタとして臨床的に有用であると考えられる。

1 0 0 0 OA 改正教授術

著者
若林虎三郎, 白井毅 編
出版者
普及舎
巻号頁・発行日
vol.巻1, 1884
著者
高田 康民
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

通常のグリーン関数法と密度汎関数超伝導理論(SCDFT)との対応を考え、SCDFTにおける対形成ポテンシャルの新汎関数形を構成し、それを用いて擬クーロンポテンシャルの決定を含めて超伝導転移温度を第一原理的に計算する枠組みを提案した。また、それをグラファイト層間化合物に適用し、その超伝導機構を明確にした。さらに、この物質系も含めて、高温超伝導体合成に向けて理論的観点から思索し、強いフォノン媒介引力とクーロン斥力との相殺系の重要性を示唆した。
著者
新木 真理子 大津 厚子 吉原 悦子 高木 真理
出版者
西南女学院大学
雑誌
西南女学院大学紀要 (ISSN:13426354)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.10-18, 2006-02-28
被引用文献数
3

本研究は、「高齢者の自発性を高めるアプローチ」に関する学内演習および臨地実習の学習成果を明らかにした上で、演習と実習の望ましい連動について検討したものである。大学3年次の看護学生を対象とし、学内演習と臨地実習における学生の自己評価および記録を分析した結果、20の学びの項目が抽出された。また、学生の演習自己評価と実習自己評価には相関があり、実習時の「満足感」に関する自己評価高・低得点群と、演習時の「GW参加度」に関する自己評価高・低得点群は、有意な関連がみられた。「高齢者の自発性のアプローチ」に関して、実習の教育効果を高めるには、演習において、基本的な患者-援助者間の相互作用や個別性の重視について、学びを深めることの必要性が示唆された。
著者
手嶋 政廣 鈴木 誠司 木舟 正 永野 元彦 林田 直明
出版者
東京大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1992

宇宙線のエネルギースペクトルが10^<20>eVまで延びていることは実験的に知られている。これらの宇宙線の起源は銀河系外であると考えられているが、既存の天体での粒子加速により説明するのは容易ではない。これらの宇宙線の起源の特定には、精度良い宇宙線のエネルギー測定とその粒子同定が重要である。現在稼動している検出器では粒子同定ははなはだ困難であり、将来の検出器としてはこの識別能力を持つ必要がある。宇宙線が大気に入ってくると、大気原子核と衝突し多数の二次粒子を生成する、この現象を空気シャワー現象という。この空気シャワーの最大発達の位置X_<max>が親の粒子同定に有効であることを米国Fly's Eyeの実験は示した。さらに高分解能の装置による測定によりよい実り多い結果が期待できる。日本の宇宙線研究所を中心とする我々のグループは、さらに高分解能の撮像システムからなる。Telescope Arrayを計画している。本試験研究では、Telescope Array計画に必要とされる高分解能の空気シャワーシンチレーション光撮像装置の開発研究を行った。この撮像装置のデバイスとして64チャンネルマルチアノード浜松ホトニクスと共同で開発を行ない、当初の目標としていた仕様を満たすことができた。
著者
岩田 和之
出版者
東京工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

日本で実施されている政策評価の多くは定性的なものが主であり、定量的に行われているものは数少ない。そこで、本研究では、昨年度に引き続き、日本で実施されている自動車排気ガス規制を取り上げ、定量的な政策評価の重要性を示した。昨年度は規制が始まる前の情報を用いた事前評価を行ったが、今年度は規制後の情報を用いた事後評価も試みた。現在、日本では3種類の自動車排ガス規制が用いられている。それらは、古くからある単体規制と近年になり施行された車種規制、運行規制である。単体規制は新車を対象とした汚染物質の原単位規制であり、車種規制と運行規制は旧車を対象とした直接規制である。ただし、運行規制は自治体条例の下で実施されている規制であり前者と比べると規制順守の度合いは弱いものとなっている。しかし、実際にこれらの規制がどの程度の大気環境改善に寄与したのかどうかは明らかとなっていない。そこで、日本の長期大気環境測定情報を用いて、この点について検証を試みた。分析の結果、単体規制と車種規制は大気環境を改善していることが示された。一方で、運行規制の効果は限定的であった。したがって、条例のような大きな強制力を持たない規制については、遵守を担保するような制度設計を行う必要がある。また、大気環境改善効果を見ると、単体規制のそれは他の2規制に比べて大きなものであることが明らかとなった。つまり、まず、新車の環境能力を改善させ、その後に旧車から新車への代替を促進させるような制度の在り方が望ましいことを示していよう。
著者
中園 嘉巳 田中 久弥 井出 英人
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.23-28, 2003-02-01
被引用文献数
1

指タッピング法を用いて,予測ボタン押し動作における予測精度を測定した.被験者には,ブザー音が周期的(インターバル:0.8,1.1,1.3,1.9秒)に繰り返し呈示され,a)音を聞きながら,あるいはb)音に合わせてボタンを押しながら,最後のブザー音の後に予測したインターバルの経過を待って,指でボタンを押すように指示された.ボタンが押されるまでの時間が予測時間として,インターバルの実時間との差が予測誤差として測定された.結果,被験者15名において,インターバルの長さと予測誤差の大きさとに相関が認められた.その内9名では,インターバル1.9秒において予測時間が実時間より10%を越えて有意に減少した.音に合わせたボタン押し動作を伴った場合b),対照例a)と比較して,予測時間の変動係数(CV)が有意に減少した.つまり,周期的運動を行うことによって予測時間の精度が向上した.この結果は,心理学的時間知覚と生理学的周期運動との連関を示唆する.
著者
月城 慶一
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.257-260, 2007-10-01 (Released:2010-02-25)
参考文献数
2
著者
湯川 武
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.57-74, 1979 (Released:2010-03-12)

One of the characteristic features of the medieval ‘ulama’ was their high geographical mobility. Pilgrimage, travelling for academic purposes and commercial activities, sometimes a combination of some or all of these, were its important factors while many ‘ulama’ were attracted for better job opportunities in other places.A need for Sunni ‘ulama’ in Egypt was first created by Saladin when he destroyed the Fatimids and began to rebuild Sunnism in Egypt. During the Ayyubid and early Mamluk period more ‘ulama’ flowed into Egypt from different parts of the Islamic world. Among them were many from the Islamic West. Even during the Fatimid period there was a connection between Western and Egyptian ulama i n the fields of hadith and Maliki law studies.Those Western ‘ulama’ can be classified into two types; one was the transit type and the other the settler type. Those belonging to the first contributed to the exchange of scholarship, bringing to Egypt some of Western achievements and back home more knowledges and skills from the East. But more important was their contribution to the promotion of the general feeling of Islamic unity and solidarity by teaching the population both of Egypt and the West through their contacts with local ‘ulama’ and their other travelling experiences in other lands.The contributions of the second type was more concrete; many Maliki fuqaha' who came to Egypt and lived there permanently played a significant role in establishing the Maliki law school there by working as teachers and sometimes as qadis. In other fields of scholarship, many individual scholars from the West made great contributions; to name a few, al-Shatibi in the qira'a, al-Qurtubi in the tafsir and Abu Hayyan in the philology. Another point we cannot neglect is that the western ‘ulama’ in Egypt were mostly Sufi is or zahids and helped the diffusion of sufism in Egypt.All in all, they were the beneficiaries of the general feeling of Islamic unity and they themselves in turn strived to promote and materialize this feeling.

1 0 0 0 OA 観風叢話

著者
藤田茂吉 (鳴雀) 著
出版者
金港堂
巻号頁・発行日
vol.上篇, 1890
著者
板谷 徹丸 兵藤 博信 山本 勲 岡田 利典
出版者
岡山理科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2001

40Ar/39Ar段階加熱年代測定法では同位体比測定時間の短縮が要求されている。本研究では、微小電子増倍管群を質量分析計のイオン検出側に取付け、36Ar,37Ar,38Ar,39Ar,40Arを同時に検出し、定量分析する装置を試作することを目的とする。既存の企業技術を用いた微小電子増倍管群と位置演算装置アセンブリでは実現できなかった。そこで、和歌山工業専門学校の溝川辰巳博士及び東京都立大学城丸春夫博士の研究実績と経験を基に全く新たに製作した。それはバックギャモン法であり、二次元座標系である。大気アルゴン36Ar,38Ar,40Arは同時に検出されたが、多量の40Arの信号のために約1/300の36Arや約1/1600の38Arの定量性に問題があった。しかし二次元座標系で同位体信号分布が見られ、質量分析計のイオン光学系調整に有効であることが分かった。定量分析のために一次元に配列した直線型チャンネルトロンの製作を検討した。(株)デューンの協力でそれを可能にした。我々が実現した二次元系と(株)デューンの一次元系を兼ね備えた小型質量分析計はイオン光学系調整の便利さを実現し高感度なアルゴン定量分析が可能である。独立して行ってきた二つの研究開発型企業と研究機関が協力して全く新しい超小型の高感度高精度質量分析計の共同開発体制が実現した。位置演算装置から取りだすイオン信号にはイオンカウント法を採用するが、そのための回路設計と関連する装置制作とコンピュータープログラムの開発を開始した。コンピュータによる自動制御をするためのインタフェースの製作とコンピュータ自動制御のためのプログラムの開発も開始した。計測・解析を行うコンピューターとイオンカウンティングを行う測定系の間はLANケーブルで結ばれ、制御系のプログラム開発と測定系のインターフェイスは終了した。標準空気や高純度ガスを超低濃度に分割する抽出精製系を製作した。
著者
杉本 太郎
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

平成20年度は、前年度までに確立した方法を用いて、新しい試料の分析に取り組んだ。新たに12頭確認され、合計37頭のアムールヒョウを識別した。しかし過去に確認されたが今回確認できなかった個体も多くいた。この要因として、サンプリングが不十分であったことも考えられるが、近年密猟者により殺された事例が報告されており、この密猟が要因であることも考えられる。また、ロシアと国境を接する中国へ移動した可能性も残されており、今後分布全域から糞を採集することが必要である。遺伝的多様性に関しては、過去に確認された対立遺伝子が検出されないなど、多様性が失われていることが示唆された。現在のような小個体群では避けられないことではあるが、動物園個体の導入の必要性を示す一つの重要な結果であるといえる。研究の総まとめとして、ウラジオストクにあるWWF極東支部において、Workshopを開催し、本研究の成果発表を行った。このWorkshopには、アムールヒョウの保全に関わるWWF、WCSなどの国際的なNGOや、現地のNGOの研究者達が多数参加した。これまで行われていた足跡調査では明らかにできない多くの生態的、遺伝的情報を提供することができ、たくさんの前向きなコメントを得ることができた。発表の後、今後の研究のあり方、本研究で示されたモニタリング方法の有効性について活発な議論が行われた。今後も継続して試料を採集することで一致し、さらに採集地域を拡大することも計画された。本研究で確立した手法が今後も活用されていくことが期待される。