著者
山下 友信
出版者
日本保険学会
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.600, pp.600_121-600_134, 2008-03-31 (Released:2011-09-07)
参考文献数
8

近時広く普及している自動車保険の人身傷害補償保険に基づき保険者が保険給付をした場合において保険者が請求権代位により取得する加害者に対する損害賠償請求権の範囲について裁判上争われる事例が見られるようになっており,地方裁判所レベルでは異なる判断を示すものが現れている。本稿は,これまでに提唱されている諸見解について,それぞれの問題点を分析した上で,約款の規定と代位に関する法原則をどのように調和させるべきかについての私見を提示しようとするものである。
著者
近藤 奈々 中西 正和
雑誌
情報処理学会研究報告プログラミング(PRO)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.49(1992-PRO-065), pp.1-7, 1992-06-12

従来のウインドウ環境におけるインタフェースにおいて、1つの処理を始めるとそれが終わるまで、他のイベントを受け付けないので、ユーザを待たせる原因となっている。これはインタフェースを記述するプログラムが並列性を持っていないためである。本稿では、Xウインドウシステムインタフェースを記述する言語に並列性を導入し、Xサーバと通信機能をもつ並列 lisp 処理系 Momolisp について報告する。Momolisp は Unix 上の1つのプロセスの中で動作し、その中で複数のスレッドを実行させる。
著者
東原 和成
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.26-31, 2004 (Released:2004-01-22)
被引用文献数
2 2

Olfactory receptors (ORs), which comprise the largest G protein-coupled receptor family, play a pivotal role in recognizing a variety of odorants in the vertebrate olfactory system. Recent successes in functional cloning and expression of ORs facilitated construction of ligand-activity matrices of ORs. Activation of a combinatorial receptor repertoire by an odorant determines an odor quality of the odorant, while activated ORs by an odorant mixture is not simply the sum of those for its components due to OR antagonism between odorants. Mixing odorants, thereby, often results in a novel perceptual quality that is not present in each component. The recent atomic-level structure for bovine rhodopsin has provided an opportunity to elucidate a molecular basis for odorant recognition by an OR and characterize the active site of an OR.
著者
織田 佐知子 佐藤 浩美 数野 千恵子
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子大学生活科学部紀要 (ISSN:13413244)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.13-18, 2011-03-10

It is said that the sense used most when the person judges deliciousness is sight. In this study, food was illuminated with a different lighting, and a comparative study was made of the effects of each lighting on deliciousness. The lights were used three type of compact fluorescent lamps(cool white lamp(A), daylight lamp(B), warm white lamp(C)) and incandescent lamp(D). The subject of food were hot food/ (hashed potato) and fresh food (fruit). The fruits basket included an apple (red), a green grape (green), a banana (yellow), and a purple grape. That was the basic color of the food. These were set up in white boxes, and the way of seeing it was investigated. Moreover, a photograph was taken when food was illuminated with each lamp; it was measured with the colorimetry meter, and the relation to each item was examined. The lightest evaluation was incandescent lamp(D) when people look at hashed potato, and cool white lamp(A) when people look at the fruits. With cool white lamps(A), the evaluation was different according to the color and the question item as a basic color of food.
著者
野村 雅一 樫永 真佐夫 川島 昭夫 藤本 憲一 甲斐 健人 玉置 育子 川島 昭夫 藤本 憲一 甲斐 健人 玉置 育子 小森 宏美
出版者
京都外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

老後と呼び慣わされる人生の段階に至っても、青年・壮年期に形成された個々人のアイデンティティの連続性は保持される。それが若い世代のライフスタイルを受容する文化伝達の逆流現象が生じるゆえんである。認知症の患者には、錯誤により、女性は若い「娘」時代に、男性は職業的経歴の頂点だった壮年期の現実に回帰して生きることがよくある。人生の行程は直線ではなく、ループ状であることを病者が典型的に示唆している。
著者
山形 積治 奈良 慎一 深井 一郎 安田 一次
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:03736091)
巻号頁・発行日
vol.J62-A, no.7, pp.436-443, 1979-07-25

先にplano-convex AT-cut水晶振動子の振動モードをx′-y′断面について実測し,有限要素によってシミュレーションを加えた.その結果,特に厚み方向(y′軸)の応力の分布を明らかにした.今回は前述の結果,すなわち,y′軸方向の厚みすべりの応力T′6の分布が正弦関数状(厚みすべりの変位U′1は余弦関数状)になる,事実に基づきx′-z′平面(主平面)における厚みすべり振動の変位振幅U′1(x′,z′)分布の解析を行った.AT-cut水晶振動子を無限障壁を有するボテンシャル井戸と考えると,U′1に対する振動方程式はシュレーディンガー方程式となる.筆者らはこの方程式を原形のまま有限要素法を用いて解くことを試みた.その結果,共振周波数,振動モード共に実測値と極めて高い精度で一致することが明らかとなった.先にウィルソンが振動子を放物面障壁を有するポテンシャル井戸と仮定して解いた近似解よりも1けた以上も精度が高い点に本解析法の特色がある.
著者
井上 健 菅原 克也 杉田 英明 今橋 映子 モートン リース 劉 岸偉
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

近代東アジアにおいて異文化はいかに受容され、各文化圏の相互影響のもといかなる近代的諸概念や訳語を生み出していったのか。こうした問題意識に立脚して、まずは、近代日本における訳語の成立、近代的諸概念の成立に焦点をあて、調査、考察を試みた。近代日本の翻訳文学を戦前と戦後の連続と非連続の相においてとらえることによって、あるいは、日中、日韓の文化交流の諸相を具体的に辿ることによって、こうした視座の有効性が確認できた。
著者
長谷川 剛 村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.121, pp.29-34, 2009-07-02

インターネットにおいて標準的に用いられているトランスポート層プロトコルであるTransmission Control Protocol(TCP)は、多様なネットワーク環境において安定的に通信を行なうことができるプロトコルであるが、各種ネットワーク環境における性能最適化の面では未解決の問題が多く残されている。本稿では、特に無線ネットワーク技術によるアクセスネットワーク環境に着目し、無線ネットワークの様々な特性に対応するためのトランスポートプロトコルの改善手法について、近年の研究動向や著者を含む研究グループでの研究内容について述べる。特に、受信側TCPの改良によって達成される、TCPスループットの向上、および公平性の改善手法に関して議論する。
著者
新苗 正和 西垣 広大
出版者
一般社団法人 環境資源工学会
雑誌
環境資源工学 (ISSN:13486012)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.64-67, 2009 (Released:2009-06-23)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

The biodegradable chelating agents [S,S]-ethylenediaminedisuccinic acid (EDDS) and the low biodegradable chelating agent ethylenediaminetetraacetic acid (EDTA) were investigated for their removal efficiency of lead from soil by soil washing. In the soil washing tests, the removal efficiency of lead with EDTA was high in the wide pH range and the efficiency of lead removal with EDDS increased with increasing pH. However, EDDS has no effect on the removal of lead in the acidic region below pH 5.5. Acid contribution was predominant for the removal of lead with EDDS below pH 5.5 and the complexation between EDDS and lead were negligible. The reaction rates for extraction of lead with EDTA and EDDS were represented by the volume reaction model. The activation energies of these extraction reactions are over 55 kJ/mol and the apparent reaction rate constants are not affected by the stirring speeds, therefore it is considered that these extraction reactions are chemically controlled.
著者
田中 俊明 亀田 修一 高 正龍 吉井 秀夫 井上 直樹 東 潮 井上 直樹 東 潮
出版者
滋賀県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

古代史料が極端に不足する韓国古代史を再構成する上で、出土文字資料の重要性は極めて高い。木簡・石碑も新たな発見がつづくが、ここでは文字瓦をとりあげ、歴史資料として使用に耐えうるかたちで集成・提示し、またそれを利用した研究をめざした。特に百済圏において、王都のみならず、地方山城からも刻印瓦が出土するが、それを中心に、可能な限りで網羅的に調査し、刻印の目的や瓦の製作時期を考察した。それ以外の文字瓦についても、現物調査を進め、個体に関する新知見を得るとともに、総体として文字瓦の資料化をはかった。ただし多くは報告書にもとづく検討であり、当初の課題であるデータベース構築のための予備的な研究を終えて、今後、実際調査しえたものとあわせ、データベースとしての作成・公開をめざしていきたい。
出版者
大蔵省
巻号頁・発行日
vol.明治21,22年度, 1897

1 0 0 0 OA 日本財政年鑑

著者
細川雄二郎 編
出版者
細川雄二郎
巻号頁・発行日
vol.国庫一般会計之部 第2輯(明治24-39年度), 1909
著者
伊藤 耕介
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

台風の強度に関する研究は,防災上の観点からはもちろんのこと,温暖化に代表される気候変動によってインパクトがどのように変化するのかを評価するという意味でも重要性を増している.中でも,台風状況下の海面付近の観測は限られるため,本研究では,観測可能な物理量の情報と数値モデルを用いて,海面から大気に渡される運動量フラックス・熱フラックスの影響を調べる研究を進めてきた.本年度は「運動量・熱フラックスを修正した場合の台風強度変化に関する詳細な物理プロセスの解明」及び「3次元モデルへの本スキームの適用」についての数値実験を行った.前者については,台風の最大接線風速をターゲットとして,アジョイント方程式を用いた後方時間積分によって感度解析を行い,最大風速変化に寄与する物理場を過去にたどることとした.この感度解析の結果,海面付近の擾乱成分が1時間以内というごく短時間スケールで台風の最大風速を強めるというプロセスが存在することが新たに明らかとなった.本研究の成果については,国際学会で発表を行ったほか,論文にまとめて国際誌Journal of the Atmospheric Sciencesに投稿し,すでに受理された.後者については,非静力学メソ4次元変分法データ同化システム(JNoVA)に本スキームを導入して,運動量フラックス及び熱フラックスの推定に関するスキームが動作するかについて調べた.結果として,運動量交換係数は元の値に比べ,台風の進行方向右側前方で大きく,左側後方で小さくなるように修正されれば,観測値との整合性が高められることが分かった.本研究で行った海面フラックスの最適化により,台風予報性能向上することが貢献することが期待される.本研究の結果は,国際会議において既に口頭発表済みであり,現在,国際誌への投稿を準備している段階にある.
著者
菅野 菜々子
出版者
首都大学東京
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

【研究目的】細菌は自然生態系の中で分解者・生産者という重要な役割を担っている。自然環境中では栄養資源の量が変動するため、栄養源が豊富な時には細菌は分裂増殖し、それ以外の期間は分裂しない状態で生きのびていると考えられる。しかし非分裂条件下で、細菌細胞が生きのびるために必要なエネルギー量や何にエネルギーを使用しているのかの詳細はよくわかっていない。本研究では細菌の非分裂条件下での生存機構をエネルギー(ATP)との関係から明らかにするために、光エネルギーからATPを獲得できる光合成細菌を利用して非分裂条件下でATPを消費している生理活性とATP維持に関わる細胞状態を特定する。【平成25年度研究計画】25年度は、これまでの研究で紅色光合成細菌の中でも非分裂条件下・暗条件および浸透圧・熱ストレス条件下で生存性が高いことがわかっているRhodopseudomonas palustris CGA009株を材料として、非分裂条件下・生子性の異なる細胞の網羅的転写角析、非分裂条件移行過程における代謝動態、非分裂条件下でのATP生産能力解析を行った。【25年度研究成果】非分裂条件下でのATP生産能力解析から、非分裂条件下では光の有無にかかわらず光合成によるエネルギー獲得能力を維持しており、非分裂条件下で生き残るために光合成をエネルギー源として頼りにしている可能性が示唆された。暗条件でも他の細菌種に比べて生存性の高かったR. palustrisでは非分裂条件下での代謝・転写状態はエネルギー供給量によって大きく異なり、エネルギー供給のあるときはタンパク質回転が積極的に行われていると示唆された。一方でエネルギー供給量が制限される条件では供給量の高いときとは異なる代謝・転写状態であり、非分裂条件を生きのびるための生存機構は細胞内のエネルギー量によって異なる可能性が示された。