著者
長島 未央子
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.279-286, 2011 (Released:2011-07-12)
参考文献数
26
被引用文献数
1 3

Relation between oxidative stress and antioxidant status during long-lasted endurance exercise at moderate intensity is not clear. The purpose of the study was to examine changes of oxidative stress and antioxidant status during 3 hours endurance exercise at intensity of 70% heart rate reserve (70%HRR) in well-trained cyclists. Eight college cyclists participated in this study after giving the informed consent. They performed a steady-state exercise that corresponded to HR of approximately 145 bpm for 3 hours on a cycle ergometer in a laboratory. Blood samples were taken at 5 time points: before exercise (Pre), at 1 hour (Ex 1h), 2 hours (Ex 2h), 3 hours (Ex 3h) during exercise and 1 hour after exercise ( Post 1h), to analyze the oxidative stress, the antioxidant status, plasma vitamin C (VC) and vitamin E (VE) concentrations. The oxidative stress and antioxidant status were determined by using the FRAS4 analyzer. The oxidative stress (d-ROM) did not change during and after exercise. However, the antioxidant status (BAP) and the plasma VC concentration were significantly higher in Ex 1h, Ex 2h, Ex 3h and Post 1h compared with Pre. On the other hand, no changes were found in the plasma VE concentration during and after exercise. In conclusion, endurance exercise for 3 hours at the intensity of 70%HRR increased the plasma antioxidant level, and this increase may contribute to inhibit exercise-induced oxidative stress in well-trained cyclists. We suggest that regular endurance training might improve the antioxidant status in trained athletes.
著者
竹内 純一 萬 淳一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.46, pp.57-58, 1993-03-01

通常N次正方行列の積を計算するには,2N^3回の浮動小数点演算が必要となるが,1969年にV.Strassenは,分割統治法(divide and conqure)という方略を再帰的に適用することにより,4.7N^<2.81>回の浮動小数点演算で行列積が求められることを示した.このアルゴリズムは計算量のオーダを下げるが,係数が増加するため行列のサイズがある程度大きくないと実際には計算量が減らない.また,アルゴリズムが自然なものに比べ複雑であり,誤差の点で不利であること等の理由から,ほとんど実用に供されることがなかった.しかしながら,近年計算機のハードウェアが発達し,大規模な行列の演算が実用的な時間で計算出来るようになるとともに,実用化される例が現れている.こうしたことから,NECのスーバーコンピュータSX-3上でも,Starassenのアルゴリズムをインプリメントしてみた.一般に,SX-3のようなベクトル計算機の場合,行列のサイズが小さいとベクトル化の利点が活かしにくいため,演算速度が下がる.このため,行列を小行列に分割して計算するStrassenのアルゴリズムでは,必要な演算量を減らしても実行時間が減るとは限らない.しかしながら,評価実験の結果,Strrassenのアルゴリズムにより,行列積の演算時間が最大約15%削減されることが分かった,特に2048次の行列では,見かけ上約5.9GFLOPSの演算速度を達成した.また,誤差の面でも実用上問題が無いことが分かった.
著者
熊坂 賢次
出版者
慶應義塾大学
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.75-97, 1977-09

3. レジャー領域の確定 (1) レジャー不要社会 (2) 偏レジャー出現社会 (3) レジャー抑圧社会 (4) レジヤー開花社会In what sense do we consider leisure as a social problem for the mass in contemporary society? In an attempt to answer it, four categories of leisure society are constructed and examined. Leisure society is a concept applied to the whole society from the viewpoint of leisure activities. It contains four typologies : (1) Leisure non-necessary society, where leisure is not needed as a part of social life system because the work of the society contains the components of play (consummatory act) as well as instrumentality. (2) Distorted two-facet leisure society, where leisure is possessed by the upper class only while the lower class is specialized to a little more instrumentalized works. (3) Leisure suppressed society, where lesure is completely suppressed in order to achieve the societal goal, ie., modernization. (4) Leisure prospering society, where the mass get leisure and its chances owing to the social justification and economic affluence. After examining them, the diagram on leisure industry vs passive mass is drawn as today's social problem. Now, we must seek for the possibilities to transcend this diagram from a value-relational standpoint. They are following : (1) voluntarity of play, (2) mass having aristocratic orientation, (3) leisure as an impetus of social solidarity, (4) recurrence to commune on denying leisure activities dialectically. These four possibilities, as well as the diagram, are sociologically important components to determine "the domain of leisure" in contemporary society, Hence is the need for the sociology of leisure to achive a new and meaningful "leisure society".
著者
小嶋 泉
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2006-03

平成15-17年度科学研究費補助金(基盤研究(C))研究成果報告書 課題番号:15540117 研究代表者:小嶋泉 (京都大学数理解析研究所 助教授)
著者
原 梓
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

大迫コホート研究では、前年度の検診で収集した高血圧性臓器障害に関する検査結果からデータベースの更新を行なった。大迫コホート研究の55歳以上の一般地域住民309名を5.7年間追跡し、家庭血圧と頸動脈病変進展との関連を検討した。高血圧基準値として、家庭血圧135/85mmHgおよび検診時血圧140/90mmHgを用い、初回検診時と再検診時の血圧により,家庭血圧,検診時血圧のそれぞれについて対象者を「正常血圧維持群(正常→正常)」,「高血圧進展群(正常→高血圧)」,「高血圧改善群(高血圧→正常)」,「高血圧持続群(高血圧→高血圧)」の4群に分類し、頸動脈内膜中膜複合体厚の進展を比較したところ、家庭血圧を用いた場合,高血圧持続群の頸動脈内膜中膜複合体厚の進展は,正常血圧維持群に比べて有意に大きかった。一方,検診時血圧を用いた場合にはこのような群間差は認められなかった。また大迫研究の一環として毎年行われる家庭血圧測定事業時に、セルフメディケーションに関する調査項目を含むアンケートの配布・回収を実施し、約400名分回収されている。産科コホート研究では、対象者となる妊婦の登録を参加施設において連続的に行った。妊娠期間中の家庭血圧測定・脈波伝播速度測定・採血・尿検査・児の出生児調査、産後の家庭血圧測定を行い、データーベース化した。本コホートにおいて、妊娠・出産を経験した母体に郵送したアンケート調査を用い、現在回答が得られ、データベース化されている64名を解析対象者として、妊婦におけるサプリメントの摂取状況について検討を行った結果、47%の者が妊娠期間中にサプリメントを摂取しており、さらに、妊娠期間中最も摂取率が高いサプリメントは葉酸であり、妊婦全体に占めるその摂取割合は41%であった。
著者
柘植 あづみ 武藤 香織 洪 賢秀 熱田 敬子 岩江 荘介 八代 嘉美 粥川 準二 小門 穂 仙波 由加里 張 チョンファン 三村 恭子 渡部 麻衣子
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

医療技術の開発/応用とジェンダーの関係を検討するために日本、韓国、アメリカ等での遺伝子技術、生殖技術、再生医療研究の患者/利用者、研究者への聞き取り調査を実施し、さらにインド、中国などの情報を収集した。そこから医療技術の開発/応用にジェンダー役割が無批判に受容され、それが技術を要請する根拠になることを示した。その上で新しい医療技術の規制を考える際にジェンダーの視点の必要性を指摘した。
著者
金森 敏幸 溝口 健作
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.91-95, 2011-03-20
被引用文献数
1

濃度差と圧力差を駆動力とする液体の膜分離では,膜の透過性に応じて膜近傍に濃度境膜が形成されるが,濃度差を駆動力とする場合(拡散)には液本体に比べて膜面の濃度が減少し,圧力差を駆動力とする場合(対流)には膜面で濃縮が起こる.したがって,拡散と対流が共役する膜透過における膜近傍の濃度境膜形成機構は,極めて複雑である.さらに,膜デバイスで広く用いられている中空糸膜では,濃度と圧力は流れ方向でも変化するため,数学的に厳密な解を求めることは困難である.本研究では,市販の有限要素法アプリケーションを用いて中空糸型血液透析器の溶質除去性能について詳細に検討したところ,濾過による溶質除去促進について既往の実験結果を再現することができた.
著者
アムール=マヤール オリビエ
出版者
立教大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

この3年間では私は特に、次の3つの主たる目的を設定した。まず第一には国際シンポジウム「ミシェル・ビュトール-境界にて、あるいは移動の芸術」を開催することである。シンポジウムの目的は、ビュトール作品にみられる日本文化の影響を明らかにすることであった。研究の2つ目の目的は、フランス現代作家の作品にみられるアジア文化の影響、特に日本文化の影響について、書物を準備・刊行することであった(『ノマドのエクリチュール-フランス作家と極東』)。研究の3つ目の目的は、上記シンポジウムの成果に基づく、共著を出版することであった(『ミシェル・ビュトール-境界にて、あるいは移動の芸術』、ディジョン大学出版局)。
著者
深澤 克己 櫻井 万里子 河原 温 北村 暁夫 西川 杉子 篠原 琢 千葉 敏之
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、ヨーロッパ史上に出現した諸団体の多くに通底してみられる宗教的・密儀的な性格の比較分析をとおして、長期的時間の視野のもとに、古代から現代にいたる団体・結社の組織原理および思想潮流の展開過程と系譜関係を解明することを目的として組織された。18世紀に急発展をとげるフリーメイソン団を比較分析の十字路としつつ、古代ギリシア、中世ドイツ・ネーデルラント、近世フランス・イギリス、近代チェコ・アイルランド、現代イタリア史の専門家を結集し、合計6回の研究会を組織して、研究報告と討論を積みかさねた。本研究の独自性は、まず第一に、従来の歴史研究では各々の団体の性格に応じて、宗教史・経済史・政治史などの分野で別個に研究したのに対して、機能を異にする諸団体間の連関・重複・継承関係を重視したこと、第二に、伝統的歴史学の重視する団体の制度的・機能的側面よりも、団体内部の友愛・連帯を支える儀礼的・象徴的側面を強調したこと、第三に、これらの儀礼や象徴に素材を与えた密儀・秘教思想を、従来のように哲学的・思想史的観点のみならず、歴史的・社会的視点からも研究しようとしたことにある。もちろん研究成果には対象により粗密の差があり、全体の整合的連関にも課題を残しており、すべての問題に解答できたわけではないが、今回の成果をもとにさらに共同研究を深めれば、ヨーロッパ文明の根底にある非合理的・神秘的世界観、およびその容器となった兄弟団・友愛結社の役割の解明をつうじて、現代世界の批判的理解と実践的な未来構想の一助となる歴史理解を構築することができると信じている。
著者
趙 宏偉 下斗米 伸夫
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

日本国内での研究活動のほかに、中国、ロシア、台湾を訪問し、研究活動をこなし、主な成果物として『東アジア地域統合の歩み-文献・考察・年表』をまとめ上げた。東アジア地域は、狭義的には日本、中国、朝鮮半島、及び関連地域を指し、広義的にはそれに東南アジアのアセアン10力国を加える地域を指すが、2005年12月に開かれた第1回東アジア首脳会議に上記の諸国のほかに印度、オーストラリア、ニュージーランドも加わった。東アジア地域統合ないし東アジア共同体は、1990年12月にマハティールマレーシア首相が最初に呼びかけたとき、「夢物語」と思われるほどであったが、その15年後に前述したように現実のプロセスとなっている。東アジア地域統合のプロセスには、アセアン諸国が先頭に立ってきたが、日米中印露など大国の思惑も交錯してきた。例えば日本が米、豪、印との連携を作ろうとしてきたのに対して、中露は「新国際秩序」を唱えて印度を巻き込む中露印協調体制の構築を目指してきた。この研究は1990年12月〜2007年1月の東アジア地域統合のプロセスを詳しく調べ、文献・考察・年表という形に纏め上げた。趙宏偉は研究代表として指導、監修等を担当したほか、関連分野の論文及び発表等をも行った。趙ゼミの学部生8人は「現代中国と東アジア研究会」メンバーとして資料の収集、字習と研究、年表の作成を取り組んだ。上記のほか、ロシアで講演とロシア語の論文発表を行った。講演は中ロ印協調体制の始動とその後の紆余曲折について分析を行い、ロシア語論文は中国の外交理念という視点から上海協力機構、中ロ印協調体制、日中日ロ関係について論じた。
著者
津田 敏隆 NARUKULL VenkateswaraRao NARUKULL Venkateswara Rao
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

高度約60-150kmに位置する中間圏・熱圏下部領域(MLT:Mesosphere-Lower Themosphere)は大気流体から電離プラズマに基本特性が遷移する。MLT領域は地球環境の天井部であり、かつ惑星間宇宙との境界で、地球温暖化と太陽活動の影響を同時に受けている。本研究ではレーダー観測をもとに、MLT領域における風速の長期変動特性を研究した。MLT領域の中心高度(80-100km)における風速は、中波帯(MF)レーダーおよび流星レーダーで観測できる。本研究では、1992年よりインドネシアの政府研究機関(LAPAN)と共同で計5台のレーダー観測を継続してきた(ジャカルタ、西スマトラ・コトタバン、パプア・ビアク島の流星レーダー。西カリマンタン・ポンチアナと西ジャワ・パムンプクのMFレーダー)。また、南インドのティルネルベリのMFレーダー、および米国CoRAがハワイ・カウアイ島とララトンガで運用したMFレーダー、さらにオーストラリアのアデレイド大がクリスマス島で行ったMFレーダー観測データも入手した。1992年以降20年にわたる長期観測で蓄積された風速データを解析し、平均風の東西と南北成分の長期変動特性を解析した。東西風には半年周期振動が現れ、それが2-3年毎に極端に増大することが分かった。一方、南北風は規則的な1年周期があるが、その振幅が変動していた。さらに平均南北風に長期的トレンドがあり、かつ観測点による差違が認められた。これが、地球温暖化あるいは太陽活動11年周期の影響である可能性がある。また、短周期(20分~2時間)の大気重力波の強度が半年周期で変動することを明らかにした。一方、赤道域のMLT領域では東西風に半年周期振動が現れている。両者の相関が良い期間(2008-2010年)があり、大気波動を介した大気の力学的結合過程が示唆された。
著者
栃折 泰史 大谷 淳 江畑 勝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.469, pp.1-6, 2010-03-08
参考文献数
2

本論文では,パン・ティルト・カメラから獲得された動画像における各フレームでのカメラの姿勢(回転パラメータ)を推定する手法を提案する.特に,撮像対象シーンに動物体を含む場合への対処法を検討する.まず検出・追跡した2つの特徴点を,カメラの光学中心を中心,焦点距離を半径とした仮想球体上に投影を行い,仮想球体上の特徴点2個と光軸と仮想球の交点が作る三角形の合同を利用して,回転パラメータを推定する.動物体を含む撮像シーンにおいてもロバストに推定するために,特徴点が物理空間上で静止物体・動物体のいずれかに対応しているかの識別を,特徴点2点間の距離がパン・ティルト後も等距離を保つかどうかを判断することにより行う.本論文では提案手法についてシミュレーションと実画像を対象とする実験を行い,その有効性を検証する.
著者
野原 淳 小林 淳二 稲津 明広 八木 邦公 野口 徹
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

高比重リポ蛋白(HDL)コレステロールよりもHDLの組成変化が冠動脈疾患発症に係わる可能性がある.本研究はHDL組成異常としてHDLトリグリセライド(TG)/HDLリン脂質(PL)比の上昇が種々の動脈硬化リスクと有意の相関が見られることを明らかにした. 同比率は特に糖尿病や慢性腎疾患との相関が強くHDL機能低下と関連する可能性がある.本邦ではコレステリルエステル転送蛋白(CETP)欠損症が高頻度であるが,血中CETP蛋白量はHDL-TG/PLと正相関を示し,CETP欠損症ではHDL-TG/PL比は有意に低値であった.
著者
門間 要吉 慶野 征〓 小林 康平
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.81-91, 1991-03-01

(1)本稿はイチゴの養液栽培農家14戸の収益性を実態調査の資料を用いて検討したものである.収益性の高い農家は収穫量が多いのみならず,その多くを市場価格の高い時期に出荷している.逆に収益性の低い農家は収穫量が少いだけでなく,生産費も高く,かつ出荷期は市場価格の低い時期である.(2)イチゴの市場価格は季節別に大幅に変動し,11月末から翌年1月中旬にかけて高く,春に低い.収益性を高める最大の要因は,市場価格の高い時期に収穫量のピークを合わせることである.しかし,11月末から12月に収穫期を合わせるためには,イチゴ苗の花芽分化を8月末から9月に行わなければならない.ところが,この時期は気温が高く,苗の栄養成長の旺盛なときである.したがって,人工的に苗を冷蔵庫に入れ,あるいは根を切断して,花芽分化を促進させることになるが,これが他方,その後の苗の成長に大きく影響し,収穫の時期と量を左右することになる.イチゴ栽培技術の決定的なポイントである.(3)養液栽培は,多額の資本投入によって経営が成立する.したがって,極めて集約的でかつ高収入獲得可能な経営として展開されなければならない.イチゴ養液栽培の経済的安定のためにはまず,増収技術の確立が重要であり,さらに高価格期に大量収穫を実現する技術的対応が欠かせない.そのためには,経営者は,常に養液栽培の基本的理論に立脚した科学的な施設の利用と同時に,イチゴのもつ生理生態上の特性を完全に理解するとともに,この特性を十二分に発現可能な諸施設の整備充実,適確な技術的対応の可能性を確保されなければならない.たとえば,養液調製補給にしても,メーカーの定める基準や手法を尊守して忠実に実践することも重要であろうし,水質・水温もかなり重要な生育安定要因と考えられるので,常に検定を基礎とした調整をおこたらず,生育の充実と促進のための最適条件を確保することが肝要であろう.また,花芽分化促進の技術対応は極めて重要である.その施設の不備などから充分な効果が得られないこともある.現状では農家個々が,思い思いの施設で冷蔵処理が行われているが,これなどは,生産地域における組織化のなかで,最適処理施設を完備して共同利用による処理機能の高度化なども今後の課題である.(4)養液栽培は土耕栽培にはみられない有利な成果が期待される.すなわち,収益性のみでなく,作業管理の側面でも作業の能率化や作業労働強度の軽減に大きな効果を発揮している.したがって,栽培プラントだけではなく,栽培全般の合理化のために必要な諸設備も含めて総合的な施設設備が永続的かつ安定的なイチゴ養液栽培の可能性を保証するものではないだろうか.
著者
宮坂 賢一
出版者
日経BP社
雑誌
日経トップリーダー
巻号頁・発行日
no.326, pp.84-87, 2011-11

「今年5月の事業説明会で、2011年3月期も黒字だったと説明を受けたばかり。あまりに突然のことで驚いた」 運送会社のHOTTA(京都府宇治市)が9月29日に東京地方裁判所へ民事再生法の適用を申請した事実を知ったときの心境を、ある取引先はこう打ち明ける。 東京商工リサーチによると、HOTTAの11年3月期の売上高は38億2900万円、経常利益は5000万円。
著者
山西 輝也 大熊 一正 杉原 一臣
出版者
福井工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は,次世代を担うICT人材を育成するために,ロボカップサッカーの競技部門の一つであるMixed Realityシミュレーションリーグで用いられたマイクロロボットを小・中・高校生向けの教材として利用し,学校間の垣根を越えた協調学習を通じて協働作業の大切さを理解させるような体験授業の考案を目的として実施された。この結果,ロボットシステムの整備とサッカーエージェントの開発が行われ,小学生でもグラフィカル・ユーザ・インターフェースを利用することにより,ロボット動作のプログラムが生成できる環境が整備された。
著者
Tomoya Tsukazaki Osamu Nureki
出版者
日本生物物理学会
雑誌
BIOPHYSICS (ISSN:13492942)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.129-133, 2011 (Released:2011-11-30)
参考文献数
26
被引用文献数
6

Protein transport across membranes is a fundamental and essential cellular activity in all organisms. In bacteria, protein export across the cytoplasmic membrane, driven by dynamic interplays between the protein-conducting SecYEG channel (Sec translocon) and the SecA ATPase, is enhanced by the proton motive force (PMF) and a membrane-integrated Sec component, SecDF. However, the structure and function of SecDF have remained unclear. We solved the first crystal structure of SecDF, consisting of a pseudo-symmetrical 12-helix transmembrane domain and two protruding periplasmic domains. Based on the structural features, we proposed that SecDF functions as a membrane-integrated chaperone, which drives protein movement without using the major energetic currency, ATP, but with remarkable cycles of conformational changes, powered by the proton gradient across the membrane. By a series of biochemical and biophysical approaches, several functionally important residues in the transmembrane region have been identified and our model of the SecDF function has been verified.