著者
百原 新 斎木 健一 奥田 昌明
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.211-216, 2006 (Released:2007-07-27)
参考文献数
18
被引用文献数
7 9

千葉県袖ケ浦市吉野田の更新統下総層群清川層 (MIS7.3) から, ナウマンゾウやシカ, カメ類化石とともに11分類群の大型植物化石が取り上げられた. 大型植物化石群は, サルスベリ属, ハリモミ近似種, ブナ, フジを含み, いずれも印象化石だった. このうち, サルスベリ属はヤクシマサルスベリ近似の化石種に同定された. 吉野田の当時の気候は, シマサルスベリの北限の温量指数102℃月前後の気温条件と推定された.
著者
菊池 慶子
出版者
聖和学園短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

今年度は研究の最終年であったが、これまでの作業に引き続き、本研究に資するための図書の購入、および関連論文、資史料等の収集作業に取り組むとともに、収集した史料の一部について分析・解読を進めた。また、研究の成果を報告書として作成し整理する作業にかかり、報告書には期間中に発表した2本の小論のほか、本研究に関わる研究史を整理して「近世社会のなかの高齢者-研究の現状と課題」と題して収録した。「近世社会のなかの高齢者」はこの3年間に収集した資史料の分析と文献の整理を行いながら、研究史を振り返り問題点と課題をまとめたものであるが、あらためて近世社会の高齢者介護のありかたをみるうえでの視点に気がついた。これまで武家の日記からは、武士が親の看病や看取りにさいして「看病断」の制度を利用して自ら介護にあたる姿を確認していたが、日記は当主の目で当主自身の行為を中心に記録されている。当主の妻や母を始め他の家族員がそのさいどのように動き、役割を持っていたのかという、家族全体の動向を捉えた上で当主である男性の看病介護の中身を位置づける必要があり、これを通じてはじめて近世家族の高齢者介護のありかたの特質がみえてくることになる。また、庶民家族の扶養介護の問題では、個々の家族の経済状況が大きく影響するほかに、地域社会の扶助役割の役割が大きかったが、地域は直接的な介護負担を避けて金銭で負担を解決しようとする動きや、村を越えた広域地域で対応するなどの動向も確認できた。以上の点は期間内に個別論文としてまとめることはできなかったが、準備を進めている段階であり、近いうちに発表したいと考えている。
著者
伊藤 驍 桜田 良治 長谷川 武司
出版者
秋田工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

積雪寒冷地域の凍結・融解災害の地域特性を調査研究するため、平成12年度〜平成13年度に亘って行ってきた事を要約すると次のようになる。(1)先ず初年度は屋外観測用の設備購入を行う傍ら、現地における地温測定作業の測定位置を秋田県建設交通部と協議し、平成13年12月に県道沿いに観測機器を設置し、観測は平成14年2月から開始し、現在も実観測を行っている段階である。(2)道路築造計画中の路床土試料の凍結実験を行うため、凍結・融解実験装置の製作に取り組み現在室内実験を行っている。一方、小型低温環境試験機を購入し、現地から採取した試料の凍結・融解繰り返し試験にも着手した。(3)凍結・融解現象の地域的特性解明のため、全国各地の気象資料の収集を行い、その資料解析を行った。その研究成果については関連学会で発表してきた。その主な内容は以下の通りである。凍結指数は近年減少傾向にある。スペクトル分析によると札幌で11年、横手や湯沢など本州内陸部で9年程度に卓越周期がみられ、厳冬期1,2月の日最低気温の時系列解析によると、札幌、旭川など高緯度帯で温暖化現象が著しかった。最近50年間で札幌で約3℃、秋田で2.5℃、福井で1.5℃前後の上昇があったことをつきとめた。この現象は直接凍結指数の変動にも現れていた。(4)秋田北空港へのバイパス取り付け工事現場から路床土を採取し、その地盤工学的実験を行った。その結果、原試料は火山灰質でこの路床土が凍結・融解現象を起こさず融解軟弱化しない条件は、生石灰4%混入土が最適であることを見いだした。(5)2001年1,2月は各地で凍結災害・豪雪災害が報じられたが、これについて東北地方の凍結指数の分布調査を行ったところ、全般的に凍結指数が大きく、被害を裏付ける結果を得たが、特に沿岸部より山間部で大きかった。(6)凍結指数、凍結深、海抜高度間には一定の法則(対数分布則)があることが見出した。この分布則の係数は土地それぞれで異なり、いわゆる地域係数であることを見い出した。(7)凍結・融解現象のうち地盤破壊に強く関わる温度幅Tmin≦-4℃〜Tmax≧+4℃の出現率は近年低めに推移し、沿岸部では極度に少なく、温暖化現象は積雪寒冷地帯にも着実に忍び寄っていることを検証した。
著者
奥田 誠一 前田 忠信 松澤 康男 稲泉 三丸 福井 糧 菅原 邦生
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

1.環境保全型農業に関する研究:病害虫防除のための新技術開発のため,有用土壌微生物を利用した土壌病害の防除法を検討するとともに,害虫の生息種及び生態について比較研究した.在来家畜の飼養管理技術に関して,卵用の在来種である紹興鴨種畜場を調査した.飼料は専用の配合飼料と川に生えているホテイアオイなどを用い,排泄物は川に流すという粗放的であるが,立地条件を生かした飼養管理を行い,3人で8000羽を管理していた.現状では環境保全型農業に近い方式であるが,多数羽飼育が求められたときの対応は今後の課題である.2.遺伝資源の開発と利用に関する研究:イネの多収技術,高品質化に関わるハイブリツドライスについて,中国では既に作付の約50%がハイブリッド品種で占められており,籾収量で1t/10a以上のかなりの多収が予想される.採種のために,細胞質雄性不稔維持系統を4列,回復系統を1列の5列-1m幅で繰返し栽植され,種子収量は150〜300kg/10a程度であるので1/100〜1/200の採種圃場が必要と推定される.浙江省から安徽省にかけての河川沿いの中山間地〜山間地では,河川敷から緩やかな斜面における水田と山の裾野部の畑にトウモロコシ,大豆,サツマイモが栽培され,トウモロコシの後に麦を入れ3年4作の輸作体系が取られ,農家の自給食糧を持続的に確保し得る生産方式が認められた.その他,ゴマ,ヘチマ,小菊(薬用茶)などの作付もあり,茶は近年の輸出用茶の需要拡大に伴い新植園が多く,きつい斜面でも開墾されていた.
著者
朝倉 文夫
出版者
三重大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

【目的】頚部頚動脈狭窄症が増加しており、その血行再建術として低侵襲な血管内治療である経皮的血管拡張・ステント留置術が増えている。しかし、経皮的血管拡張・ステント留置術において最大の問題点は、押し潰された粥腫片の遠位脳血管への迷入による虚血性合併症(遠位塞栓)である。現在、本邦においては、病変部の遠位に留置したballoonによる血行遮断を行い、手技により生じた粥腫片をカテーテルで吸引回収・洗浄することにより遠位塞栓症を予防する方法が主である。しかし、吸引する血液量、吸引するカテーテルの位置、洗浄量などは術者によりまちまちで、最も効果的な吸引回収・洗浄方法は確立されていない。そこで、シリコンチューブと拍動ポンプを用いて、微粒子を流し、各種条件下(血圧、微粒子径、吸引量など)で、より効果的な粥腫片の回収方法を検討し、新たな遠位塞栓予防器具の開発を目的とした。【方法】シリコン製頚動脈モデルとシリコンチューブで回路を作成し、拍動ポンプで拍動流を生じ、ポリスチレン粒子を流し、実際の治療で用いられているdistal blocking balloonと吸引用カテーテルを用い、各種条件下で吸引回収効率を計測する。【結果】回路を作成し、ポンプの水量(拍出回数と量)および、回路全体にかかる水圧を調節することにより、拍動回数、流量、圧波形はヒトの頚動脈におけるものに極めて近似的な数字が得られた。しかし、ポリスチレン粒子は、シリコンチューブ中で生理食塩水に流すと、表面張力や摩擦抵抗により、均一に拡散して流れることは無かった。界面活性剤などを用い、生理食塩水中で均一に拡散する方法を見出す必要があった。それらに関する実験を行っていたが、当初予定していなかった海外留学へ赴くこととなり、これらの研究は中止せざるを得なくなった。
著者
重藤 寛史 谷脇 考恭 菊池 仁志
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

目的:難治性てんかんの焦点切除術以外の方法として,頸部を冷却することによりてんかん閾値を上げる方法をラットで試みた.方法:1.電位に依存して温度が低下するペルチェ素子を用い,電圧をコントロールして素子の表面温度を計測. 2.ペルチェ素子を用いず直接凍結エチレングリコールを頚部に接触循環させ冷却開始15分後の脳深部温度を計測(6匹).3.刺激・記録電極を設置し,非麻酔下覚醒状態で頚部冷却群と非冷却群でてんかん性放電(afterdischarges:ADs)誘発刺激閾値,ADs持続時間を比較(7匹).4.追加実験として冷却による皮質イオン分布に着目し,両側海馬周囲皮質外側硬膜下に5mm×5mmの銅板設置.非麻酔覚醒下で左海馬周囲皮質に2mA,3秒の陰性,続いて1mA,6秒の陽性直流電流を通電.陰極刺激時と非刺激時で海馬内電極によるADs誘発刺激閾値を計測(10試行).結果:1.冷却面と反対側の放熱面の温度上昇がペルチェ素子全体の温度を招き冷却効果を得られなかった. 2.非冷却側30.3±0.7℃,冷却側29.0±0.7℃で有意差を認めなかったものの冷却側で1℃の温度低下が観察できた.3.ADs誘発刺激閾値は冷却群2.0±0.7mA,非冷却群1.9±0.4mA. ADs持続時間は冷却群10.3±6.3秒、非冷却群9.2±3.7秒で有意差を認めなかった. 4.計10対記録.直流下3.7±2.7mA,非直流下2.3±1.2mAで,直流下で誘発閾値が有意に高かった.(P=0.0149)結論・考察:頚部冷却で15〜20度の脳温低下を得ることは困難であった.冷凍エチレングリコールで頚部冷却しても誘発4閾値に有意差は得られなかった.追加として行った直流電流を皮質に面分布させた電極に流すとてんかん性後放電の誘発閾値が上昇した.今後はこの方法が非侵襲的な難治性てんかんの治療方開発の礎になると期待している.
著者
高橋 徳幸 藤井 雅治 有井 清益 吉野 勝美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.2, 1997-03-06

電解重合法を用いて導電性高分子を重合した時, 重合条件によって導電性高分子がフラクタル成長をする。このフラクタル成長は制御可能で, かつ2つの枝分かれ導電性高分子は接続もできることを見出した。多くの枝分かれ導電性高分子を接続し, ネットワークも作製可能であること, さらにパスに重みを付けることが可能であることも見出し, ニューロン型導電性高分子のデバイスを提唱した。パスの導電率を第3電極を用いてを制御してきたが, 流れる電流パルスに依存した導電率をパスの重みにすることがデバイス実現には必要である。今回パルス信号をネットワーク間に流すとともに第3電極にも印加するようにしてパスに学習効果を持たせることができたので報告する。
著者
薩本 弥生
出版者
文化女子大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

高温多湿の寝床環境においてタオルケットの透湿と皮膚との接触の度合いが寝心地に与える効果1.実験の目的日本の夏の高温多湿の環境では人体から放散された水蒸気をいかに速やかに環境に移動させるかが寝心地の鍵になると考えられる。熱帯夜にタオルケットを掛けて眠った場合、タオルケットが皮膚にまとわりついてしばしば寝苦しく不快に感じることがある。汗でタオルケットが湿り腰がなくなり皮膚との隙間が少なくなり寝床内の空気の流通が阻害されるためと思われる。また、人体からの水蒸気の移動には布の透湿する経路も重要である。透湿は布の両側の水蒸気圧差が原動力となるが高温多湿では環境側の水蒸気圧も高く結果的に発汗した皮膚面との水蒸気圧差が小さくなるのでは透湿は起きにくい。それでも完全に透湿性が無いのと比べれば布を通しての水蒸気移動は無視できないと予想される。そこで人工気候室で高温(28℃)で高低2種類の湿度(50%RHおよび70%RH)の環境を再現して被験者5名により実験を行いタオルケットの透湿性の有無が寝床環境の寝心地にどのように影響するか検討した。熱帯夜の不快感に対する対策として、糊付けし腰を持たせたタオルケットを用いることが考えられる。糊付けすると普通のタオルケットよりも皮膚との接触を減らせるので空気の流通路ができると予想される。そこで温度28℃、湿度75%RHの高温多湿環境で実験を行いタオルケットの腰による寝床内の空気流通の度合いが寝床環境の寝心地にどのように影響するか検討した。2.実験結果透湿性および環境の湿度の寝心地への効果を検討した結果、環境の湿度にかかわらず透湿性が無いことによる寝心地の悪化は非常に大きいことが被験者の申告および放熱量、寝床内温湿度より確かめられた。また、糊付けすることによりタオルケットの皮膚との接触を減らすことが寝心地にどの程度影響するか検討した。通常、糊付けすることは浴衣やシ-ツの例のように夏の高温多湿の環境で涼しさを得るために効果的と考えられているが本実験の実験条件では寝心地悪化を緩和することに効果がないことがわかった。以上の内容は生理人類学会第33回大会(1994年11月5,6日)で発表し「第33回大会の発表奨励賞」をいただいた。
著者
安河内 朗
出版者
九州芸術工科大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1998

本研究は、日韓の民族服である和服と韓服(チョマチョゴリ)を両国の被験者それぞれに着衣させ、高温曝露中の生理的、心理的諸反応を比較することによって衣文化にともなう耐暑反応の違いを検討することを目的とした。被験者は、日本と韓国の健康な女子大学生各々6名で、身長、体重、体表面積、皮下脂肪厚にみられる身体的特徴はほぼ同じであった。使用した和服は浴衣、帯、下駄など、韓服はチョマ、チョゴリ、靴などで構成され、それぞれの全重量は1,232g,1,151gであった。また生地は和服が綿、韓服が絹であった。被験者は同国の2名ずつが1組となって和服か韓服のいずれかを着用し、前室26℃(RH50%)で30分安静後、35℃(RH50%)の高温環境へ立位に近い椅座位で90分間曝露された。測定項目は、直腸温、皮膚温(7点)、発汗率、心拍数、及び温冷感、快適感の主観評価であった。発汗率が和服では日韓両被験者でほぼ等しかったが、韓服においては日本人被験者の方が韓国人被験者よりも大きかった。平均皮膚温の上昇度は、和服で日本人被験者がより大きく、韓服では逆に韓国人被験者がやや大きい値を示した。直腸温の上昇度は、和服で日韓両被験者はほぼ等しく、韓服において韓国人被験者の方が小さかった。韓服では日本人被験者はより大きな発汗率を示したにもかかわらず直腸温の上昇度は大きくなることが示された。
著者
都甲 潔
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.34-38, 2006-01-10 (Released:2007-07-07)
参考文献数
12
被引用文献数
6 3

A taste sensor is composed of several kinds of lipid/polymer membranes for transforming information of taste substances into electric signal. The sensor output shows different patterns for chemical substances which have different taste qualities such as saltiness and sourness. Taste interactions such as suppression effect, which occurs between bitterness and sweetness, can be detected and quantified using the taste sensor. The taste and also smell of foodstuffs such as beer, coffee, tea, mineral water, soup and milk can be discussed quantitatively. The taste sensor provides the objective scale for the human sensory expression. We are now standing at the beginning of a new age of communication using digitized taste.
著者
南出 隆久 長谷川 明子 畑 明美
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.271-276, 1994-11-20

抹茶を添加した豆腐を作り、その性状及び成分について調べるとともに、加熱による性状の変化についても検討した。1.豆腐の水分含有率は、抹茶の添加に伴い減少した。また、離水率は抹茶の添加により増大し、1.0%添加の場合に顕著であった。2.抹茶の添加量が増加するほどL^*値は低く、C_<ab^>*値は高い値となった。H_<ab^>^○値は1.0%の方が0.5%のものに比較して若干低い値となった。3.破断過重、破断歪は抹茶1.0%添加の豆腐で顕著に小さくなり、もろく柔らかくなった。4.抹茶の添加により鉄、マグネシウム、カルシウム、カリウムのいずれの成分も増加した。5.豆腐を加熱すると、経時的に色は悪くなるが抹茶添加量が多いほどその傾向が顕著であった。また、破断荷重、破断歪は経時的に増大した。
著者
中北 英一
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

ゲリラ豪雨を予測するために、レーダーで見えない赤ちゃん雲、ひいては卵の状態がどのようであったかを解析し、さらに豪雨発生の状態から元の卵の状態まで時間的に逆推定することで、何を新たに観測すれば予測が可能となるかを明らかにし、降雨予測手法の発展へと結びつけることを研究目的としている。平成22年度には、2010年7月より試験運用を開始した国土交通省のXバンドMPレーダネットワークを用いて以下の成果を得た。1)近畿地方で発生した22事例の積乱雲を対象にレーダー反射強度の3次元画像解析を行った結果、全ての事例において大気上空3-5km高度でその卵の発生を確認することができた。22事例を平均すると約3分ほど地上降水に先行して大気上空で卵が発生しており、レーダーによる3次元観測が極めて重要であることを示した。2)降水セルの3次元追跡手法を開発し、22事例中14事例(6割強)においては自動追跡が可能となった。3次元降水セル自動追跡結果から、エコートップ高度・降水セルの重心高度・降水セルの体積などの時間変化を解析できるようになり、将来的に豪雨をもたらす積乱雲の特徴付けとなりうる指標を作成した。3)発達する卵かどうかに関連して、ドップラー風速と発生高度に着目して解析した結果、積乱雲へと発生した事例においては、ドップラー風速に収束場や渦位を確認することができた。また、卵の発生高度に関して、偏波間相関係数を用いて融解層高度との関係性を調べたようとしたが、対流性雲では融解層高度の特定が困難であった。以上、3次元偏波レーダーデータを用いて、大気上空での卵の発生をとらえ、さらに自動追跡する手法を開発し、発達する事例においてはドップラー風速との関連陸を明らかにした。今後は解析事例を増やし、他の偏波レーダーパラメータやGPSによる水蒸気量などと卵の発達具合について解析を進めていく。