著者
荒牧 まいえ 人見 重美
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.11, pp.2843-2848, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
11

針刺し防止対策には,標準予防策の徹底,安全機材の活用,適切な廃棄システムの確立などが有効である.針刺しが起こった場合に速やかに対応できるよう,各施設でマニュアルを作成し,全職員に周知しておく必要がある.曝露者に特別な背景(妊娠,B型肝炎,腎障害など)がある場合や,薬剤耐性HIVの曝露を疑う場合は,予防内服用の抗ウイルス薬を注意して選択する必要がある.
著者
菅野 浩子 薦田 恭男 野坂 修一
出版者
Japan Society of Pain Clinicians
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.105-107, 1996-04-25 (Released:2009-12-21)
参考文献数
7

内服薬物療法が無効であったメニエール病患者に, 星状神経節ブロック療法を施行した. 初診時より内服は中止し, 1%メピバカイン5mlによる星状神経節ブロックを週2~3回開始した. 10回目終了時よりめまい発作と耳閉感が消失し, 右耳鳴のみとなった. 16回目終了時に右耳鳴も消失し, 20回目終了時より自覚的に聴力の左右差は消失した. ここでオージオグラムを施行したところ, 星状神経節ブロック療法開始時にみられた感音性難聴が改善されていた. 21回目終了したところで, 星状神経節ブロック療法は終了とした. その後, 妊娠を契機にメニエール病が再発したが, その時点では治療せず, 出産を待って星状神経節ブロックを施行した. 13回目のブロック終了時にはオージオグラム改善, 15回目終了時には左耳鳴を残すのみとなり, めまい発作は消失した. 妊娠による循環血液量の増加がメニエール病の再発につながったと考えられる. また, メピバカインは胎盤通過性は高いが, 組織への分配係数が非常に小さく, 胎児組織に取り込まれにくい. このため, 妊娠中であっても, 必要であれば星状神経節ブロック療法を試みてもよいと考えた.
著者
柴田 圭子 渡邉 容子 今村 美穂 小幡 明雄 安原 安代
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.301-307, 2015 (Released:2015-09-05)
参考文献数
32

本研究の目的は,魚の漬け焼き―醤油を用いて調味した焼き魚の1種―において,その調理特性や食味におよぼす醤油の影響を評価することである。メカジキを異なる配合割合の醤油や食塩濃度の調味液に浸し,250℃オーブンで加熱した。 基準配合のNaCl 5.2%(w/w)調味液の場合,加熱歩留りには醤油配合割合の影響が見られなかった。しかし,醤油配合割合が25%以下の場合,加熱魚肉の嗜好性は低下した。 0.5時間の浸漬において,生臭みは標準と醤油無添加の調味液のみに有意差がみられ,このことは醤油配合調味液の短時間の浸漬の有用性を示した。調味液の食塩濃度が2.6%(w/w)以下の場合には,加熱魚肉の嗜好性が低下した。更に,漬け焼きとして好まれるには,調味液の食塩濃度が少なくとも3.9%(w/w)であることが認められた。
著者
澤田 可洋
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.111, no.3, pp.374-394, 2002-06-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
44
被引用文献数
8 7

The detection rate of eruption cloud with Geostationary Meteorological Satellite (GMS ; HIMAWARI in Japanese) is 12.1%, but GMS can detect and track, at a high rate of 81.5%, eruption cloud from a large explosive eruption higher than 10 km which may threaten aviation safety.Estimates of the top altitude of eruption clouds within the tropopause based on cloud-top temperature show fairly high values compared to those obtained by ground observations. Growth of vapor clouds over eruption clouds induced by strong ascending currents with eruption-onset may be the reason.Apparent dislocation of eruption clouds on GMS images due to the parallax of GMS is clarified for the case of the 1986 Izu-Oshima Eruption, Japan, and the underestimation of cloud-top is possibly due to warming of the cloud-surface by radiation from internal hot material.From inspections of the pattern of cloud-extent, type, strength, decay, and duration of eruption activity can be evaluated.Differential Thermal Infrared Imagery of GMS-5 is very effective for discriminating ashbearing cloud from ambient atmospheric cloud, but cannot clearly separate an eruption cloud with an extremely high content of water-vapor with phreatic/phreatomagmatic eruption.
著者
山本 薫
出版者
日本中東学会
雑誌
日本中東学会年報 (ISSN:09137858)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.111-138, 2001-03-31 (Released:2018-03-30)

This paper aims at tracing images of pre-Islamic brigand-poets called Sa'alik, as reflected in their akhbar-traditions or stories accompanied by poetic texts, which tell the life of poets and the situation in which their poetry was composed. In chapter I, after reviewing previous studies on Sa'alik literature, I will reaffirm the significance of further investigation of pre-Islamic Sa'alik for developing total understanding of the picaresque tradition in Arabic literary heritage. In chapter II, I will examine the nature of akhbar, concluding that they should be regarded not as incomplete/unreliable historical biographies, but as narratives which were formed through interpenetration with the poetic texts, interweaving facts with fictions within them. Then I will argue that those images of Sa'alik, as reflected in akhbar, indicate three different types according to their attitudes toward the tribal society: "anti-tribal", "cross-frontier", and "quasi-tribal". The "anti-tribal" type is represented by al-Shanfara who is the true vendettist to his own tribe; the "cross-frontier" type is represented by al-Sulayk bn al-Sulaka and Ta'abbata Sharran, whose arbitrary and also ambiguous character shows an interesting similarity to the mythological trickster; and the "quasi-tribal" type is represented by 'Urwa bn al-Ward, whose image of social bandit is unique among pre-Islamic Sa'alik in spite of his fame as "the father of Sa'alik". Despite these variations, they have "off-tribal" characters in common, being perceived as strangers both in their behavior and their existence, who depart from the society and disturb its public order.
著者
北見 辰男
出版者
JAPAN MACRO-ENGINEERS SOCIETY
雑誌
MACRO REVIEW (ISSN:09150560)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.31-36, 1997 (Released:2010-02-05)

JAMES長江研究グループは1995年9月7日 宜昌にある水利部長江水利委員会、三峡工程代表局を訪問し、謝修発副局長、付継濤総工程師、王克明総工程師より三峡ダムと葛洲ダムの概要について説明をうけた。宜昌の三峡工程代表局は三峡プロジェクトの建設工事を担当している部門で、もともとは葛洲ダム建設のため代表部として編成されたが、葛洲ダム完成後、1991年に代表局に昇格し、現在に至っている。ここで聴取した概要を以下に記す。
著者
春田 純一
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
MEDCHEM NEWS (ISSN:24328618)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.128-131, 2015-08-01 (Released:2018-11-01)
参考文献数
11
被引用文献数
2

JTオリジナル新薬、抗HIV薬elvitegravirと抗腫瘍薬trametinibの開発ストーリーをエピソードを交えながら紹介する。創薬には化学、生物、医学、物理(分析機器の発展)等の最先端のサイエンスが必須であることは論を待たない。創薬には時間がかかり、数々の困難に出会い、それらを解決して次へと進め、そしてほんの一握りのプロジェクトが成功する。そんな長くて遠い創薬の道を乗り切るには理論だけではどうにもならない時がある。その時、理論以外の「何か」が必要である。それを浮き彫りにしたい。
著者
伊藤 浩三
出版者
The Society of Fiber Science and Technology, Japan
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.P50-P55, 1993-02-10 (Released:2008-11-28)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1
著者
永澤 護
出版者
心の諸問題考究会
雑誌
心の諸問題論叢 (ISSN:13496905)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-16, 2007 (Released:2007-12-24)
参考文献数
7
被引用文献数
6

本論は、グローバル資本主義下における<協働>の構成をテーマとする。本論では、この<協働>の構成は、相互的で対等なコミュニケーションを試みる実践として論じられる。また、この<協働>の実践は、個々人が他者との間で、生活の工夫や技を伝え合うこととして論じられる。この<協働>の構成は、<帝国>と呼ばれるネットワーク的権力のもとでのコミュニティーワークの構築という課題である。 I では、ネグリ/ハートの記述する「<帝国>」と<協働>の実践との関係を論じる。本論では、<帝国>を、個々人の生存を無際限に階層序列化する装置としてとらえる。ここで、「個々人が他者との間で、生活の工夫や技を伝え合うこと」という実践の狙いは、<帝国>の機能によって消されていた個の力を引き出すことである。 II では、<協働>が「顔」をキーワードにして論じられる。<協働>の過程は、他者の呼びかけへと応答する相互的な過程である。本論では、<転移>に関する洞察を視野に入れながら、この<協働>の構成過程が論じられる。 III では、<協働>の構成に向けた実践事例を論じる。結論として、<協働>の構成は、他者との出会いにおける私自身の<決意>の経験において現実化することが示される。
著者
松本 義久
出版者
公益社団法人 日本医学物理学会
雑誌
医学物理 (ISSN:13455354)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.57-64, 2014 (Released:2015-03-06)
参考文献数
15

DNA double-strand break (DSB) is considered most deleterious among radiation-induced DNA damages and most relevant to the biological effects of radiation. In eukaryotic cells, DSB is repaired mainly through two pathways: non-homologous end-joining (NHEJ) and homologous recombination (HR). These repair pathways seem to play complementary roles. NHEJ is considered less accurate than HR, but HR is available only in late S and G2 phases in vertebrates. Recent studies elucidated how cells choose one from these two pathways depending on the circumstance: cell cycle phase, complexity of DNA damage and chromatin structure.
著者
前田 知己
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.141-146, 2020 (Released:2020-06-30)
参考文献数
36

脳性麻痺の早期介入・支援に向けて, 早期診断の重要性が増している. 乳児期早期に行える脳性麻痺の予測に有用な神経学的評価の文献をレビューすると, general movements (GMs) 評価が最も多く報告されている. 本稿では, 月齢3〜4までの新生児期・乳児期早期に実施できる発達評価法について紹介し, GMs評価法について詳述する. 脳性麻痺の予測には予定日から3〜4か月時のfidgety運動の欠如が最も重要な所見である. GMsに関する知識は小児神経医にとって重要であるが, 本邦ではGMsの評価者が少なく評価能力の研修, 維持が困難なことが普及への課題である.
著者
大城 直樹 荒山 正彦
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2009年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.250, 2009 (Released:2009-06-22)

本シンポジウムの目的は、「郷土」という表象が、いかにして近代の日本において受容ないしは導入され、国民の地理的想像力の中で確固とした実在物として自明化されていったのか、そもそも「郷土」なる概念ないしは着想はどこに由来するものなのか、さらに「郷土」表象をめぐる実践が、どのようなかたちで展開していったのか、これらの事項について検討することにある。 藩政村レベルの共同体とその生活空間を越えて、行政村レベルで共同体意識をもたせるために導入されたこの表象は、元来、19世紀に概念化されたものであり、日本に導入されて100年経った現在、その自明化および身体化を含めて批判的に再検討されるべきである。初等・中等教育における地理のプレゼンスの問題とも直結する肝要な表象=概念を、無反省に使い続けることは、比喩的に言えば、制度疲労による欠陥を見落としてしまうことにつながりかねない。自明化された「郷土」表象の相対化とその歴史的・政治的文脈の洗い出しを行うことが必要である。特定の空間的範域への情動と表象の質の再検討を旨とする本シンポジウムの意義は、特にその批判性にあるといえる。自明視されすぎてしまった「地理」的現実の近代的仕組みを、もう一度その初発の構築プロセスから問い直し、なぜ今なおそれが有効に機能しているのか、そのからくりを解き明かしてみたい。表には出ずとも、あるいは逆にそうであるからこそ、地理的表象とそれに連動する実践は、アンリ・ルフェーブルのいう「空間的実践」と同様、近代性そのもののなかに深く介在しているといえるからである。 周知のように、この「郷土」なる概念ないしは観念が、日露戦争後の農村部の疲弊に対して内務省が主導した地方改良運動と連動したものであるならば、内務省の行政資料に分け入って、その制度的導入・普及の様相を突き止める必要も出て来よう。無論,「郷土」なる表象に当該するものが、前近代になかったかどうかの検証も行う必要があるだろう。 1930年代の文部省主導による郷土教育運動については、なお一層の検討が必要である。小田内通敏のような在野かつ半官の研究者,文検などの教育をめぐる資格制度とそれを取り巻く出版社や大学教員の関係性などに関する研究も、広く郷土研究を再考しようとする場合には必要となる。と同時に,同時代の民芸運動、民俗学、民具研究といったルーラルなものを対象とする知の体系の成立および展開にも着目する必要がある。 郷土教育運動と民俗学・民藝運動・民具研究といった、等しく「郷土」ないしはルーラルなものに関わる知的運動体の活動を問う際にネクサスとなるのは「表象の物象化」の問題である。郷土教育運動は、いうまでもなく文部省主導で1930年代に行われたものであるが、郷土教育自体は無論それ以前からある。郷土教育の中でいかに「郷土なるもの」が表象され、学校教育の中で教え込まれていったかを、より多くの事例から検討していく必要があるだろう。日本人の郷土表象の根幹がここにあるからである。また、これと同時期に柳田國男によって創始された日本民俗学、柳宗悦らの民藝運動、澁澤敬三のアチックミュゼアムを中心に行われた民具研究、これらの知の運動体は多くの言説を生産していったが、まさにその言説の生産行為自体が「郷土なるもの」を実体化せしめ、それを研究者や読者にとって自明なものとして刷り込み、さらにそういうものとして再生産していくことになった。本来、概念ないしは着想に過ぎなかった「郷土」が表象であることを越えて実在物であるかのように物象化していくのは、まさにこのプロセスにおいてである。 だが、これまでのこの知の運動体に関する諸研究では、この「郷土なるもの」を実体として前提しすぎていた。柳田が言ったのとは異なる文脈ではあるが、「郷土を郷土たらしめるもの」、その諸契機に留意する必要があるし、それを突き止めることがおおきな課題となるだろう。 【参考文献】:荒山正彦・大城直樹編(1998):『空間から場所へ』,古今書院,「郷土」研究会編(2003):『郷土―表象と実践―』,嵯峨野書院、2003年,
著者
園田 亜斗夢 鳥海 不二夫
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第31回全国大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.2H11in1, 2017 (Released:2018-07-30)

本研究では、ゲームの勝敗がプレイヤー同士の情報交換に依存する「コミュニケーションゲーム」である「人狼ゲーム」を研究対象とする。人狼ゲームでは,会話を通して,他のプレーヤーと協力したり,騙したりしながら自らの勝利条件の達成を目指す。そこで、信頼と説得に特化したゲームとしての人狼ゲームに注目し,ゲームプレイの中で短期的な信頼がどのように確立していくのかを明らかにする.
著者
桂 敏夫
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.293-299, 1995-09-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
10
被引用文献数
1 2

腹痛に対しては普通, 芍薬甘草湯 (以下芍甘湯とする) が用いられるが, 甘草湯もこれに劣らず有用である。外来で日頃遭遇する腹痛の中では, 急性の感冒やこれに伴う胃腸炎による一過性のものが多いが, 1年間子供を主とする130例に対してこの両者を内服と口に含むだけの2通りの方法で止痛までの時間を測定した。この2薬方と2方法の4通りのいずれにもほとんど差がなく, 大部分のものは数分から10分以内で腹痛が消失した。
著者
道信 良子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.202-209, 2017 (Released:2019-12-20)
参考文献数
11

本稿では,島の子どもの遊びと伝統の祭りを素材に,子どものウェルビーイングについて考えていく。「いのちの景観」という概念を使って,子どものいのちに活力を与えるものは何かということの具体を,土地と文化という2つの局面から明らかにする。本稿で取り上げる事例は,ヘルス・エスノグラフィという方法論を用いて,2011年から2016年までの6年間,北海道の離島において断続的に実施した調査の資料にもとづいている。調査の結果,島の子どもたちは豊かな自然を遊び場にしていることがわかった。島の自然や生物とのふれあいをとおして子どもたちの人間関係が育まれ,自然が緩衝材となって子どもたちを結びつけていた。島の祭りでは,舞を観て,神輿行列に参加し,集落を踊り歩く子どもの行為が,土地に伝統をつないでいた。子どもにとって祭りは,土地を知り,地域を知る,身体の経験としてある。本研究は,子どもが土地や文化とつながり,生活感覚を豊かにすることの大切さを示している。
著者
三星 知 山田 仁志 山崎 修治 小林 真理子 上野 和行 長井 一彦
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.140, no.7, pp.943-947, 2020-07-01 (Released:2020-07-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1

Concomitant therapy with acetaminophen (APAP) and low-dose aspirin is often used in clinical settings; however, it is unclear whether this combination is involved in the progression of chronic kidney disease (CKD). We hypothesized that concomitant therapy with APAP and low-dose aspirin may cause CKD progression. We carried out a retrospective 6-year cohort study that included all patients who received low-dose aspirin from January 2011 to December 2016 at Kaetsu Hospital. Primary outcome was defined as CKD progression at the end of the study compared with baseline. Among the 441 patients treated during the study period, we identified 89 cases of CKD progression. Multivariate regression analysis showed that exposure to APAP>50 g [odds ratio (OR), 2.68, 95% confidence interval (CI), 1.08-6.70], age increase by 1 year (OR, 1.05, 95% CI, 1.02-1.08), and diabetes mellitus (OR, 2.40, 95% CI, 1.41-4.08) had positive associations with CKD progression. Our findings suggested that concomitant therapy with APAP and low-dose aspirin increased the risk of CKD progression. Therefore, we recommend more thorough monitoring of serum creatinine when patients are on such concomitant therapy. Moreover, it is important to advise users of low-dose aspirin to avoid unnecessary use of APAP, in order to reduce the risk of CKD progression.
著者
仲川 晃生 井上 康宏 越智 直 田谷 有紀 植松 芳彦
出版者
関東東山病害虫研究会
雑誌
関東東山病害虫研究会報 (ISSN:13471899)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.61, pp.31-34, 2014-12-01 (Released:2015-12-25)
参考文献数
5

農薬に頼らない防除技術の開発を目的に,納豆のジャガイモそうか病に対する種いも伝染防除効果について調べた。納豆調製液は,2010年春作では300g の市販納豆粒を2L の水に入れて撹拌した懸濁液 (300g/2L 区) を用い,2010年秋作以降の試験で300g および450g の市販納豆を摩砕して5L に加水した摩砕液 (300g/5L区および450g/5L区) を用いた。これらの調製液に種いもを瞬間浸漬後,予めクロルピクリンくん蒸剤で土壌消毒を行った圃場に植え付け,消毒効果を調べた。この結果,発病度から見た防除価は,対照薬剤 (ストレプトマイシン・オキシテトラサイクリン水和剤,40倍希釈) 区で36.1~90.2を示すなかで,300g/2L理区で47.3~47.6,300g/5L 処理区で19.6 ~ 79.6および450g/ 5L 処理区で35.3 ~ 92.1の値を示した。また,発病塊茎率か ら見た防除価も同様な結果を示すなど,納豆調製液は何れの濃度とも対照薬剤に比べて劣るものの,無処理区に比べて高い防除価を示した。
著者
松岡 大祐 荒木 文明
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
JAMSTEC Report of Research and Development (ISSN:18801153)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.35-63, 2011 (Released:2011-11-30)
参考文献数
182
被引用文献数
2

シミュレーションデータや観測データを画像に変換する科学的可視化は,データに含まれる科学的な特徴や意味を直感的に理解するための効率的な手法の一つである.本論文では,可視化パイプラインにおけるプロセスの効率化,時系列データ可視化,遠隔可視化,および最先端の環境を用いた大規模データの可視化研究について調査を行い,報告する.大規模シミュレーションによって生成される大量のデータの可視化処理には膨大な時間がかかり,一台の計算機で行うのは容易ではない.そのようなデータを効率的に可視化するための典型的な手法として,可視化パイプライン中のプロセスの並列化およびデータ構造の最適化が用いられている.また,時系列データの可視化においては,データI/O処理がステップ毎に生じる.そのため,時系列データ可視化のための効率的なデータI/O手法として,プリフェッチングや並列I/O,およびパイプライン並列処理が開発されている.特に,パイプライン並列処理は,I/Oのボトルネックを除去し,高フレームレイトを実現するための手法として広く用いられている.ネットワーク環境を用いた遠隔可視化は,遠隔環境にある使用可能な計算資源を利用するための手法である.とりわけ,地理的に分散した複数のデータを取り扱うために,遠隔可視化の一形態である分散可視化が提案されている.同じく遠隔可視化の一手法である協調的可視化は,様々なレベルの可視化プロセスにおいて複数の解析者が参加できるものである.最後に,最先端の環境を用いた可視化について述べる.より大規模なデータをより高速に可視化するためには,スーパーコンピュータおよびマルチGPUシステムの利用は有効な手法である.また,大規模シミュレーションの結果をより直感的に理解するための,高度なインタラクティブ性を持つバーチャルリアリティシステムを用いた可視化についても報告する.