著者
原 真志
出版者
香川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

平成13年度の成果を受けて、平成14年度においては次の調査を行った。1)平成13年度に実施したリズム&ヒューズ社における映画「スクービー・ドゥ」のVFXプロジェクトでのコミュニケーション調査で得られたデータの分析を進めた。その結果、コミュニケーション手段間の関係、手段と知識創造(コミュニケーションのパフォーマンス)の関係等が明らかとなった。この定量的分析結果を踏まえて、さらにヒアリング調査による定性的検討を行った。それらの照合により、VFXプロジェクトは、従来のゲートキーパー説、ゲートキーパー&トランスフォーマー説では説明が不十分であり、スーパーバイズ・ラインとマネジメント・ラインという二つのラインの分業と階層構造からなる協働リーダーシップ・モデルが提示された。2)平成13年度に行った参加観察による一人のVFXスーパーバイザー(ケブン・トッド・ハウグ氏)の一週間のコミュニケーション行動の分析を受けて二つの調査を行った。第1に、14人のVFXスーパーバイザーに対するヒアリング調査を実施し、VFXスーパーバイザーの機能とコミュニケーションに関する一般化を試みた。その結果、プロジェクト・デザインにおける参加企業の立地決定要因が明らかにされるとともに、フリーランスと企業所属のVFXスーパーバイザー間の相違、対象メディアによる相違(映画、CM、音楽ビデオ)等が明らかになった。第2に、時間軸的な分析の拡張のため、ケブン・トッド・ハウグ氏に映画以前のキャリア・パス、作品毎のネットワークの進化について詳細なヒアリングを行った。その結果、同氏のネットワークの進化論的グルーピングがなされるとともに、ターニング・ポイントとなったプロジェクト並びに人物が存在し、マドンナのミュージックビデオの仕事でその後のキーパーソンとの出会いがあったこと、プロデューサーのシオン女史、デビッド・フィンチャー監督とのつながりがその後の仕事や人の拡大に関係していること、今はない某社が現在活躍している多くの入物とのネットワーキングの場として機能し、インキュベータ的役割を果たしたこと等が明らかになった。
著者
鼓 みどり
出版者
富山大学
雑誌
富山大学教育学部紀要 (ISSN:1344641X)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.241-251, 2004-02-27

Who has the privilege to gaze? Who are subject for gaze? These questions are repeated not only in art history but also in visual culture studies. The visual power is strong in photographs and moving images where female bodies are exposure to Camera and male gaze. This paper analyzes a few video clips of Madonna to observe who rule its visual power first. Then it looks into a setting of peep show in Madonna's clip "Open Your Heart" in 1986 and Peter Weir film "Truman Show" in 1998 to reveal how Peeped gained power to watch. Finally it presents webcams, a broadcasting one's private life via internet. It looks similar to peep show or Truman Show, however this is a new type of expression since gazed cam girls / boys produce and distribute their image from their web site. We shall put these questions on gaze to webcams to see the possibility for new communication.
著者
背山 洋右 SALEN GERALD SHEFER SARAH BJOERKHEM IN 笠間 健嗣 久保田 俊一郎 穂下 剛彦 米本 恭三 BIOERKHEM Ingemar KASAMA Takeshi EGGERTSEN Go BJORKHEM Ing TINT Stephen SHEFER Sarah SALEN Gerald 永田 和哉 清水 孝雄 BUCHMAN Mari
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

脳腱黄色腫(CTX)は先天性脂質代謝異常症で,コレステロールから胆汁酸に至る経路の酵素が障害されて,小脳やアキレス腱における黄色腫,小脳症状,白内障などの症状があらわれる。1937年にvan Bogaert等により報告されたのに始まるが,我が国では1969年の柴崎の報告が第1例である。この疾患の成因と遺伝子における異常を明らかにすることを目的として,1)患者から得られた線維芽細胞について欠損酵素である27位水酵化酵素をコードする遺伝子の解析と,2)疾患モデル動物の作製実験を行った。1.CTXにおける遺伝子異常の解析:スウエーデンのカロリンスカ研究所のBjoerkhemとの共同研究で,日本側からは米本恭三(慈恵医大),穂下剛彦(広島大・医)と久田俊一郎(東大・医)が関わった。CTX患者の線維芽細胞を培養して,RNAを精製し,ステロール27位水酸化酵素の活性に関与するアドレノドキシン結合部位とヘム補酵素結合領域を対象に,RT-PCR法により増幅した。得られた産物をシークエンスして,Russellにより報告されたcDNAの塩基配列と比較した。鹿児島大学で見つかった5人の患者について塩基配列の解析を行ったところ,何れもヘム補酵素結合領域である441番目のアルギニンをコードするコドンに異常があることが明らかになった。1人の患者では更に445番目のアミノ酸をコードする部位に1塩基の欠失が認められた。このうち,アルギニンがグリタミンに置換されている患者では制限酵素Stu Iによる切断部位が新たに生ずるので,RT-PCR産物について切断パターンから診断が可能になった。また,アルギニンがトリプトファンに置換された患者ではHpa IIによる切断部位が無くなるので,遺伝子診断が可能であることがわかった。家系によって遺伝子異常が異なっていたことは,それぞれの家系について予備実験が必要なことを意味しており,今後のスクリーニングの実施に当たってはこの点の配慮が必要となった。2.CTX疾患モデル動物の作製:アメリカのニュージャージ医科歯科大学教授のSalenおよびSheferとの共同研究であり,日本側では笠間健嗣(東京医科歯科大・医)が携わってきた。CTX患者では血清中のコレスタノール(ジヒドロコレステロール)濃度が上昇する高コレスタノール血症が見られる。マウスに高コレスタノール食を投与すると,CTX患者に準じた高コレスタノール血症がもたらされ,それに伴って角膜変性症などが引き起こされることを既に観察してきた。今年度は胆石形成が見られる現象に着目し,生化学的検討を行った。1%コレスタノール食をBalb/cマウスに14か月にわたって投与したところ,20%の頻度で胆石形成が見られ,同時に胆嚢の壁の肥厚,血管拡張などの炎症症状を呈していた。この胆石を分析したところ,コレスタノールが55%,コレスタノールが45%であり,この組成は胆嚢胆汁中の両者の組成と一致していた。一方,コレスタノール食を投与したマウスの胆汁から結晶が析出し,この結晶を走査電顕を用いて観察したところ,その形はコレステロールの結晶とは異なる正方形の滑らかな表面をもっていることがわかった。肝臓のHMG-CoAレダクターゼおよび7α-ヒドロキシラーゼを測定したところ,前者は51%上昇した反面,後者は59%低下していた。また,1%コレスタノール食を13か月間与えた後,1か月間標準食に戻したところ,上昇した血清と肝臓のコレスタノール値は低下し,この両酵素活性は正常値に戻った。これらの結果は,コレスタノールの増加によりHMG-CoAレダクターゼが誘導され,7α-ヒドロキシラーゼが抑制されたことを示唆している。この両酵素はコレステロール生合成と胆汁酸生合成系の律速度酵素であるが,コレスタノールの両酵素に及ぼす影響が相まって胆石形成を引き起こしたものと考えられる。今回のモデル動物の作製はコレスタノールと胆石の関係を明らかにするうえで意義のあるものであり,本疾患の病態解明に役立つものと期待される。日本,スウエーデン,アメリカの3国間で実施した,本研究はそれぞれの研究チームの特色を生かして,CTXという疾患の病態解明を行い遺伝子レベルにおける診断の可能性を示した点で大きく貢献したといえよう。
著者
茂木 崇
出版者
東京工芸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本年度の研究は、ほぼ交付申請書に記載した研究実施計画の通りに進めることができた。1 デジタル時代における音楽産業の組織フィールドの構造化プロセスに関する分析本年度はデジタル時代に音楽産業の組織フィールドがどのように変容にするかについての分析を行った。20世紀にレコード会社は少数の楽曲をマス・ディストリビューションすることにより大きな利益を生み、音楽産業の組織フィールドにおいて枢要の位置を占めてきた。しかし、その役割はデジタルの時代により終焉を迎えており、レコード会社は自らのビジネスを再定義する必要がある。無論、音楽産業=レコード会社ではなく、マドンナのライブネーションへの移籍に見られるがごとく、業態の革新は進行中である。今後は、少数の楽曲を流布するよりも、様々な音楽愛好者の趣向にあわせてビジネスモデルを再構築する必要に音楽産業は迫られている。2 専門的知識の吸収:増渕敏之(ソニーミュージックエンタテインメント)、生明俊雄(広島経済大学教授)亀田卓(電通)の三氏から専門的知識を吸収した。研究会として開催した聞き取り調査では、伊吹勇亮(長岡大学講師)、太下義之(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)、各務洋子(駒澤大学准教授)の各氏が参加した。3 海外調査:日米比較の視座から、ニューヨークで調査を行った。技術の変容をいち早く受け入れ業態の革新を図っていく上で、アメリカの音楽産業の意思決定は大変迅速である。4 論文執筆:音楽産業の組織フィールドを構成する批評家及び投資家について論文を執筆した。
著者
脊山 洋石 笠間 健嗣 清水 孝雄
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

脳腱黄色腫(CTX)は先天性の脂質代謝異常症である。胆汁酸の代謝異常ではないかと考えられているが、本態は依然として不明である。疾患モデル動物が得られれば、発症の機序はもとより治療法の検討にも有効な実験系を提供することになる。マウスに高コレスタノ-ル食を投与して、血清、肝、小脳のコレスタノ-ルの濃度変化をHPLCを用いた分析法でモニタ-した。コレスタノ-ルを投与したマウスでは肝臓および血清のコレステロ-ル濃度は短期間でピ-クに達して後に減少して対照群の約50倍で安定する。これに対して小脳ではこのようなフィ-ドバック調節が存在せずに、時間と共に蓄積し続けることがわかった。また、ロ-リングマウスと呼ばれる状態を呈するマウスが出現したことはCTXのモデルと有益である。また、角膜にヒトにおける帯状角膜変性症に似た症状を発現した。この病変部位にはコレスタノ-ルと共にカルシウムとリンが沈着していることが判明した。さらに、マウスへのコレスタノ-ル投与は胆汁酸代謝に影響を及ぼし、4ヶ月間に20%の頻度で胆石を形成することが判明した。胆嚢粘膜の炎症と血管拡張を伴っていた。肝のHMGーCoAレダクタ-ゼ活性が上昇しており、一方、7αーヒドロキシラ-ゼ活性は低下していた。マウスに高コレスタノ-ル食を投与することによって、小脳症状、帯状角膜変性症、胆石症をもたらすことに成功した。後2者については病態の生化学的機構の一端を明らかにすることができた。帯状角膜変性症の発症の機構は小脳症状の現われをも説明するものであり、今後このマウスにおける小脳の生化学的分析が小脳症状発現の病態を明らかにするものと期待される。我々が現在進めているCTXの遺伝子診断のプロジェクトの分析対象となっている家系では、胆石症と肝胆道系腫瘍が多発しており、上記の第3の知見もCTXとの関連を説明するうえで重要な意味を有するものと思われる。
著者
宮崎 収兄
出版者
千葉工業大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1996

インターネット上で各組織のデータベースを公開し、散在するデータベースに対する統一的な問合せ処理が可能になれば、ネットワーク利用の可能性は飛躍的に高まると考えられる。このような広域データベース検索システムの実現のためには情報の形式や内容のミスマッチの克服や問い合わせたい内容によって問合せ先サイトをどのように選ぶかが重要である。インターネット環境では不特定多数のデータベースへの統合的アクセスが課題である。構文の違い、名前の違いなどはある程度変換によって吸収可能である。しかし、あるサイトには存在するが、別のサイトには存在しない属性などを扱うためには何らかの形で不完全情報を扱う機構が必要である。。本研究では広域に散在するデータベースの集まりを仮想的な1つのデータベースと考え、各データベースはその一部の不完全な情報を保持すると考える。このようなデータベースを扱うため不完全データベースの概念を導入し、変換できない不一致があっても処理することを可能とする方法を提案した。不完全データベースは従来のデータベースを拡張したもので、既存のデータベース管理システムを用いて実現することもできる。不完全データベースにもとづいて広域データベース検索を実現するため、ワールド・ワイド・データベース(WWDB)システムを提案した。WWDBではスキーマ情報が完全には分らなくても問合せを行うことを可能とするために柔軟なスキーマ構成とその処理が必要となる。WWBDのシステム構成と問合せ処理方法を研究した。
著者
宮崎 収兄
出版者
千葉工業大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1997

インターネット上で各組織のデータベースを公開し、散在するデータベースに対する統一的な問合せ処理が可能になれば、ネットワーク利用の可能性は飛躍的に高まると考えられる。このような広域データベース検索システムの実現のためには情報の形式や内容のミスマッチの克服や問い合わせたい内容によって問合せ先サイトをどのように選ぶかが重要である。インターネット環境では不特定多数のデータベースへの統合的アクセスが課題である。構文の違い、名前の違いなどはある程度変換によって吸収可能である。しかし、あるサイトには存在するが、別のサイトには存在しない属性などを扱うためには何らかの形で不完全情報を扱う機構が必要である。本研究では広域に散在するデータベースの集まりを仮想的な1つのデータベースと考え、各データベースはその一部の不完全な情報を保持すると考える。このようなデータベースを扱うため不完全データベースの概念を導入し、変換できない不一致があっても処理することを可能とする方法を提案した。不完全データベースは従来のデータベースを拡張したもので、既存のデータベース管理システムを用いて実現することもできる。不完全データベースにもとづいて広域データベース検索を実現するため、ワールド・ワイド・データベース(WWDB)システムを提案した。WWDBではスキーマ情報が完全には分らなくても問合せを行うことを可能とするために柔軟なスキーマ構成とその処理が必要となる。広域問合せ処理の基礎となる不完全データベースの意味論を従来のナル値を持つデータベースと比較しその位置づけを明らかにした。この結果、広域検索方式がナル値を持つ既存データベースシステムを用いて実現可能であることが分った。また、WWDBのシステム構成と問合せ処理方法を検討し、実験システムを構築し広域問合せ処理方式の有効性を示すとともにWWDB実現のための課題を検討した。
著者
高橋 けんし
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、夜間大気における重要な微量成分であるN_2O_5とNO_3を直接検出できる新奇な超高感度計測法の確立とプロトタイプ装置の開発を目指した。計測にはレーザーキャビティーリングダウン(CRDS)法を用いた。パルス発振の色素レーザーを用いて、100秒積算で2.2pptvの検出下限を達成することに成功した。これにより、CRDS法のN_2O_5/NO_3の大気計測への応用が有用であることが確認された。次に、半導体レーザーを使った実験でもS/N比の高い信号が得られるようになり、安価に入手できる光源を用いた次世代超高感度センサーの開発に道が拓かれた。
著者
源栄 正人 大野 晋 佐藤 健 寺田 賢二郎 篠澤 洋太郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本成果報告書は、平成18年度と平成19年度の2ヵ年の研究成果もまとめたものである。内容的には、緊急地震速報と構造物のモニタリングとの連動により付加価値を高め、更なる信頼性の向上と実用性の向上を計るためのシステム開発を行ったものである。主な研究項目として、(1)構造物の耐震モニタリング機能と連動した警報システムの開発、(2)地域の地盤環境を考慮した地震動予測精度の向上、(3)病院における実証試験による有効利用の検討、(4)学校における実証試験による有効利用の検討を行った。(1)については、建物のモニタリングのための常時作動している地震観測(オンライン地震観測)システムを設置し、この地震計による現地地震情報と、緊急地震速報の両方を連動したシステムの開発を行い、東北大学工学研科の人間・環境系建物および宮城県沖地震の際に地震波到来の早い石巻市牡鹿総合支所庁舎(旧鮎川町役場)で実証試験を行った。(2)については、仙台市域の表層地盤構造と深部地盤構造のデータベースの構築を行うとともに、牡鹿総合支所で観測された記録のP波の立ち上がり部の波形からニューラルネットワークを用いて仙台市域の地震動を高精度に予測する方法を検討した。(3)については、東北大学病院における緊急地震速報の利活用について、同病院においてアンケート調査を実施するとともに、ニーズに基づく利活用システムの提案を行った。(4)については、教育モードとして組み入れるべく素材に関する調査を行なうとともに、地域で予測される被害モードを想定した災害シミュレーションを動画の作成と活用法を検討した。学校における緊急地震速報の利活用の啓蒙と教育現場におけるニーズ調査のために宮城県域と首都圏の649校を対象としたアンケート調査を実施した。
著者
入江 仁士
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本課題で開発したグリオキサール(CHOCHO)の高度分布導出法でMAX-DOASのスペクトルデータを再解析したところ、北京市・泰安市・横須賀市では大気境界層中のCHOCHO濃度が平均で約200pptvと高濃度であったことが分かった。つくば市と辺戸岬では80pptv程度であった。衛星データを組み合わせたところ、横須賀周辺では高濃度域は数十km以内、中国では数百kmの空間スケールで拡がっていたことが示唆された。
著者
中森 広道
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

「緊急地震速報」についてアンケートを中心に調査研究を行った。一般住民に対しては、緊急地震速報の認知度・理解度ならびに評価などについて、地方自治体と不特定多数の収容施設(百貨店)に対しては、導入・運用に関する現状と評価について、それぞれ調査を行った。その結果、緊急地震速報についての一般住民の認知度はある程度高くなっているが、具体的な内容や意味についての理解度は必ずしも高いとはいえなかった。また、地方自治体や百貨店などで緊急地震速報の導入ができてない施設は、速報による人々の混乱を懸念するのではなく、予算や設備の問題が大きいことが明らかになった。
著者
前 泰志
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

緊急地震速報直後など緊急時に人間がとるべき行動を,人間の動作や状況の変化に応じて適宜指示する実時間行動指示システムの構築に関する研究を行った.人間がより理解しやすい行動指示法として,音声指示だけではなく,室内に設置したプロジェクタを用いて緊急避難のための室内での安全領域を提示する方法を提案した.実験により安全領域と避難経路の提示,簡潔な音声指示の組み合わせが避難行動をわかりやすく指示できることがわかった.
著者
山崎 文雄
出版者
東京大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1997

本研究では,地震の横揺れが到着する前に,地震発生情報を高速道路走行中のドライバーに伝達する方法について最新の技術的検討を行い,どのような方法が可能かどうか,その実現性や限界を含めて検討した.地震発生を鉄道総合技術研究所が開発したUrEDAS的な方法で即時把握し,VICS(ビ-クル・インフォメーション・アンド・コミュニケーション・システム)を利用してドライバーに知らせることを第1候補としながらも,その他の方法,たとえば沿線の電光表示板を密に設置して伝達する方法や,他の通信メディア(たとえば携帯電話やポケベル)を利用する方法などについても考慮した.その結果,現時点のVICSでは,装着率が低く,一部の車両にのみ地震発生を通報しても,都市部における事故や被害の低減にはつながらないであろうという結論になった.しかし,車両の自動運転区間などにおいての適用可能性は高く,また,東海地震の警報が発令された場合など,ラジオの受信を義務づけられるような状況においては,有望と考えられ,今後の研究を続けたいと考えている.