著者
岩室 史英 長田 哲也 太田 耕司 吉田 道利 沖田 喜一 泉浦 秀行 長田 哲也 太田 耕司 吉田 道利 沖田 喜一 泉浦 秀行
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、京大3.8m分割鏡望遠鏡の分割主鏡の位置を光の波長の1/20の精度で合わせる技術の開発研究を行った。5色レーザーを用いたこの方法は、従来の星を用いた方法とは異なり、大気の状態や天候の影響を受けることなく高速で分割鏡の状態を確認することができる。この新手法と、独自の高精度アクチュエータを組み合わせて、実際の望遠鏡の一部の複製を用いて分割鏡の位置合わせを行うことに成功した。
著者
池上 哲司 朴 一功 村山 保史 加来 雄之 藤田 正勝 門脇 健 西尾 浩二 竹花 洋佑
出版者
大谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

清沢満之の東京大学時代未公開ノート解読を通して、西洋哲学が明治期の日本にどのような形で受容されたかを明らかにしようとした。フェノロサが行った哲学関係の授業についての英文聴講ノートの内容を調査・分析していく過程で、満之と同年入学の高嶺三吉によるフェノロサ講義のノートが発見された。そこで、フェノロサによる複数の哲学関係授業の時期と内容を確定するために、清沢および高嶺の聴講ノートを翻刻・翻訳し出版した。
著者
西澤 昭 田原 靖昭 湯川 幸一 網分 憲明 小原 達朗
出版者
The Japanese Society of Health and Human Ecology
雑誌
民族衞生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.37-47, 1998-01-31

体組成を求める算定式に身体密度は不可欠である.しかし算定式が確立しているわけではなく,用いる算定式によって同じ身体密度でも体脂肪率が異なることになる.特に児童,生徒の年齢では,除脂肪組織の比重が成人より小さいという報告もあり,そのまま成人の算定式にあてはめると問題の生じる可能性がある.そこで本研究では身体組成算定の基礎になる身体密度に関する問題を検討するための試みとして身体密度を年齡別にもとめ詳細に検討した. 身体密度の測定は水中秤量法によった.被験者は10歳(小学4年生)から18歳(高校3年生)の男子268名と女子332名の計600名であった.加齢と身体密度の関係をみると男子では年齢が大きくなるにつれ身体密度が大きくなる傾向にあったが,女子では逆に身体密度は減少する傾向がみられた.この時期の男子では密度の大きい除脂肪量が増加すること,および女子では逆に密度が小さい脂肪量の増加が顕著なことに起因していることが考えられた. 男子の10歳から18歳までの各年齢間で身体密度の平均値を比較すると最小が1.0530g/ml(11歳)で最大が1.0695g/ml(14歳)であった.女子は最小が1.0415g/ml(16歳)で最大が1.0530g/ml(13歳)であった. 小児期では,除脂肪組織の密度が成人とは異なることや脂肪量と除脂肪量の増加の傾向が男女で異なることなどから,この年代について身体組成を求める推定式を明らかにする必要性が示唆された.
著者
稲垣 稜
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.23-43, 2002-06-30
被引用文献数
2

本研究では,国勢調査・就業構造基本調査,及び愛知県春日井市に位置する高蔵寺ニュータウンにて実施したアンケート調査を利用し,大都市圏郊外に居住する若年者の人口学的特質,就業形態の多様化,及び通勤行動を関連づけることにより,1990年代以降の大都市圏郊外の雇用成長の性格を検討した,1990年代以降に労働市場への新規参入期を迎えた若年者は,親世代による郊外への居住地移動を反映して主に郊外に居住しており,彼らが就業年齢に達した1990年代には,郊外に居住する大量の若年者が労働市場へ参入することになった.時しもその時期はバブル経済が崩壊し,コスト削減のために企業が非正規労働力の積極的活用を進めた時期であった.アンケート調査によると,親と同居する場合,及び同居する兄弟姉妹に在学者がいない場合に非正規労働者,無業者になることが多いことが示された.郊外出身者の増加にともなう親と同居する若年者の増加,ならびに出生率の低下にともなう兄弟姉妹数の減少といった1990年代以降にみられる動向は,若年の非正規労働力化を進展させる条件になっているものとみられる.若年の非正規労働者の多くは郊外の自宅近隣で販売職・サービス職に就いている.郊外では,販売職・サービス職がバブル経済期よりもバブル経済崩壊後に就業者増加数を拡大させたが,これは郊外に居住する若年者の非正規労働力化による部分が大きく,性別にみると,新規学卒市場において不利な立場にある女性が果たした役割は大きい.1990年代以降の郊外における販売職・サービス職の雇用増加とは,郊外における若年人口規模の拡大傾向と,バブル経済崩壊にともなう非正規労働力化の進展が相まって生じてきたものと判断できる.
著者
山田 英代 玉置 伸〓
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.61, no.483, pp.199-210, 1996
被引用文献数
6 5

This paper aims to analyze the changes in the structure of households with the elderly by the time trends, using census data. The conclusions afe as follows: 1. The ratio of the male of the single have been increasing at the middle ages, and that of female have been increasing at the sinior ages. And the most of the male of the single is under 50 years old, while over50 percent of the female of the single is over 50 years old. 2. The number of the elderly couple housuholds have been increasing rapidly. And the number become twice that of young couple in 1990. 3 The ratio of the stem family have been decreasing in all age groups. And that of households which are consisted of old elderly and their child's couple have been increased.
著者
黒田 久美子 Kuroda Kumiko クロダ クミコ
出版者
千葉看護学会
雑誌
千葉看護学会会誌 (ISSN:13448846)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.39-46, 1999-07-30

糖尿病患者の自己管理における自己モニタリング時の感情や思いの表現から,自己モニタリングの性質を明らかにすることを目的に,6名のインスリン依存性糖尿病患者に自己管理場面を想起してもらう方法で面接を行い,自己モニタリング時の感情や思い,状況,行動の特徴を分析した結果,以下の知見を得た。1.糖尿病患者の自己管理における自己モニタリング時の感情や思いの表現は,以下の9に分類できた。『あれっ,なんで,おかしい。』,『大丈夫かな。』,『こうなるようにしたい。』,『こういうこともあるから心配ない。』。『この時はどうなのかな。』,『やっぱりそうなんだなー。』,『私って,糖尿病ってこうなんだなー。』,『わかってきた。』,『見ちゃうと気分がよくない。』2.各々の表現には以下のような自己モニタリングの性質が示されていた。〈異常のないうまくいっている状態とのずれのキャッチ〉,〈安心・大丈夫・確かさだと感じる基準とのずれのキャッチ〉,〈規範や目標とのずれのキャッチ〉,〈不安への対処〉,〈血糖変化のバラエティーへの関心〉,〈思い起こされる判断や状態への確信〉,〈糖尿病を持つ自分への深い理解と納得へのきっかけ〉,〈自己管理に関連する事柄の関連性やパターンのはっきりした認識への貢献〉,〈悪い状態の予想とそれに伴う不快感情の生起〉The purpos of this study were to identify expression at the time of self monitoring of self-management in pataients with diabetes, and to identify quality of self monitoring. Data was collected from six outpatients with IDDM, through interviews by looking back at some past scenes of their diabetes self-management. Their expression of feeling and emotion, situation, behavior of those scenes were analyzed. Expression at the time of self-monitoring were as follows: 『Oh! Why! Unusual!』, 『OK?』, 『I want to be like this.』, 『No anxiety because it's same as usual.』, 『I want to know how high is my blood glucose in this situation.』, 『After all I become convinced that is correct.』, 『I am diabetes patient like this. My diabetes is like this.』, 『I become to understand.』, 『Feel bad if monitor such bad results.』 Quality of self-monitoring were as follows: 〈Catch the difference from good condition〉 , 〈Catch the difference from the standards about security, OK, certainty〉 , 〈Catch the difference from my rules and goal〉 , 〈Cope to anxiety〉 , 〈Attention to variety of floating blood glucose level〉 , 〈Be convinced of my judgement at past scenes when coming my mind〉 , 〈Provide a clue for realization and conviction about myself with diabetes〉 , 〈Contribute to understand some connection and patterns of self-management clearly〉
著者
長崎 勤 菅野 敦
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

ディスコースにおいて重要な自他の意図に関する意識や理解の発達を検討するために、複数の中から相手の意図(好み)を尋ねる選択質問を使って健常児のディスコースの発達と発達遅滞児の指導プログラムについての検討を行った。研究Iでは、健常児における他者の欲求意図理解の発達について検討を行った。その結果、2歳〜3歳児は、自他の欲求意図を同一化する傾向があり、4歳〜5歳児になると、自己と他者の欲求意図の自律性の理解ができていた。研究IIでは、研究Iのディスコースユニットモデルを基に工作場面とおやつ場面を設定し、言語発達遅滞児の会話技能の指導を実施した。7歳のダウン症女児に、工作場面で身体援助、言語指示、モデル提示などの段階的な援助を与え、聞き手の意図を想定した発話行為の遂行を促したとごろ、セッションの経過と共に相手の意図を尋ねる行為が可能になった。研究IIIでは、場面によるディスコースの特徴を検討するために、健常児2歳、3歳とダウン症児(MLUマッチング)の母子相互交渉を観察した結果、母子間で知識が共有され、認知的負荷が軽減されている日常生活ルーティン場面の方が、玩具遊び場面よりも時空間的に離れた事象への言及といった、高次な言語使用が多いことが示された。会話内容が「今、ここ」に限定されることが指摘されているダウン症児は、会話初期から既に未来事象への言及が少ないことが示され、指導の必要性が示唆された。研究IVでは、おやつスクリプトの獲得について、10〜20ケ月の健常児とダウン症児(MAマッチング)について縦断的検討を行った結果、スクリプトの中心的要素から細部要素へ(18ケ月頃)という獲得の順序性が示され、また同時期に言語による伝達が開始されたことから、スクリプトの獲得と言語獲得及びディスコースとの関連性が示された。ダウン症児は、スクリプト獲得に遅れがみられ、言語獲得やディスコース発達の遅れの1つの要因である可能性が示唆された。研究Vでは、6歳のダウン症女児にファーストフード店場面を設定し、誤提示を用いて伝達意図の調整を指導したところ、調整を求める選択質問への応答や、相手の要求に応じて意図を調整すると言った伝達の柔軟な調整が可能になり、実際のファーストフード店での般化も確認された。
著者
小松 真
出版者
岩手医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

コアンダ効果を伴う放電駆動マイクロウォータージェットの軟組織切開に対する性能評価を行い,多目的な外科的切開装置の提案を試みた.その結果,水中放電により直接ジェットを安定駆動する条件を特定し,それが切開に適した性能を持つことを確認した.また切開時の血管等の組織保存に関わるコアンダ効果について,円柱硬組織に対しその効果が出現する接触角度の範囲を大要的に特定した.以上により切開過程の部分的な評価と,広いレンジにわたり強さを調整する方法の確立ができたことで,多部位に適用できるジェットの発生方法を提案できた.
著者
小川 寿美子
出版者
名桜大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

平成19年度は研究の最終年度であったため集大成の結果を国際学会(21st Pacific Science Congress)にて合計四演題を口頭発表をした。第一の発表は、本研究課題のタイトルにもある「沖縄女性のエンパワメント」に関する考察結果の集大成である「Empowerment of Public Health Nurses in Post-WorldWar II Okinawa(第二次世界大戦後沖縄における公衆衛生看護婦のエンパワメントに関する研究)」という演題であった。第二の発表は、戦後沖縄の離島・僻地の地域保健・医療を支えた公衆衛生看護婦(現・保健師)や介輔(医師不足を解消するため戦時中、衛生兵の経験のある者などに離島や僻地など地域限定で一定の診療行為が認められた人)に焦点を当てた「Mid-Level Practitioners for CommunityHealth Services:Lesson-Learned from Post-War Okinawa(実践医療職による地域保健サービス-戦後沖縄の経験から学べる点)」という演題であった。第三の発表は、沖縄の僻地の中でも、特に沖縄北部地域に限定し、1960年代の母子保健事情をまとめたもので「Maternal Health Workforce in Northern Okinawa in the 1960's(1960年代の沖縄北部における母子保健従事者に関する研究:本報告者は共著者の一人)」という演題であった。第四の発表は、現代の沖縄女性でも、特に女性医師に焦点を当てた研究で、離島・僻地で働く医師が未だに不足する原因を、インタビューやアンケート票を用いてまとめた「Women Doctors and the Chronic Doctor Shortage in Remote Areas of Okinawa(沖縄離島・僻地における慢性的な医師不足と女性医師に関する研究)である。本研究を通じて明らかとなったこと、および以上の国際学会での発表の諸結論をまとめると、女性がエンパワメントを受ける強い要因として (1)男性との力関係を競わない条件(戦後沖縄の男性人口の減少)、 (2)職能集団意識(公衆衛生看護婦)、 (3)組織的な活動と後方支援との信頼関係(同上)、 (4)カリスマ的存在への憧憬と尊敬の念(米国民政府のワーターワース、公衆衛生看護の要、金城妙子女史)が条件であったという結論に達した。
著者
安藤 仁介 岩沢 雄司 金 東勲 西井 正弘 薬師寺 公夫 坂元 茂樹 村上 正直 小畑 郁 中井 伊都子 徳川 信治 北村 泰三 初川 満
出版者
(財)世界人権問題研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」の自由権規約委員会は、締約国の提出する政府報告を審査し、勧告を含む総括所見を採択して、そのフォローアップを求める慣行を確立した。本研究は、各締約国が、これらの勧告を受け入れているかいないか、また、各国に固有の文化的・社会的・宗教的構造が、それにどのように影響を与えるかを比較検討し、自由権規約の保障する人権を実現するためには、どのような課題が存在するかを分析した。
著者
関 宏子 熊本 卓哉
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ビスグアニジン型化合物と各種酸性化合物との複合体を用い、単結晶X線解析や溶液・固体NMR を組み合わせた機能性化合物の分子間相互作用を含む構造解析を行った。ビスグアニジン-ヒ酸複合体の固体NMRは想定される本数よりも多いシグナルを示した。これは複合体中のグアニジン部位が非等価であるというX線解析の結果を反映したデータであり、固体NMRが分子間相互作用を持つ複合体の構造解析に有効な手段となる可能性を示した。
著者
伊達 章 倉田 耕治
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

画像,音声,自然言語,塩基配列などの大規模データに対し,確率モデルを構築し,認識,予測など確率推論を行なうことが,計算機性能の急速な向上に伴い可能になっている.ベイズ推論の本質の一つは,データを観測した後の事後確率分布の利用にあるが,その分布の構造については不明な点が多く,分布が奇妙な構造をもつことは十分考えられる.本研究では,事後確率分布から多数のサンプルを生成することで,事後確率分布の構造を反映した意味のある推定量を求める手法を開発した.単純な隠れマルコフモデル,格子型マルコフ確率場を用いて計算機実験をおこない,本手法の有効性を確認した.
著者
桜井 武 山本 三幸
出版者
金沢大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

3種の新規神経ペプチドについて、扁桃体機能と情動の制御におけるそれぞれの役割を解明すべく研究を遂行した。ニューロペプチドBおよびWに関してはそれらの受容体NPBWR1の欠損マウスとヒトにおける多型の解析から、社会行動やストレス応答に関与していることが明らかになり、オレキシンは情動にともなう自律神経系の応答に強く関わっていることが明らかになった。QRFPに関しては、遺伝子欠損マウスを作成した。