著者
齊木 崇人 小玉 祐一郎 宮代 隆司 土肥 博至 杉本 正美 上原 三知 佐藤 滋 土肥 博至 杉本 正美 上原 三知 佐藤 滋 中井 検裕 鎌田 誠史 橋本 大樹 長野 真紀
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

新しい住宅地開発プロジェクト、神戸・ガーデンシティ舞多聞の実践と、本研究の指針とした、E・ハワードの田園都市思想とガーデンシティ、それらの系譜にみるコミュニティのフィールドワークを同時進行的に行うことにより、将来の持続可能なコミュニティの創出・再生を目指す居住環境計画に対する、「特有価値を持つ空間デザインを生み出す手法」「コミュニティ形成を促す方策」「空間とコミュニティを持続・向上させるエリアマネジメントの仕組み」の指針を導き出した。
著者
佐野 明人 藤本 英雄
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は, 動力やコンピュータを持たない歩行ロボットに関するものである. ロボットを歩かせるのではなく, 歩けるような脚・足にすることで, ロボット自身が自然かつ滑らかに歩行することができる. 開発したロボットは, 約2時間歩き続けたり, 時速3.3[km/h]で素早く歩いたりすることができ, しかも歩く姿はヒトそっくりである.
著者
常見 美紀子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.47-56, 2004-03-31
被引用文献数
2

桑沢洋子は1954年に「桑沢デザイン研究所」を創立した。その創立メンバーの一人、勝見勝は、その前後に「国際デザイン協会」を設立し、日本における1950年から60年代のデザイン運動を牽引した。デザイン運動とは、デザイン教育、デザイン研究、グッドデザイン運動という三つの活動の総体を指す。デザイン教育としては、専門デザイン教育機関としての桑沢デザイン研究所の創立、普通教育としての造形教育を推進するための「造形教育センター」の設立である。デザイン研究としては、「日本デザイン学会」の創立である。グッドデザイン運動としては、一般市民への啓蒙としての銀座松屋における「グッドデザインコーナー」の開設、生活を美しく豊かにするデザインの総合雑誌『リビングデザイン』の発刊である。すなわち、桑沢デザイン研究所は単にデザイン教育機関のみならず、デザイン運動の中で諸活動を有機的に関運づけるデザイン運動体でもあった。
著者
平石 貴樹 高橋 和久 大橋 洋一 柴田 元幸
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究の基本的目的は英米圏文化における映画と文学との相互作用をその界面において考究すべく、電子化された映画映像と電子化された文学テクストを利用することであった。だが同時に利用できる電子媒体が、真摯な文化研究計画にとっては、十分に活用できない不備なものであったり、研究にふさわしくないものも多く、自らデータベースを立ち上げる必要に迫られ、その作業に着手した。利用可能でその有効性が飛躍的に高まるようなデーターベースの構築を進めると同時に、文学と映画をオリジナルとアダプテーションという観点から捉え、その関係を、境界画定と境界破壊の両面から考察することになった。計画は両面あり、ひとつは材料を限りなく収集し、電子化しデータベース化する作業、いまひとつは理論的考察によって文学文化における映画の意味、文学と映画の相互作用などを考える準備として、文学の映画化作品との関係を考慮することであった。最終結果としてのデーターベースの完成(このようなデータベースは完全なものはありえないが)を見なかったが、作業は継続している。理論的考察としては、オリジナルとアダプテーションとの関係が明確ではなくなるという難題に直面した。これは現代の複製文化から翻案文化すべてに共通する大きな問題で、文学と映画と載然と二分化することを困難にする理論的難題であって、完全な解決などありえないが、この問題を契機にさまざまな思考や理論を考案することになった。文学と映画との関係は英米圏文化では、従来考えられていた以上の予測不可能な多様な関係を形成していることが確認され、また両者の関係は他の社会的文化的分野に波及しており、この研究は文化研究からさらに教育の場においても有効であることも確認できた。
著者
松川 恭子
出版者
奈良大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本年度は、以下の2点を中心に研究を進めた。(1)ゴア社会の大衆劇「ティアトル(tiatr)」の劇団主宰者・俳優が物語・身体動作・歌(カンタール)で「ゴア性」を観客に喚起しようとする過程についての調査、(2)ゴア外、特にアラブ首長国連邦ドバイ・サルジャーにおけるゴア人コミュニティ内のティアトル受容の現状。現地調査を2回実施し(平成19年4月24日〜5月9目、8月27日〜9月10日)、具体的には、以下の作業を行った。第一回目の調査は、ゴアとアラブ首長国連邦ドバイで行った。ゴアでは、一つの劇団のある村落への出張公演に同行し、劇団員が舞台上で「ティアトル俳優になる」点を中心に舞台設営から終了までを観察した。ドバイの調査では、劇団の現地エージェントの男性にドバイにおけるティアトル受容の現状について、特にゴアからの公演招聘の手順を中心にインタビューを行った。第二回目の調査もゴアとドバイで行った。ゴアでは、ティアトルにおける身体動作を中心に俳優にインタビューを行い、ドバイでは、ティアトルの公演場所の調査を行った。本年度後半は、南アジアにおける演劇関連図書の収集・レビューを継続するとともに、調査成果のまとめを行った。その一部を日本文化人類学会、「宗教と社会」学会(2007年6月)と国立民族学博物館共同研究「キリスト教文明とナショナリズム-人類学的考察」研究会(2008年3月)で発表した。
著者
イアン カラザース 南 隆太 吉原 ゆかり 清水 裕之 本橋 哲也 BRANDON Jim RIMER J. Thomas POWELL Brian TIERNEY Robert GOTO Yukihiro 呉 佩珍 松田 幸子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、日本の現代演劇の成立過程と現状を、上演テクストに注目して考察することで、日本現代演劇史を見直す視点を提供することを第一の目的として研究を行ってきた。現代日本演劇史において、西洋演劇が与えた影響や、日本演劇が西洋演劇に与えた影響を視野に収めることで、グローバルな視覚から世界演劇史に切り込むことが可能となった。本研究の最も大きな成果は、現代日本演劇史を上記のような視点から見直した結果としてのA History of Japanese Theatre『日本演劇史』の出版である。研究代表者は、3年間の研究を基に、研究分担者および研究協力者とともに演劇史の執筆を開始し、ケンブリッジ大学出版局との出版が決まっている。
著者
大田 信良
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

現在のポストインペリアルな歴史状況における英国文化は、大英帝国解体後になおも残存する帝国意識、または、その保守主義を批判的に乗り越える新たなヒューマニズムと多文化主義の可能性によっては、十分捉えることができない。むしろ、21世紀の現在につながるグローバル化や帝国主義に注目する「長い20世紀」の視座を考慮することにより、本研究は、「英文学」をその重要な一部とするグローバルな帝国の文化が、冷戦期米国のモダニズム文学と大学の研究・教育制度の編制にトランスナショナルに転回した英国リベラリズムの政治文化によっても担われていたことを論じた。
著者
斎藤 英治
出版者
明治大学教養論集刊行会
雑誌
明治大学教養論集 (ISSN:03896005)
巻号頁・発行日
no.378, pp.39-54, 2004-01

1937年から38年にかけて、ハリウッドの最大手スタジオだったMGMは『三人の戦友』(Three Comrades)なるタイトルの小説の映画化に乗り出す。製作の指揮をとったのは当時のプロデューサーで、後に監督・脚本家として『三人の妻への手紙』(1949)『イヴの総て』(1950)などで名を馳せることになるジョゼフ・L・マンキーウィッツ。監督はかつて『第七天国』(1927)というサイレントの名作を撮っているフランク・ボザージ。ドイツ人作家エリッヒ・マリア・レマルクの小説の脚色という仕事は、作家のF・スコット・フィッツジェラルドに委ねられた。フィッツジェラルドは、生涯に三度にわたってハリウッドに滞在して脚色の仕事に関わった経験をもっているが-一度目は1927年、二度目は1931年で、それぞれ二ヶ月ほどの短期間のものだった。
著者
椿 清文 LANBERT RT
出版者
津田塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

日本学術振興会外国人特別研究員としての一年目、ランバート氏は歴史研究と人種の問題に焦点を当てつつ、資料収集、理論書の解読、そして論文の作成をおこなった。「『ミシシッピ・バーニング』・ファイルの新たな開封」は2006年3月発行の『黒人文学研究』75号に掲載予定。「『オペラ・コミーク』からMTVの『カルメン』へ:メディアスコピー」「アリス・ウォーカーの『カラー・パープル』:ウーマニストの民話」「スティーブン・スピルバーグの『カラー・パープル』における映像の語りと印象主義的傾向」は現在アメリカの諸雑誌で審査中である。「ウォルター・モズリーの『青いドレスの悪魔』:ネオ・ノワールの改革の精神」はアンソロジー「異常な目:ポストコロニアリティと探偵小説」のための一章。ランバート氏はまた2006年の春から秋にかけて、日米の諸学会の大会、支部会などにおいて、ラルフ・エリソン、パーシヴァル・エヴェレット、『ミドル・パッセージ』などを取り上げつつ、人種に焦点を当てながら、文学と映画の関係について精力的に発表を行う予定である。
著者
山田 仁一郎 山下 勝 若林 直樹
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、現代日本映画産業における全体的な製作提携の構造と業績の関連について、2000年代の製作委員会のネットワーク分析を通じて明らかにすることを目的とする。映像コンテンツの制作に際し、製作委員会と呼ばれる時限ネットワーク組織を分析の対象とする。製作委員会には、多様な企業が自社の事業利用を目的として参画する。これらの企業群は従来の映画産業にない独特な製作手法や著作権ビジネスのスキーム等のノウハウを持ち込み、日本の映画産業の復興に大きく寄与した。近年では、アニメーション映画の製作経験を蓄積してきた出版社の影響力が増しつつある
著者
大下 祥枝
出版者
沖縄国際大学
雑誌
沖縄国際大学総合学術研究紀要 (ISSN:13426419)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-23, 2004-03

バルザックの小説『従兄ポンス』(1846年) は、これ迄に三度しか映画や芝居に脚色されてこなかった。それらはアルフォンス・ド・ローネの戯曲 (1874年) とジャック・ロベールの映画 (1924年) とジャン=ルイ・ボリーのテレビ映画 (1976年) である。ジャック・ロベールによる『従兄ポンス』の映画化について、我々は既に別稿で論じており、本稿では戯曲とテレビ映画を取り上げ、バルザックの原作がどのように翻案され、受容されていったかを知る目的で考察を進めた。クリューニ劇場で上演されたアルフォンス・ド・ローネ作5幕の翻案劇『従兄ポンス』では、登場人物だけでなく、筋の展開の面でも、原作がかなり改変されている。バルザックが描いた作中人物たちの中から10名程は省き、そのかわりに新たな人物としてオルガや公証人のエヌカンを創作している。老音楽家ポンスとシュムケが勤める劇場の下働き人トピナールの幼児オルガが、戯曲では少女に成長した姿で登場し、父親亡き後ポンスとシュムケのもとに引き取られ、作品の中で重要な役割を演じることになる。裕福なドイツ人ブリュンナーについて見ると、セシル・ド・マルヴィルと見合いをし、彼女が一人娘であることを理由に結婚を断るところまでは原作と同様である。戯曲では、その後彼がオルガと親密になり、ポンスの最後の願いを受け入れて彼女に結婚を申し込む場面が挿入されている。シュムケも原作とは異なり、彼のフランス語にはドイツ語の訛りが見られず、しかも自らの意思を自由に述べている。ポンスの莫大な遺産を狙う貪欲な人物たちの動きは原作を踏襲しているが、戯曲の大団円は小説とは全くかけ離れたものになっている。ブリュンナーが弁護士フレジエの裏をかいて、彼の友人である公証人エヌカンに依頼してポンスの遺書の作成に立ち会わせていた。その遺書のお陰でシュムケはポンスの遺産を全て相続することができ、ポンスを苦しめたマルヴィル夫人たちに何も略奪されずにすむ。シュムケは最後に「ポンス・お前の仇を討ったぞ」と叫ぶ。レモナンクとシボ夫人は、仕立て人のシボを毒殺した廉で逮捕される。つまり、勧善懲悪をテーマとした古典的メロドラムの影響が色濃く感じられる結末を迎えているのである。主役を演じた俳優の演技や演出を称賛する劇評が多く見られるものの、上演当時の観衆の好みを重視しすぎたこの脚色は、社会階級の仕組みや庶民の悲惨な生活をありのままに描き出そうとしたバルザックの意図を忠実に再現しているとは言い難い。ジャン=ルイ・ボリーのテレビ映画にも原作中の人物が何名か現われないが、新たに創作された登場人物は一人もいない。バルザックが描いたごとく、ポンスがマルヴィル夫人に贈った高価な扇が作品のヒロインであることを明示すべく、脚色家はマルヴィル一家がその扇を話題にする場面をフィルムの前半に挿入する。さらに最終場面ではその扇の由来を招待客に説明する夫人の姿を描出した後、扇だけを最後までクローズアップする手法を用いている。シボ夫人がポンスの遺書に自分の名前を書き入れてもらい、いずれ安楽な生活ができるかを占い師のフォンテーヌ夫人に尋ねる場面は、原作にそって詳細に映像化しており、聴衆の興味を引く工夫を凝らしていることが判る。また、ポンスの私設美術館に忍び込むレモナンクやフレジエの様子、さらにポンスの死の直後に彼の部屋に集まってきた葬儀屋たちの動き等もカメラが丹念に追っている。ポンスの遺産は原作どおりにマルヴィル一家の手に渡る。ドイツ語訛りのフランス語を話すシュムケがフレジエたちの策略によってポンスのアパルトマンから追い出されるところまでは画面で見ることができるが、その後彼がトピナール一家と出会って最後の安らぎを得る場面は割愛されている。シボ夫人とレモナンクがどのような晩年を送ったかは語られていないため、視聴者はフォンテーヌ夫人の予言からシボ夫人の運命を想像するしかない。フレジエは自分が予審判事に出世するといってシボ夫人を脅しているが、彼の仲間であるプーラン医師の将来は不明なままに終わる。このようにポンスが死亡した後の他の登場人物の様子は、マルヴィル一家を除いては何も語られていない。とはいえ、時間的・空間的に制約の多いテレビ映画という表現手段をとおして、脚本家と映画監督はバルザックの小説『従兄ポンス』の主要な箇所を巧みに再現していると言える。原作を読んでいない視聴者にとっても、この作品のテーマは理解できるのではないだろうか。批評家は、俳優たちの演技に対して好意的な評価を下している。アルフォンス・ド・ローネ作5幕の翻案劇とジャン=ルイ・ボリーのテレビ映画の分析をとおしてバルザックの小説作品の翻案について考えてみると、今後それが成功するか否かは、各時代の嗜好を反映したテーマの選択にかかっていると言えるのではないだろうか。
著者
井上 隆史 山中 剛史 TAILLANDIER Denis 井関 麻帆 田中 真夕美
出版者
白百合女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

三島由紀夫の手稿類(創作ノート、下書き原稿、ゲラへの書き込み、書簡など)を調査すると同時に、二葉亭四迷、宮沢賢治など三島以外の作家の手稿研究の従来の成果や問題点について検証した。そして、フランスの生成論について検討、哲学(解釈学)や美術史の議論も取り込んで、より望ましい手稿研究の方法論を探った。これを踏まえ、三島の代表作「金閣寺」や遺作四部作「豊饒の海」の創作ノートを研究し、後者に関しては、創作ノートで検討されていたが、その後大きく変更された第四巻の当初の構想を発展させ、「幻の第四巻」を仮構した。
著者
濱田 純一 HALD Gabriele HADL Gabriele
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

平成20年度(20年4月1日〜20年9月29日)の主な研究内容は以下の通り。【文献研究】市民社会メディア、メディア政策やコミュニケートする権利に関する文献(英語、日本語)を収集し、先行研究の確認を行った。【「市民社会メディア研究コンソーシアム」に関する活動】国際的なコンソーシアム(CSMPolicy)をコーディネートした。国際学会でセッションをコーディネートし、来年東京で開催する交流シンポジウムの準備に携わった。【研究会運営】昨年度設立したCSM&Policy@iii研究会を本年度4回開催した。開催の知らせや報告をブログで定期的に公開、調査プロジェクトに協力した。【調査研究】CSM&Policy@iii研究会のメンバーによる調査チームを組み、非商業的なメディア(行政系をのぞく)関係者の意識調査(ウェブアンケート)を実施した。結果を研究会で議論し、仮報告書を執筆した。【学術論文執筆】・「Media and Civic Engagement in Japan」(著者:HADL Gabriele)in Contemporary Civic Engagement in Japan,Henk Vinken&国立民俗学博物館(編).New York:Springer。2010年出版予定。・「コミュニケートする権利と市民社会メディア」(仮称)(著者:濱田純一、HADL Gabriele,浜田忠久)来年学術誌に投稿する予定。【学会および社会活動】・IAMCR学会にcommunity communication分科会副会長として参加(ストックホルム大学、7月)・国際シンポジウム『環境・グローバリズム・メディア』(早稲田大学、2008年5月31日)にて討議者・市民メディアセンターMediRのメディア講座にてゲストスピーカー・早稲田大学大学院政治学研究科・瀬川至朗ゼミ(2008年6月30日)にてゲストスピーカー・Cultural Typhoon 2008学会、セッション「世界の市民メディアを語る」(せんだいメディアテーク、2008年6月28日)にて討議者【学術誌の客員編集者(guest editor)】・Media and Cultural Politics誌(Intellect出版)の「Convergences:Civil Society Media and Policy」特集号(Vol.5.1)学術誌の特集号の企画をたて、論文を募集した。投稿された論文を編集し、複数のレフリーに審査してもらい、その上で最終修正、編集を行った。さらに前書きを執筆した。
著者
兼廣 春之 東海 正 渡部 俊広
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

脂肪族ポリエステル系の生分解性繊維3種と天然繊維の綿糸と絹糸を、(1)水深約2000mの深海底(鳥取沖カニ籠漁場)に10ヶ月間浸漬、及び(2)富山県水産試験場の富山湾深層水中(試験場内の飼育水槽(水温0.5℃)及び加圧タンク(水圧約20atm、水温約3.6℃))に約1年間浸漬し、繊維の強度低下と海水中における微生物分解の評価を行った。その結果、浸漬したすべての繊維で強度低下が起こり、深層水中での強度低下は綿>絹>脂肪族ポリエステル(PCL≧PHB/V>PBS)の順であった。繊維表面の電子顕微鏡観察の結果、繊維の強度低下は深層水中の微生物分解により起こっているものと推察された。この結果、低水温、高水圧の極限環境下の深層水中でもプラスチックの微生物分解が起こることが確認された。試験に用いた富山湾深層水からプラスチック分解微生物の単離を試みた結果、加圧タンク水から2株のPCL分解微生物(Toyama04とToyama10)の単離に成功した。さらに、他の海域(東京湾表層水)より単離したPCL分解菌2株(TUF-1とTUF-2)の計4株について、それらの生理生化学的特性、遺伝学的特性、プラスチック分解活性の比較を行った。遺伝子解析の結果、4株ともPseudomonas sp.と高い相同性を示し、そのうち、深層水より単離した2株と東京湾表層水より単離したTUF-2はPseudomonas denitrificansと非常に高い相同性を、TUF-1はPseudomonas pachastrellaeと高い相同性を示した。また、単離した4株の形態学的性状及び生理生化学性状を調べた結果、4株ともグラム陰性の桿菌で、運動性を有し、生理生化学性状(生育条件や代謝活性)はほぼ同様の性状を持つことがわかった。単離した4株についてPCLグラニュール液体培地により、4℃、10℃及び25℃におけるPCL分解能を調べた結果、深層水から単離した2株はともに25℃の室温での分解活性を示すとともに4℃及び10℃の低温でも分解活性を示した。一方、表層水から単離した2株は、25℃では分解活性が見られたものの4℃及び10℃の低温では分解活性は見られなかった。
著者
日高 達 市丸 夏樹 冨浦 洋一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は,構文構造の曖昧性解消に利用されてきた語の係り受け関係を句構造文法の統語規則により組み込む方法と,確率文法のパラメタを複合化することにより構文解析の正解率を改善する手法の開発を目的とし,次のような研究成果を得た.1. 語彙の共起制約を包含する文脈自由文法の構成法統語範疇(品詞)に基づく自然言語の句構造文法を,(統語範疇,head word,function word)の3組に基づく句構造文法に組み変えることにより,統語範疇の構造制約と語彙の共起制約の両方を満足する文脈自由文法の構成法を提案した.ここで,語彙の共起制約とは語の係り受け関係と文節における付属語の連接条件を指している.この研究成果は,従来難しいとされてきた,語彙の共起制約の句構造文法への組込み法を与えた点で評価に値する成果である.2. 確率文法の複合化手法の開発確率文脈自由文法の近似性能を向上するための複合化モデルを提案した.複合化することにより尤度の向上が計れることを示し,また複合化度mおよびm組の確率パラメタ推定式をBaumの不等式を用いて導いた.確率文脈自由文法の高速構文解析機であるEarleyの手法を拡張して複合化確率文法モデルの構文解析アルゴリズムを構成した.曖昧な構文構造を生成する文を収集し,正解の構文構造をランダムに選出して,標本集合とし,標本集合からm組の確率パラメタを(1)の推定式に基づいて算出し,(2)の構文解析手法により構文解析を行なって正解率を実験的に算定した.その結果,単独の確率文法を用いることに較べ,複合化確率文法の場合に正解率の向上が顕著であることを実証した.
著者
本江 哲行
出版者
富山工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究では,実験室レベルで実験が可能な衝突実験装置の設計,製作,衝突実験の方法と測定方法の検討を行うとともに,実験から,ゴルフボールの特性を定量的に表現することを試みる.また,主研究者が従来から提案した衝突モデルをゴルフボールの適用し,モデルの妥当性の検討を行った.また,ハイスピードカメラを用いた衝突現象の解析の結果,以下のことが,明らかになった.(1)提案した衝突モデルを,ゴルフボール衝突系に適用した場合,シミュレーションと実験に良好な一致を見ることができ,本モデルの適用が可能であることが確認できた.(2)数値シミュレーションを行う場合,計算に用いるばね係数Kは,ボールのコア材のヤング率とポアソン比を用いて計算することが可能であると考えられる.(3)ボールの特性は反発係数に依存し,飛距離用のボールの反発係数は高く,コントロール用のボールの反発係数は低くい傾向にあり,高ヘッドスピードの反発係数は低く,低ヘッドスピードの反発係数は高い傾向にある.また,構造では,2ピースボールの反発係数は高く,3ピースボールの反発係数は低くい傾向にあることがわかった.(4)衝突速度が大きくなると衝突時間は短くなる.反発係数は,衝突力大きさや衝突時間にあまり影響を与えないが,ばね係数は,係数が小さい(剛性が低い)と衝突力は小さくなり,衝突時間は,長くなることがわかった.(5)ハイスピードカメラによる衝突現象解析の結果,衝突力が0になっても,変形が残っている残留振幅現象が確認できた.