著者
井上 順雄 中山 孝
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

新規培養法を確立し、ヒトES細胞を一方向的に神経系細胞へ分化誘導し、均質な神経幹細胞を大量に調製することができた。この神経幹細胞は、選択的に神経細胞(主にドーパミン作動性神経細胞)に、あるいは、アストロサイトに分化誘導することが可能であった。さらに、その培養法の基本的な培養条件をわずかに変えることによって、ヒトES細胞を脳の領域が異なる様々な種類の神経系細胞に分化誘導できる可能性を開いた。
著者
成田 智哉
出版者
利府町立菅谷台小学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

○研究の目的小学校5年生の理科において,顕微鏡による水中微小生物の観察結果から,間接的に魚の食べ物を推論するだけでなく,糞の分析や捕食行動等の観察から「食べている証拠」を実感をもってとらえさせる授業プログラムを開発することであった。○研究の方法観察する魚種および水中微小生物の培養法を検討しながら,児童に魚が微小生物を捕食する様子を再現性よく観察させたり,糞および消化管内の内容物を顕微鏡で観察させたりした。これらの授業記録や児童の観察記録を分析し,魚が水中微小生物を捕食していることを実感をもってとらえさせる授業プログラムの有効性を探った。○研究の成果1児童の実態調査の結果を基に,魚の食べ物が何かを考え,検証させる単元を構成し授業実践を行った。まず,魚の生息する水域や無給餌状態で飼育しているメダカの水槽内の水を顕微鏡で観察させた。多数の水中微小生物が存在することを確認させ,魚がそれらを食べて生きているという仮説を立てた。児童の考えを基に(1)ミジンコを食べる瞬間を見る(2)解剖して消化管内の水中微小生物の痕跡を探す(3)糞の中の水中微小生物の痕跡を探す等,検証方法を設定し,観察・実験を行わせた。2 1で得られた結果を顕微鏡の拡大画像やVTRの動画を活用し共有させた。授業記録から,児童が複数の結果を基に「魚が水中の小さな生物を食べて生きている」という考えをもったことが分かった。3上記1,2の実践および授業後の理解度調査の結果から,(1)糞や消化管の内容物の分析,捕食行動の観察結果を基に多面的に検討させることが,「魚が水中微小生物を補食している」ことをとらえさせる上で有効であること(2)捕食行動の観察にはメダカ,消化管内の内容物の観察にはゲンゴロウブナ,糞の分析にはメダカ,モツゴ,タモロコ等の魚種が有効であることが分かった。
著者
佐藤 智子 佐々木 肇
出版者
岩手県立大学
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.115-133, 2007-03

1989年5月、松尾村は村制百周年記念行事の一つとして、八幡平音楽祭を開催した。招かれた音楽家は、オーストリア音楽大学のピアニスト、エリカ・ディヒラー教授と、オーストリア在住の声楽家佐藤喜美子氏で、招聘の仲介をしたのは松尾村の誘致企業であるグローバル伸和製薬の工藤忠利社長であった。松尾村の国際交流を考察するにあたっては、オーストリアという国と音楽、そして佐藤氏と工藤氏の存在が大きな意味をもつ。さらに、「国際交流は、音楽を通じて行うのが効果的であり、しかも感性豊かな子どもの時に行うのが理想的である」と主張し、中学生海外派遣事業を推進した石羽根重志村長の見識も重要である。本論では最初に、音楽と中学生海外派遣事業が、どのようにして松尾村とアルテンマルクト町を結びつけたのかを解き明かした。そして次に、友好都市提携後どのような交流へと発展していったのか、その軌跡を辿った。最後に、1994年の友好都市締結後10余年が過ぎた両町村の交流は、2005年8月20日の松尾村閉村式へのアルテンマルクト町民の参加を除いては、ここ3年間休止状態に陥っているが、その原因はどこにあるのかを考究した。
著者
成田 雅樹 大熊 徹 長崎 秀昭 藤井 知弘
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

活用型授業を「既習事項明示型」「活用状況設定型」「活用場面付加型」「授業内活用確認型」「関連学習型」の5類型に整理して実践事例を分析した結果、活用実行型が多く活用想定型が少ないことを明らかにした。既習事項明示型とは当該単元または当該授業の学習において活用される既習事項を学習者に提示して行うものである。活用状況設定型とは実際には活用まで行わないが仮に当該の学習内容を活用するとしたらどのような状況が考えられるか学習者に提示するものである。活用場面付加型とは実際に単元の終末の時間に学習内容を活用する活動を行うものである。これを単位時間内に行うものが授業内活用確認型である。関連学習型はたとえば読解学習で習得した文章構成に関する知識を自らの表現活動で使用すると言った「読み書き関連学習」などである。さて、分析の結果他にも教科内活用型が多く、他教科活用型や実生活活用型が少ないことが明らかになった。さらに、技能活用型が単元をまたぐ長いスパンに見られ、内容活用型が単元内などの短いスパンに見られることも明らかにした。これは、いわゆる活用型授業を実践する際の現場の指針になる基礎情報であり、言語活動の充実のあり方に対する示唆でもある。
著者
一二三倫郎
雑誌
胆と膵
巻号頁・発行日
vol.22, pp.91-98, 2001
被引用文献数
23
著者
成田 奈緒子
出版者
文教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、自閉症スペクトラム障害(以下ASD)のアセスメントと支援方法を、医学と教育の連携させた観点から確立するために、まず図形を用いたタスクスイッチ負荷を行った際、ASD児者においては健常者で認められる前頭葉機能の賦活化以外の部位も使って対処している可能性を、高い正解率と相反する前頭葉脳血流量低下で示した。次にヒトの顔写真を刺激とした、同様のタスクで検討した結果、ASD者においてはタスクパフォーマンスに応じた前頭葉脳血流の変化が認められず刺激特異的・個体特異的な脳機能の差異があると考えられた。
著者
成田 啓之
出版者
山梨大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

研究代表者は本研究課題を通して以下の成果を得た。(1)ブタ脈絡叢上皮細胞(CPEC)の一次繊毛プロテオームを解析した。(2)新生児マウスCPECの繊毛の観察によって、この繊毛が出生前後の一時期に運動することを見いだした。(3)運動している時期のCPECには9+0型の一次繊毛に加えて9+0型の繊毛や非典型的な繊毛が混在していることを見いだした。(4) DNAマイクロアレイなどを用いて細胞あたりの繊毛数を規定していると予想される遺伝子群を同定した。
著者
大久保 和彦
巻号頁・発行日
2002-03

Supervisor:林 幸雄
著者
佐藤 年明 児玉 克哉
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

前回科研費研究(2001-2004年度)時には達成できなかった、スウェーデンの基礎学校.高等学校におけるsex och samlevnad(性と人間関係)の授業観察の機会を得ることができ、日本語による授業記録作成と分析を行なうことができた。
著者
石川 達芳 竹内 栄
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.362-368, 1970-12-25

前報では, マツタケの収量と季節的降水量およびマツタケの発生するアカマツ林の土壌の水分状態との間に高い相関関係のあることを報告した。この報告では, 人工灌水することで, マツタケ子実体の収量および林内の微気象が如何に影響を受けるかについて報告する。6基のスプリンクラーを2つの灌水区内に地上3mの高さに設置した。図-1に示されるように1969年8月20日から10月13日の間に, 1区では110.6mm, 2区では53.5mm量の灌水をした。この期間の自然降水量は125.5mmと異常に少なく, 自然降水量と人工灌水量との合計量でも過去10年間の平均降水量より少なかった。表-5に示したとおり, 子実体発生への灌水の効果はかなり顕著であった。すなわち全試験林におけるマツタケ発生本数および生重量は, 豊年であった1968年のそれらの42.6%および27.9%であった。これに対して, 灌水区Iでは本数は95.3%, 生重量は67.3%であり, 灌水区IIでは本数124.2%, 生重量70.5%と本数では豊年並に, 生重量で約70%と著しい増加がみられた。灌水区および対照区における土壌水分の変化を図-1に示した。I区の土壌水分は灌水によって9月16日以後約20%に維持されたが, II区では13〜16%であった。灌水にもかかわらず, 灌水区の土壌水分は豊年時の土壌水分20〜24%(1966〜69年の測定)に比べて少なかった。灌水による気温および地中温度の変化は図4-1〜4-3に示した。灌水に伴って林内気温および地中温度は変化し, 地上1mの気温は4〜6℃ほど, 地中5cmの地温は2℃ほど対照区に比較して低下する。一方地中10cmの地温は, 灌水によって地中5cmの地温に近づくようである。すなわち灌水による冷却効果は, 灌水時の気温・地温と灌水する水温によって左右される。