著者
中島 裕 大坐畠 智 川島 幸之助
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.3, pp.55-58, 2009-04-09

近年,無線LANが安価になり,かつ設置が容易であるため広く普及してきた.これを背景に,無線環境での音声やビデオストリーミングなどのリアルタイムアプリケーションの需要が高まっている.IEEE802.11の通信品質(Quality of Service:QoS)を向上させるための方式としてIEEE802.11eが標準化されている.しかし,この方式ではアプリケーションから過剰なトラヒックが生成された場合,十分なQoSが提供できなくなる.これは,IEEE802.11eがMAC層でトラヒックの発生をスケジューリングするが,トラヒックの発生量を制御しないためである.この問題を解決するためMAC層の無線チャネル占有情報を用いてアプリケーションレベルのトラヒック生成制御を自律的に行う方式を提案する.チャネル占有率はNetwork Allocation Vectorを分析することによって推定し,クロスレイヤ制御によってトラヒックの生成を適切に制御することを可能にする.
著者
松尾 正輝 平田 雄也 Syafei Wahyul Amien 黒崎 正行 黒木 祥光 宮崎 明雄 斉 培恒 尾知 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.202, pp.17-22, 2009-09-17

本報告では,4Kデジタルシネマ画像の無線伝送システムを提案する.本システムでは,次世代無線方式として国際標準化に向けて動き出したIEEE802.11TGac(ac task group)を基本とした伝送速度1.2Gbpsの無線伝送システムを用いる.このシステムは5GHz帯を使用し,80MHzの周波数を用いることで33メートルの伝送距離を実現した.また,ビデオデータをJPEG2000符号化を用いて圧縮し,かつ,誤り耐性機能を持たせることにより,無線伝送での誤りの影響を低減しつつ,1.2Gbpsの伝送速度での伝送を可能としている.シミュレーションにより,本システムの有効性を示し,リアルタイムアプリケーションの実例を示す.
著者
溝端 竜也 森岡 康史 東野 武史 塚本 勝俊 小牧 省三
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.32, no.37, pp.39-44, 2008-09-25

複数のアクセスポイント(AP:Access Point)に接続可能な無線LAN環境においては,負荷が特定のAPに集中し,そのAPに接続する端末の通信品質が劣化するという問題が発生する.これに対し,様々なロードバランシング手法が提案されてきた.ところが,既存の手法では全てのAPが異なる周波数の無線チャネルを使用することを前提とし,各AP間のロードバランシングを行うため,複数のAPが同一チャネルを共有する環境には対応していない.この問題を解決するには,無線チャネルのトラヒックロードに基づくAP選択手法が必要となる.本稿ではチャネル間のロードバランシングを実現するためのAP選択手法を提案し,その効果をシミュレーションにより評価する.
著者
堀内 健介 権藤 俊一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.392, pp.39-44, 2009-01-15

NGNのような使用帯域が保証されたネットワーク環境が整備されていることを背景に,高画質の映像配信サービスとしてIPTVが注目されている.IPTVの視聴には信頼性の高いネットワークが必須要素であることからユーザーの宅内の受信機は有線LAN環境に接続されていることが前提である.一方,今後は無線LANが多用されると想定される.そこで本稿では,無線LAN環境(IEEE802.11g)における,標準化プロトコルを用いたIPTV視聴時のストリーム伝送特性と映像品質への影響を評価・考察する.
著者
小清水 郁 上岡 英史
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.36, pp.27-32, 2009-09-24

本研究では,モバイル端末が無線LANに接続する前にそのネットワーク利用状況を把握し,どの程度のスループットが得られるかを推定する方式について検討する.もし,十分なスループットが得られないと判断した場合は,端末自らネットワークへの接続を辞退し,ネットワーク状況が改善された場合に接続するという,端末の自律的アドミッション制御方式を提案する.本方式によって,ネットワーク全体の利用効率を高めることが可能となり,最終的には各ユーザの満足度を上げることにつながる.本稿では,無線LANパケットの再送率を利用した本方式の実現方法について述べ,フィールド実験によって得られた結果をもとに提案の有効性について報告する.
著者
古川 智章 溝端 竜也 東野 武史 塚本 勝俊 小牧 省三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.380, pp.99-104, 2010-01-14

映像コミュニケーションサービスが発達する今日,その1つとしてモバイルインターネットアクセスを利用したTV電話サービスがある.しかし,無線LANのような無線アクセスでは,無線リソースの逼迫に起因するサービス品質の劣化に対して,品質保証が必要となる.その指標として客観品質評価値があり,TV電話サービスには客観品質評価方法として,ITU-Tで標準化された評価手法G.1070がある.本稿では,背景トラヒックによる無線帯域の逼迫時における,映像トラヒックのパケットロスと客観品質をG.1070を用いて実験的に評価する.また,パケットロスと送信ビデオビットレートのトレードオフ,さらにビデオビットレートとフレームレートの関係に着目して,帯域逼迫時における映像品質を最大化するビデオビットレートとフレームレートの最適値について検討する.
著者
平井 敏之 大坐畠 智 川島 幸之助
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.4, pp.11-16, 2010-04-08

インターネットへのアクセス手段として、IEEE 802.11による無線LANが急速に普及してきた。無線LAN環境下で、TCPとUDPが同時に利用されているとき、それぞれの通信品質を確保する制御方式を提案する。UDPによるリアルタイム通信では、所定の帯域幅を必要とする。ところで、TCPの輻輳制御アルゴリズムとしてよく利用されるTCP Renoは、パケットロスが発生するまでウィンドウサイズを増加させる方式を採用している。そのため、UDP通信(リアルタイム通信)に必要な帯域幅を奪い、リアルタイム通信の品質を低下させる恐れがある。この問題を解決するために、無線LANの利用状況を観測しながら、リアルタイム通信の妨害をしないウィンドウサイズの制御方式を提案する。提案方式をコンピュータシミュレーションにより評価し、UDP通信に必要な帯域幅を確保しながらTCP通信が可能となることを示す。
著者
鈴木 忠二
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.18, no.42, pp.1-5, 1994-07-21

SID'94国際会議は6月12日(日)〜6月17日(金)の6日間,米国 カリフォーニア州サンノゼ市で開催された.参加者数(1450名),発表論文数(238)とも前回のSID'93を上回り,盛況であった.論文発表における日本の貢献度は引続き高レベルであった.会議はMcEner Convention Centerで行われ,5会議室で45セションが円滑に運営された.なお,セミナーおよび展 示会も開催され,4000名の参加者で賜わった.
著者
森田 実穂 上村 博 藤澤 三佳 原田 憲一 土屋 和三 上村 博 藤澤 三佳 原田 憲一 土屋 和三
出版者
京都造形芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

教育、福祉、医療の場における芸術の役割を探求した本研究成果として、学校教育における造形芸術教育環境の悪化がみられ、福祉、医療、精神医療においても、機能回復に重点をおいた造形活動が多い点を調査結果から導出した。それを改善する創造的で能動的、自由な自己表現を可能とする造形教育学習プログラムを、上記分野において、地域の市民への芸術普及活動、環境や自然科学との融合の観点も含めて開発し、実践をおこなった。
著者
松原 哲哉 原田 憲一 椎原 保 中路 正恒 上村 博 水野 哲雄 森田 実穂 曽和 治好 藤村 克裕 坂本 洋三 寺村 幸治
出版者
常磐大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

芸大と過疎地域の連携を目指す研究メンバーと芸大生が、地域の小中高生用の芸術系総合学習プログラムを作成するため、始原的な創造力を持つ「お窯」の制作やその実際的な活用を含む「ものづくり」の実践を京都市右京区の黒田村で展開。この試行をもとに、過疎地域の潜在的な価値を大学生と地元の子ども達が協働し、4種の「お窯」を使って再発見する「お窯プログラム」を開発。
著者
有吉 勇介 市山 俊治
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.25-26, 1996-09-04

近年の情報の氾濫はひどく、最近のWWW等の流行はさらにそれに拍車をかけている。情報フィルタリング技術とはこのような情報の洪水の中から利用者の興味や嗜好に合う情報を見つけ出すための技術である。従来からキーワードや単語出現頻度等を使ったり全文検索を行うContent Based Filtering(以下CBF方式が研究されてきた。しかし、CBFは単語の出現情報に特徴があらわれる技術文書等に向いており、それ以外の情報に対してはフィルタリングの精度が下がるという欠点があった。しかし最近、このような欠点の無いCollaborativeもしくはSocial Informtaion Filtering(以下SIF)と呼ばれる手法が研究されている。例えば[1]ではNetNewsを対象にしたSIFシステムGroup Lensについて、[2]では音楽アルバムを対象としたSIFシステムRingoについて報告している。SIFは興味や嗜好の似た別の利用者が良いと評価した情報を推薦する方式である。SIFでは利用者はシステムから情報の推薦を受けると、その情報の趣味・嗜好に合う・合わないを評価しシステムに返す。一方システムが利用者に情報の推薦をする時は、そのフィードバック評価パターンの似た別の利用者を探し似た利用者が良い評価をしている情報を推薦する。このようにSIFは利用者の情報に対する評価だけを利用するため、次のような特徴がある。
著者
林 哲也 石川 雅一 高野 哲司 安藤 公
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.101, no.4, pp.373-379, 2003-12-17

告知書改訂の主目的の1つ,「体況による危険選択上必要と考えられる告知を漏れなく行っていただくと同時に,不必要と考えられる告知をしなくてもすむようにする」について検証を行った。平成12年6月から平成13年3月の申込み契約(改訂前),平成13年6月から平成14年3月の申込み契約(改訂後)のうち,報状扱のものを選び,「告知出現件数」,「有欠陥件数」および「告知欠陥出現件数」を求め,それより「告知出現率」,「有欠陥率」,「告知寄与率(告知出現中)」および「告知寄与率(有欠陥中)」を計算し,告知書改訂による告知寄与率の変化を解析した。その結果,告知出現率が減少もしくは不変であるにもかかわらず,「告知寄与率(告知出現中)」および「告知寄与率(有欠陥中)」は有意に増加していた。よって,改訂後の告知書には,体況による危険選択上不必要な告知を減らす効果だけでなく,体況上の欠陥を的確に告知させる効果もあることが示唆された。
著者
田口 英樹
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.130-136, 2006 (Released:2006-05-25)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

The chaperonin GroEL is an essential molecular chaperone that assists protein folding in the cell. ATP-dependent conformational change of GroEL leads to the stable binding of cochaperonin GroES, forming a cage-shaped complex that accommodates a substrate protein to complete the folding. After the elucidation of the outline of the molecular mechanism over the last decade, now we are ready to answer the important questions; how GroEL encapsulate the substrate protein? How the substrate protein influences the functional cycle of GroEL? What is the role of ATP hydrolysis in the GroEL-assisted folding? Is the folding in the GroEL-ES cavity is same as that in the bulk solution? Here I review the recent progress on the GroEL study and discuss the essential role of chaperonin GroEL.
著者
田中 章 大澤 啓志 吉沢 麻衣子
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.543-548, 2008-03-31 (Released:2009-05-08)
参考文献数
12
被引用文献数
4 3

Japan's Environmental Impact Assessment Law was enacted in 1997. However, there are still many problems in Japan's ecological impact assessments. Among these problems, we turned our attention to problems stemming from 1. The system of Japan's EIA ; 2. The team of EIAs ; and 3. Technical methodologies. We applied the Habitat Evaluation Procedure for the first time to an EIA in Japan. Through this experience, we reviewed effectiveness of HEP as a solution to the above problems in Japan's EIAs. The proposed project was a residential development in Yokohama. The site was located in one of the largest remaining natural suburban areas in the city,consisting of densely vegetated hills and creeks which provide quality habitats to wildlife including fireflies and brown frogs, selected as evaluation species in this HEP. Some modifications of original HEP were introduced, including technical revision for the fragmented natural area which has a peculiar land use in Japan. As a result, HEP contributed to formation of substantial mitigation measures for habitats conservation through analyses and discussions among HEP team members.
著者
秋田 純一 村上 知倫 戸田 真志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.163, pp.159-164, 2007-07-19

近年のVLSI技術の進歩に伴うコンピュータシステム・ネットワークシステムの進歩により、我々が多くの電子機器を常時身につけて利用する、いわゆる「ウェアラブル・コンピューティング」が現実的となってきた。ウェアラブル・コンピューティングにおいて、身につける機器数が増大するのに伴い、ケーブルのひきまわしと、電源確保という2つの問題が深刻となってきた。著者らはこれまで、我々が普段から着用する衣服に着目し、これを導電性の布によって製作し、それを電力供給と通信に用いることでケーブルのひきまわしと電源確保の問題を根本的に解決するネットワークシステムTextile Netの開発を行ってきた。しかし従来のTextileNetシステムでは通信の信号振幅が大きいため、消費電力の低減と高速化に限界があるという問題があった。本稿では、直流電力供給に小振幅の通信信号を重畳する方式(DC-PLC)に基づくTextileNetの改良形について述べる。このDC-PLC方式の予備的な実験結果と、その結果に基づくトランシーバLSIの設計・評価の結果について述べる。
著者
林 哲也 高野 哲司 石川 雅一 安藤 公
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.100, no.2, pp.205-218, 2002-12-17
被引用文献数
3

平成13年4月に告知書改訂を行い,その効果を検討するために改訂前後の告知項目別出現率について検討した。対象は改訂前報状として平成12年6月から11月まで,改訂後報状として平成13年6月から11月までの報状扱申込契約で,項目別に○の『有』,『無』,『記入もれ』についてそれぞれの出現率を求め解析した。解析集団の特徴として,健証・健診扱の申込数が他社に比べて多く,性年齢別分布では健証・健診扱の女性で全年齢層にわたり改訂後報状で増加していた。告知項目別出現率を選択方法別に比較した結果,項目によって選択方法別の出現傾向が違っていた。また項目によっては改訂後報上での告知出現率の減少を認めた。以上より今回の報状改訂の目的の一部は,項目によっては既に達成されたと考えられる。しかし,さらに詳しい解析を行い,その結果によっては再改訂を行う必要のある項目があることも示唆された。
著者
奥 和義
出版者
山口大学
雑誌
山口經濟學雜誌 (ISSN:05131758)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.571-601, 1995-05-31
著者
香川 敏幸 伊藤 裕一
出版者
広島大学経済学部附属地域経済システム研究センター
雑誌
地域経済研究
巻号頁・発行日
no.13, pp.97-112, 2002-03

本稿は、イギリス・ブレア政権におけるニュー・ディール政策について、特に若年向けの失業者支援政策と地域雇用におけるその新たな役割について先導的な事例から知見を得ることを目的としている。若年向けニュー・ディール政策は、97年総選挙で勝利した労働党が、6ヶ月以上失業している18歳から24歳の男女を対象に、就職活動、再訓練などを支援するために98年から導入した政策で、個人アドバイザーによるきめ細かなサービスを特徴としている。このニュー・ディール政策は地域レベルで実施され、したがってその地域の産業、教育等の機関とのネットワーク作りが重要である。本稿ではロンドンのランベス地区を中心としていくつかの地域のケースを取り上げ、雇用福祉政策がどのような対象にどのような影響を与えているかについて、一定の評価を試みる。結論としては、パートナーシップは形成過程が重要であり、「提携ないし共同関係の疲弊」といったパートナーシップの形成、運営上での問題を避ける必要があることが指摘できる。また、ニュー・ディール政策はマクロ的、長期的な影響を測るには規模が小さく、政策実施からの時期の問題があるが、各個人レベルでみれば、既に好影響が表れているといえる。最後に本稿の今後の展望として、欧州連合(EU)での労働政策の統合過程の中での位置付けを試みる。98年よりEUで導入された「ルクセンブルクプロセス」という欧州雇用戦略に基づく各国の政策協調プロセスでも、イギリスのニュー・ディール政策は積極的にアピールされている。このようにニュー・ディール政策は、欧州における、EU、国家、地域の間でのパートナーシップ形成にも貢献しているといえる。This article attempts to discuss the New Deal Policy of Blair Administration in the United Kingdom. The NDYP is a support for young unemployed people, and its new role in local economy will be focused particularly.The New Deal for Young Unemployed People (NDYP) has been introduced since 1998 by the 'New Labour' government as a result of its victory in 1997 general election. The main aim of the NDYP is to offer unemployed young (18–24) people who are more than 6 months unemployed a support such as job recruitment and retraining. The role of Personal Advisors (PAs) characterises the New Deal policy.The NDYP is delivered in local level; therefore, network making among local industry and education establishments is crucial. This article will examine the cases in Lambeth and in some other areas and will assess how and what targets are affected by social and employment policy. As a conclusion, it is important that partnership is treated as a process of building relationship, and that 'partnership fatigue', i.e. problems in network creation and management should be avoided. It is difficult to assess macroeconomic effects of the NDYP because it concentrates on limited target group and is still new policy from its introduction in 1998. However, the NDYP has brought positive effects to individual participants.This article will attempt to place the NDYP in the context of integration process in the European Union. The NDYP is enthusiastically appealed to the 'Luxembourg Process', which is based on the 'European Employment Strategy' introduced in 1997. In this sense, the NDYP contributes positively to create a partnership among the EU, the member states and local level.
著者
後藤 千穂 徳留 裕子
出版者
名古屋文理大学短期大学部
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.35-40, 2003-05-29

留学生から身体の不調をきくことが多い.その要因として生活習慣の違いや環境の変化に伴うストレス等が考えられる.本研究ではアイルランドのゴールウェイ市の留学生を対象に健康調査を行い,身体不調の実態と生活習慣の変化との関連について検討した.調査協力の得られた留学生は92名(男性24名,女性68名)で,平均年齢25.6歳,平均アイルランド滞在予定期間は13.3週であった.対象者の国籍は,スイス26.1%,日本23.9%,スペイン19.6%の順で多かった.また,滞在形式はホームステイが85.9%と最も多かった.生活習慣の変化をみたところ,飲酒量は「増えた」が42.0%であり,喫煙量は「減った」が37.0%であった.食事量は「増えた」が41.3%で,摂取が増えた食品として「多脂性食品」や「甘い食品」が多く,反対に摂取が減った食品は「野菜」「果物」であった.体調の変化は「悪くなった」が32.6%で,3人に1人が身体の不調を感じていた.また,これらの生活習慣の変化および身体の不調について,国籍・滞在日数による差はみられなかった.生活習慣のうち,身体活動量,飲酒量および食事量と体調の変化との関連をみた.その結果,食事量が「増えたまたは減った」群では,「変化なし」群に比べ,体調が悪くなっており,特に野菜の摂取量が「減った」群では有意に体調が悪くなっていた.また,生活習慣の変化と身体症状数との関連を検討したところ,食事量の「変化なし」群の方が,身体症状も少ないという結果が得られた.以上の結果より,身体の不調の原因として,生活習慣のうち,食事の量,特に野菜摂取の重要性が推察された.
著者
坂口 尚史
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要 ドイツ語学・文学 (ISSN:09117202)
巻号頁・発行日
no.32, pp.115-127, 2001

1993年からスタートした新しいカリキュラムに「地域文化論(1)」「地:域文化論(ID」と称する新設科目が,日吉1,2年生のための人文科学系の科目として入った。法学部が設置し,(1)は春学期(前期),(II)は秋学期(後期)に開講され,それぞれの学期末に定期試験を実施して,学期ごとに2単位となる。しかしゼメスター制度は,法学部の政治学科が中心であるので,政治学科の受講生にだけ9月に春学期の成績が知らされる。法学部法律学科や,経済学部,商学部の受講者についても春学期の成績として出ているのであるが,受講者が成績を確認できるのは,翌年の3月である。 制度上の統一がとれないのが残念であるが,オムニバス形式ではなく,一人の担当者が少なくとも一学期を通じて講義するので,イギリス,アメリカ,フランス,中国,ロシア,スペイン,東欧の七地域の文化論講義を,法学部,経済学部,商学部,医学部の受講者が多数聴講している。ただ,東欧については担当者の都合もあり,途中から開講されなくなった。 筆者は1996年度から「地域文化論」(1)(II)を8学期担当した。法学部ドイツ語部会から最初に小名木栄三郎先生が担当され,深田甫先生が担当された年もある。両先生ともすでに退職されている。ドイツ,オーストリア,スイスのドイッ語圏を視野に入れて,(1)はドイッ文化入門を,(II)は(1)の講義の中から少し具体的に,ある時代,あるテーマをとり出して,それぞれ12回ほどの講義を行う。聴講者は必ずしもドイッ語の履修者ばかりでなく,フランス語,スペイン語,ロシア語などドイツ語以外の外国語を履修している学生も多い。2000年度の秋学期については,受講者数は190名に達し,アメリカ,イギリスに次ぐ大きなクラスとなっている。しかしこれは必ずしも,ドイッ文化に対する受講者の関心の高さを意味しない。講義の主旨を反映して1年生が多く,法学部法律学科42名,政治学科40名,経済学部15名,商学部15名,医学部1名であり,2年生も各部あわせて77名来ている。 講義の主旨というのは,この時間が例えばドイッに関していえば,「30年戦争」がいっの時代にあったのか,「ローレライ」とはいかなる歌か等にっいて全く知らない学生が多くいるという,最近の大学生の現状に端を発して設置されたものである。外国語を学ぶ人が,その国の言葉の背景をなす文化について,外国語の授業では説明されない部分を講義科目で学べるように,また他の外国語をとっている人もドイッ・オーストリアについての知識を得てロマンス語圏の文化と比較できるようにとの目的をもって設置された。さらにそのテーマが日吉2年生の「人文科学特論」につながり,三田へ行って3,4年生のたあに設けられている 「人文科学研究会」に受けっがれるという意図もある。理想どおりにはなかなかいかないとしても,社会科学を中心に学ぶ学生にも,人文科学をできるだけひきっづき研究してもらうための第一段階という役割を担っている。このため法学部では,旧一一般教養科目の中の「人文」,「社会」,「自然科学」という枠づけは保持されているのである。人文科学が3,4年生にまでのばされたかわりに,専門科目が日吉の1,2年生に,以前と比べてかなり降りてきているので,履修する方もうまくバランスをとっていかなければならない。これはかなりの難問である。