著者
木戸川 紀子 田原 弘幸 坂本 繁樹 山本 秀正 本田 亜紀子 田代 泰信 馬場 礼美 井口 茂
雑誌
長崎大学医療技術短期大学部紀要 (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.193-196, 1992-03-31

病院における事故について,リハビリテーションカルテ,看護日誌をもとに調査した. 対象は,昭和63年4月から平成3年11月までに当院に入院した患者,合計673名(男性274名,女性409名)である. 多数回事故を起こしている患者は痴呆を有し,それによる異常行動が原因と思われた. 事故多発時間帯は起床時・消灯時で院内の体制の再検討を示唆するものもあった.事故に伴う傷害で骨折では大腿骨,肋骨,上腕骨と全身的であった. この調査の結果から事故予防策を考えた. ① 移動・移乗能力の評価を厳密にし過大なプログラムを避ける. ② ベッド周囲の環境整備 ③ 事故報告の様式を整える.
著者
菊地 博達
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.35-39, 2006 (Released:2006-01-24)
参考文献数
1

1993年2月から2003年の12月までの期間週1回の頻度で外科系病棟のデイルームで手術室・麻酔教室を術前患者およびその家族を対象に実施してきた. 一般的な麻酔法, 麻酔の危険性・安全性, 患者の手術室入室までの手順を写真などを用いて説明した. 直接語りかけることにより直接患者からの質問に応えられ, 改善すべき問題点などの参考となった. 一方, 聞かれなかったことを含め, 患者自身からの種々の情報提供が必要であることを理解してもらった. 積極的に患者が自分の受ける医療に参加することにより, 患者自身が安全に医療を受けることができるとの啓発活動となった.
著者
清川 清 倉田 義則 大野 浩之
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.24, no.15, pp.55-60, 2000-02-21
参考文献数
10
被引用文献数
1

従来, 複合現実環境を提示するために実環境像と仮想環境像を合成する場合, ビデオ透過型ディスプレイでは実環境の低解像度化や提示遅れが避けられず, 光学透過型ディスプレイでは仮想環境が半透過となり正しく隠蔽関係が表現できないという問題があった.本稿では, 仮想環境の各画素に対応する実環境の光線を任意に遮蔽するために透過型の液晶パネルを用いることにより, 実物体と仮想物体の自在な隠蔽関係の提示を可能とする新しい光学透過型ディスプレイを提案する.
著者
小松 洋治 益子 良太 土田 幸広 柴田 智行 伊藤 政美 目黒 琴生 小林 栄喜 吉澤 卓 能勢 忠男
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.10, pp.654-659, 2001-10-20
被引用文献数
6

ウイリス動脈輪前半部未破裂脳動脈瘤クリッピンク手術の認知機能への影響および予後因子を, 連続40症例についてprospectiveに検討した.術前, 術後3カ月にMMSE, 仮名拾いテストを行い, 各検査単独, および総合評価である浜松方式簡易痴呆診断スケールにより認知機能を評価した.認知機能は多くの症例で温存されたが, 継続的障害が2.5〜5.0%に, 一過性障害が7, 5%にみられた.継続的障害に関与する危険因子はみられなかった.一過性障害を含めた検討では, 70歳以上の高齢が有意な因子であった.術前の浜松式非正常, 仮名拾いテスト不合格, 虚血性脳血管障害合併の3因子は, 予後との関連が示唆された.未破裂脳動脈瘤手術成績は, 認知機能の観点からは良好であるるが, 高齢者, 虚血性脳血管障害合併症例, 前頭葉機能低下例では, より慎重な対応が必要である.
著者
三谷 一裕
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.235-240, 1996-08-25
被引用文献数
7
著者
橋本 健一
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲. ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1-8, 2002-03-25
被引用文献数
3

1. モンシロチョウPieris rapae crucivora Boisduvalの沖縄県石垣島個体群(24°20′N)における蛹休眠誘起の光周反応, 幼虫期および蛹期の発育速度と発育零点, 休眠蛹の蛹期間について調べた.2. 15℃での臨界日長は約11時間10分であると推定された.しかし, 20℃では, 明期8時間・暗期16時間(以下, LD8 : 16), LD10 : 14でも, 休眠率は前者で, 21%, 後者で, 20%であり, LD12 : 12, LD14 : 10では休眠蛹は生じなかった.25℃では, LD8 : 16∿LD14 : 10の範囲では非休眠蛹のみを生じた.3. 幼虫期および蛹期の発育速度(V)と温度(T℃)との関係は, 幼虫期がV=0.0053T-0.0453(r=0.99), 蛹期がV=0.0088T-0.0747(r=0.99)の回帰直線式で示され, 幼虫期および蛹期の発育零点はともに8.5℃であった.4. 20℃・LD10 : 14で得られた休眠蛹の蛹期間は, 20℃・全暗で57.9±11.4日(平均値±標準偏差)であった.20℃・LD8 : 16で得られた休眠蛹の中には蛹期間が100日以上の個体もあったので, 休眠の深さの個体変異は大きいと思われた.5. 石垣島個体群の休眠の誘起は, 20℃で抑制される傾向にあり, 25℃では完全に抑制された.また, 休眠蛹の蛹期間は東京個体群と比べて短かった.このような特性は, 最寒月でも発育零点以上の温量が得られる同地の気候条件への適応と考えられる.
著者
岡田 淳子 深井 喜代子 オカダ ジュンコ フカイ キヨコ
出版者
日本赤十字広島看護大学
雑誌
日本赤十字広島看護大学紀要 (ISSN:13465945)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.21-27, 2006

本研究の目的は、入院患者の手指汚染の実態を明らかにし、効果的な手指清潔ケアの方法を検討することである。研究対象は活動制限のある患者9名(活動制限群)と制限のない患者7名(自立群)とした。患者の生活時間を睡眠、午前、昼食、午後の4つに区分し、各区分開始前に手指消毒を実施し、区分終了時点の起床時、11時、昼食後、16時の計4回、手型寒天培地に患者の手掌付着菌を採取した。検体は37℃で24時間培養し、細菌コロニー数と菌種を調べた。その結果、活動制限群5名と自立群4名から黄色ブドウ球菌が検出された。両群とも起床時と昼食後にコロニー数が有意に増加していた。また、全区分において自立群より活動制限群の方が手指汚染の程度が高い傾向にあった。以上のことから、入院患者の手指清潔を強化する必要のあること(特に昼食後)、また、ベッド上生活で自ら手洗いができない活動制限のある患者の効果的な手指清潔ケアの方法を今後検討していく必要のあることが示唆された。
著者
新田 勍 関根 創太
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
気象集誌 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.627-641, 1994-10-25
被引用文献数
18

静止気象衛星「ひまわり」による3時間間隔、9年間のT_<BB>データを用いて、熱帯西部太平洋域の対流活動の日変化の解析を行った。対流活動の大きな日変化がインドシナ半島、チベット高原、北オーストラリア、海洋大陸域等の大陸や大きな島及びその周辺海域に存在する。また、ベンガル湾と南シナ海にも大きな日変化が存在する。一方、海洋大陸域ほど大きくはないが、熱帯収束帯(ITCZ)と南太平洋収束帯(SPCZ)にも日変化が見られる。日変化の特徴は季節によって変化し、対流活動が活発な季節に日変化の振幅も増大する。大陸上及び大きな島の上では、対流活動は午後遅くから夜にかけてピークに達するが、これは日中の地表からの加熱によるものと思われる。一方、大きな島の周辺海域では、対流活動のピークは一般に午前中に現れる。このような周辺海域の対流活動の日変化は、海陸風循環と大規模な一般風との相互作用によって作られているものと思われる。ベンガル湾の北端海域の対流活動は夏のインドモンスーン期に大きな日変化を示し、午後に対流活動のピークが現れる。南シナ海の対流活動の日変化は夏から秋にかけて顕著になり、正午頃ピークになる。ITCZとSPCZの対流活動は一般に午前に最盛期に達するが、午後にもう一度活発になる。フーリエ解析の結果、ITCZやSPCZ上には半日周期の変動が存在し、3-4地方時と15-16地方時に対流活動が最大となることがわかった。
著者
三好 憲一 松元 淳志 上杉 充
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.437, pp.13-18, 2001-11-13
被引用文献数
107

本報告では, OFDMにCDMAを適用したOFCDMにおける時間軸方向拡散について検討し, 計算機シミュレーションによる評価結果を報告する.OFDMとCDMAを組み合わせた従来のMC-CDMA方式では周波数方向に拡散を行うことで周波数ダイバーシチ効果を得ることができるが, 16QAM等の多値変調を使用する場合には周波数選択性フェージングの影響により符号間干渉が増大して特性が劣化する.提案方式では、拡散コード間の符号間干渉を低減することを目的として, 時間軸方向に拡散を行う構成をとる.コンピュータシミュレーションの結果, 時間軸方向に拡散を行うことで, 受信性能を向上させることが可能であることを示した.
著者
前田 裕文
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.125-128, 1986-03-15

わが国における少年非行は,昭和26年をピークとする第1の波,39年をピークとする第2の波,そして現在は第3の波である。この第3の波は,非行事実の量,質ともに最高を記録した。今日の非行には,いくつかの特色があり,本研究はそのなかの初発型非行について着目したものである。初発型非行は,今日の非行の約3分の2を占めるといわれ,その動機は単純で,内容はささいであるが,そのままにしておけば重大な犯罪につながる可能性の高い非行形態である。本研究は,昭和56年度に旭川地方でみられた少年非行( 193件)を調査し,その概略をつかんだ。さらに,そのなかから初発型非行と考えられ,資料が豊富な5人の児童から事例研究によって個人の内面にせまり,少年非行対策のひとつの手がかりを見出すことを意図し,研究をすすめた。その結果,旭川地方における非行は,中心都市である旭川市に集中し,万引・自転車盗・不良交遊など典型的な初発型非行が多く,また一過性のものであった。非行年齢は,13歳と14歳に集中し,中学生によるものが非常に多かった。非行要因はさまざまであるが,欠損家庭,共働きによる母親不在,監護教育の欠如などの家庭での問題,学業不振,児童・生徒と教師間の相互障害状況などの学校での問題,情報化社会,非行文化の氾濫などの社会での問題が考えられた。以上から,旭川地方の家庭,学校,地域総ぐるみの非行対応策が望まれる。