著者
武蔵 博文 高畑 庄蔵
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.493-503, 2003-01-30
被引用文献数
2

対象生徒は重度知的障害であり、日常生活で乱暴な言葉・大声等の問題行動を頻発していた。そこで、positive behavioral supportモデルによりアセスメントを行い、問題行動に代替するより望ましい行動に注目する支援目標を設定した。支援ツール「ほめたよ日記」による他者記録・自己確認手続きを学校と家庭で実行した。そのうえで、状況に合わせた支援手続きを段階的に導入・移行した。支援計画は4期にわたった。保護者の記録、学校・家庭での問題行動の観察、保護者の主観的評価を指標とした。対象生徒の問題行動は低減し、記録行動は学校卒業後も1年にわたり継続した。家庭で受け入れ可能な支援手続きのあり方、家庭での問題行動を低減するまでの支援について論じた。
著者
矢口 孝次郎
出版者
社会経済史学会
雑誌
社會經濟史學 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.78-90, 1950-04-15
著者
田村 裕子 宇根 正志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.16, pp.363-368, 2007-03-02

わが国では、CD/ATM 端末における金融取引等において、顧客の本人確認手段の1つとして生体認証技術を利用する動きが広がっている。ただし、現時点では生体認証システムのセキュリティ評価手法が確立しておらず、生体認証システムを利用する際には、関連する標準規格の審議動向や研究開発動向を十分にフォローしておく必要がある。本稿では、金融分野で用いられる生体認証システムに関連する4つの文献を参照し、それらに記述されているセキュリティ要件を整理する。また、研究開発の現状を踏まえ、各要件をどのように満足させるかについて考察する。In Japan, the use of biometric authentication techniques has spread as one of measures for customers authentication in financial transactions such as those at CD/ATM terminals. However, security evaluation methods for biometric authentication systems have not been established yet. In making use of such systems, financial institutions have to follow international standardization activities and recent R&D trends regarding the security of the biometric authentication techniques. In this paper, we will refer to four documents relating to the security of biometric authentication systems used for financial services and summarize the security requirements for such systems. Then, we will discuss how to meet the security requirements by taking into account the recent R&D trends of the biometric authentication techniques.
著者
岡本 隆司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, pp.576-577, 1997-03-06

個人消費者がネットワークを通じて購買を行うという、企業と消費者間の電子商取引 (EC) を実現するため、通商産業省により平成7年度1次補正予算から総額100億円が充当され、現在、エレクトロニック・コマース推進事業として公募された19の実証実験等のプロジェクトが進められている。これらのプロジェクトは全体で350社以上の企業、50万人以上の消費者が参加する巨大なテストベッドとなっている。電子商取引実証推進協議会 (EC協議会: ECOM) は、平成8年1月の設立以来、これらプロジェクトの連携調整を図ると共に、ECに関わる技術的、制度的課題の検討、国際的な連携、協力を進め、EC実現のための共通基盤 (プラットフォーム) の形成を目指して活発な活動を展開している。本講演では、これら実証実験の動向と各種の課題について述べる。
著者
稲垣 忠 嶺岸 正勝 佐藤 靖泰
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.109-112, 2008
被引用文献数
2

児童が自分の考えを説明する場面において,電子黒板はどのような影響を与えるのだろうか.本研究では,小学校高学年算数科「分数の掛け算と割り算」単元の授業実践において,電子黒板を利用した説明場面を対象に,質問紙調査,ビデオ記録,児童・教師へのインタビュー調査を実施した.その結果,電子黒板を用いることで書きながら説明する行動が観察され,聞き手は口頭での説明と比べ,より話者の考えを理解し,自分の考えと比較しやすいこと,また,手立てとして,画面上に配布資料と同じものを提示することが,書きこみや説明のしやすさをもたらすことが明らかになった.
著者
澤田 真明
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.36, no.12, pp.1086-1098, 1994

近年,経営環境の不確実性が増す中,日本企業における戦略的研究開発マネジメントの重要性に対する認識の高まりを検証し,日本の民間における研究開発を担う代表的な製造業各社が,研究開発活動を効果的,効率的に運営するためにどのように努力し,どのような問題意識を持っているのかを明らかにすることを目的とし,1991年12月,年間の研究開発費が100億円以上の企業149社を対象に,研究開発マネジメント全般にわたるアンケート調査を実施した。本稿では,このおもな回答結果を紹介するとともに,それらを基に,創造性を高め,研究開発の包括的な生産性を向上させる研究開発体制についての一考察を提案した。
著者
繁田 脩 鏡 慎吾 橋本 浩一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.43, pp.13-18, 2008-05-15

本研究では,カメラが得た運動情報と,加速度センサが得た情報との時間相関に基づいて,視野内の複数の運動物体の中から加速度センサを有する物体を識別するための技術を提案する.カメラと加速度センサの間には未知の時間遅れが存在するので,この時間遅れを考慮したうえで対応付けを求めるため,正規化相互相関を利用する.また,加速度センサの座標系が未知であるので,カメラから得られる運動情報に重力加速度の成分を加え,さらに座標系に依存しない値である加速度のノルムを用いて対応付けを行う.実験により,3人の歩行者の中からセンサを持つ人を識別できること,3人の手の動きの中からセンサを握った手を識別できることを示した.
著者
太田 睦 大網 亮磨
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.1162-1171, 1996-08-20
被引用文献数
47 2

ロスレス(可逆)DCT符号化方式を提案する.まず, DCT基底を整数化し, その場合の変換点構造を解析することで可逆量子化を導入した.8×8のDCTについて, この方式でロスレス符号化する方式について述べ, シミュレーションで基本性能を確認した.この方式は, 画質劣化を嫌う放送局での1次伝送等に用いることができる.さらに, DCTを用いた既存の標準方式と互換性のあるロスレス方式の可能性がある.
著者
横矢 直和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1667-1675, 1993-08-25
被引用文献数
34

3次元シーンの理解には距離情報が不可欠であり,さまざまな距離測定法が考えられているが,最も汎用的で対象に何ら影響を与えない受動的手法に両眼ステレオ法がある.両眼ステレオでは対応点探索が問題であり,一般に画像上での明るさの変化点等の特徴点でしか距離が求まらない.このため,密な距離マップを得るためには後処理として曲面再構成処理が必要で,その場合にはオクルージョンや不連続部の検出が問題となる.本論文では,ステレオ画像から不連続を保存しながら直接,対象の密な距離マップを生成する手法について述べている.対応点間での特徴の類以度を評価する項と画像内での視差の区分的連続性を表す制約条件から,ステレオ対応問題を視差に関するエネルギー汎関数の最小化問題として定式化し,弛緩法によって,不連続部を保存しながら反復的に密な視差マップを計算する.視差推定過程でエネルギーの局所最小点に陥るのを回避するための簡易的な手法として,ピラミッド型ステレオ画像を用いた接続法を採用している.
著者
加賀美 雅弘
出版者
The Japanese Society of Health and Human Ecology
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.273-280, 1989

There are various regional elements which relate to the health condition of inhabitants. The purpose of the study is to show the military conscription data for the systematic elucidation of such relationships. The records of the physical examination taken in 1910 for the conscription of twenty-year-old male in the Austrian monarchy have been used. For each examinee, besides a success or failure of the conscription, names of diseases as reason for failure, occupation, stature and mother tongue (German or Italian) are recorded. A total of 4, 790 persons, 1, 661 persons in the South Tyrol and 3, 129 in Trentino in the Northern Italy has been analyzed for comparison of the health condition between these two regions which have the distinct regional characters. As a result of the analysis, it was clarified that the percentage of failures in Trentino was much more than that in the South Tyrol . In regard to the regional variation of diseases, skin diseases and diseases of thyroid gland are relatively dominant in rural and mountainous regions in Trentino, which can mean endemic pellagra and goiter prevalent in the region in the early 20th century. Furthermore, using the military conscription data the complicate relationships between disease and regional elements, i.e. physical and socio-economic elements, in Trentino could be described qualitatively .
著者
久保田 尚浩 山根 康史 鳥生 幸司
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.467-472, 2002-07-15
被引用文献数
1 4

ブドウ'マスカット・オブ・アレキサンドリア'および'巨峰'の1芽に調整した挿し穂を用いて, 休眠打破に及ぼす数種アリウム属植物のペーストおよび揮発性物質の影響を調査した.5種のアリウム属植物(ニンニク, ニラ, ラッキョウ, タマネギ, ネギ)のペーストを挿し穂の切り口に塗布したところ, 発芽は促されなかった.しかし, 揮発性物質の気浴処理では発芽が促進され, その程度は黄ニラで最も大きく, 次いでニラ, ラッキョウ, ニンニクおよびタマネギの順であった.これら植物の揮発性物質の休眠打破効果は, ニンニク中の休眠打破有効成分である2硫化ジアリルや3硫化ジアリルよりも小さかった.ニンニク, 黄ニラおよびラッキョウを煮沸し, それらの揮発性物質で気浴処理したところ, 発芽は促進されなかった.挿し穂をニンニク, 黄ニラおよびラッキョウの揮発性物質で12時間あるいは24時間気浴処理したところ, 市販のガーリックオイルの揮発性物質と同程度に発芽が促進された.挿し穂をニンニクおよび黄ニラの揮発性物質で, 温度を変えて24時間気浴処理したところ, ニンニクでは高温条件で発芽が促されたが, 黄ニラでは温度の影響は認められなかった.以上のことから, ニラとラッキョウはブドウの芽の休眠打破に有効であること, 休眠打破に有効な物質はニンニクと同様に揮発性であることが明らかとなった.
著者
渡辺 公三
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.492-504, 2000-03-30

近代人類学の始まりとして1859年におけるパリおよびロンドンでの学会創立の日付がしばしばあげられる。パリ人類学会の中心的な創立者ポール・ブロカは創立直後におこなった「フランスの民族学的研究」という基調報告をケルトやキムリスなどのraceがフランスのnationを構成することの論証にあてている。国民の人種構成を論証するために使われたデータは, 当時ほぼ唯一の全国的な統計資料だった徴兵検査資料, とりわけ身長統計である。身長という粗雑な特徴に満足していたわけではないブロカは, この報告の後, 晩年まで人種的差異の実証的根拠づけに多くの力を注ぐことになった。その後ブロカの洗練した身体計測技法は, ブロカの不肖の弟子でもあったパリ警視庁に勤務するベルティヨンによって意外な用途を発見された。身体の各部分のサイズが全く同じ成人は稀であり, 身体各部の正確な計測値を一定のしかたで分類のエントリーとして使うことで, 名前にも顔にも頼る事なく個体を個体として同定できるというわけである。この着想は軽犯罪の急増に悩む世紀末フランス市民社会にきわめて有効な身元確認技術を提供することになった。ここには国民国家の根幹をなす軍隊の人員管理技術の整備とともに, 人類学的な国民の人種的同一性確定手法が洗練されてゆき, その手法が警察の犯罪者同定技術として利用されていったという過程があったことが示されている。統治技術から人類学へ, そしてまた人類学から統治技術へという人目にはつきにくい知の技法の往還が見出されるといえよう。この小論ではフランスにおける, 今世紀初頭までのパリ人類学会の動向を, 軍および徴兵制との関係を中心に簡単に検討し, とりわけ徴兵制の変化が, 人類学会で一定の学問的な言説としてどのように議論されていたかについて検討する。それがどのような問題構成の枠のなかでおこなわれ, 人類学固有の問題としてどう受け止められていたのか, そしてそこにわれわれは19世紀人類学のどのような存立条件を見極められるのかを見ていくことにしたい。