著者
柴田 克己
出版者
日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.369-382, 1996-08-25
参考文献数
24
被引用文献数
8

Vitamin niacin is biosynthesized from an essential amino acid tryptophan and one defines it as the conversion ratio of tryptophan to niacin. As a lot of tryptophan exists in the body, the pathway is very important because niacin can be efficiently supplied even when the body emergently needs niacin. Therefore, it is very important to know factors affecting the conversion ratio of tryptophan to niacin. The conversion ratio is calculated by the comparison of (sum of the urinary excretion of nicotinamide and its metabolites, N^1-methylnicotinamide, N^1-methyl-2-pyridone-5-carboxamide, and N^1-methyl-4-pyridone-3-carboxamide (mol/day) /tryptophan intake (mol/day). The conversion ratio is decreased with increasing with dietary protein levels when diets contain sufficient of protein, while, when rats are fed with low protein and tryptophan-limiting diets, the conversion ratio is the lowest. In the effects of fat, feeding diets containing unsaturated fatty acids increased the conversion ratio, while feeding diets containing saturated fatty acids did not affect. In the effects of carbohydrate, the conversion ratio was higher in diets containing starch than in diets containing sucrose.
著者
菅井 榮松
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京帝國大學航空研究所報告
巻号頁・発行日
vol.17, no.227, pp.425-459, 1942-04

過渡的外力による彈性翼の撓み振動に就いて考察を試みた.演算子法を用ひることによつて,靜的撓みを表す式と,過渡的外力によつて誘起されるn次振動の振幅を表す式との關係が容易に求められる.即ち,重心に相對的な,翼の任意の點に於ける撓み振動は一般に[numerical formula]の如き式で表されるのであるが,茲に本式中のT_n(t)を總て恒等的に1とおいて得られる量[numerical formula]は,過渡的外力の時間的に最大な値が靜的に加へられた場合の靜的撓みとなる.過渡的外力に依つて起る高次振動の最大撓みに及ぼす影響はこの無限級數の收斂性を吟味することによつて確かめられる.S_n(x)は振動のn次のモードに對應するものであるが集中質量がある爲に直交性を有しない.撓みのモーメント及び剪斷力に關しても類似の關係が存在する.吾々は先づ短時間に働く外力としてf(t)=csinωt(0≦ωt≦π),[numerical formula](-∞<t<∞)及びf(t)=t/k(0≦t≦k),(2k-t)/k(k≦t≦2k)なる3個の型を選び,その各々の場合に就いて上記のT_n(t)の性質を調べ,特にT_n(t)の最大値と外力の持續時間との關係を圖示して置いた.T_n(t)のとる時間的の最大値は外力の持續時間に依つて大いに左右されるものなることがわかる.例へば,外力の型がf(t)=csinωt(0≦ωt≦π)なる場合には,持續時間に關するパラメターωが小,從つて衝撃が極めて緩慢で靜的荷重と殆ど變らぬ間はT_n(t)の最大値は1なる値を有するが,n次の固有振動數ν_nとωとの關係がほぼω=0.62ν_nに在る時T_n(t)は最大の値1.77をとり,更に衝撃が急激となりωが大となるに從ひT_n(t)の最大値は零に近づく.他の型を有する外力に就いても同樣な性質が見られる.[numerical formula](-∞<t<∞)の時はkν_n=1.7に於いてT_n(t)は最大値1.61をとり,f(t)=t/k(0≦t≦k),(2k-t)/k(k≦t≦2k)の場合はkν_n=2.8に於いてT_n(t)の最大値は1.52となる.以上は加へられた外力の最大値を一定に保ちつつ持續時間を變へて行つた場合であるが,外力の力積を一定として考察する時は,衝撃が急激となるに從ひ振動の式は力積に比例する一定の形に近づき,其と同時に高次振動の影響が段々著しくなつて來ることがわかる.又,同じ型の衝撃が週期的に働く場合に就いても簡單な考察を加へた.相隣れる衝撃の時間的間隔をkとすればsinkν_n=0なる關係が成立する時,強制振動の共鳴に似た現象が現れる.演算子法を用ひることにより,個々の衝撃力の最大値が幾何級數的に増大又は減少する樣な場合に於ける振動の式も比較的容易に導くことが出來た.次に,垂直突風によつて生ずる翼の撓み振動を取扱つた.其際吾々は,W. R. Searsに依つて與へられた二次元理論に基づく揚力變化の嚴密な式[numerical formula]を簡単で近似的な式[numerical formula]に置換へて計算を行つた.ここに,ρaは空氣密度,Uは翼に相對的な風速,Vは突風の速度,2cは翼弦長,tは時間,K_0及びK_1は第二種の變形ベツセル凾數である.正確な式と近似式との値の相違は,原點の近傍を除いてはほぼ1%の程度である.突風に依つて起る翼の上下運動から生ずる揚力變化は翼幅に沿うて一樣なものと假定し,見掛けの質量とワグナー凾數とを考慮に入れて,先の場合と同樣にT_n(s)の性質を調べた.sはUt/cである.この場合T_n(s)は,2πρacUVなる力が單位翼幅毎に靜的に加へられた時恒等的に1なる値を有する量である.機體の運動から生ずる揚力の減少は機體と翼との質量の比1+a,翼密度ρ/(4c^2)及び空氣密度ρaを含む單一のパラメターδ=πc^2ρa/(ρ(1+a))に依つて決定されるが,T_n(s)の最大値はこのパラメターの同一の値の下では還元振動數cν/Uが大なる程小となる.例へばδ=0.005に對してはcν/Uが0.5,1.0,1.5となるに從つてT_n(s)は1.34,1.24,1.17となる.この結果は,若し高次振動の影響がないものと假定すれば突風に依つて起る翼の最大の撓みは夫々の場合に應じて,翼が單位翼幅毎に2πρacUVなる靜的荷重に依る撓みの1.34,1.24,1.17倍なることを示して居る.又,同一の還元振動數の下ではδの大となるに從つてT_n(s)の最大値は減少してゆく.而もその減少する量は,揚力の時間的變化と振動の位相との關係から生ずる若干の偏倚を除けば,風速U,Vにはほぼ無關係に,單にパラメターの二つの値δ_1,δ_2のみによつて定まる.吾々の計算ではδ_1=0.000とδ_1=0.010との間ではT_n(s)の最大値は20%以上の減少が見られた.最後に,[numerical formula]の收斂性を問題とした.翼の模型として中央に單一な集中質量を有するものをとる場合には最大撓みを知るには第一次の項のみで事實上充分である.双發機の如く集中質量が中央以外に更に左右に一個づつ存在する場合には第二次の項を無視することは出來ない.撓みのモーメント及び剪斷力の計算に於いては第二次の項が一層重要なものとなる.この場合には,[numerical formula]の收斂が緩慢である結果として,翼の或個所では,衝撃に依つて生ずる例へば最大の撓みモーメントが,衝撃力の時間的に最大の値に等しい荷重が靜的に加へられた際のモーメントの2倍を超えることが有り得ることになる.以上吾々は,着陸の際や突風を受けた場合の如き過渡的外力に依る彈性翼の振動を考察し,夫々の場合に於ける外力の條件に應じて,翼幅の各點に於ける最大の撓み,其モーメント乃至は剪斷力の大いさと靜的撓み,其モーメント,剪斷力との各々の比をば高次振動の影響をも考慮しつゝ,之を定量的に導いた.
著者
井手 一郎 山本 晃司 浜田 玲子 田中 英彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.1543-1551, 1999-10-25
参考文献数
24
被引用文献数
42

増大する量への対応及び利用価値の点から,ニュース映像への自動的索引付けの実現が期待されている.これを受けて様々な手法が提案され,なかでも映像に付随する言語情報を利用したものが活発に研究され,既に実用化の域に達しているものも存在する.しかし,それらの多くは言語情報主導であり,映像データベースにとって重要であるはずの,索引 (キーワード) と画像内容の一致を考慮したものは少ない.そこで本論文では,このような問題点を踏まえ,画像的に類似した映像は類似した内容を含む,というニュース映像特有の性質を利用し,画像的に典型的な映像に対し,内容を反映した語義をもつ字幕を選択的に付与する自動的索引付け手法を提案し,その有効性を評価する.提案手法を実際のニュース映像に適用したところ,いずれかの典型的映像に分類されたもののうち,全体の25&sim;93%,必要な情報が字幕に存在して索引付け可能であったもののうちの75&sim;100%に対して索引付けに成功し,一定の有効性を示した.
著者
田辺 靖貴 塙 敏博 天野 英晴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.6, pp.1428-1444, 2007-06-01
参考文献数
9

詳細な性能解析,事前性能予測などを目的に,マルチプロセッサシステムを含めたコンピュータシステムのシミュレータを構築する際に利用可能なスーパスカラプロセッサのシミュレーションモデルとしてISIS-SimpleScalarを開発した.ISIS-SimpleScalarは,シミュレータ構築をサポートするライブラリとして利用可能で,マルチプロセッサシステムでの利用に対応し,スーパスカラプロセッサの動作を詳細にシミュレーション可能なプロセッサモデルである.ISIS-SimpleScalarは,SimpleScalarのsim-outorderモデルを元に開発を行ったが,命令のシミュレーション方法や,共有メモリアクセス要求を外部へ発行するようにしたりといったような変更が必要であった.評価,検証を通し,実装されたプロセッサモデルは,動作速度が低速ではあるものの,スーパスカラプロセッサの動作を反映しつつマルチプロセッサシステムをシミュレーションすることが可能で,シミュレータ構築時の実装コストを低減させられることも示す.
著者
中田 尚 津邑 公暁 中島 浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌. コンピューティングシステム (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.98-109, 2005-08-15
被引用文献数
3

集積回路技術の進歩にともない, マイクロプロセッサの構造は高度化・複雑化している.このような高度なマイクロプロセッサの研究・開発や, それを組み込んだ機器のハードウェア・ソフトウェア協調設計においては, その機能・性能を検証するためのcycle accurateなシミュレータが不可欠である.しかし, 現状のシミュレータは一般に低速であり, 開発の効率化の障害となっている.これに対して, スケジューリング計算の高速化によりシミュレータの高速化が提案され, 効果をあげている.一方で, スケジューリング計算が高速化することにより, 命令エミュレーションの実行時間がシミュレーション時間全体に占める割合が相対的に大きくなっており, シミュレーションのさらなる高速化のためには, 命令エミュレーションの高速化が課題となっている.本論文では, 個々のワークロードに対して最適化されたシミュレータを生成することにより, 命令エミュレーションの高速化を図る.これにより, 可搬性を損なうことなくバイナリ変換を適用した場合と同等の高速化を達成することができる.SPEC CPU95ベンチマークを用いて評価を行った結果, SimpleScalarのsim-fastに対して, 最大34倍, 平均19倍のシミュレーション速度の向上が確認できた.
著者
中田 尚 津邑 公暁 中島 浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 計算機アーキテクチャ研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.80, pp.97-102, 2005-08-03
被引用文献数
1

高度なマイクロプロセッサの研究・開発や, それを組み込んだ機器のハードウェア・ソフトウェア協調設計においては, その機能・性能を検証するためのcycle accurateなシミュレータが不可欠である.しかし, 既存のシミュレータは一般に低速であり, 開発の効率化の障害となっている.これに対して, スケジューリング計算の高速化や命令エミュレーションの高速化が提案され, 効果を上げている.一方, これらの実行時間短縮により, キャッシュシミュレーションの実行時間の割合が相対的に大きくなり, その短縮がシミュレーションのさらなる高速化のための課題となっている.本論文では, 個々のキャッシュに対して最適化されたシミュレータを生成することにより, キャッシュシミュレーションの高速化を図る.SPEC CPU95ベンチマークを用いて評価を行った結果, SimpleScalarのsim-cacheに対して, 最大14.1倍, 平均8.3倍のシミュレーション速度の向上が確認できた.
著者
吉瀬 謙二 片桐 孝洋 本多 弘樹 弓場 敏嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.143-154, 2005-02-01
参考文献数
16
被引用文献数
9

本論文では, 機能レベルのプロセッサシミュレータであるSimCore/Alpha Functional Simulator Version 2.0 (SimCore Version 2.0)の設計と実装について述べる.SimCore Version 2.0の主な特徴は次のとおり.(1)機能レベルシミュレータとして豊富な機能を提供する.(2)C++で記述して, 2, 800行というコンパクトな実装により実現する.(3)プログラムローダの機能を分離する.(4)グローバル変数を排除して可読性と機能の向上を図る.(5)動作検証機能を提供する.(6)多くのプラットホームに対応する.(7)同様の機能を提供するSimpleScalarツールセットのsim-fastと比較して19%の高速化を達成する.
著者
関根暉彬
雑誌
Biotherapy
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1606-1613, 1990
被引用文献数
4