著者
青木 和麻呂 太田 和夫 荒木 志帆 松井 充
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ
巻号頁・発行日
vol.94, no.56, pp.47-60, 1994-05-20
被引用文献数
2

線形解読法をFEAL-8に適用した場合の安全性評価の実験結果を報告する。線形解読法では1)偏差率の大きい線形表現を見つれること、2)解読の計算量と記憶容量を計算機実験可能な範囲におさまるように実効ビット数を押えること、が重要である。従来知られているBihamの線形表現(偏差率は2^-11>)より大きい偏差率(1.149×2^-8>)の7段線形表現を発現し、線形表現における鍵ビット、テキストビットの影響を注意深く観測することで実効ビット数を削減して、FEAL-8に対する線形攻撃法をワークステーションで実装可能にした。計算機実験(SPARCstation 10 Model 30)を行なったところ、既知平文数2^25>個では1時間程度で70%以上、2^26>個では1時間強でほぼ100%の成功率ですべての拡大鍵を導けることを確認した。
著者
佐藤 清 豊嶋 久道 有山 一弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.78, no.9, pp.1226-1230, 1995-09-25
参考文献数
4
被引用文献数
2

中国人の剰余定理を実現する高速ハードウェアアルゴリズムを提案したものである.剰余生成部においてけた上げ保存加算器を利用することにより,ビット幅の大きいけた上げ伝搬加算器の使用を1段ですませることができる.
著者
Galescu Lucian
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.108, pp.37-42, 2002-05-24
参考文献数
19
被引用文献数
2

現在の音声認識は認識対象語彙がそのドメインに頻出するものに限定されている。しかしながら、未知語の存在は不可避である。多くの場合、未知語は意味的に重要であるため、最近ではこれを検出したり分離するばかりか、その自動書き下しを目指した研究が活発化している。しかし、タスクが非常に限定された場合ですら未だ成功はおぼつかない。本報告では、発音とその音韻表記の対応関係に注目した未知語の副次的なモデリングによる語彙制約なし音声認識の新たなアプローチを提示するとともに、これを大語彙音声認識タスクに適用した結果、良好な結果が得られたので報告する(文責:担当幹事)。
著者
太田 富雄 KUROIWA Toshihiko KAJIMOTO Yoshinaga
出版者
日本脳神経外科学会
雑誌
Neurologia medico-chirurgica (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.548-550, 1999-07-15
参考文献数
11
被引用文献数
2 6

Flushingとdroppingの機能を備え、さらにjet irrigationも可能な、volume-limited bipolar diathemy forcepsを新しく開発した。Bipolarのfoot switchに同期して作動するroller pumpによって洗浄液が送られ、bipolar両側の先端部から流出する。作動開始時にはflushing機能が働き、これにより出血点が確認できる。直後にdropping機能だけとなり、これにより先端部の焦げ付きを押さえ、そして熱による周囲組織の傷害を防ぐことができる。さらにjet irrigationにより、血腫やdebrisの洗い流しも可能である。これらの選択は、本体で流量を設定しておけば、一つのfoot switchだけですべて可能である。このbipolarは、脳神経外科領域の手術で極めて有用である。
著者
三好 俊郎 白鳥 正樹
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.48, no.433, pp.1136-1141, 1982-09-25
被引用文献数
2 1

3点曲げおよび中央き裂を持つ試験片の有限要素解析を行い,全面降伏荷重およびJ積分の平面ひずみ状態と平面応力状態での比が塑性拘束率βに等しいことを示した.ついですべり線場解析に基づき,3点曲げ,CT,中央き裂および両外側き裂の引張りに対して有限要素解析と同じ結果が導かれることを示した.最後に表面は平面応力,内部は平面ひずみからなる三次元積層板モデルを提案し,J積分評価の際の板厚効果について考察した.
著者
遠藤 聡志 山田 孝治 亀島 力
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌. 数理モデル化と応用 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.110-118, 2004-02-15
参考文献数
15
被引用文献数
2

セルオートマトン(Cellular Automata : CA)を用いて複雑系現象を再現する場合,状態遷移則(CAルール)を解析対象に応じて適切に設計しなければならない.CAルール設計のテスト問題として,1次元CA密度分類タスクがある.このタスクは局所情報から大域的目的現象を再現しなければならないというCAルール設計特有の困難さがある.Juilleらの示した共進化モデルは,GAの解探索に加えて,解集団の効率的な進化を促す問題空間の探索を利用することで探索性能の改善を図り,当タスクのベストレコードを示すルールの自動設計に成功している.本研究では,CAルール群中の類似性を解集団(CAルール群)から抽出し,それらを「種」という形で具体化したうえで,すべての「種」を包含するような解を求める.この遺伝的操作は,現象内に内包される局所的規則性(サブタスク)を基にして,サブタスク解間のCAルール内での整合性を高めるものである.Juilleらの手法が問題依存型のクラスタリングとheuristicな適応度計算式の拡張を導人したのに対し,提案手法はモデル化する現象に応じたクラスタリングと,種統合のための適応度計算式の自動的な調整を行う点が特色である.
著者
川村 聡明 玉木 久夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告アルゴリズム(AL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.25, pp.41-48, 2001-03-12
参考文献数
5

与えられた囲碁の局面に対して、最善の着手とその帰結を正確に求めるアルゴリズムを設計・実装した。この実装は、5×5盤の終盤問題集(福井正明八段:「五道盤上達法」)の問題のうち、30問を、10秒から29561秒の間の時間で解く。ルールは中国ルールに基づき、無限のゲームを無勝負と解釈する。We design and implement an algorithm that rigorously computes the best move and its outcome given a board configuration of GO game. Our implementation solves 30 of the 5×5 board endgame excersizes authored by Fukui in from 10 to 29561 seconds. Our rule is based on the Chinese rule and interprets an infinite game as a void.
著者
加藤 道男 吉川 恵造 島田 悦司 斉藤 洋一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.195-202, 1992-02-01
被引用文献数
2

ヒト胃癌組織を用いて免疫組織化学的に epidermal growth factor receptor (EGFR) と transforming growth factorα (TGF-α) を認めた腫瘍の病理組織学的特徴を検索した. EGFRは凍結切片に抗EGFRモノクローナル抗体を, TGF-α はパラフィン切片に抗 TGF-α 抗体を用いて染色し, 病理学的所見と比較した. その結果, EGFR 陽性例は69例中18例 (22.8%) で, 分化型癌には49例中17例 (43.7%) と多かった. また TGF-α 陽性例は86例中24例 (27.9%) で, 未分化型癌には38例中18例 (47.4%) と多かった. そして両者の検討が可能であった36例では EGFR 陽性で TGF-α も認めた症例は3例 (8.3%) ですべて進行癌であった. したがって, EGFR は胃癌細胞の分化度と関連し, 分化型胃癌増殖に EGF が影響を与える可能性が考えられた. また EGFR 陽性腫瘍に TGF-α 産生細胞を認めたことから, ヒト胃癌みの autocrine mechanism で増殖する腫瘍のあることが示唆された.
著者
江里口 義隆 大槻 知明 金子 敏信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.88, pp.59-64, 2005-05-19
参考文献数
8
被引用文献数
2

本稿では, MIMO-OFDMシステムにおける2-Dimensional Pilot-Symbol-Assisted (2-D PSA) MMSEチャネル推定法の低演算量化や特性改善を実現する2つのチャネル推定法を提案する.従来の2-D PSA MMSEチャネル推定法は, まずパイロットシンボルを配置されたサブキャリアに対してLeast Square (LS)推定を行い, そのサブキャリアの周波数応答を求める.次にLS推定で求めた周波数応答から, チャネルの相関を利用し, MMSEチャネル推定ですべてのサブキャリアの周波数応答を求める.本稿では, はじめに従来法の演算量を削減するために, OFDMシンボル内の隣接するサブキャリアの周波数応答や, 隣接するOFDMシンボル内の同一サブキャリアの周波数応答を等しいと仮定し, MMSEチャネル推定での演算量を削減した低演算量2-D PSA MMSEチャネル推定法を提案する.また, チャネル推定のMSE特性を改善するため, 従来法のMMSEチャネル推定の推定サイズを拡張することを提案する.シミュレーションの結果, 2つの提案法は, 従来法と比較して, 1つめの提案法は, ほぼ等しいMSE特性で演算量を削減できることを示す.また, 2つめの提案法は, 演算量は増えるがMSE特性を改善できることを示す.
著者
佐々 政孝 中田 育男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.124-127, 1986-01-15
被引用文献数
2

正規右辺文法とは, 生成規則の右辺に文法記号の正規表現を許すような文脈自由文法のことである. 本稿では, これに対するLRパーサを簡単に構成する方法を提案する. その基本は, 構文解析スタックと並行に, 生成規則の右辺から生成される記号の列の長さをカウントするためのスタックを設けるものである. この方法は, 構文解析の効率は最良ではないが, パーサの作成が簡単で, 通常のLRパーサに対する方法を若干精密化するだけですみ, 作成時に文法の変換やlookback状態等の計算が不要であるという特徴をもつ.
著者
松山 巖
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.118, no.1505, 2003-05-20
著者
桃井 高夫
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.745-754, 1966-03

In a series of works already completed, the theories on a long wave in an L-shaped canal have been developed under the first, second and third approximations. In the present work, these theories are utilized to calculate the wave heights and phases for a canal of uniform width and for discussing the behaviors of the waves in the canal in question. Then the following facts are ascertained: - When kd(k: a wave number of the incident waves, d: a width of the canal) increases, the wave height of the reflected waves is linearly augmented from zero to amount to about 20 percent of that of the incident waves at kd=1.0. Then the advancing waves diminish monotonically in height to reach about 95 percent of the incident waves(if these values are evaluated in energy, the reflected waves for the range kd < 1.0 are at most 5 percent of the incident waves and the advancing waves are propagated nearly without loss of energy). As far as the phases are concerned, when kd is small, the reflected waves have a phase difference of π/2 from the incident waves. As kd increases, such a difference decreases linearly until the value reaches zero at kd■l.5. In other words, the incident and reflected waves make up quasi-standing waves, instead of complete standing waves, under the condition λ■4d (λ: a wavelength of the incident waves).今までおこなわれてきた一連の研究で,筆者はL字水防における長波の理論を第1,第2,第3近似までの範囲で展開を試みた.本報告では,これらの理論を用い,水路の幅が不変なモデルについて数値解析をおこない,L字水路における長波の状態を調べた.そしてつぎのようなことを知つた.(1)波高の変化については,kd(k:進入波の波数,d:水防の幅)が0のとき,反射波は全くなく,kdが増加するにつれてその波高はほとんど線型的に増加する,しかしその量は非常に小さくkd=1.0の近くで,進入波の波高の20パーセント程度である(エネルギーに換算すると5パーセントにすぎない).
著者
鈴木 公基 本多 潤子 櫻井 良子
出版者
筑波大学発達臨床心理相談室
雑誌
筑波大学発達臨床心理学研究
巻号頁・発行日
vol.14, pp.13-21, 2002
被引用文献数
1

本事例は,落ち着きのなさとことばの遅れを主訴として再来談した事例についての報告である。落ち着きのない子どもについては注意欠陥多動性障害という観点からのアプローチが近年では多くなされている。注意欠陥多動性障害(Attention-Defict/Hyperactivity Disorder以下 ADHD)は,不注意,多動,衝動性を主たる症状とする診断カテゴリーであり,これに該当する子どもは数パーセントから20パーセント ...
著者
高尾 由子
出版者
筑波大学哲学・思想学会
雑誌
哲学・思想論叢 (ISSN:02873702)
巻号頁・発行日
no.23, pp.33-44, 2005-01

「ほんの少しでも疑いをかけうるものは全部、絶対的に誤りとして廃棄すべきであり、その後で、わたしの信念のなかにまったく疑いえない何かが残るかどうかを見きわめねばならない」としたデカルトですら、外界の事物の存在については百パーセント ...
著者
相良 敏夫
出版者
筑波大学大学研究センター
雑誌
大学研究 (ISSN:09160264)
巻号頁・発行日
no.32, pp.143-162, 2005-03

ウィズ・ケイは共立女子学園が平成13年3月に100パーセント出資して設立した会社です。会社を設立した目的は、経費削減と収入の多角化です。学校法人は当然のことながら非営利法人です。収入を得ることは寄付行為の中でできます。しかし ...
著者
森田 裕人
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.18, no.7, pp.638-645, 1996
参考文献数
9
被引用文献数
2

リドカインは気管支鏡検査施行時の麻酔薬として広く一般に使用されている。しかしながら現状では, 検査中に使用されているリドカインの総量にはあまり注意が払われていない。我々は, ジャクソン型噴霧器による麻酔とテフロン樹脂製のカテーテルを気管支鏡の生検鉗子チャンネルに挿入し麻酔することによって, 少量のリドカイン(患者1人あたり平均240mg)で1124症例に生検やブラシ, 洗浄等の気管支鏡検査を施行した。リドカイン中毒を呈した症例は認められなかった。しかし, シースカテーテルを使用しないで麻酔を行う一般的な気管支鏡検査では, いくらかのリドカインは吸引に流入されており, 実際にはリドカインの使用量に差はあるが, 有効に, 気管や気管支への麻酔に使用されたリドカイン量は同じかもしれない。そこで, 我々は, 37歳から81歳までの検査の同意を得た22人について, 同量のリドカインが現実に有効であることを否定するために, 使用されたリドカイン総量とその血漿中濃度について検討した。結果は, 使用されたリドカイン総量, 血漿中リドカイン濃度, ともにシースカテーテルを使用して麻酔した方が使用しない場合より有意に低い結果を得た。テフロン樹脂製のシースカテーテルは気管支鏡麻酔施行時のリドカイン使用量の減量に有効であると結論づけられた。加えて, 気管支鏡検査時の出血やくもりもシースカテーテル先端を気管支鏡内に数mmおさめ, 少量の生理食塩液とリドカインをシースカテーテルより注入することで, 洗い流すとともに咳嗽をおさえ, 新たなる出血を予防し改善される。エピネフリン等の止血薬注入が必要な場合でもシースカテーテルを通して注入すれば, シースカテーテルを使用しない場合よりも, より少量の使用量ですむ。
著者
飯田 拓 山際 健太郎 八木 眞太郎 藤井 幸治 濱田 賢司 水野 修吾 田端 正己 横井 一 伊佐地 秀司 上本 伸二
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.106-111, 2003-02-01
参考文献数
19
被引用文献数
4

症例は30歳の女性.1991年頃より心窩部痛が出現,腹部超音波・CTにて肝外側区域に約3.5cm大の嚢胞性病変を指摘された.1996年には肝病変は11cm大に増大し,塩酸ミノサイクリン局注療法を施行された.1998年のCTにて再度6.5cm大に増大,嚢胞壁の肥厚および嚢胞内隔壁が出現したため,肝嚢胞腺腫または嚢胞腺癌と診断,肝外側区域切除術を施行した.摘出標本は7.5×6×4cm大の多房性病変で,組織学的には上皮細胞に悪性所見なく,嚢胞壁は紡錘状の卵巣様間質細胞で構成されており,hepatobiliary cystadenoma with mesenchymal stroma(CMS)と診断された.検索しえたCMS本邦報告例は13例で全例女性であった.自験例では卵巣様間質細胞は免疫化学染色でER・PgR陽性であった.CMSは予後良好とされるが,malignant potentialを有する前癌病変であり,癌化例も認めることから積極的な外科的切除が必要と考えられた.